Cat eyes

千代

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第弐章

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僕には幼馴染がいた。夜星という内気な女の子だったが、笑顔がとても素敵な女の子でもあった。
 
 
 
 
 
 
 
 でも…
 
 
 
 
 
 今はもう彼女はいない。
 
 
 
 
 
 夜星が死んだあの日。僕は夜星が持っていた目について、調べていた。目について知っているおじいさんがいるという情報を得た僕はその人の家まで行き、話を聞いた。
 「私は元警察官でね。相棒が“Cat eyes”になったんだ。彼はその目のおかげでいろんな人を助けたよ、けれど助けた中の一人が殺人事件を起こしたんだ。彼は自分が助けてしまったせいで罪のない人が死んでしまったと精神的に大きなストレスを受けてしまった。彼は家で目を刺し首を吊って死んだ。私は今も後悔している彼を1人にするべきではなかったと。君も夜星さんを1人にしてはいけないよ。“Cat eyes”を持った者はいずれ自殺する。」
 僕はその話を聞き夜星に電話をかけようとした。しかし、家に携帯を忘れてしまったようだった。早急に家に帰った。携帯には夜星からの着信があった。折り返し連絡をしたが、彼女は応えてくれなかった。
 夜星のお母さんから連絡がきた。それは、夜星が死んだという話だった。お母さんの声は震えていた。

 
 
 
 
 

 
   4年後、 大人になっても僕は夜星の命日には、毎年ある夢を見る。
 
 
 
 
 
 夜星の家の屋上。見慣れた景色。そして屋上の端にいるケータイを持ったままの夜星。
 「ねぇ星翔?」
 夜星の声。いつも僕に勇気や希望をくれた声。
 「どうして、あの時電話に出てくれなかったの?」
 えっ?それは… あれっ僕、声が出ない?
 「答えてくれないんだね。」
 
 
 
 
 
 

 「星翔…
 
 
 
 
 
 さようなら。」
 
 
 
 
 
 彼女に僕は手を伸ばす。けれど僕の手は夜星には届かない。
 
  またあの夢、いつも同じ夢なはずなのに。僕の手は、夜星には届かない。
 


 あれから幾つもの年が過ぎ、あれから幾つの星が煌めいたのだろう。僕にはもう暗闇しか見えない。
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