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第三章
55.旋律と香りと、想い
※本日2話更新しておりますので読み飛ばしご注意くださいませ…!
それから時間が経ち、昼前になると、シルヴェリオが馬車に乗って、フレイヤとオルフェンを迎えに来た。
祭りの屋台が並ぶ場所までは、馬車で送ってもらう。
フレイヤは緑色のワンピースを着て、髪をハーフアップにしていつもよりおめかしをしているのだが、顔色が冴えない。
「あ、あの……販売の事を勝手に決めてしまって、申し訳ございませんでした」
馬車に乗り込んだフレイヤは、シルヴェリオに早朝の出来事を洗いざらい話して、謝罪した。
「……そうか。では、姉上に話を通しておく」
「い、いいのですか?」
「フレイさんが考えて決めたことなのだから、反対はしない。もしもアーディル殿下に粘られて根負けしたのであれば、すぐに止めたがな」
シルヴェリオはフレイヤに笑みを向ける。
折よく、馬車が停まった。
「さて、仕事の話はここまでだ。目的地に到着したから、今日は楽しもう」
「はい!」
馬車から降りたフレイヤとシルヴェリオとオルフェンは、屋台を見て回った。
普段は見かけないような変わり種の料理やお菓子に、オルフェンが興味を示す。
『シルヴェリオ、あれ買って~』
「わかった」
気になったものは片っ端からシルヴェリオに買ってもらっているため、オルフェンの両手は食べ物が入った器や焼き串でいっぱいだ。
「オルフェンったら、なんでもかんでもシルヴェリオ様に強請らないの!」
『でも、そういう約束だもん』
オルフェンは悪びれもせず、シルヴェリオに買ってもらった焼きリンゴのパイ包みを頬張った。
「フレイさんも、あの菓子は見たことがないから、食べてみてはどうだろうか?」
「あれは……! 建国祭の時にしか販売されない、幻の水晶花マフィンですっ!」
水晶花マフィンとは、マフィンの上にクリームで水晶花を描き、その周りに食べられる花を散りばめた、目にも楽しい逸品だ。
フレイヤの目が釘付けになっていると、シルヴェリオがくすりと笑う声が聞こえてきた。
「買ってくるから、少し待っていてくれ」
「いえ、自分で買ってきますので、オルフェンを見ていていただけますか?」
「何を言っている。俺が二人に驕る約束だったではないか」
「それは、そうですけど……」
渋るフレイヤに、シルヴェリオは微笑む。
「それに、フレイさんに甘い物を食べて笑ってほしい。そんな俺の我儘に、付き合ってくれ」
言い終えるや否や、シルヴェリオはすぐに水晶花マフィンを買ってきた。
「はい、どうぞ」
差し出されたフレイヤは、水晶花マフィンの美しさに圧倒されて、胸の前で両手を組んで祈りを捧げ始めた。
「ありがとうございます。こんなにも綺麗で美味しそうな物を食べられるなんて……幸せです」
「きっと本当に美味しいだろう。できたてのうちに食べてくれ」
「はい! いただきます!」
フレイヤはパクリと齧りつく。水晶花をかたどるクリームには、仄かにチーズのような酸味とコクを感じた。
マフィンの土台はコーヒーとチョコレートが練り込まれてあり、クリームとの相性が抜群だ。
「とっても美味しいです!」
感激したフレイヤがシルヴェリオに顔を向けたその時、シルヴェリオは瞳を蕩けさせると、フレイヤの頬に手を添えてきた。
形の整った指がフレイヤの口元を拭うような動きをする。
途端に、フレイヤは心さえも触れられたかのような、くすぐったい感覚を覚えた。
それは、恋した人を想う時と似ている。
「シルヴェリオ様……あの、どっ、どうしましたか?」
「す、すまない。クリームがついていたから、拭かせてもらった」
