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番外編の番外編の番外編 朝子と朝巳の帰省
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「姉さん、父さんの手紙読んだ?」
「❰家族が増えたから、一度、帰っておいで❱ってやつでしょう。
最後に来た手紙では龍之介おじさんが居候してるって
書いてあったけど……家族が増えたってどういうことかしら?」
ーー
「ただいま」
朝巳と二人で久しぶりに帰って来た実家。
「朝子と朝巳か、お帰り」
お父さんの穏やかな声色に毒気を抜かれつつ、居間から聞こえてくる声に驚いた。
「とりあえず、居間においで。
紹介しようか。
双子の凜と澪、三つ子の美紗と花菜と朔也、
それから、美紗と結婚して婿入りした也寸志だ。
隣の部屋で五つ子が寝ているよ。
凜と朔也と五つ子の次男と三男は龍之介君ととみ子の子。
澪と美紗と花菜と五つ子の長男と長女と二女は僕ととみ子の子だよ」
ちょっと待って、お母さんは龍之介おじさんとも寝たってことよね!?
「情報量が多すぎる!!
お母さんは龍之介おじさんともってこと……よね?」
「ふふ、そうね、私は犀星さんにも龍之介さんにも抱かれたわね。
追加情報としては、龍之介さんが犀星に抱かれることもあるのよ」
聖母のようににこにこと笑っているお母さんと
龍之介おじさんの肩を抱くお父さん。
「そもそもの始まりはむしろ、そっちだったんだよ。
僕が龍之介君を抱いたことから始まったんだ。
龍之介君は<文豪>という肩書きに疲れきっていたからね……」
「龍之介おじさんは父さんの恋人で
母さんの二人目の夫みたいな感じってこと?」
「“三人”で夫婦って感じかしらね」
「お母さんは私と朝巳以外に“十人”も産んだってこと!?
身体は大丈夫なの?」
「大丈夫よ。
それから、正確には“十三人”よ。
朝子が生まれる二年前にも出産しているの。
名前は豹太郎。私と犀星さんの最初の子だったんだけど
翌年、一歳で亡くなってしまったのよ。
二年後に朝子が生まれる来てくれて、更に三年後に朝巳が生まれて
本当に嬉しかったわ。
“三人”で夫婦になったのは二人が家を出てかなり経ってからよ」
「もっと衝撃的なことを話すと僕は龍之介くれるを凌辱したんだよ。
僕は龍之介君に恋慕を抱いていて、嫌われたくて凌辱したのに
それを逆手に取られてしまったんだ。
嫌って軽蔑してほしかったのにあろうことか、
“犀星君が僕を壊したいなら甘んじて受ける”と言ったんだよ」
お父さんの隣にいる龍之介おじさんは目を細めて笑った。
「つまり、お父さんは龍之介おじさんが好きだけど
嫌われたくて酷いことをしたのに
龍之介おじさんが全部受け入れちゃった上に
お母さんも加わって現状が出来上がったってこと!?」
「そういうことだね」
「お父さんと龍之介おじさんの関係をお母さんが許しつつ、
お母さんとお父さんの間に子供ができるのはわかるけど、
何で、お母さんと龍之介おじさんの間にまで子供ができるのよ!?
しかも、双子や三つ子、
更には五つ子で父親が違うってことは……同時に……ってことよね……
一晩でお父さんと龍之介おじさん、
二人に抱かれたのよね?」
「包み隠さずに言うならそうね。
ふふ、犀星さんも龍之介さんも
私を抱いている時は“雄”になるのよ」
「やれやれ、犀星君、“雌鳥”さんは
隠す気が全くないらしい」
「何を言っているんだい、
龍之介君。
うちの“雌鳥”さんは最初から
実子である
朝子と朝巳に隠す気なんて
微塵もなかったじゃないか」
話しの流れからして“雌鳥”ってお母さんのことよね?
