3 / 52
SPEED 01 加速の別離
SPEED 01-03
しおりを挟む
「あのね……いいかしら?彼の名は零士(レイジ)」
会話(やりとり)を喰う月華が赤(レッド)コルベットに凭れる茶髪の男を指差した。何か先を急ぐように。
「えらいクールな奴(やっ)ちゃな」
カルナは興味なさげに呟いた。と、
「ちょっと人見知りするタイプなの、ゴメンなさいね」透かさず月華のフォローが入った。
「アイツと姉チャンどういう関係?」
「カル兄ぃ!逢ったばっかで失礼やろ!」
「いいのよ別に、ただの知り合いだから」
「よかったやんけエルナ、お前あの手のタイプ好みやろ?」
「ベラベラ喋るウットウシイその大口……縫い合わせたろかぁっ!」
「俺はこの青い髪がトレードマークのカルナ。で、この小ウルサイのがエルナや」
カルナは自己紹介を以って睨みを逸らした。が、
「ええ、よく知ってるわ」月華に事もなげに流され、カルナは元より目くじら立てていたエルナでさえ目を丸くさせられた。
「知ってるって……どういうこと?」
同じ(ユニゾンの)表情と声。月華は微笑み更に続ける。
「二卵性といえどさすが双子ね。息がピッタリだわ」
互いの顔を見合わせるカルナとエルナ。
「月華とか言うたな……アンタ何者や?」
月華を射抜くカルナの真剣な眼差し。
「あ!誤解しないで、あなた達この峠の有名人だから……気を悪くしたんなら謝ります」
「……まあええ、何か裏がありそうやけどな」
腑に落ちずも真剣な謝罪にカルナは流した。
「そんなことより月華さん!あの運転(ドラ)テクどうやって身に付けたん?」
カルナとは反する嬉々とした表情を持ち、エルナが割って入った。
「これといって特別なことは……強いて言えば、あなた達と同じように走り込んだ結果ね」
「じゃあまだ走り込みが足らんのかぁ……」
「エルナちゃん。あなたは自分の身体能力がハーレーの性能を既に上回っていることに気付いてないわ。平たく言うと……あなたに応え切れず暴れる車体、それをリカバリーしようと更にワンテンポ早いタイミングでコーナーに入るあなた。つまり、あなたのフォローが余計なギクシャクを生産してしまってるの」
ーほう……この女、あんな短時間でエルナの弱点(ウィークポイント)を見抜きよったー
「スゴイ!確かに、もどかしい時あんねん」
大きく見開かれるエルナの瞳。
「問題はそれをどう解決するかだけど……残念ながらあなたの身体能力に見合ったバイクは市販されていないわ」
「そっかぁ……」
「改造(イジ)るという誰でも思い付く案もあるけど、今は取り敢えずあなたがバイクに歩み寄る打開策を取った方がいいわ。改造(イジ)ると逆にバランスを崩しかねないから。最近そういう輩が多いのよ」
「単車に合わせるかぁ、何か難しそうやなぁ」
「そうね、手にした能力を敢えて捨てるって口で言うのは簡単だけど……そうだ!エルナちゃんがよかったらだけど、そのハーレー私に転がさせてくれない?」
「え!?」
突飛な申し出にエルナの瞳は白黒。
「私の台詞が二人乗り(タンデム)で実証されるかも?どう?」
会話(やりとり)を喰う月華が赤(レッド)コルベットに凭れる茶髪の男を指差した。何か先を急ぐように。
「えらいクールな奴(やっ)ちゃな」
カルナは興味なさげに呟いた。と、
「ちょっと人見知りするタイプなの、ゴメンなさいね」透かさず月華のフォローが入った。
「アイツと姉チャンどういう関係?」
「カル兄ぃ!逢ったばっかで失礼やろ!」
「いいのよ別に、ただの知り合いだから」
「よかったやんけエルナ、お前あの手のタイプ好みやろ?」
「ベラベラ喋るウットウシイその大口……縫い合わせたろかぁっ!」
「俺はこの青い髪がトレードマークのカルナ。で、この小ウルサイのがエルナや」
カルナは自己紹介を以って睨みを逸らした。が、
「ええ、よく知ってるわ」月華に事もなげに流され、カルナは元より目くじら立てていたエルナでさえ目を丸くさせられた。
「知ってるって……どういうこと?」
同じ(ユニゾンの)表情と声。月華は微笑み更に続ける。
「二卵性といえどさすが双子ね。息がピッタリだわ」
互いの顔を見合わせるカルナとエルナ。
「月華とか言うたな……アンタ何者や?」
月華を射抜くカルナの真剣な眼差し。
「あ!誤解しないで、あなた達この峠の有名人だから……気を悪くしたんなら謝ります」
「……まあええ、何か裏がありそうやけどな」
腑に落ちずも真剣な謝罪にカルナは流した。
「そんなことより月華さん!あの運転(ドラ)テクどうやって身に付けたん?」
カルナとは反する嬉々とした表情を持ち、エルナが割って入った。
「これといって特別なことは……強いて言えば、あなた達と同じように走り込んだ結果ね」
「じゃあまだ走り込みが足らんのかぁ……」
「エルナちゃん。あなたは自分の身体能力がハーレーの性能を既に上回っていることに気付いてないわ。平たく言うと……あなたに応え切れず暴れる車体、それをリカバリーしようと更にワンテンポ早いタイミングでコーナーに入るあなた。つまり、あなたのフォローが余計なギクシャクを生産してしまってるの」
ーほう……この女、あんな短時間でエルナの弱点(ウィークポイント)を見抜きよったー
「スゴイ!確かに、もどかしい時あんねん」
大きく見開かれるエルナの瞳。
「問題はそれをどう解決するかだけど……残念ながらあなたの身体能力に見合ったバイクは市販されていないわ」
「そっかぁ……」
「改造(イジ)るという誰でも思い付く案もあるけど、今は取り敢えずあなたがバイクに歩み寄る打開策を取った方がいいわ。改造(イジ)ると逆にバランスを崩しかねないから。最近そういう輩が多いのよ」
「単車に合わせるかぁ、何か難しそうやなぁ」
「そうね、手にした能力を敢えて捨てるって口で言うのは簡単だけど……そうだ!エルナちゃんがよかったらだけど、そのハーレー私に転がさせてくれない?」
「え!?」
突飛な申し出にエルナの瞳は白黒。
「私の台詞が二人乗り(タンデム)で実証されるかも?どう?」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
俺たちYOEEEEEEE?のに異世界転移したっぽい?
くまの香
ファンタジー
いつもの朝、だったはずが突然地球を襲う謎の現象。27歳引きニートと27歳サラリーマンが貰ったスキル。これ、チートじゃないよね?頑張りたくないニートとどうでもいいサラリーマンが流されながら生きていく話。現実って厳しいね。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる