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本編
18
「あなたを探していた」
「リアム様……?」
また、あの時と同じだ。体の奥からマグマのように熱が湧き上がる感じ。
呼吸が荒くて、まともに酸素を吸えない感じ。
血液の流れが急速に早まる感じ。
「お、俺……また……発情……?」
「マヒロ!!」
ジェイクが走り寄る。
「お客さま、申し訳ございません。従業員の体調が優れないようですので、こちらでお引き取り致します」
ジェイクに助けを求めるように手を伸ばす。
他の騎士団員や女性客にも、完璧に俺がΩだとバレてしまった。
もう、こんな遅くにリアム様が来るなんて誰も思っていなかったのだ。
俺も、ジェイクでさえも、気を抜いていた。
「マヒロ、大丈夫?」
「なんで? 今日は、薬……飲んだのに……」
抑制剤が弱かったからか。
それでもこれだけの人数のαの中で過ごして、体に触れてダンスをして……。それでも発情なんてしなかったのに。
「君、この人は私が運ぶ。すぐにホテルの部屋を手配してくれ」
「いや、しかし……」
「早くっ!!」
「っ! ……かしこまりました」
ジェイクがフロントへと案内する。
俺は周りからの不安そうな視線を浴びながら、リアム様に抱かれてパーティー会場を出た。
これから、俺はどうされるんだ?
リアム様は本当に俺を探していたのか? なぜ……。
俺が発情したから? 子供みたいな容姿で浮いていたから?
なんだ……なんでなんだ。
考えようとしても、頭がクラクラして何も考えられない。
今自分のことで分かるのは、ヒートの症状が酷くなっていってるということだけ。
「このまま部屋へ行く」
「承知しました。すぐに部屋の鍵をお持ちします」
ジェイクが素早くルームキーを持ってきた。
「お客さま、申し訳ございませんが、従業員用通路からご移動をお願いいたします。この状態での移動は危険ですので……」
「ああ、むしろ助かる」
ジェイクが他の客に見られないよう配慮してくれたのが嬉しかった。
案内された部屋は、四階の一番奥であった。
部屋に入るなりジェイクは医務室の先生を呼びに走った。
こんな広い部屋で二人きり……。リアム様ともなると、こんな豪華な部屋で泊まるのか。
これが普段の俺なら、開き直って楽しもうとか思うんだろうけど、今はそんな余裕は微塵もない。
「すぐにベッドに寝かせよう」
リアム様の胸に抱かれ、ヒートは益々酷くなっていく。
俺がこんなにヒートに苦しんでいるのに、リアム様は平然としている。
ジェイクでも、αの本能に抗うのにだいぶ苦労していたというのに。
それに……俺だけがΩの本能に抗えなかったみたいじゃないか。
俺のほうがリアム様が好きみたいじゃないか。
リアム様は呼吸の一つも乱れず、奥の寝室のベッドに俺を寝かせた。
「大丈夫か? すぐに医務室の先生が来てくれる。それまで頑張れるかい?」
リアム様は、俺を襲う気もないみたいだ。
じゃあ、なぜそのまま医務室へ運ばなかったんだ。
俺はヒートが治れば帰れるのか。
今度ばかりは客全員の前で発情してしまった。
「俺……。もう……終わりだ……」
「リアム様……?」
また、あの時と同じだ。体の奥からマグマのように熱が湧き上がる感じ。
呼吸が荒くて、まともに酸素を吸えない感じ。
血液の流れが急速に早まる感じ。
「お、俺……また……発情……?」
「マヒロ!!」
ジェイクが走り寄る。
「お客さま、申し訳ございません。従業員の体調が優れないようですので、こちらでお引き取り致します」
ジェイクに助けを求めるように手を伸ばす。
他の騎士団員や女性客にも、完璧に俺がΩだとバレてしまった。
もう、こんな遅くにリアム様が来るなんて誰も思っていなかったのだ。
俺も、ジェイクでさえも、気を抜いていた。
「マヒロ、大丈夫?」
「なんで? 今日は、薬……飲んだのに……」
抑制剤が弱かったからか。
それでもこれだけの人数のαの中で過ごして、体に触れてダンスをして……。それでも発情なんてしなかったのに。
「君、この人は私が運ぶ。すぐにホテルの部屋を手配してくれ」
「いや、しかし……」
「早くっ!!」
「っ! ……かしこまりました」
ジェイクがフロントへと案内する。
俺は周りからの不安そうな視線を浴びながら、リアム様に抱かれてパーティー会場を出た。
これから、俺はどうされるんだ?
リアム様は本当に俺を探していたのか? なぜ……。
俺が発情したから? 子供みたいな容姿で浮いていたから?
なんだ……なんでなんだ。
考えようとしても、頭がクラクラして何も考えられない。
今自分のことで分かるのは、ヒートの症状が酷くなっていってるということだけ。
「このまま部屋へ行く」
「承知しました。すぐに部屋の鍵をお持ちします」
ジェイクが素早くルームキーを持ってきた。
「お客さま、申し訳ございませんが、従業員用通路からご移動をお願いいたします。この状態での移動は危険ですので……」
「ああ、むしろ助かる」
ジェイクが他の客に見られないよう配慮してくれたのが嬉しかった。
案内された部屋は、四階の一番奥であった。
部屋に入るなりジェイクは医務室の先生を呼びに走った。
こんな広い部屋で二人きり……。リアム様ともなると、こんな豪華な部屋で泊まるのか。
これが普段の俺なら、開き直って楽しもうとか思うんだろうけど、今はそんな余裕は微塵もない。
「すぐにベッドに寝かせよう」
リアム様の胸に抱かれ、ヒートは益々酷くなっていく。
俺がこんなにヒートに苦しんでいるのに、リアム様は平然としている。
ジェイクでも、αの本能に抗うのにだいぶ苦労していたというのに。
それに……俺だけがΩの本能に抗えなかったみたいじゃないか。
俺のほうがリアム様が好きみたいじゃないか。
リアム様は呼吸の一つも乱れず、奥の寝室のベッドに俺を寝かせた。
「大丈夫か? すぐに医務室の先生が来てくれる。それまで頑張れるかい?」
リアム様は、俺を襲う気もないみたいだ。
じゃあ、なぜそのまま医務室へ運ばなかったんだ。
俺はヒートが治れば帰れるのか。
今度ばかりは客全員の前で発情してしまった。
「俺……。もう……終わりだ……」
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