35 / 209
〜1学期編〜
重大発表
しおりを挟む
「椿、来夢、おはよう」
「おはようございます。磨理王」
「おはよう」
「都華咲と徠駕の姿が見えないね」
「朝電話したのですが、今日は早くに先生に呼ばれているそうで…。多分もう寮出てるんじゃないですかねぇ?」
「徠駕だけならまだしも、都華咲まで?」
「うーん……都華咲も行ってみないと内容が分からないって言ってました。2人とも学級委員だから、その関係でしょうか?」
「へぇ~……」
食堂に入るとクロワッサンの芳ばしい香りが漂っています。
「いい香り~」
朝食に時折出されるクロワッサンは1個がずっしりと大きくて、外はサクサク、中はもっちりとしていて学生の間でも人気のメニューです。
でも1人2個ずつというのが、僕と磨理王には多過ぎるので、来夢君や都華咲のお皿に1個乗せてます。
今朝は都華咲が居ないので、来夢君のお皿には大きなクロワッサンが4個も盛られました。でもそれを1個3口程で食べ切ってしまう来夢君。あっという間に4個のクロワッサンが来夢君に吸収されました。
「……一口がデカいよね」
「本当に、僕の倍以上ありよね」
僕、まだ半分ほどしか食べてないですよ……。
「あと10個くらい食える」
と、表情すら変えずに言うのでした。
朝食の後、一度部屋に戻り身支度を整えてからまた磨理王と待ち合わせをして3人で校舎へと向かいました。
「椿姫だ」
「姫、おはよう」
「今日も麗しいですね。」
「あはっあはは……おはようございます……」
「わぁ!姫が挨拶してくれたぞ!」
「「……姫??」」
「わー!わー!なんでもないです!!」
「なんだ?椿姫って……劇でもするのか?」
「文化祭の練習にしては早すぎるよね?」
「気にしないでください!!クラスメイトがふざけて言ってるだけですから!!」
「ふーん……」
教室の外では"姫"って呼ばないようにお願いしましょう……。
都華咲と徠駕さんは予鈴の後、八神先生と共に教室へ入ってきました。
やっと都華咲の顔見れたなぁ……と思いながら眺めていると、横を通り過ぎる際に机の上に置いた僕の手をキュッキュッと握って行きました。触れられた部分に、ほんのりと温かみが宿りました。
結局、都華咲とゆっくり話が出来たのはお昼休み。
「椿ぃ~!会いたかったぁ!!」
4限目終了のチャイムとほぼ同時に都華咲が飛んできました。
「俺と会えなくて寂しかったろ」
小さい子供をあやすように頭をワシャワシャと撫でます。
「あはは。一晩だけじゃないですか。でも嬉しいです」
「なーなー!腹減ったぁ!早く食堂行こうぜ!」
徠駕さんに急かされ、食堂へと向かいました。
今日のお昼のメニューはA定食が天丼、B定食がラーメン、C定食がサーモンのホイル焼きです。
僕はC定食で、2人はA定食を選びました。
「来夢達、まだ来てねぇなぁ!発表したい事があるのに!」
「え?何ですか??」
「へへーん。来夢らが来てからのお楽しみな!」
どうにか5人座れる席を見つけて確保しました。それから15分程たち、都華咲と徠駕さんは殆どご飯を食べ終わっています。その時やっと来夢君と磨理王が食堂に来ました。
「もーー!!本当にコレ、金曜日の恐怖!!拷問!!」
「そう言えば、毎週金曜日って食堂来るの遅いですよね?何かあるんですか?」
2人が口いっぱいに天丼を詰め込んで、手で「ちょっと待って」と合図を送ってきました。
水を一気に飲み干し言いました。
「金曜の4限目国語なんだけど、緒方先生の話が終わらないんだよ!!」
「そう!それが授業の内容ならまだしも、全く関係ない話するんだよ!育ち盛りの俺らの腹がそんなのに耐えられるワケねーだろ!!」
そういえば前もそんな事言ってたような……。あれ、ずっと続いてるんですね。
来夢君は5分程で天丼を平げ、磨理王は勢いで来夢君と同じ天丼を頼んだにも関わらず、半分程でお腹が満たされ来夢君に食べてもらっていました。
「そういえば、都華咲から何か発表があるって言ってませんでしたか?」
「あ!そうそう!なんと……俺と徠駕、大河ドラマのチャンバラシーンのエキストラに呼ばれたんだ!」
「ええぇ!!凄いです!おめでとうございます!」
「体育祭さ、その関係者が見にきてたんだって!それで、俺と徠駕の障害物競走を見て興味を持ってくれたらしい!今朝はその話で学園長室に呼ばれてたんだ」
「っとに、ビビったよなぁ!!ま、エキストラだし、テレビに映るかどうかは分かんねぇけど…。現場の空気吸えるだけでも嬉しいよな……」
「で、撮影はいつなの?」
「夏休み入って直ぐくらい。なんと、京都まで行くんだぜ!」
「京都ー!!……凄い……ロケバスとか乗るんですか?」
「そんなのエキストラが乗れるワケねーじゃん。現地集合だから、徠駕と男2人旅だよ。でもさ、交通費や旅費全般、学校側が負担してくれるんだって!!流石、秀麗だよな!!」
「エキストラなんて直ぐに撮影終わるだろうし、観光も行きてぇよな!」
2人で話が盛り上がっています。
でも本当に、何がキッカケで花開くか分かりませんね!