「“雌鳥”ってお母さんの愛称なの?」
「とみ子は僕と龍之介君という
二羽の“雄”を従え、雛を産んでくれる“雌鳥なんだよ」
「あらやだ、そんなに褒めないでくださいな。
また、二人の子がほしくなってしまうわ」
お母さんは下腹部に手を当ててうっとりとした表情をした。
「也寸志って、間違ってなければ
龍之介おじさんと文さんの三男だよな?」
弟の朝巳の言葉にはっ、とした。
「そうだよ、朝巳義兄さん、朝子義姉さん。
今は美紗と結婚して婿入りしたから、
ややこしいけど、龍之介父さんは“実父”でありながら“義父”でもあるんだ」
「文さんは?」
「実母とは絶縁したよ。
犀星父さんととみ子母さんを“泥棒”呼ばわりしていたし、
龍之介父さんの“弱さ”を見ようとしなかったからね。
実兄の比呂志兄さんは快く送り出してくれたよ。
美紗は犀星父さんととみ子母さんの子だから
血縁関係はないしね。
因みに美紗に告白する前に僕から“室生也寸志”になりたいと
犀星父さんと龍之介父さんに頼んだから
“婿入り”というよりは犀星父さんの“養子”になったかが正しいかも」
隣で朝巳が【この家の家系図、めちゃくちゃだな】と呟いた。
本当にその通りだよ。
「昔、比呂志兄さんは“文さん”にこう言ったらしい。
❰母さんは父さんを動物園の動物たちみたいに
柵に閉じ込めて<文豪・芥川龍之介>という
偶像を作り上げて、
【見て、私が作ったの。綺麗でしょう?】って見せびらかしたいの?
そんなだから、気付かないんだよ。
睡眠薬の空き瓶にも
ごみ箱から溢れかえる書き損じの原稿にも。
母さんが父さんの書斎に
最後に入ったのはいつ?
いつだって、家の中の掃除は女中任せだったじゃないか。
一日でも自分で父さんの部屋を掃除していたら違和感に気付いていたはずだし、
結局母さんは父さんの“気持ち”を知ろうとせず、“心”を見ず
<文豪・芥川龍之介>の妻という
地位に酔いしれていただけなんだよ。❱とね。
だから、二十歳になり、美紗と結婚する時に絶縁したんだ。
実母の“文さん”は龍之介父さんに<文豪・芥川龍之介>で
いてほしかったんだろうけど龍之介父さん本人は限界値を
超えていたんだ。
犀星父さんの暴力的なまでの強引な情愛と、とみ子母さんの慈愛が
龍之介父さんを“生かし”、“人”としての尊厳を守られ
安心できる場所に僕も加わりたいと思ったんだ」
二年後、妹が、三年後、弟が増えるのはまた別の話。
「❰家族が増えたから、一度、帰っておいで❱ってやつでしょう。
最後に来た手紙では龍之介おじさんが居候してるって
書いてあったけど……家族が増えたってどういうことかしら?」
ーー
「ただいま」
朝巳と二人で久しぶりに帰って来た実家。
「朝子と朝巳か、お帰り」
お父さんの穏やかな声色に毒気を抜かれつつ、居間から聞こえてくる声に驚いた。
「とりあえず、居間においで。
紹介しようか。
双子の凜と澪、三つ子の美紗と花菜と朔也、
それから、美紗と結婚して婿入りした也寸志だ。
隣の部屋で五つ子が寝ているよ。
凜と朔也と五つ子の次男と三男は龍之介君ととみ子の子。
澪と美紗と花菜と五つ子の長男と長女と二女は僕ととみ子の子だよ」
ちょっと待って、お母さんは龍之介おじさんとも寝たってことよね!?
「情報量が多すぎる!!
お母さんは龍之介おじさんともってこと……よね?」
「ふふ、そうね、私は犀星さんにも龍之介さんにも抱かれたわね。
追加情報としては、龍之介さんが犀星に抱かれることもあるのよ」
聖母のようににこにこと笑っているお母さんと
龍之介おじさんの肩を抱くお父さん。
「そもそもの始まりはむしろ、そっちだったんだよ。
僕が龍之介君を抱いたことから始まったんだ。
龍之介君は<文豪>という肩書きに疲れきっていたからね……」
「龍之介おじさんは父さんの恋人で
母さんの二人目の夫みたいな感じってこと?」
「“三人”で夫婦って感じかしらね」
「お母さんは私と朝巳以外に“十人”も産んだってこと!?