「い、いえ! 見苦しい姿を見せてしまって、すみません」
フレイヤは自分の胸元に、そっと手を触れる。
(きっと、シルヴェリオ様がいきなり口元に触れてきたから、驚いたのよね)
心に引っかかる感覚をそう片付けたフレイヤは、引き続きマフィンを堪能した。
「建国祭の日には、様々なお店が屋台を出しているので、珍しい魔道具があるそうですよ」
『そうなんだ、ちょっと気になるかも』
三人は魔道具やアクセサリーの屋台など、出展されている屋台を一通り見て回る。
たくさんの屋台があり、おまけに途中で大道芸も観たため、気づけば夜を迎えていた。
広間には続々と人が集まり、軽快な音楽が流れ始める。
「わあっ! これが、噂に聞いた、建国祭恒例のダンス……!」
フレイヤは楽しそうに、踊る人々を眺める。
その隣で、シルヴェリオは人々のダンスを分析するように見つめた。
シルヴェリオにとって、平民のダンスを踊ることは初めての試みらしい。
「簡単な動きだから、初めてでもできそうだ。フレイさんは、踊った経験はあるのか?」
「幼い頃に、一度だけ……。ですので、上手くいかないかもしれません。――オルフェンは、踊ったことある?」
『一度もないし、興味がないから、二人で踊ってきたらいいよ』
オルフェンは近くにあったベンチにドカリと座った。
「せっかくだから、楽しめばいいのに」
フレイヤが少し頬を膨らませていると、シルヴェリオの手が目の前に差し伸べられた。
貴族の男性が、貴族の女性をダンスに誘う時の所作だ。
以前、貴族の礼儀作法を学ぶために本を読んでいた時に挿絵で見かけたことがあったから、覚えていた。
よもや、そのお誘いを受けるようになるとは、夢にも思ってみなかったのだが。
「シルヴェリオ……様?」
「私に、あなたと踊る栄誉をいただけますか?」
「――っ!」
フレイヤは口をはくはくとさせたまま、シルヴェリオを見つめる。
貴族らしい改まった所作でダンスに誘うシルヴェリオの姿は絵になり、見る者が圧倒されるほど美しい。
周囲にいた者たちも頬を染めてシルヴェリオを見ていたのだが、シルヴェリオと向き合っておりそれどころではなかったフレイヤは、知る由もなかった。
「さあ、手を」
「は、はい……」
促されたフレイヤは、おずおずとシルヴェリオの手を取る。
そして、昔の記憶を頼り、周りの人たちの動きを盗み見て、一生懸命ダンスについていく。
シルヴェリオはというと、涼しい顔で完璧に踊っている。
どうやら、もうダンスを覚えてしまったようだ。
「シルヴェリオ様は初めてなのに、完璧に踊っていますね。それに、リードしてくださって、ありがとうございます」
「それはよかった。周りの者たちの動きを真似てみたが、上手くできているようだな」
フレイヤはシルヴェリオの動きに合わせて、くるりとその場で回ると、再びシルヴェリオの手を取った。
ふわり、とシルヴェリオのために調香した香水の香りがした。
「そう言えば、アーディル殿下に贈った香水にも名前を付けたと言っていたな」
「はい、ラベクさんの話によると、オルメキア王国の第一王子の香水に名前を付けたことを知ったイルム王国の王太子殿下が、自分の香水にも名付けてほしいと仰ったそうなので、僭越ながら名付けました」
「……」
シルヴェリオは黙り込むと、腕を引いてフレイヤを自分の方へと引き寄せる。
周りの人たちとは異なる動きに、フレイヤは戸惑った。
「……俺に作ってくれた香水にも、名付けてもらえないだろうか?」
シルヴェリオの深い青色の瞳が、請うようにフレイヤを見つめる。
王都の空を彩る魔法ランタンの明かりが映りこんで、美しい宝石のようだ。
つい見惚れてしまいそうになったフレイヤは、慌てて視線をついと逸らした。
「じ、実は既に考えていたのですが……『とある魔導士の至宝』というのは、いかがでしょう?」
「『とある魔導士の至宝』……」
シルヴェリオは、覚えたての言葉を繰り返す幼子のように、口にした。
「あの香水には、コルティノーヴィス領原産のバラの精油を使っているんです。シルヴェリオ様があのバラを王都のお屋敷の庭に咲かせるために魔法を開発するほど大切にしているお話に感銘を受けたので、もしもシルヴェリオ様にあのバラの精油を使った香水を作る時には、この名前を付けようと思っていました」
「あの時の話を、覚えていてくれていたのだな」
シルヴェリオは花が咲き綻ぶような笑みを浮かべる。
それこそ、至上の宝物を贈られたかのような、心の底から嬉しそうに笑みだ。
そんなシルヴェリオの美しい笑みを見た女性たちが黄色い声を上げたのだが、フレイヤとシルヴェリオは気づかなかった。
「良い名だ。魔法で、あの香水瓶に刻んでおこう」
シルヴェリオがフレイヤをリードしてくれる。
その動きに合わせて、フレイヤはまたくるりと回った。
フレイヤのワンピースの裾が、花のようにふわりと広がる。
周りにいる女性たちも、くるりと回って花を咲かせ、広場全体が彩られる。
「フレイさんさえよければ、『とある魔導士の至宝』は流通させずに、俺の専用としてもいいだろうか?」
「もちろんです。シルヴェリオ様のために調香したのですから。これからも、ずっとシルヴェリオ様のための香りです。もしも使いきったらまた作るので、言ってくださいね」
「……ありがとう。フレイさんには、いつも幸せな気持ちにさせてもらってばかりだな」
曲が終わり、フレイヤとシルヴェリオは動きを止める。
シルヴェリオはフレイヤの手をゆっくりと離すと、フレイヤの髪を一房掬う。
「俺は、自分の全てをかけて、フレイさんを幸せにする」
そうして、フレイヤの髪に恭しくキスをした。
第三章 結
それから時間が経ち、昼前になると、シルヴェリオが馬車に乗って、フレイヤとオルフェンを迎えに来た。
祭りの屋台が並ぶ場所までは、馬車で送ってもらう。
フレイヤは緑色のワンピースを着て、髪をハーフアップにしていつもよりおめかしをしているのだが、顔色が冴えない。
「あ、あの……販売の事を勝手に決めてしまって、申し訳ございませんでした」
馬車に乗り込んだフレイヤは、シルヴェリオに早朝の出来事を洗いざらい話して、謝罪した。
「……そうか。では、姉上に話を通しておく」
「い、いいのですか?」
「フレイさんが考えて決めたことなのだから、反対はしない。もしもアーディル殿下に粘られて根負けしたのであれば、すぐに止めたがな」
シルヴェリオはフレイヤに笑みを向ける。
折よく、馬車が停まった。
「さて、仕事の話はここまでだ。目的地に到着したから、今日は楽しもう」
「はい!」
馬車から降りたフレイヤとシルヴェリオとオルフェンは、屋台を見て回った。
普段は見かけないような変わり種の料理やお菓子に、オルフェンが興味を示す。
『シルヴェリオ、あれ買って~』
「わかった」
気になったものは片っ端からシルヴェリオに買ってもらっているため、オルフェンの両手は食べ物が入った器や焼き串でいっぱいだ。
「オルフェンったら、なんでもかんでもシルヴェリオ様に強請らないの!」
『でも、そういう約束だもん』
オルフェンは悪びれもせず、シルヴェリオに買ってもらった焼きリンゴのパイ包みを頬張った。
「フレイさんも、あの菓子は見たことがないから、食べてみてはどうだろうか?」
「あれは……! 建国祭の時にしか販売されない、幻の水晶花マフィンですっ!」
水晶花マフィンとは、マフィンの上にクリームで水晶花を描き、その周りに食べられる花を散りばめた、目にも楽しい逸品だ。
