恋愛短編集①

華愁

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クリスマスとジンクス

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放課後の冬の中庭には
私と先生の二人しかいない。

「僕に話しとは何ですか?」

スーツの上にコートを羽織った先生。

この学校では十二月になると
中庭ににクリスマスツリーが飾られる。

「先生は学校のジンクスを知ってますか?」

それは、毎年、十二月の一ヶ月間
ツリーの下で告白すれば
恋が叶うというものだ。

「いえ」

やっぱり、先生達は知らないか。

私達、 生徒の間では
有名な話しである。

「質問を変えます。
先生は好きな人がいますか?」

私を見ながら頷いた。

やっぱりね……

泣きそうな顔を見られたくなくて
踵を返そうとした時、先生が
叫ぶように言った。

「僕は貴女が好きです‼」

直後、後ろから抱きしめられた。

「返事は?」

ズルいなぁ……

私は振り返って言った。

「私も先生が好きです」
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