身体は大丈夫なの?」
「大丈夫よ。
それから、正確には“十三人”よ。
朝子が生まれる二年前にも出産しているの。
名前は豹太郎。私と犀星さんの最初の子だったんだけど
翌年、一歳で亡くなってしまったのよ。
二年後に朝子が生まれる来てくれて、更に三年後に朝巳が生まれて
本当に嬉しかったわ。
“三人”で夫婦になったのは二人が家を出てかなり経ってからよ」
「もっと衝撃的なことを話すと僕は龍之介くれるを凌辱したんだよ。
僕は龍之介君に恋慕を抱いていて、嫌われたくて凌辱したのに
それを逆手に取られてしまったんだ。
嫌って軽蔑してほしかったのにあろうことか、
“犀星君が僕を壊したいなら甘んじて受ける”と言ったんだよ」
お父さんの隣にいる龍之介おじさんは目を細めて笑った。
「つまり、お父さんは龍之介おじさんが好きだけど
嫌われたくて酷いことをしたのに
龍之介おじさんが全部受け入れちゃった上に
お母さんも加わって現状が出来上がったってこと!?」
「そういうことだね」
「お父さんと龍之介おじさんの関係をお母さんが許しつつ、
お母さんとお父さんの間に子供ができるのはわかるけど、
何で、お母さんと龍之介おじさんの間にまで子供ができるのよ!?
しかも、双子や三つ子、
更には五つ子で父親が違うってことは……同時に……ってことよね……
一晩でお父さんと龍之介おじさん、
二人に抱かれたのよね?」
「包み隠さずに言うならそうね。
ふふ、犀星さんも龍之介さんも
私を抱いている時は“雄”になるのよ」
「やれやれ、犀星君、“雌鳥”さんは
隠す気が全くないらしい」
「何を言っているんだい、
龍之介君。
うちの“雌鳥”さんは最初から
実子である
朝子と朝巳に隠す気なんて
微塵もなかったじゃないか」
話しの流れからして“雌鳥”ってお母さんのことよね?
「“雌鳥”ってお母さんの愛称なの?」
「とみ子は僕と龍之介君という
二羽の“雄”を従え、雛を産んでくれる“雌鳥なんだよ」
「あらやだ、そんなに褒めないでくださいな。
また、二人の子がほしくなってしまうわ」
お母さんは下腹部に手を当ててうっとりとした表情をした。
「也寸志って、間違ってなければ
龍之介おじさんと文さんの三男だよな?」
弟の朝巳の言葉にはっ、とした。
「そうだよ、朝巳義兄さん、朝子義姉さん。
今は美紗と結婚して婿入りしたから、
ややこしいけど、龍之介父さんは“実父”でありながら“義父”でもあるんだ」
「文さんは?」
「実母とは絶縁したよ。
犀星父さんととみ子母さんを“泥棒”呼ばわりしていたし、
龍之介父さんの“弱さ”を見ようとしなかったからね。
実兄の比呂志兄さんは快く送り出してくれたよ。
美紗は犀星父さんととみ子母さんの子だから
血縁関係はないしね。
因みに美紗に告白する前に僕から“室生也寸志”になりたいと
犀星父さんと龍之介父さんに頼んだから
“婿入り”というよりは犀星父さんの“養子”になったかが正しいかも」
隣で朝巳が【この家の家系図、めちゃくちゃだな】と呟いた。
本当にその通りだよ。
「昔、比呂志兄さんは“文さん”にこう言ったらしい。
❰母さんは父さんを動物園の動物たちみたいに
柵に閉じ込めて<文豪・芥川龍之介>という
偶像を作り上げて、
【見て、私が作ったの。綺麗でしょう?】って見せびらかしたいの?
そんなだから、気付かないんだよ。
睡眠薬の空き瓶にも
ごみ箱から溢れかえる書き損じの原稿にも。
母さんが父さんの書斎に
最後に入ったのはいつ?
いつだって、家の中の掃除は女中任せだったじゃないか。
一日でも自分で父さんの部屋を掃除していたら違和感に気付いていたはずだし、
結局母さんは父さんの“気持ち”を知ろうとせず、“心”を見ず
<文豪・芥川龍之介>の妻という
地位に酔いしれていただけなんだよ。❱とね。
だから、二十歳になり、美紗と結婚する時に絶縁したんだ。
実母の“文さん”は龍之介父さんに<文豪・芥川龍之介>で
いてほしかったんだろうけど龍之介父さん本人は限界値を
超えていたんだ。
犀星父さんの暴力的なまでの強引な情愛と、とみ子母さんの慈愛が
龍之介父さんを“生かし”、“人”としての尊厳を守られ
安心できる場所に僕も加わりたいと思ったんだ」
二年後、妹が、三年後、弟が増えるのはまた別の話。
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