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第二章 悪役令嬢物語の始まり
4 ヒロインの実力
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「へー。お前も変なことするなぁ。偽名使って城下で遊んでたなんてな。」
今、一行が居るのは川辺だ。桜が散り始めている並木道。腰かけている土手にはカタバミが多く花開いている。主に徳の提案により、人通りの少ない場所へと移動したのだ。
「…遊んでたわけじゃないです。まぁ、子どもの頃はそれもあったけど、ただ単に人々の生活を肌で感じたかっただけです…。」
「幸村さん、真田家の遠い親戚で今は旅をして回っているんだって言って、放浪息子のような感じだったんです。でも、城下にお見えになられた時の人気と言ったらすごかったのですよ!」
「俺よりも人気か?」
「あ、…伊達様も人気がありそうですが…、それはもう店に来たら行列ができるぐらい!」
なんだかんだ初めのうち、鈴は政宗に対しても土下座をする勢いで挨拶をし、取り乱していたのだが今は普通に会話をしている。これがヒロイン性質というものなのであろうか。壁などどこにもない。社交性の塊。
「それで、徳姫様とゆき…信繁様はどちらでお会いになられたのですか?」
「え!?…えーっと…。」
「それだよな。だって大谷さんとこの娘って言ったら、長らく床に臥せってるって有名だったからな。体調は大丈夫なのか?」
「え!?そうだったんですか!?お身体どこか悪いのですか…?」
心配そうな顔で鈴が徳を見つめる。大きなくりくりとした色素の薄い瞳が少し潤む様子は、まさに庇護欲をそそられるものだ。
「大丈夫ですよ。ありがとうございます。今は元気に動けているので…。」
「…よかった…。」
そう伝えると安心したかのようにほっと胸をなでおろす鈴。まさにヒロインの鑑。
「えっと、そうですねー…、うーんと…。」
しかし、のんびり鈴を眺めている時間などない。出会った時の話だ。なにせ何一つ話せることがない。徳は焦る。
「……吉継殿が姫の目覚めを報告するために秀吉様へ謁見をしていた日、たまたま俺も大阪城に居て、そこでで姫に出逢ったんです。その後体調を考えて越前国に帰る前に、摂津にある真田屋敷で少し滞在されてたのですよ。」
「へー。んじゃ、徳ちゃんが目覚めてすぐに信繁は会ったんだ?うらやましー。こんな別嬪さんと俺も早く知り合いたかった。」
「せめて徳姫と呼んでください。」
「別にいいじゃん、呼び方なんて。」
「…はははー…。」
(ナイス返答!さすが信繁様!)
ギロっとにらむ信繁を軽くあしらう政宗に、徳は空笑いをしながら、頭の中では信繁に感謝する。
しかし、政宗は何を考えているのかわからない。徳の妖力に気づきながら、いたって普通に接している。むしろ妖力が出た際は注意までしてくれるのだ。
(…信用していいの…?…でも、この軽薄そうな感じ…。信用していいのかなぁ…。)
「でも。今回はどうしてこちらへ?」
――ギクッ
政宗とどう接しようか考えていた徳は、鈴の質問にまたしても焦る。どうしたもこうしたも、徳だって謎だ。
「あー…、えーっと…、ち、父が心配でー…。」
「お父様?」
「勝手に、来ちゃった…的な…?」
「まぁ!では、徳姫様のお父様はご存じないのですか?」
「…はい。」
経緯は違うが、嘘ではない。父が心配なのも、徳が名護屋に居ることを吉継が知らないのも事実だ。
「徳姫様は行動力がおありなのですね。お父様も徳姫様にお会い出来たら、きっとお喜びになるのではないでしょうか。」