京都……きっと素敵な所でしょうね。僕もいつか行ってみたいです。
都華咲と2人で京都旅行……少しだけ、徠駕さんを羨ましく思っちゃいました。
「さ、そろそろ移動すっか!」
「午後の体育、合同だよな?」
「今日のバドミントン対決はゼッテー勝つ!!」
「俺が勝つ!」
「いーや、俺が勝つ……!」
「僕は採点頑張ります…。」
「そうだそうだ。椿は危ないから、ラケットなんて持っちゃダメだぞ!キズでも付いたら大変だ」
「「「過保護!」」」
.₊̣̇.ෆ˟̑*̑˚̑*̑˟̑ෆ.₊̣̇.ෆ˟̑*̑˚̑*̑˟̑ෆ.₊̣̇.ෆ˟̑*̑˚̑*̑˟̑ෆ.₊̣̇.ෆ˟̑*̑˚̑*̑˟̑ෆ.₊̣̇
大切なお時間を頂き、ありがとうございます!
お気に入り登録、しおり等、投稿の励みになります ♪
次回もどうぞ宜しくお願いします。
「おはようございます。磨理王」
「おはよう」
「都華咲と徠駕の姿が見えないね」
「朝電話したのですが、今日は早くに先生に呼ばれているそうで…。多分もう寮出てるんじゃないですかねぇ?」
「徠駕だけならまだしも、都華咲まで?」
「うーん……都華咲も行ってみないと内容が分からないって言ってました。2人とも学級委員だから、その関係でしょうか?」
「へぇ~……」
食堂に入るとクロワッサンの芳ばしい香りが漂っています。
「いい香り~」
朝食に時折出されるクロワッサンは1個がずっしりと大きくて、外はサクサク、中はもっちりとしていて学生の間でも人気のメニューです。
でも1人2個ずつというのが、僕と磨理王には多過ぎるので、来夢君や都華咲のお皿に1個乗せてます。
今朝は都華咲が居ないので、来夢君のお皿には大きなクロワッサンが4個も盛られました。でもそれを1個3口程で食べ切ってしまう来夢君。あっという間に4個のクロワッサンが来夢君に吸収されました。
「……一口がデカいよね」
「本当に、僕の倍以上ありよね」
僕、まだ半分ほどしか食べてないですよ……。
「あと10個くらい食える」
と、表情すら変えずに言うのでした。
朝食の後、一度部屋に戻り身支度を整えてからまた磨理王と待ち合わせをして3人で校舎へと向かいました。
「椿姫だ」
「姫、おはよう」
「今日も麗しいですね。」
「あはっあはは……おはようございます……」
「わぁ!姫が挨拶してくれたぞ!」
「「……姫??」」
「わー!わー!なんでもないです!!」
「なんだ?椿姫って……劇でもするのか?」
「文化祭の練習にしては早すぎるよね?」
「気にしないでください!!クラスメイトがふざけて言ってるだけですから!!」
「ふーん……」
教室の外では"姫"って呼ばないようにお願いしましょう……。
都華咲と徠駕さんは予鈴の後、八神先生と共に教室へ入ってきました。
やっと都華咲の顔見れたなぁ……と思いながら眺めていると、横を通り過ぎる際に机の上に置いた僕の手をキュッキュッと握って行きました。触れられた部分に、ほんのりと温かみが宿りました。
結局、都華咲とゆっくり話が出来たのはお昼休み。
「椿ぃ~!会いたかったぁ!!」
4限目終了のチャイムとほぼ同時に都華咲が飛んできました。
「俺と会えなくて寂しかったろ」
小さい子供をあやすように頭をワシャワシャと撫でます。
「あはは。一晩だけじゃないですか。でも嬉しいです」
「なーなー!腹減ったぁ!早く食堂行こうぜ!」
徠駕さんに急かされ、食堂へと向かいました。