フレイヤの目が釘付けになっていると、シルヴェリオがくすりと笑う声が聞こえてきた。
「買ってくるから、少し待っていてくれ」
「いえ、自分で買ってきますので、オルフェンを見ていていただけますか?」
「何を言っている。俺が二人に驕る約束だったではないか」
「それは、そうですけど……」
渋るフレイヤに、シルヴェリオは微笑む。
「それに、フレイさんに甘い物を食べて笑ってほしい。そんな俺の我儘に、付き合ってくれ」
言い終えるや否や、シルヴェリオはすぐに水晶花マフィンを買ってきた。
「はい、どうぞ」
差し出されたフレイヤは、水晶花マフィンの美しさに圧倒されて、胸の前で両手を組んで祈りを捧げ始めた。
「ありがとうございます。こんなにも綺麗で美味しそうな物を食べられるなんて……幸せです」
「きっと本当に美味しいだろう。できたてのうちに食べてくれ」
「はい! いただきます!」
フレイヤはパクリと齧りつく。水晶花をかたどるクリームには、仄かにチーズのような酸味とコクを感じた。
マフィンの土台はコーヒーとチョコレートが練り込まれてあり、クリームとの相性が抜群だ。
「とっても美味しいです!」
感激したフレイヤがシルヴェリオに顔を向けたその時、シルヴェリオは瞳を蕩けさせると、フレイヤの頬に手を添えてきた。
形の整った指がフレイヤの口元を拭うような動きをする。
途端に、フレイヤは心さえも触れられたかのような、くすぐったい感覚を覚えた。
それは、恋した人を想う時と似ている。
「シルヴェリオ様……あの、どっ、どうしましたか?」
「す、すまない。クリームがついていたから、拭かせてもらった」
「い、いえ! 見苦しい姿を見せてしまって、すみません」
フレイヤは自分の胸元に、そっと手を触れる。
(きっと、シルヴェリオ様がいきなり口元に触れてきたから、驚いたのよね)
心に引っかかる感覚をそう片付けたフレイヤは、引き続きマフィンを堪能した。
「建国祭の日には、様々なお店が屋台を出しているので、珍しい魔道具があるそうですよ」
『そうなんだ、ちょっと気になるかも』
三人は魔道具やアクセサリーの屋台など、出展されている屋台を一通り見て回る。
たくさんの屋台があり、おまけに途中で大道芸も観たため、気づけば夜を迎えていた。
広間には続々と人が集まり、軽快な音楽が流れ始める。
「わあっ! これが、噂に聞いた、建国祭恒例のダンス……!」
フレイヤは楽しそうに、踊る人々を眺める。
その隣で、シルヴェリオは人々のダンスを分析するように見つめた。
シルヴェリオにとって、平民のダンスを踊ることは初めての試みらしい。
「簡単な動きだから、初めてでもできそうだ。フレイさんは、踊った経験はあるのか?」
「幼い頃に、一度だけ……。ですので、上手くいかないかもしれません。――オルフェンは、踊ったことある?」
『一度もないし、興味がないから、二人で踊ってきたらいいよ』
オルフェンは近くにあったベンチにドカリと座った。
「せっかくだから、楽しめばいいのに」
フレイヤが少し頬を膨らませていると、シルヴェリオの手が目の前に差し伸べられた。
貴族の男性が、貴族の女性をダンスに誘う時の所作だ。
以前、貴族の礼儀作法を学ぶために本を読んでいた時に挿絵で見かけたことがあったから、覚えていた。
よもや、そのお誘いを受けるようになるとは、夢にも思ってみなかったのだが。
「シルヴェリオ……様?」
「私に、あなたと踊る栄誉をいただけますか?」
「――っ!」
フレイヤは口をはくはくとさせたまま、シルヴェリオを見つめる。
貴族らしい改まった所作でダンスに誘うシルヴェリオの姿は絵になり、見る者が圧倒されるほど美しい。
