【完結】ダンスパーティーで騎士様と。〜インテリ俺様騎士団長α×ポンコツ元ヤン転生Ω〜

亜沙美多郎

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spin-offージェイクと騎士ー

16

「大丈夫。いきなり襲ったりしないから!」
 ソファーに座り、益々緊張しているルイにリラックスを促す。
 しかし、俺が何かを言えば言うほどルイはカチカチに固まってしまう。

「あの……なんでも頑張るので!!」
「なんでもって?」
「だから……その……えっと……」
 ルイの言わんとしていることは察しがつく。
 初めから俺のところで泊まる覚悟をしていたあたり、『俺のものになれ』と言ったのが、直ぐにセックスをさせろ。と捉えらてしまったのかもしれない。

「ルイ。こういうのは頑張ることじゃないから、今日はのんびり過ごそう?」
「でも……」
「確かに、抱きしめたいとは思ってたけど。そのさきは少しずつ距離を縮めていけばいいって思ってるよ」

 こうして引っ付いて過ごしているのにさえ、緊張してしまうほどなのに、これ以上なんてとても押し付けられない。きっと気を失ってしまうだろう。

「ありがとう……ございます」
「ハグより先は、その敬語がなくなった後かもしれないね」
「そっそれは!! 勘弁してください」
「ははっ。冗談だよ」

 少しでもリラックスしてもらおうと、音楽を流した。
 ダンスパーティーでの華やかなジャンルではなく、もっとチルなジャンルだ。
 緊張が解れたら、眠くなるかもしれない。
 安眠を誘うようなメロディーをかけた。

「これ……いいですね。落ち着きます」
「よかった。今日は沢山緊張しただろう? 俺も気を張った日にはこの音楽でリラックスするんだ」

 こういうメロディーを聞いていると、自然と目を閉じる。
 ルイが体重を預けてきた。
 ようやく気が抜けたようだ。
 自分の部屋でずっと緊張しているなんて、あまりにも酷だから良かった。

 このまま寝室へ運ぶことにした。
 抱き上げてベッドまで連れて行く。
 ルイはすっかり寝入っていた。

「おやすみ。明日はまた楽しく過ごそう」

 ルイの額にキスをした。
 柔らかく甘い香りがする。
 発情はしていないから、元々こんな香りなのだろう。

 そして立ちあがろうとした時、ルイに袖を掴まれた。
「ルイ? ……寝てる?」
「……ん……いで……」
「なに?」
「ジェイ……さん……行かな……いで」
「ルイ……」

 寝言で俺を求めているのか。

「リビングのランプを消してくるだけだよ」
「……だ。……や……だ……」
「分かったよ」

 ルイの隣に滑り込むと、腕枕をしてルイを包み込んだ。
 顔を覗き込むと、僅かに広角をあげ、顔が綻んだ。
 そのあどけない表情に、再び額にキスをした。

 また甘い。

(ん? キスをしたら甘くなる?)

 気のせい……なのか……。
 試しに目尻にもキスをした。

 やはり、口付けてから離すと同時に、甘い香りが放たれる。
 これはルイ独特のものなのだろうか。
 それとも人の性格のように、オメガも人それぞれいろんな特徴を持っているのだろうか。

「ジェイクさん……」

 俺からのキスで目が覚めてしまったらしい。
 顔を真っ赤にしたルイと目があった。

「すまない。甘い香りを辿っていたんだ」
「い……嫌じゃ、ない……です」

 ルイにここまで言わせておいて、これ以上断ってしまえばルイの勇気を踏み躙ってしまう。

「キス、しても?」

 無言で頷いた。

 ゆっくりと顔を近づける。重なったルイの唇は、やはり緊張して強張っていた。
 でも軽く吸い付くように……啄むように……何度も、繰り返して行くうちに、ルイの緊張も解けていく。

「は……ぁ……」

 ルイから淡い息が零れた。

「キスを続けよう」

 蕩けた顔を確認すると、また唇を重ねた。
 リビングから、止め損ねた音楽が流れてきた。
感想 19

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