俺は異端の暗殺者

keyouuu

文字の大きさ
5 / 18

-5-

しおりを挟む
六本木の夜は、いつもより濃く淀んでいた。
ネオンの光がビルのガラスに反射し、地面に赤と青の血のような染みを落とす。
黒澤メイは、クラブ「エクリプス」の裏口に立っていた。
黒いジャケットの襟を立て、短いスカートの下で冷たい風が素肌を撫でる。
下着はない。
今夜は、必要ない。
21時ちょうど。
三ツ木ミミが息を弾ませて駆け寄ってきた。
茶髪が汗で張り付き、頰が赤い。
「メイちゃん! 遅れてごめん!
リナがセキュリティのファイアウォール厚すぎてさー、ちょっと時間かかっちゃった!
でも、もう全部ループ済みだよ!」
すぐ後ろから、高本リナが静かに現れる。
眼鏡の奥の目が冷静に光り、黒ストッキングに包まれた長い脚が、ヒールの音を響かせる。
彼女は無言で頷き、ドアの電子ロックに小型デバイスを当てた。
カチリ、と小さな音。
扉が開く。
最後に、茅ヶ崎マヤが優雅に歩み寄った。
長い黒髪を指で梳きながら、唇を曲げる。
「ふん。
全員揃ったわね。
それじゃ、始めましょうか。
今夜の主役は伊集院恭一。
あたしが最後の一息を奪ってあげる」
四人は音もなく地下へ降りた。
階段は螺旋を描き、照明が薄暗く、壁に湿気が染みている。
地下三階、VIPルーム。
扉の前で、リナがもう一度デバイスを操作。
カメラが死に、警報が眠る。
メイが最初に扉を開けた。
部屋は広い。
黒と金の内装、巨大な円形ソファ、中央にガラステーブル。
伊集院恭一はソファの奥に座り、葉巻をくゆらせている。
銀髪が照明に輝き、目は冷たい。
周りを囲む護衛は二十三人。
黒スーツに銃、耳にインカム。
全員、殺気立っている。
伊集院がゆっくり顔を上げた。
「…誰だ」
メイは答えず、中央へ歩み寄った。
ヒールの音が、部屋に響く。
護衛の一人が銃を抜く前に、彼女は右足を高く上げた。
スカートが完全に捲れ上がり、白い秘部が露わになる。
一瞬の静寂。
シュッ――
黄金色の奔流が弧を描き、伊集院の顔面へ直撃。
液体は額から頰へ流れ、皮膚が即座に白く泡立ち、ジュッと溶け始めた。
「ぐあぁぁっ!?」
伊集院が絶叫し、立ち上がる。
だが、すでに遅い。
メイはもう一度足を上げ、連続で放尿。
今度は胸へ。
スーツが溶け、肉が剥がれ落ち、内臓が覗く。
伊集院の体が崩れ、ソファに沈み込む。
護衛たちが一斉に動き出した。
銃口がメイに向く。
だが、そこにミミが飛び込んだ。
「えいっ! みんなー、こんにちはー!」
彼女はくるりと回り、スカートを捲り上げ、尻を突き出す。
ブシュッ、ブシュッ。
黒褐色の毒便が扇状に飛び散り、五人の護衛の顔と胸に直撃。
触れた瞬間、皮膚が腐り、肉が溶け、骨が露出。
悲鳴が部屋に響き渡る。
「臭っ! でも、効くでしょ?
あたしのスペシャル便、今日も絶好調♪」
リナが静かに動いた。
長い脚を鞭のように振り、一人の護衛の首に絡みつける。
ストッキング越しに、筋肉が浮き上がる。
彼女は体重をかけ、脚を締め上げる。
骨の軋む音。
男の顔が紫に変わり、舌を出し、動かなくなる。
「…無駄な抵抗は、時間の浪費」
マヤは優雅に歩み、混乱の中心へ。
一人の護衛が銃を構えるが、マヤはスカートを広げ、男の顔の上に腰を落とした。
「んっ…ふふ、暴れないでね」
スカートが頭を覆い、柔らかな尻が顔を押し潰す。
男はもがくが、マヤは両手で頭を抱え、体重を全部かける。
息ができない。
肺が焼けるような苦しみ。
十数秒で、動きが止まる。
部屋は地獄と化した。
メイは立ったまま、片足を上げて次々と放尿。
弧は正確で、護衛の喉や目を貫く。
溶けた肉が床に落ち、焦げた臭いが広がる。
ミミは笑いながら跳ね回り、尻から毒便を浴びせ続ける。
一撃で三人、四人をまとめて崩壊させる。
リナの脚が、次々と首を折る。
マヤは一人ずつ、優雅に座り込み、窒息させる。
二十三人の護衛は、七分で全滅した。
部屋の中央に、伊集院の半溶けた死体が残るだけ。
メイはゆっくり足を下ろし、スカートを直した。
髪から滴る汗と、指先から滴る黄金の残り。
彼女は静かに伊集院の胸に黒いカードを置いた。
《Deadly Dymes》
《完了》
ミミが息を弾ませて駆け寄り、メイの腕に抱きついた。
「やったー! 完璧すぎ!
メイちゃんのピュアゴールド、今日も最高だったよ!
あたし、興奮しちゃった!」
マヤが髪をかき上げ、ため息をつく。
「まあまあね。
でも、ちょっと汚すぎるわ。
あたしの優雅さが霞んじゃうじゃない」
リナが眼鏡を直し、静かに言った。
「護衛の数は想定内。
セキュリティも完璧だった。
報酬は明日、ケン経由で振り込まれる。
一人1125万。
おめでとう」
メイは無言で頷いた。
胸の奥で、数字が響く。
1125万。
これで、母親の治療費が半年分。
アパートを解約して、都心のマンションへ。
まだ足りない。
もっと、もっと。
四人は部屋を出た。
背後で、溶けた肉の臭いが残る。
エレベーターの中で、ミミがメイの肩に頭を乗せた。
「ねえ、メイちゃん。
これからもずっと一緒に殺そうね。
3Mに、リナも加わって、4Mになっちゃう?
ふふ、楽しそう!」
メイは小さく息を吐き、初めて、わずかに唇を緩めた。
「…ああ」
外へ出ると、夜空に月が浮かんでいた。
冷たい光が、四人のスカートを照らす。
まだ、頂点は遠い。
だが、一歩、また一歩。
黄金色の奔流が、彼女の体の中で静かにうねっていた。
Leonard Damionの影は、まだ届かない。
だが、近づいている。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

【魔法少女の性事情・1】恥ずかしがり屋の魔法少女16歳が肉欲に溺れる話

TEKKON
恋愛
きっとルンルンに怒られちゃうけど、頑張って大幹部を倒したんだもん。今日は変身したままHしても、良いよね?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密

藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。 そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。 しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。 過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

処理中です...