最弱スキル【鑑定】しかないと言われた俺、実は最強の切り札でした 〜勇者パーティーを追放された俺の逆転劇〜

鳴神 祈

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第31章

逃亡者ユウマと影の諜報員

◆ 荒野の夜

 王都を脱出して三日。
 俺たちは国境近くの荒野に身を潜めていた。

 焚き火の明かりに照らされながら、リナがパンをちぎる。
「王都の追手、まだ動いてるみたい……。東の関所が封鎖されたって」

 カインが地図を広げ、険しい表情を見せた。
「となると、北か南へ抜けるしかねぇな」

 ミリアが静かに呟く。
「でも、勇者たちが直接動いてるなら……どこも安全じゃないわ」

 俺は火の向こうで燃える木片を見つめながら考える。
(……証拠を掴まない限り、俺たちはただの『逃亡者』のままだ)



◆ 闇夜の訪問者

 その夜――。
 不意に、風の中に微かな足音が混じった。

「……誰だ!」
 俺が立ち上がると、闇の中から一人の影が姿を現した。

 漆黒の外套を纏い、フードの奥に鋭い瞳が光る。
 女――だが、その気配はただ者ではない。

「静かに。あなたたちを殺しに来たわけじゃない」

 仲間たちは身構えるが、俺は一歩前へ出た。
「じゃあ、誰だ。何者だ?」

 彼女はフードを外し、月光の下で微笑んだ。
 銀髪と青い瞳――そして、唇にはわずかな挑発の笑み。

「私はセラ。王都情報局の元諜報員。
 ……勇者アルトの裏の顔を暴こうとして、消された人間よ」



◆ 揺れる真実

「勇者の裏の顔?」
 リナが息を呑む。

 セラは頷き、懐から小さな魔晶石を取り出した。
 そこには、魔王軍と勇者アルトが密かに取引している映像が映し出される。

『――魔王軍の残党を一部見逃す代わりに、支配地域を分け合う。
 王には“討伐済み”と報告するだけでいい――』

 リナの顔が青ざめた。
「そ、そんな……勇者が、魔王軍と……!」

 カインが拳を握りしめる。
「だからユウマを陥れたのか。邪魔だったんだな」

 俺はゆっくりと目を閉じ、深く息を吐いた。
「……これが、奴らの“勇者ごっこ”の真実か」



◆ 影との契約

 セラは俺に視線を向ける。
「あなた、ユウマね。《真鑑定》の使い手。
 もしその力でこの映像が本物だと証明できるなら、私は協力する」

 俺は頷き、手をかざした。
《真鑑定:対象・魔晶石》

 魔力の波紋が走り、結果が浮かぶ。

《映像の改ざんなし。発言・姿勢・魔力波形、すべて一致》

 俺はセラを見つめ、言った。
「本物だ。これで、勇者の偽りを暴ける」

 セラは小さく笑う。
「ふふ……ようやく、同じ目的の仲間を見つけたわね」



◆ 反撃の始まり

 夜が明けるころ、俺たちは焚き火を囲んで誓いを立てた。

「王都を奪われたままにはしない」
「勇者の嘘を、世界に暴く」
「そして――真の正義を取り戻す」

 セラはその誓いを聞きながら、静かにフードを被り直した。
「動くなら、次は東の交易都市〈レグナス〉。
 勇者の資金源がそこにある」

 俺は立ち上がり、剣を握った。
「分かった。そこから、反撃を始めよう」

 ――夜明けの光が、逃亡者たちの影を長く伸ばした。
 その影の先に、真の戦いが待っている。
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