2 / 5
2
しおりを挟む
アーデルハイト王国からの急使が到着したのは、夕食を終えて数時間後のことだった。
レオン――いえ、レオン陛下はすぐには会わず、わたしが同席するまで客人を待たせることにした。
「エリス、おまえも来い。直接見せておきたい」
「……わたしが、ですか?」
「当然だ。これはおまえの問題でもある」
その言葉に、胸がざわついた。
以前のわたしなら、こんな場に出ることが許されるはずもなかった。
なにより……呼び出される理由の大半は、きっとわたしを責めるためだった。
だが今、わたしの隣にはレオン陛下がいる。
手を繋ぎ、寄り添うように歩くだけで、呼吸が深くなる。
「怖いか?」
「……少しだけ。でも、あなたがいてくれるから大丈夫です」
レオンの横顔がわずかに緩む。
「そう言われると、嬉しくなるな」
案内された応接室には、見覚えのある人物が座っていた。
深緑の襟章――アーデルハイト第二王子付きの高位文官、クラウス。
彼はわたしたちを見るなり、目を見開いた。
「え、エリス様……!? な、なぜあなたが……陛下の隣に?」
「なぜか、とは無礼だな」
レオン陛下の声が低く響く。
クラウスは顔を青ざめさせた。
「も、申し訳ございません……! その……本日、我が国からの文書をお預かりし――」
「要件はすでに聞いている。“婚約破棄の撤回”だそうだな?」
「……っ!」
クラウスは一瞬動揺したが、すぐに紙を取り出した。
「はい……殿下より、『婚約破棄は誤解であった』『再考の余地がある』『エリス殿を迎え直したい』との――」
「迎え直したい?」
レオン陛下が笑った。
それは、あまりにも冷たく、美しい――“暴君王”の笑み。
クラウスは背筋を正し、慎重に言葉を続けた。
「その、殿下は後悔しておられるのです……! エリス様が突然姿を消し、さらに隣国へ渡ったと聞いて心を痛めておられます! 殿下は……殿下は……!」
わたしの胸に、微かな痛みが走った。
――あの人が、後悔……?
でも、信じられない。
だってアルノルト殿下は、胸を張ってわたしを捨てたのだ。
上流階級の真ん中で、堂々と“無価値”だと言い放った。
あの冷たい瞳が、後悔する姿なんて……想像できない。
「後悔、ね」
レオン陛下の低い声。
わたしの手を取ると、クラウスの前にそれを掲げる。
「おまえの殿下は、この手を捨てた。私は拾った。それだけの話だ」
「っ……! で、ですが……!」
「何の取り柄もない、と言って嘲笑ったのも、殿下だったな?」
「っ――」
クラウスは言葉を詰まらせた。
レオン陛下の指が、わたしの手の甲をゆっくり撫でる。
それが妙に熱くて、胸がまた締めつけられる。
「エリスは私の国に来てから、一度も泣いていない。笑顔ばかり見せている」
「レ、レオン……?」
「それだけで充分だ。もうあの男の元へ戻すつもりはない。永遠にな」
クラウスは焦りの色を深めた。
「で、では……殿下は……! どうか一度、殿下と直接お話いただくわけには……!」
「必要ない。――なあ、エリス」
えっ……?
急に話を振られ、わたしは戸惑う。
「エリスはどうしたい? あの男の元に戻るか?」
「……!! い、いえ、戻りません!」
強く言うと、クラウスがぐらりと揺れた。
レオン陛下は満足げに微笑む。
「聞いたな。これで終わりだ」
「っ……! し、しかし!!」
クラウスは必死に食い下がろうとした。
「殿下は……『エリスでなければ困る』と――」
その瞬間、レオン陛下の金の瞳が細められた。
「困る、だと? 便利な道具が欲しい時にだけ呼び戻すつもりか?」
クラウスは黙り込む。
それだけで答えは明らかだった。
わたしの胸の奥で、長く張り詰めていた糸が切れる音がした。
――ああ、やっぱり。
アルノルト殿下はわたしが必要なのではない。
何か“都合のいい理由”があるだけなんだ。
そんな思いが、静かに、そして冷たく胸の中に広がっていく。
レオン陛下はわたしの肩を抱き寄せた。
「もう帰れ」
その声はひどく冷たかった。
「こ、この文書は……!!」
「燃やせ」
「ひっ……!」
「二度とエリスに近づくな。……命が惜しいならな」
クラウスは蒼白な顔で文書を抱え、逃げるように去っていった。
扉が閉まった瞬間、わたしの膝から力が抜けた。
レオン陛下がすぐに支えてくれる。
「大丈夫か?」
「……はい。ごめんなさい、少しだけ、驚いたので」
「謝る必要はない」
レオンの手が、わたしの背を優しく撫でる。
「エリス。あの男の言葉で心が揺れたのか?」
「……揺れてはいません。でも……胸の奥が、少し痛んだだけです」
「痛むか」
レオンはわたしの胸元にそっと手を当て、低く囁いた。
「なら、代わりに私が埋めてやる。おまえが痛んだ分だけ、私が満たそう」
「っ……!」
顔が一気に熱くなる。
「レオン、さ、さま……?」
レオンはわたしの頬を掬い、額に軽く触れた。
「婚約破棄したあの男に、二度とおまえの心を揺らさせない。
そのためなら私は、何だってする」
「……」
その言葉が、胸に深く染み込んでいく。
ああ、この人はわたしを――
「レオン……わたし、あなたと居ると、安心します」
「……エリス」
彼の指がわたしの唇に触れかけた、その瞬間。
勢いよく扉が叩かれた。
「陛下――! 緊急です!!」
レオンはわずかに表情を曇らせた。
「何だ?」
「アーデルハイト王国より……第二王子アルノルト殿下来訪の報せです!
――陛下と直接謁見したいと……!」
「……っ!」
胸が跳ねた。
レオンはゆっくりとわたしの顎を上げた。
「来るか。ようやく、“捨てた令嬢”の価値に気づいたらしいな」
冷たい声だった。
「エリス。おまえはここにいていい。逃げる必要はない」
「逃げません。わたし……ちゃんと向き合います」
アルノルト殿下と会う――
その考えに、確かに心臓は凍りそうになった。
だけど。
もう、あの頃とは違う。
わたしにはレオン陛下がいる。
わたしを大切に扱ってくれる人が、すぐ隣にいる。
「レオン様」
「なんだ?」
「……わたし、あなたの傍にいます。どんな時でも」
レオンの瞳が、わずかに揺れた。
すぐに、甘く、深い笑みが広がる。
「嬉しい言葉だ。……ご褒美が欲しいか?」
「ご、ご褒美?」
「そうだな」
レオンはゆっくり手を伸ばし、わたしの頬に触れる。
「アルノルトに、見せつけてやろう。おまえはもう、私のものだと」
「っ……!」
拒めないほど甘い声。
心臓が破裂しそうなほど鼓動が高鳴る。
でも、その直後。
また扉が叩かれた。
「陛下、殿下はすでに国境を越えました! 到着は二時間以内とのこと!」
レオンは舌打ちし、わたしの手を引いた。
「行くぞ、エリス」
「ど、どこへ?」
「王座の間だ」
レオンはちらりと振り返り、
金の瞳を細めて言い放った。
「“元婚約者”に、今のエリスを見せつける」
――胸がざわつく。
だけど、不思議と怖くはなかった。
それよりも――
レオンの隣を歩く自分が、少し誇らしいとすら思った。
大広間までの廊下を進むたび、緊張が混じる。
そしてわたしたちは、重い扉の前にたどり着いた。
「エリス」
「はい」
「何があっても、おまえは私が守る。……だから胸を張れ」
「……はい!」
扉がゆっくりと開かれた。
レオン――いえ、レオン陛下はすぐには会わず、わたしが同席するまで客人を待たせることにした。
「エリス、おまえも来い。直接見せておきたい」
「……わたしが、ですか?」
「当然だ。これはおまえの問題でもある」
その言葉に、胸がざわついた。
以前のわたしなら、こんな場に出ることが許されるはずもなかった。
なにより……呼び出される理由の大半は、きっとわたしを責めるためだった。
だが今、わたしの隣にはレオン陛下がいる。
手を繋ぎ、寄り添うように歩くだけで、呼吸が深くなる。
「怖いか?」
「……少しだけ。でも、あなたがいてくれるから大丈夫です」
レオンの横顔がわずかに緩む。
「そう言われると、嬉しくなるな」
案内された応接室には、見覚えのある人物が座っていた。
深緑の襟章――アーデルハイト第二王子付きの高位文官、クラウス。
彼はわたしたちを見るなり、目を見開いた。
「え、エリス様……!? な、なぜあなたが……陛下の隣に?」
「なぜか、とは無礼だな」
レオン陛下の声が低く響く。
クラウスは顔を青ざめさせた。
「も、申し訳ございません……! その……本日、我が国からの文書をお預かりし――」
「要件はすでに聞いている。“婚約破棄の撤回”だそうだな?」
「……っ!」
クラウスは一瞬動揺したが、すぐに紙を取り出した。
「はい……殿下より、『婚約破棄は誤解であった』『再考の余地がある』『エリス殿を迎え直したい』との――」
「迎え直したい?」
レオン陛下が笑った。
それは、あまりにも冷たく、美しい――“暴君王”の笑み。
クラウスは背筋を正し、慎重に言葉を続けた。
「その、殿下は後悔しておられるのです……! エリス様が突然姿を消し、さらに隣国へ渡ったと聞いて心を痛めておられます! 殿下は……殿下は……!」
わたしの胸に、微かな痛みが走った。
――あの人が、後悔……?
でも、信じられない。
だってアルノルト殿下は、胸を張ってわたしを捨てたのだ。
上流階級の真ん中で、堂々と“無価値”だと言い放った。
あの冷たい瞳が、後悔する姿なんて……想像できない。
「後悔、ね」
レオン陛下の低い声。
わたしの手を取ると、クラウスの前にそれを掲げる。
「おまえの殿下は、この手を捨てた。私は拾った。それだけの話だ」
「っ……! で、ですが……!」
「何の取り柄もない、と言って嘲笑ったのも、殿下だったな?」
「っ――」
クラウスは言葉を詰まらせた。
レオン陛下の指が、わたしの手の甲をゆっくり撫でる。
それが妙に熱くて、胸がまた締めつけられる。
「エリスは私の国に来てから、一度も泣いていない。笑顔ばかり見せている」
「レ、レオン……?」
「それだけで充分だ。もうあの男の元へ戻すつもりはない。永遠にな」
クラウスは焦りの色を深めた。
「で、では……殿下は……! どうか一度、殿下と直接お話いただくわけには……!」
「必要ない。――なあ、エリス」
えっ……?
急に話を振られ、わたしは戸惑う。
「エリスはどうしたい? あの男の元に戻るか?」
「……!! い、いえ、戻りません!」
強く言うと、クラウスがぐらりと揺れた。
レオン陛下は満足げに微笑む。
「聞いたな。これで終わりだ」
「っ……! し、しかし!!」
クラウスは必死に食い下がろうとした。
「殿下は……『エリスでなければ困る』と――」
その瞬間、レオン陛下の金の瞳が細められた。
「困る、だと? 便利な道具が欲しい時にだけ呼び戻すつもりか?」
クラウスは黙り込む。
それだけで答えは明らかだった。
わたしの胸の奥で、長く張り詰めていた糸が切れる音がした。
――ああ、やっぱり。
アルノルト殿下はわたしが必要なのではない。
何か“都合のいい理由”があるだけなんだ。
そんな思いが、静かに、そして冷たく胸の中に広がっていく。
レオン陛下はわたしの肩を抱き寄せた。
「もう帰れ」
その声はひどく冷たかった。
「こ、この文書は……!!」
「燃やせ」
「ひっ……!」
「二度とエリスに近づくな。……命が惜しいならな」
クラウスは蒼白な顔で文書を抱え、逃げるように去っていった。
扉が閉まった瞬間、わたしの膝から力が抜けた。
レオン陛下がすぐに支えてくれる。
「大丈夫か?」
「……はい。ごめんなさい、少しだけ、驚いたので」
「謝る必要はない」
レオンの手が、わたしの背を優しく撫でる。
「エリス。あの男の言葉で心が揺れたのか?」
「……揺れてはいません。でも……胸の奥が、少し痛んだだけです」
「痛むか」
レオンはわたしの胸元にそっと手を当て、低く囁いた。
「なら、代わりに私が埋めてやる。おまえが痛んだ分だけ、私が満たそう」
「っ……!」
顔が一気に熱くなる。
「レオン、さ、さま……?」
レオンはわたしの頬を掬い、額に軽く触れた。
「婚約破棄したあの男に、二度とおまえの心を揺らさせない。
そのためなら私は、何だってする」
「……」
その言葉が、胸に深く染み込んでいく。
ああ、この人はわたしを――
「レオン……わたし、あなたと居ると、安心します」
「……エリス」
彼の指がわたしの唇に触れかけた、その瞬間。
勢いよく扉が叩かれた。
「陛下――! 緊急です!!」
レオンはわずかに表情を曇らせた。
「何だ?」
「アーデルハイト王国より……第二王子アルノルト殿下来訪の報せです!
――陛下と直接謁見したいと……!」
「……っ!」
胸が跳ねた。
レオンはゆっくりとわたしの顎を上げた。
「来るか。ようやく、“捨てた令嬢”の価値に気づいたらしいな」
冷たい声だった。
「エリス。おまえはここにいていい。逃げる必要はない」
「逃げません。わたし……ちゃんと向き合います」
アルノルト殿下と会う――
その考えに、確かに心臓は凍りそうになった。
だけど。
もう、あの頃とは違う。
わたしにはレオン陛下がいる。
わたしを大切に扱ってくれる人が、すぐ隣にいる。
「レオン様」
「なんだ?」
「……わたし、あなたの傍にいます。どんな時でも」
レオンの瞳が、わずかに揺れた。
すぐに、甘く、深い笑みが広がる。
「嬉しい言葉だ。……ご褒美が欲しいか?」
「ご、ご褒美?」
「そうだな」
レオンはゆっくり手を伸ばし、わたしの頬に触れる。
「アルノルトに、見せつけてやろう。おまえはもう、私のものだと」
「っ……!」
拒めないほど甘い声。
心臓が破裂しそうなほど鼓動が高鳴る。
でも、その直後。
また扉が叩かれた。
「陛下、殿下はすでに国境を越えました! 到着は二時間以内とのこと!」
レオンは舌打ちし、わたしの手を引いた。
「行くぞ、エリス」
「ど、どこへ?」
「王座の間だ」
レオンはちらりと振り返り、
金の瞳を細めて言い放った。
「“元婚約者”に、今のエリスを見せつける」
――胸がざわつく。
だけど、不思議と怖くはなかった。
それよりも――
レオンの隣を歩く自分が、少し誇らしいとすら思った。
大広間までの廊下を進むたび、緊張が混じる。
そしてわたしたちは、重い扉の前にたどり着いた。
「エリス」
「はい」
「何があっても、おまえは私が守る。……だから胸を張れ」
「……はい!」
扉がゆっくりと開かれた。
21
あなたにおすすめの小説
今さら遅いと言われる側になったのは、あなたです
阿里
恋愛
夜会で婚約破棄された私は、すべてを失った――はずだった。
けれど、人生は思いもよらない方向へ転がる。
助けた騎士は、王の右腕。
見下されてきた私の中にある価値を、彼だけが見抜いた。
王城で評価され、居場所を得ていく私。
その頃、私を捨てた元婚約者は、転落の一途をたどる。
「間違いだった」と言われても、もう心は揺れない。
選ばれるのを待つ時代は、終わった。
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
婚約破棄された夜、最強魔導師に「番」だと告げられました
阿里
恋愛
学院の祝宴で告げられた、無慈悲な婚約破棄。
魔力が弱い私には、価値がないという現実。
泣きながら逃げた先で、私は古代の遺跡に迷い込む。
そこで目覚めた彼は、私を見て言った。
「やっと見つけた。私の番よ」
彼の前でだけ、私の魔力は輝く。
奪われた尊厳、歪められた運命。
すべてを取り戻した先にあるのは……
婚約破棄から50年後
あんど もあ
ファンタジー
王立学園の卒業パーティーで、王子が婚約者に婚約破棄を宣言した。王子は真に愛する女性と結ばれ、めでたしめでたし。
そして50年後、王子の孫の王子は、婚約破棄された女性の孫と婚約する事に。そこで明かされた婚約破棄の真実とは。
冷遇妃ライフを満喫するはずが、皇帝陛下の溺愛ルートに捕まりました!?
由香
恋愛
冷遇妃として後宮の片隅で静かに暮らすはずだった翠鈴。
皇帝に呼ばれない日々は、むしろ自由で快適——そう思っていたのに。
ある夜、突然現れた皇帝に顎を掴まれ、深く口づけられる。
「誰が、お前を愛していないと言った」
守るための“冷遇”だったと明かされ、逃げ道を塞がれ、甘く囲われ、何度も唇を奪われて——。
これは冷遇妃のはずだった少女が、気づけば皇帝の唯一へと捕獲されてしまう甘く濃密な溺愛物語。
地味で役に立たないと言われて捨てられましたが、王弟殿下のお相手としては最適だったようです
阿里
恋愛
「君は地味で、将来の役に立たない」
そう言われ、幼なじみの婚約者にあっさり捨てられた侯爵令嬢の私。
社交界でも忘れ去られ、同情だけを向けられる日々の中、私は王宮の文官補佐として働き始める。
そこで出会ったのは、権力争いを嫌う変わり者の王弟殿下。
過去も噂も問わず、ただ仕事だけを見て評価してくれる彼の隣で、私は静かに居場所を見つけていく。
そして暴かれる不正。転落していく元婚約者。
「君が隣にいない宮廷は退屈だ」
これは、選ばれなかった私が、必要とされる私になる物語。
感情の無い聖女様は、公爵への生贄にされてしまいました
九条 雛
恋愛
「――私など、ただの〝祈り人形〟でございます。人形に感情はありませぬ……」
悪逆非道の公爵の元へと生贄として捧げられてしまった聖女は、格子の付いた窓を見上げてそう呟く。
公爵は嗜虐に満ちた笑みを浮かべ言い放つ。
「これからは、三食きちんと食べてもらおう。こうして俺のモノとなったからには、今までのような生活を送れるとは思わぬことだな」
――これは、不幸な境遇で心を閉ざしてしまった少女と、その笑顔を取り戻そうとする男の物語。
婚約破棄された幼い公爵令嬢、目覚めたら絶世の美女でした
鍛高譚
恋愛
『幼すぎる』と婚約破棄された公爵令嬢ですが、意識不明から目覚めたら絶世の美女になっていました
幼すぎる、頼りない――そんな理由で婚約者に見限られた公爵令嬢シルフィーネ。
心ない言葉に傷ついた彼女は、事故に遭い意識不明となってしまう。
しかし一年後、彼女は奇跡的に目を覚ます。
そして目覚めた彼女は――かつての面影を残しつつも、見る者すべてを惹きつける絶世の美女へと変貌を遂げていた!
周囲の反応は一変。婚約破棄を後悔する元婚約者、熱視線を送る他家の令息たち、さらには王太子からの突然の縁談まで舞い込み――?
「もう、誰にも傷つけられたくない。私は私の幸せを手に入れるの」
これは、冷たく突き放された少女が美しく咲き誇り、誇りと自由を手に入れる、ざまぁ&逆転恋愛劇。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる