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第39話:香川の朝、讃岐うどんと旅情
しおりを挟む宗太郎と鮎子は香川の宿で一夜を過ごし、四国四県の旅を続けていた。広島での別れを胸に、愛媛でみかん料理を提案し、宿の湯船で愛を深めた二人は、新たな一日を迎えた。
翌朝、宗太郎と鮎子は宿を後にし、香川の讃岐うどんを味わうために街へ向かった。朝の空気が清々しく、田園の緑が朝日を反射して輝く。宗太郎は鮎子の手を握り、期待に満ちた声で語った。
「鮎子、香川に来たら讃岐うどんは外せん。昨夜、湯船での時間も癒されたが、今日の味でまた新たな力をもらえそうだ。そなたと共に見る味が楽しみだ。」
鮎子は宗太郎の隣で微笑み、頷いた。
「宗次さん、私も楽しみ! うどんって聞くだけでお腹が空いてくるよ。そなたと一緒なら、どんな味も特別に感じるね。」
二人は地元のうどん屋「うどん蔵」へ到着した。木造の店構えに、湯気の立つ鍋の香りが漂い、店内は旅人や地元の人で賑わっていた。店主の源蔵、45歳の男がにこやかに二人を迎えた。
「ようこそ! 旅人か? うどんはここの自慢だ。温かいのと冷たいの、どっちがいい?」
宗太郎は源蔵に微笑み、注文を決めた。
「そうだ。源蔵殿、温かいのと冷たいのをそれぞれ頼む。旅の朝にふさわしい味を味わいたい。」
源蔵は頷き、慣れた手つきでうどんを茹で始めた。程なくして、丼が運ばれてきた。
温かい讃岐うどんは、太めのコシのある麺に熱々の出汁が絡み、ネギと天ぷらがトッピングされていた。冷たい讃岐うどんは、つるつるの麺にツユが別添えで、氷の冷たさが朝の暑さを和らげた。
宗太郎は温かいうどんを箸で持ち、香りを嗅いだ。出汁の香ばしさと麺の弾力が口に広がり、旅の疲れを癒す。鮎子も冷たいうどんを味わい、目を輝かせた。
「宗次さん、このうどん、美味しい! 温かいのは出汁が効いてて、冷たいのは麺がツルッとしてて…どっちも最高だよ。」
宗太郎は頷き、うどんを味わいながら心の中で評を紡いだ。旅の思い出と香川の風土を思い出し、筆を取り始めた。
讃岐うどん、香川の魂が麺に宿る。温かき出汁は旅人の心を温め、冷たきツユは朝の清涼を届ける。コシのある麺が四国の道を支え、鮎子と共に見た味は俺の旅路を彩る。
評を書き終え、宗太郎は鮎子に見せた。鮎子は目を細め、宗太郎の肩に頭を寄せた。
「宗次さん、素敵な評だね。うどんの味が旅そのものみたい。広島に戻ったら、父さんにも教えてあげたいよ。」
宗太郎は鮎子の髪を優しく撫で、彼女の言葉に心を動かされた。
「はい、鮎子、そなたの言う通りだ。讃岐うどんは俺たちに新たな力をくれる。辰五郎殿にこの味を伝え、四国四県の旅を終えたら広島へ帰ろう。」
二人はうどんを分け合い、温かい出汁と冷たいツユを交互に味わった。宗太郎が鮎子に麺を差し出すと、彼女は照れながら口を開けた。鮎子も宗太郎に返し、二人は笑い合った。源蔵はカウンター越しにその様子を見、穏やかに語った。
「若い夫婦だな。讃岐うどんは旅人を元気にする味だ。香川を楽しんでけよ。」
宗太郎は源蔵に感謝し、鮎子と手を握った。
「源蔵殿、ありがとう。俺たちは四国を旅し、各地の味を味わう。そなたのうどんは、俺たちの旅の宝になる。」
鮎子は源蔵に微笑み、付け加えた。
「源蔵さん、うどん、すごく美味しかったよ。旅の思い出に残る味だね、ありがとう。」
源蔵は頷き、二人の幸せそうな顔に満足げだった。
午後、宗太郎と鮎子はうどん屋を後にし、香川の街を散策した。海風が頬を撫で、讃岐うどんの余韻が口に残る。宗太郎は鮎子の肩を抱き、静かに語った。
「鮎子、讃岐うどんは旅の新たな味だ。四国四県を巡り、広島に戻るまでの道が楽しみだ。そなたと共に見た味が、俺の人生を豊かにする。」
鮎子は宗太郎の胸に寄り添い、穏やかに答えた。
「宗次さん、私もそう思う。うどんのコシが旅の強さみたい。子供のことも、広島でゆっくり考えたいね。」
二人は手をつなぎ、香川の街を後にした。讃岐うどんの味が二人の心に残り、四国四県の旅がさらに深まる予感に満ちていた。広島への帰還が近づき、旅の終わりと新たな始まりが静かに準備された。
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