今日のお昼のメニューはA定食が天丼、B定食がラーメン、C定食がサーモンのホイル焼きです。
僕はC定食で、2人はA定食を選びました。
「来夢達、まだ来てねぇなぁ!発表したい事があるのに!」
「え?何ですか??」
「へへーん。来夢らが来てからのお楽しみな!」
どうにか5人座れる席を見つけて確保しました。それから15分程たち、都華咲と徠駕さんは殆どご飯を食べ終わっています。その時やっと来夢君と磨理王が食堂に来ました。
「もーー!!本当にコレ、金曜日の恐怖!!拷問!!」
「そう言えば、毎週金曜日って食堂来るの遅いですよね?何かあるんですか?」
2人が口いっぱいに天丼を詰め込んで、手で「ちょっと待って」と合図を送ってきました。
水を一気に飲み干し言いました。
「金曜の4限目国語なんだけど、緒方先生の話が終わらないんだよ!!」
「そう!それが授業の内容ならまだしも、全く関係ない話するんだよ!育ち盛りの俺らの腹がそんなのに耐えられるワケねーだろ!!」
そういえば前もそんな事言ってたような……。あれ、ずっと続いてるんですね。
来夢君は5分程で天丼を平げ、磨理王は勢いで来夢君と同じ天丼を頼んだにも関わらず、半分程でお腹が満たされ来夢君に食べてもらっていました。
「そういえば、都華咲から何か発表があるって言ってませんでしたか?」
「あ!そうそう!なんと……俺と徠駕、大河ドラマのチャンバラシーンのエキストラに呼ばれたんだ!」
「ええぇ!!凄いです!おめでとうございます!」
「体育祭さ、その関係者が見にきてたんだって!それで、俺と徠駕の障害物競走を見て興味を持ってくれたらしい!今朝はその話で学園長室に呼ばれてたんだ」
「っとに、ビビったよなぁ!!ま、エキストラだし、テレビに映るかどうかは分かんねぇけど…。現場の空気吸えるだけでも嬉しいよな……」
「で、撮影はいつなの?」
「夏休み入って直ぐくらい。なんと、京都まで行くんだぜ!」
「京都ー!!……凄い……ロケバスとか乗るんですか?」
「そんなのエキストラが乗れるワケねーじゃん。現地集合だから、徠駕と男2人旅だよ。でもさ、交通費や旅費全般、学校側が負担してくれるんだって!!流石、秀麗だよな!!」
「エキストラなんて直ぐに撮影終わるだろうし、観光も行きてぇよな!」
2人で話が盛り上がっています。
でも本当に、何がキッカケで花開くか分かりませんね!
京都……きっと素敵な所でしょうね。僕もいつか行ってみたいです。
都華咲と2人で京都旅行……少しだけ、徠駕さんを羨ましく思っちゃいました。
「さ、そろそろ移動すっか!」
「午後の体育、合同だよな?」
「今日のバドミントン対決はゼッテー勝つ!!」
「俺が勝つ!」
「いーや、俺が勝つ……!」
「僕は採点頑張ります…。」
「そうだそうだ。椿は危ないから、ラケットなんて持っちゃダメだぞ!キズでも付いたら大変だ」
「「「過保護!」」」
.₊̣̇.ෆ˟̑*̑˚̑*̑˟̑ෆ.₊̣̇.ෆ˟̑*̑˚̑*̑˟̑ෆ.₊̣̇.ෆ˟̑*̑˚̑*̑˟̑ෆ.₊̣̇.ෆ˟̑*̑˚̑*̑˟̑ෆ.₊̣̇
大切なお時間を頂き、ありがとうございます!
お気に入り登録、しおり等、投稿の励みになります ♪
次回もどうぞ宜しくお願いします。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
483
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる