【完結】初恋の女神の弟がなぜか俺にちょっかいを出してくるんだが? ~恋、始まり今いずこ~

上杉

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2 Side 誉史

25 バイト先での星野慧

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「姉貴、あいつってどんなやつなの?」
 ある日の晩飯後、俺がぽつりとそう聞くと姉は少し考えた後で口を開いた。
「うーん、すごく真面目で熱心、かな。……最初、馬鹿正直にひとりで頑張ろうとしている姿をみて、ああ自分以外にもいるんだなーって嬉しくなって声かけたんだ。そうしたら、あとで本人からバイトしてみたいって店長に連絡があったみたいで。……本当、星野くんは優秀だし仕事熱心だよ。……だけど、ほかに楽しめるものをもってないみたいなんだよね」
「…………楽しめるもの?」
 星野慧が楽しんでいるものと言ったら、俺の頭には勉強しか思いつかなかった。
 姉貴はコーヒーを飲みながら、どこか遠くを見るように続ける。
「私は、それはもったいないなあと思うんだ。あれだけ優秀なら私みたいな平凡なやつを相手にしていないで、もっと広い世界を見るべきじゃないかって」
「ふうん」
 俺は軽く受け流したものの、ふと気がついた。姉貴はあいつから向けられている感情に気づいているらしい。
 ――まあ、あれだけわかりやすければな。
 学校にいるときとはまるで違う、星野慧が姉貴に向ける表情を俺が思い浮かべていると、姉貴がこちらに視線を向けていることに気づいた。
「……何?」
「そういえば……同じ高校じゃない?知り合い?」
 ――まずい。
 一瞬そう思ったものの、別に隠す必要はないと思った俺は淡々と事実を伝える。
「いや、……俺が前の席にいるだけ」
「クラスメイトじゃん!」
 俺はその反応の大きさに嫌な予感を感じた。
 こういうときの姉貴は、俺が断れない自分にとって都合のいいことを押し付けてくる傾向にあった。
 ――逃げないと、やっかいなことに巻き込まれる。
 俺はそう立ち上がりリビングから去ろうとしたものの、姉貴が口を開くほうが先だった。
「そっか……なら誉史、あんた私の代わりに手伝ってあげてよ」
「……は?」
「私、春から復職しようと思ってるの。だから私の代わりに土日祝日働けるバイト探してたんだよね。あんた別にやることないし都合いいじゃん」
 そう言われると、俺は返す言葉が見つからなかった。
 優しくて面倒見がよく、悪く言えばひとがよすぎる姉貴は、一年前に会社で病んで地元で休職していた。その後徐々に体調を取り戻して、昔から馴染みのみどりのマスターに頼んで、社会復帰するリハビリをしていたという訳だ。
 その経緯を知っていた俺が断れるわけがなかった。マスターにお世話になった分、姉貴がいなくて困るなら手伝わなければならない。
 ため息を付いた俺を、姉貴はにやりとした目で見ながら言った。
「教えるのも教わるのも楽でいいでしょ、あんたたちクラスメイトなんだしね」
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