「でも、大谷さんは丁度この間朝鮮に行っちゃったぜ?入れ違いだな。」
「はい…。みたいですね…。」
そうなのだ。頼みの綱である吉継は今はいない。信繁だってそのうち朝鮮に行ってしまう可能性だってあるのだ。そもそも、鈴という思い人がいる信繁にまたお世話になるわけにもいかない。
「そうなんですね…。でしたら、徳姫様はどちらでその間滞在されるのですか?」
問題はそこだ。自分のことのようにしょんぼりする鈴を横目に、徳は考える。
千代が来るまでの間だけでいい。千代が来てくれたらすぐに越前に帰るとして、それまでどうしようか…。無論、名護屋城においてもらえるわけもないし、徳には金もないため宿で過ごすことも出来ない。
「大谷の陣屋は人はいないのか?」
「…陣屋、ですか?」
「あぁ。吉継殿も陣屋で過ごしていたはずだが。」
そもそも陣屋が分からない徳は話がつかめない。
「たしか、兄上がソベイシに新たに陣屋を建てたのだが、そこの近くに吉継殿の陣屋があると言っていた。ここからも遠くはない。行ってみるか?」
「………はい…。」
陣屋が何か分からない徳だが、ここで大谷の保護下に入ればこの二人を邪魔することなく過ごせるだろう。と徳は信繁の提案に頷く。
仮にも自身は信繁の婚約者なのだ。信繁の性格を考えれば、思い人がいてたとしても婚約者に劣悪な場所を案内しないだろうと判断した。鈴の登場に気が動転していた徳だったが、信繁は理由なく相手を攻撃したり悪く扱わない人物だ。信頼しても良いだろう。
(それにまだ私鈴さんにあくどいことしてないし、悪役令嬢やってない…)
まだってなんだ。まだって。と脳内でつっこみを入れつつ、徳は鈴へと視線を向ける。きょとんとした表情で笑顔を浮かべている鈴は純真・無垢を体現しているような娘だ。
(この子に断罪されるなんてことも考えられない…。きっと小説の中の『大谷徳』がやらかしたに違いない…。)
しかし、現状信繁の婚約者という地位に就いている以上、鈴の恋敵には変わりないのだ。
(……その陣屋って場所に連れて行ってもらったら、その後は出来るだけ信繁様に関わらないように過ごそう…――。)
「じゃぁ、俺も行こうかなー。」
「伊達さんはそろそろ帰った方がいいんじゃないですか?小十郎殿はどうしたのです?」
ついてくる気満々の政宗に信繁は眉間にしわを寄せ答える。やはりこの二人は仲が良くないのだろうか。
「あー、そういえば名護屋城に置いてきちゃった。」
「うわぁ…。可哀そう…。」
「大丈夫、大丈夫。そのうち探しに来るだろ。」
佐助が憐みの視線を名護屋城のほうへ向けた。
「鈴はどうする?そろそろ侍女宿舎に帰った方がいいんじゃないか?」
信繁が鈴を気遣い声をかける。先ほど城で鈴と一緒に居た侍女2人は、同じ宿舎の部屋のメンバーであったらしい。城で出会った時は、割り当てられた台所で挨拶などを済まし、宿舎へ帰る途中だったようだ。
徳と政宗が去ったあと、気を悪くした信繁に気づいた鈴は侍女2人を先に帰し、あの場で信繁は鈴へ自身の身分を明かしたそうだ。
城下で徳らと遭遇したのはその後、鈴を侍女宿舎へ送り帰す途中であった。
「いえ。まだ時間は大丈夫ですし、私も徳姫様が心配なので…。」
そう言って少し頬を赤らめて答える鈴。きっと信繁と出来るだけ長く居たいという理由もあるのだろう。
「じゃあ、一緒にお願いします。」
(――っていうか、私が女一人でこの3人に囲まれたくないし、鈴さんに勘違いされたくもないし…。)
徳は鈴に微笑んで答える。すると鈴は嬉しそうに頬を赤らめた。
鈴の背後で桜が風に吹かれて散る。頬を紅潮させる鈴と桜吹雪はとても綺麗だ。ついつい徳はこれがヒロインか、と思いながら鈴を眺めてしまう。
「……行こう。」
信繁の声が少し大きく聞こえた。
今、一行が居るのは川辺だ。桜が散り始めている並木道。腰かけている土手にはカタバミが多く花開いている。主に徳の提案により、人通りの少ない場所へと移動したのだ。
「…遊んでたわけじゃないです。まぁ、子どもの頃はそれもあったけど、ただ単に人々の生活を肌で感じたかっただけです…。」
「幸村さん、真田家の遠い親戚で今は旅をして回っているんだって言って、放浪息子のような感じだったんです。でも、城下にお見えになられた時の人気と言ったらすごかったのですよ!」
「俺よりも人気か?」
「あ、…伊達様も人気がありそうですが…、それはもう店に来たら行列ができるぐらい!」
なんだかんだ初めのうち、鈴は政宗に対しても土下座をする勢いで挨拶をし、取り乱していたのだが今は普通に会話をしている。これがヒロイン性質というものなのであろうか。壁などどこにもない。社交性の塊。
「それで、徳姫様とゆき…信繁様はどちらでお会いになられたのですか?」
「え!?…えーっと…。」
「それだよな。だって大谷さんとこの娘って言ったら、長らく床に臥せってるって有名だったからな。体調は大丈夫なのか?」
「え!?そうだったんですか!?お身体どこか悪いのですか…?」
心配そうな顔で鈴が徳を見つめる。大きなくりくりとした色素の薄い瞳が少し潤む様子は、まさに庇護欲をそそられるものだ。
「大丈夫ですよ。ありがとうございます。今は元気に動けているので…。」
「…よかった…。」
そう伝えると安心したかのようにほっと胸をなでおろす鈴。まさにヒロインの鑑。
「えっと、そうですねー…、うーんと…。」
しかし、のんびり鈴を眺めている時間などない。出会った時の話だ。なにせ何一つ話せることがない。徳は焦る。
「……吉継殿が姫の目覚めを報告するために秀吉様へ謁見をしていた日、たまたま俺も大阪城に居て、そこでで姫に出逢ったんです。その後体調を考えて越前国に帰る前に、摂津にある真田屋敷で少し滞在されてたのですよ。」
「へー。んじゃ、徳ちゃんが目覚めてすぐに信繁は会ったんだ?うらやましー。こんな別嬪さんと俺も早く知り合いたかった。」
「せめて徳姫と呼んでください。」
「別にいいじゃん、呼び方なんて。」
「…はははー…。」
(ナイス返答!さすが信繁様!)
ギロっとにらむ信繁を軽くあしらう政宗に、徳は空笑いをしながら、頭の中では信繁に感謝する。
しかし、政宗は何を考えているのかわからない。徳の妖力に気づきながら、いたって普通に接している。むしろ妖力が出た際は注意までしてくれるのだ。
(…信用していいの…?…でも、この軽薄そうな感じ…。信用していいのかなぁ…。)
「でも。今回はどうしてこちらへ?」
――ギクッ
政宗とどう接しようか考えていた徳は、鈴の質問にまたしても焦る。どうしたもこうしたも、徳だって謎だ。
「あー…、えーっと…、ち、父が心配でー…。」
「お父様?」
「勝手に、来ちゃった…的な…?」
「まぁ!では、徳姫様のお父様はご存じないのですか?」
「…はい。」
経緯は違うが、嘘ではない。父が心配なのも、徳が名護屋に居ることを吉継が知らないのも事実だ。
「徳姫様は行動力がおありなのですね。お父様も徳姫様にお会い出来たら、きっとお喜びになるのではないでしょうか。」
「でも、大谷さんは丁度この間朝鮮に行っちゃったぜ?入れ違いだな。」
「はい…。みたいですね…。」