周囲にいた者たちも頬を染めてシルヴェリオを見ていたのだが、シルヴェリオと向き合っておりそれどころではなかったフレイヤは、知る由もなかった。
「さあ、手を」
「は、はい……」
促されたフレイヤは、おずおずとシルヴェリオの手を取る。
そして、昔の記憶を頼り、周りの人たちの動きを盗み見て、一生懸命ダンスについていく。
シルヴェリオはというと、涼しい顔で完璧に踊っている。
どうやら、もうダンスを覚えてしまったようだ。
「シルヴェリオ様は初めてなのに、完璧に踊っていますね。それに、リードしてくださって、ありがとうございます」
「それはよかった。周りの者たちの動きを真似てみたが、上手くできているようだな」
フレイヤはシルヴェリオの動きに合わせて、くるりとその場で回ると、再びシルヴェリオの手を取った。
ふわり、とシルヴェリオのために調香した香水の香りがした。
「そう言えば、アーディル殿下に贈った香水にも名前を付けたと言っていたな」
「はい、ラベクさんの話によると、オルメキア王国の第一王子の香水に名前を付けたことを知ったイルム王国の王太子殿下が、自分の香水にも名付けてほしいと仰ったそうなので、僭越ながら名付けました」
「……」
シルヴェリオは黙り込むと、腕を引いてフレイヤを自分の方へと引き寄せる。
周りの人たちとは異なる動きに、フレイヤは戸惑った。
「……俺に作ってくれた香水にも、名付けてもらえないだろうか?」
シルヴェリオの深い青色の瞳が、請うようにフレイヤを見つめる。
王都の空を彩る魔法ランタンの明かりが映りこんで、美しい宝石のようだ。
つい見惚れてしまいそうになったフレイヤは、慌てて視線をついと逸らした。
「じ、実は既に考えていたのですが……『とある魔導士の至宝』というのは、いかがでしょう?」
「『とある魔導士の至宝』……」
シルヴェリオは、覚えたての言葉を繰り返す幼子のように、口にした。
「あの香水には、コルティノーヴィス領原産のバラの精油を使っているんです。シルヴェリオ様があのバラを王都のお屋敷の庭に咲かせるために魔法を開発するほど大切にしているお話に感銘を受けたので、もしもシルヴェリオ様にあのバラの精油を使った香水を作る時には、この名前を付けようと思っていました」
「あの時の話を、覚えていてくれていたのだな」
シルヴェリオは花が咲き綻ぶような笑みを浮かべる。
それこそ、至上の宝物を贈られたかのような、心の底から嬉しそうに笑みだ。
そんなシルヴェリオの美しい笑みを見た女性たちが黄色い声を上げたのだが、フレイヤとシルヴェリオは気づかなかった。
「良い名だ。魔法で、あの香水瓶に刻んでおこう」
シルヴェリオがフレイヤをリードしてくれる。
その動きに合わせて、フレイヤはまたくるりと回った。
フレイヤのワンピースの裾が、花のようにふわりと広がる。
周りにいる女性たちも、くるりと回って花を咲かせ、広場全体が彩られる。
「フレイさんさえよければ、『とある魔導士の至宝』は流通させずに、俺の専用としてもいいだろうか?」
「もちろんです。シルヴェリオ様のために調香したのですから。これからも、ずっとシルヴェリオ様のための香りです。もしも使いきったらまた作るので、言ってくださいね」
「……ありがとう。フレイさんには、いつも幸せな気持ちにさせてもらってばかりだな」
曲が終わり、フレイヤとシルヴェリオは動きを止める。
シルヴェリオはフレイヤの手をゆっくりと離すと、フレイヤの髪を一房掬う。
「俺は、自分の全てをかけて、フレイさんを幸せにする」
そうして、フレイヤの髪に恭しくキスをした。
第三章 結
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