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第零章 天女の始まり
24 襲撃者(3)
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「ただいま戻りましたー。」
「戻りましたー。」
「…あれ?主様まだ帰ってきてないな。」
「私室にいらっしゃるんじゃ…?」
「いやー、屋敷全体に気配がない。」
「…どこかへ行かれたんでしょうか…?」
「さぁ。……今日に限って間が悪いなぁ。うーん、どうしよっかなー、いつ帰ってくるかなぁ。」
なにやらブツクサと呟く佐助。
「…?信繁様に御用でした?」
「うーん、…そんなもん。――…何か甘未作るの?」
「はい!またみたらし団子を作ろうかと!」
「お、いいねぇ。今度はおれも食べたいな。」
「もちろんです!そのために多めに材料買ったんですよ?」
にゃー
台所へ移動し勝手口を開くと、子猫のシロが待機していた。木から降りれなかったところを助けた子猫だ。あの日以来屋敷から離れないため、安直だが白猫だからシロと名付けて世話をしている。今や屋敷の皆に懐いており、日々成長している様が分かるのが愛くるしい。
「シロには後で夕餉の残りあげるからなー。」
にゃー
いや、一応飼い主である徳を差し置いて、一番に佐助に懐いているのかもしれない…。
ゴロゴロ…
「わぁ。雷ですか?早めに帰ってきてよかったですね。」
「…。」
―――急に佐助がピリッとした空気を醸し出す。
佐助が睨んでいる方向とは逆の方向にシロが逃げた。
「…姫さん。…主様帰ってくるまでそこから離れないでね。」
「え、は、はい…。」
(な、なに…?こんな佐助さん見たことない…)
いつもらしからぬ表情は、初めて佐助と対峙した時とは比ではないほどの緊迫感を生む。
しゃがんでいた佐助は、庭の一点から視線を外さないままゆっくりとした動作で立ち上がる。
雷鳴が再び鳴り響き、しとしとと空から雨粒が降り始めた。水滴を含んだ地面が色を濃くし、斑模様を作る。しかし、雨脚は一層強まり、すぐにその模様も消え去った。雨のしずくが地面で跳ねる…――
「え…霧?」
「…。」
雨足が強まったと思えば、急に霧が立ち込めた。それも濃霧だ。
空気がひんやりと肌を刺す。
「チッ」
珍しく佐助が苛立ちを隠さず舌を打ったその瞬間――。
キーン!
「…っ!」
金属音が空気を震わせた。
佐助が何かを苦無で弾いたようだ。徳には何が何だか分からず、ただただ驚きと、今になってやっと誰かが敷地内に居ることに気づいた。
「あんた誰かな?市からずっとつけてきてるよね。何の用?」
「ヒュー。流石だな、気づいてたか。一応バレてない自信はあったんだけどなぁ。…あー、名前な。俺ぁ、霧隠才蔵ってーんだ。」
「…何の用?誰が目的?俺?この子?それともこの屋敷の主?」
「最初はその女に引っかかったんだよ。すげぇ力振り撒いてウロチョロしやがって、俺を挑発してんのかと思ったさ。けどよ、まさかあんたに繋がると思ってなかったぜ。見つけた時ぁびっくりしたよ…。俺ぁ、ずっとあんたを探してたんだ。猿飛佐助さんよぉ…。」
「……ふーん。じゃあ、目的はおれって訳ね。んじゃ、場所変えさせてもらおうか。別にここじゃなくてもいいんでしょ。」
「そう言わねぇでさっさと殺ろうぜ!」
いきなり響く爆音と地鳴りのような揺れ。そして、その次は金属と金属がぶつかり合う音が霧の中で響きだす。佐助は先ほど居たはずの場所から姿を消しており、霧の中で左右上下と、様々なところから金属音が響き渡るが、濃霧でどこに居るかもわからない。
「おいおい。あんた!受け身ばっかでなんで攻撃しねぇんだよ!舐めてんのか!?」
「主様と無暗に戦闘しないって約束したんでね。」
「は!さすが甲賀流だな。飼い主に従順ってか!?あの一つの里を一夜で滅ぼした猿飛佐助様がなぁ!牙も爪も抜かれちまったって訳かよ!?ぁあ!?」
「…そういうあんたは伊賀の人間?」
「ああそうさ!俺からしたらあんたら甲賀の人間が信じられねぇぜ!一人の人に仕えていくなんてなぁ!」
「別に、考え押し付けてるわけじゃないんだし、あんたにゃ関係ないだろ?」
「現時点で大有りなんだよ!まともに戦ってくれなきゃ、意味がないんでなぁ!」
「…っ!?姫さん!」
徳は一瞬のことで何が起こったのか分からなかった。突然背後に人の気配を感じるや否や、気づいたときには才蔵に小脇に抱えられたまま屋敷の屋根瓦の上にいた。
「チッ…その娘を放しな。関係ない。」
「俺ぁ、あんたの本気が見たいんだよ。こいつを傷つけでもすれば、あんたはまともに相手して――」
キーン!
「うおぉっと!」
「……その娘、返してもらおうか。」
「…おいおい。なんだよ。急に出てきやがって、しかもそのチャクラの量、おっかねぇな。」
「…の、信繁様…?」
小脇に抱えらえたまま上を見ると、才蔵と信繁が鍔迫り合いをしている真っ最中であった。しかも、なにやら信繁の刀からビリビリと青色の稲妻のようなものが見え隠れし――。
「くそっ!…この状況は俺にはちっとばかし不利だぜ…。」
ボフンッ
才蔵が何かを足元に投げつけた瞬間、煙が勢いよく発生した。徳は思わず目をぎゅっと閉じてしまうが、
浮遊感を感じて目を開ける――
「いやーーー!落ちてる―!!」
「うるせぇ!落ちてるんじゃねぇ!走ってんだよ!」
目を開けた視界の先では、どこかも分からない森で、才蔵に抱えられながら木から木へ飛び移っている最中であった。
「戻りましたー。」
「…あれ?主様まだ帰ってきてないな。」
「私室にいらっしゃるんじゃ…?」
「いやー、屋敷全体に気配がない。」
「…どこかへ行かれたんでしょうか…?」
「さぁ。……今日に限って間が悪いなぁ。うーん、どうしよっかなー、いつ帰ってくるかなぁ。」
なにやらブツクサと呟く佐助。
「…?信繁様に御用でした?」
「うーん、…そんなもん。――…何か甘未作るの?」
「はい!またみたらし団子を作ろうかと!」
「お、いいねぇ。今度はおれも食べたいな。」
「もちろんです!そのために多めに材料買ったんですよ?」
にゃー
台所へ移動し勝手口を開くと、子猫のシロが待機していた。木から降りれなかったところを助けた子猫だ。あの日以来屋敷から離れないため、安直だが白猫だからシロと名付けて世話をしている。今や屋敷の皆に懐いており、日々成長している様が分かるのが愛くるしい。
「シロには後で夕餉の残りあげるからなー。」
にゃー
いや、一応飼い主である徳を差し置いて、一番に佐助に懐いているのかもしれない…。
ゴロゴロ…
「わぁ。雷ですか?早めに帰ってきてよかったですね。」
「…。」
―――急に佐助がピリッとした空気を醸し出す。
佐助が睨んでいる方向とは逆の方向にシロが逃げた。
「…姫さん。…主様帰ってくるまでそこから離れないでね。」
「え、は、はい…。」
(な、なに…?こんな佐助さん見たことない…)
いつもらしからぬ表情は、初めて佐助と対峙した時とは比ではないほどの緊迫感を生む。
しゃがんでいた佐助は、庭の一点から視線を外さないままゆっくりとした動作で立ち上がる。
雷鳴が再び鳴り響き、しとしとと空から雨粒が降り始めた。水滴を含んだ地面が色を濃くし、斑模様を作る。しかし、雨脚は一層強まり、すぐにその模様も消え去った。雨のしずくが地面で跳ねる…――
「え…霧?」
「…。」
雨足が強まったと思えば、急に霧が立ち込めた。それも濃霧だ。
空気がひんやりと肌を刺す。
「チッ」
珍しく佐助が苛立ちを隠さず舌を打ったその瞬間――。
キーン!
「…っ!」
金属音が空気を震わせた。
佐助が何かを苦無で弾いたようだ。徳には何が何だか分からず、ただただ驚きと、今になってやっと誰かが敷地内に居ることに気づいた。
「あんた誰かな?市からずっとつけてきてるよね。何の用?」
「ヒュー。流石だな、気づいてたか。一応バレてない自信はあったんだけどなぁ。…あー、名前な。俺ぁ、霧隠才蔵ってーんだ。」
「…何の用?誰が目的?俺?この子?それともこの屋敷の主?」
「最初はその女に引っかかったんだよ。すげぇ力振り撒いてウロチョロしやがって、俺を挑発してんのかと思ったさ。けどよ、まさかあんたに繋がると思ってなかったぜ。見つけた時ぁびっくりしたよ…。俺ぁ、ずっとあんたを探してたんだ。猿飛佐助さんよぉ…。」
「……ふーん。じゃあ、目的はおれって訳ね。んじゃ、場所変えさせてもらおうか。別にここじゃなくてもいいんでしょ。」
「そう言わねぇでさっさと殺ろうぜ!」
いきなり響く爆音と地鳴りのような揺れ。そして、その次は金属と金属がぶつかり合う音が霧の中で響きだす。佐助は先ほど居たはずの場所から姿を消しており、霧の中で左右上下と、様々なところから金属音が響き渡るが、濃霧でどこに居るかもわからない。
「おいおい。あんた!受け身ばっかでなんで攻撃しねぇんだよ!舐めてんのか!?」
「主様と無暗に戦闘しないって約束したんでね。」
「は!さすが甲賀流だな。飼い主に従順ってか!?あの一つの里を一夜で滅ぼした猿飛佐助様がなぁ!牙も爪も抜かれちまったって訳かよ!?ぁあ!?」
「…そういうあんたは伊賀の人間?」
「ああそうさ!俺からしたらあんたら甲賀の人間が信じられねぇぜ!一人の人に仕えていくなんてなぁ!」
「別に、考え押し付けてるわけじゃないんだし、あんたにゃ関係ないだろ?」
「現時点で大有りなんだよ!まともに戦ってくれなきゃ、意味がないんでなぁ!」
「…っ!?姫さん!」
徳は一瞬のことで何が起こったのか分からなかった。突然背後に人の気配を感じるや否や、気づいたときには才蔵に小脇に抱えられたまま屋敷の屋根瓦の上にいた。
「チッ…その娘を放しな。関係ない。」
「俺ぁ、あんたの本気が見たいんだよ。こいつを傷つけでもすれば、あんたはまともに相手して――」
キーン!
「うおぉっと!」
「……その娘、返してもらおうか。」
「…おいおい。なんだよ。急に出てきやがって、しかもそのチャクラの量、おっかねぇな。」
「…の、信繁様…?」
小脇に抱えらえたまま上を見ると、才蔵と信繁が鍔迫り合いをしている真っ最中であった。しかも、なにやら信繁の刀からビリビリと青色の稲妻のようなものが見え隠れし――。
「くそっ!…この状況は俺にはちっとばかし不利だぜ…。」
ボフンッ
才蔵が何かを足元に投げつけた瞬間、煙が勢いよく発生した。徳は思わず目をぎゅっと閉じてしまうが、
浮遊感を感じて目を開ける――
「いやーーー!落ちてる―!!」
「うるせぇ!落ちてるんじゃねぇ!走ってんだよ!」
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