そうなのだ。頼みの綱である吉継は今はいない。信繁だってそのうち朝鮮に行ってしまう可能性だってあるのだ。そもそも、鈴という思い人がいる信繁にまたお世話になるわけにもいかない。
「そうなんですね…。でしたら、徳姫様はどちらでその間滞在されるのですか?」
問題はそこだ。自分のことのようにしょんぼりする鈴を横目に、徳は考える。
千代が来るまでの間だけでいい。千代が来てくれたらすぐに越前に帰るとして、それまでどうしようか…。無論、名護屋城においてもらえるわけもないし、徳には金もないため宿で過ごすことも出来ない。
「大谷の陣屋は人はいないのか?」
「…陣屋、ですか?」
「あぁ。吉継殿も陣屋で過ごしていたはずだが。」
そもそも陣屋が分からない徳は話がつかめない。
「たしか、兄上がソベイシに新たに陣屋を建てたのだが、そこの近くに吉継殿の陣屋があると言っていた。ここからも遠くはない。行ってみるか?」
「………はい…。」
陣屋が何か分からない徳だが、ここで大谷の保護下に入ればこの二人を邪魔することなく過ごせるだろう。と徳は信繁の提案に頷く。
仮にも自身は信繁の婚約者なのだ。信繁の性格を考えれば、思い人がいてたとしても婚約者に劣悪な場所を案内しないだろうと判断した。鈴の登場に気が動転していた徳だったが、信繁は理由なく相手を攻撃したり悪く扱わない人物だ。信頼しても良いだろう。
(それにまだ私鈴さんにあくどいことしてないし、悪役令嬢やってない…)
まだってなんだ。まだって。と脳内でつっこみを入れつつ、徳は鈴へと視線を向ける。きょとんとした表情で笑顔を浮かべている鈴は純真・無垢を体現しているような娘だ。
(この子に断罪されるなんてことも考えられない…。きっと小説の中の『大谷徳』がやらかしたに違いない…。)
しかし、現状信繁の婚約者という地位に就いている以上、鈴の恋敵には変わりないのだ。
(……その陣屋って場所に連れて行ってもらったら、その後は出来るだけ信繁様に関わらないように過ごそう…――。)
「じゃぁ、俺も行こうかなー。」
「伊達さんはそろそろ帰った方がいいんじゃないですか?小十郎殿はどうしたのです?」
ついてくる気満々の政宗に信繁は眉間にしわを寄せ答える。やはりこの二人は仲が良くないのだろうか。
「あー、そういえば名護屋城に置いてきちゃった。」
「うわぁ…。可哀そう…。」
「大丈夫、大丈夫。そのうち探しに来るだろ。」
佐助が憐みの視線を名護屋城のほうへ向けた。
「鈴はどうする?そろそろ侍女宿舎に帰った方がいいんじゃないか?」
信繁が鈴を気遣い声をかける。先ほど城で鈴と一緒に居た侍女2人は、同じ宿舎の部屋のメンバーであったらしい。城で出会った時は、割り当てられた台所で挨拶などを済まし、宿舎へ帰る途中だったようだ。
徳と政宗が去ったあと、気を悪くした信繁に気づいた鈴は侍女2人を先に帰し、あの場で信繁は鈴へ自身の身分を明かしたそうだ。
城下で徳らと遭遇したのはその後、鈴を侍女宿舎へ送り帰す途中であった。
「いえ。まだ時間は大丈夫ですし、私も徳姫様が心配なので…。」
そう言って少し頬を赤らめて答える鈴。きっと信繁と出来るだけ長く居たいという理由もあるのだろう。
「じゃあ、一緒にお願いします。」
(――っていうか、私が女一人でこの3人に囲まれたくないし、鈴さんに勘違いされたくもないし…。)
徳は鈴に微笑んで答える。すると鈴は嬉しそうに頬を赤らめた。
鈴の背後で桜が風に吹かれて散る。頬を紅潮させる鈴と桜吹雪はとても綺麗だ。ついつい徳はこれがヒロインか、と思いながら鈴を眺めてしまう。
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