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プロローグ
王都のビーストマスター
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ビーストマスターとは、王国騎士団の中でのトップクラスの実力を誇る花形の部隊だ。自身の契約聖獣と共に魔物や敵と戦い国を守るのだ。
聖獣との契約は自身の生まれ持つ魔力の量によってどれくらいのレベルの聖獣と契約できるかが決まる。なので、魔力の強い者ほど、強い聖獣と契約できるのだ。もちろん、聖獣自身との相性もある。
簡単にはなれない上に、華々しい活躍が多い部隊なので、入隊希望者が多くものすごく高い倍率で、入隊試験も厳しいことで有名だった。
そんなビーストマスターのことはレイラも知っていた。
だが、自分には所詮、関係のないことだった。王都に行けば、黒い髪と瞳の自分は人々から迫害を受ける。それに、ここでの両親とルオとの生活は満足しているので、王都に行きたいとも思わないのだが。
それよりも、レイラには不思議なことがあった。
「・・・・・。
あなたは黒い髪と黒い目の私が怖くないの?
フェンリルのルオが怖くないの?」
リガルは王都のビーストマスターの隊長だと言っていた。そんな人なら、不吉な存在として王都で魔女と呼ばれている自分や、世間一般的には凶暴で凶悪な魔物、フェンリルであるルオを討伐しようとするのではないかと思ったのだ。
そんなレイラにリガルは小首を傾げる。
「君と君の友達のルオが怖い?
まあ、正直に言うなら、ルオは怖いね。フェンリルだし・・・・・とは言っても、こんなにやる気のないフェンリルは初めて見たけど。
君に関して言うなら、全く怖くないよ。
確かに、君のその黒髪と黒い瞳は珍しいと思うけど、むしろ美しいじゃないか。怖いなんて言う奴らの気がしれないね。可愛い君にはとても良く似合っていると思うよ?」
リガルはにこやかに、女性を虜にする殺し文句をさらりと言った。
実はリガル、無意識のプレイボーイで有名だった。
本人は誠実で実直な性格だが、上流貴族の出身である彼は家訓として『紳士は常に女性に優しく』というのを叩き込まれているため、女性にはいつでも優しく、歯が浮くセリフも躊躇なく言える上に、それがまた嫌味なく似合う。
しかも、上流貴族出身、地位もお金もあるし、見た目よし、性格よし、ビーストマスターの隊長で実力もあるという、ハイスペックな超優良物件。
狙う女性は大変多いのだ。
「美しい・・・・可愛い・・・」
言われなれない言葉を言われてレイラは思わず顔が赤くなった。
不気味だ不吉だとは言われ続けてきたが、初対面の、しかもこんなに格好いい男性に可愛いと言われたのなど人生初だ。お世辞でも嬉しいのが女心だった。
そんなレイラの様子をルオは興味なさげに見ていた。
「あ、そうだ!
リガルは迷子なんだよね。それなら、今日はうちに来る?
今からだと、夜になるまでに王都に着くのは無理だよ。」
レイラは初めて自分を人間として認めてくれる人に出会えて嬉しくて、そんな提案をした。
リガルだったら、両親も泊めることを反対しないだろう。
そんなレイラに『迷子』という言われ方に事実とはいえ、少し抵抗を感じながらもリガルはその申し出を喜んだ。
「いいの?僕としては助かるけど、君の両親は大丈夫?」
リガルとしてはありがたいのだが、レイラという年頃の娘のいる家の両親が若い男を快く泊めてくれるか気になったのだ。
「大丈夫よ。ルオだっているし。」
レイラは『ね?』とルオを振り向いた。
そんなレイラにルオは面倒くさそうに欠伸しただけだった。だが、ルオは何だかんだ言ってレイラに甘いので、間違いなく一緒に来てくれることは分かっていた。
「ははは。ルオは君のボディガードなんだね。
じゃあ、君のご両親が許可してくれたら、お世話になるよ。」
そうして、リガルはレイラの家に行くことになったのだった。
聖獣との契約は自身の生まれ持つ魔力の量によってどれくらいのレベルの聖獣と契約できるかが決まる。なので、魔力の強い者ほど、強い聖獣と契約できるのだ。もちろん、聖獣自身との相性もある。
簡単にはなれない上に、華々しい活躍が多い部隊なので、入隊希望者が多くものすごく高い倍率で、入隊試験も厳しいことで有名だった。
そんなビーストマスターのことはレイラも知っていた。
だが、自分には所詮、関係のないことだった。王都に行けば、黒い髪と瞳の自分は人々から迫害を受ける。それに、ここでの両親とルオとの生活は満足しているので、王都に行きたいとも思わないのだが。
それよりも、レイラには不思議なことがあった。
「・・・・・。
あなたは黒い髪と黒い目の私が怖くないの?
フェンリルのルオが怖くないの?」
リガルは王都のビーストマスターの隊長だと言っていた。そんな人なら、不吉な存在として王都で魔女と呼ばれている自分や、世間一般的には凶暴で凶悪な魔物、フェンリルであるルオを討伐しようとするのではないかと思ったのだ。
そんなレイラにリガルは小首を傾げる。
「君と君の友達のルオが怖い?
まあ、正直に言うなら、ルオは怖いね。フェンリルだし・・・・・とは言っても、こんなにやる気のないフェンリルは初めて見たけど。
君に関して言うなら、全く怖くないよ。
確かに、君のその黒髪と黒い瞳は珍しいと思うけど、むしろ美しいじゃないか。怖いなんて言う奴らの気がしれないね。可愛い君にはとても良く似合っていると思うよ?」
リガルはにこやかに、女性を虜にする殺し文句をさらりと言った。
実はリガル、無意識のプレイボーイで有名だった。
本人は誠実で実直な性格だが、上流貴族の出身である彼は家訓として『紳士は常に女性に優しく』というのを叩き込まれているため、女性にはいつでも優しく、歯が浮くセリフも躊躇なく言える上に、それがまた嫌味なく似合う。
しかも、上流貴族出身、地位もお金もあるし、見た目よし、性格よし、ビーストマスターの隊長で実力もあるという、ハイスペックな超優良物件。
狙う女性は大変多いのだ。
「美しい・・・・可愛い・・・」
言われなれない言葉を言われてレイラは思わず顔が赤くなった。
不気味だ不吉だとは言われ続けてきたが、初対面の、しかもこんなに格好いい男性に可愛いと言われたのなど人生初だ。お世辞でも嬉しいのが女心だった。
そんなレイラの様子をルオは興味なさげに見ていた。
「あ、そうだ!
リガルは迷子なんだよね。それなら、今日はうちに来る?
今からだと、夜になるまでに王都に着くのは無理だよ。」
レイラは初めて自分を人間として認めてくれる人に出会えて嬉しくて、そんな提案をした。
リガルだったら、両親も泊めることを反対しないだろう。
そんなレイラに『迷子』という言われ方に事実とはいえ、少し抵抗を感じながらもリガルはその申し出を喜んだ。
「いいの?僕としては助かるけど、君の両親は大丈夫?」
リガルとしてはありがたいのだが、レイラという年頃の娘のいる家の両親が若い男を快く泊めてくれるか気になったのだ。
「大丈夫よ。ルオだっているし。」
レイラは『ね?』とルオを振り向いた。
そんなレイラにルオは面倒くさそうに欠伸しただけだった。だが、ルオは何だかんだ言ってレイラに甘いので、間違いなく一緒に来てくれることは分かっていた。
「ははは。ルオは君のボディガードなんだね。
じゃあ、君のご両親が許可してくれたら、お世話になるよ。」
そうして、リガルはレイラの家に行くことになったのだった。
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