ソラと星と足跡と

あるいろい

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2day

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今日も熱があると言って塾を休んだ。
“公立は大変なんだぞ。”
“毎日勉強できるの?”
叔母や恋人が言っていた言葉が頭の中で何度も繰り返される。
“そんなことも出来ないんだ。”
いつから、期待されているなんて自惚れていたんだろう。
失望されたことは何回だってあった。
だから期待されるのは苦手だった。だから、自惚れてたのかな。
そうして僕はシャーペンを手に取って、ノートと参考書を開いて問題を解き始める。
『勉強しなきゃ。』
『不登校の僕は、遊んじゃダメなんだ。』
そう思って、行事は休んできた。
“今日だけでも学校においで”
そう言う先生の言葉に渋々頷いたこともあった。
“学校に毎日通えない奴が楽しむのはどうかと思うけどな”
それから、“楽しい”というのがもっと分からなくなった。
中学で不登校になった時、叔母に“他の子は毎日学校に行ってるのに、何で学校に行かないの。”
そう言われ続け、僕は何も出来ないやつだと思っていた。
何かできたとしても、祝いの一言もない母も同然の叔母。
流石にそろそろ挫けてきた。
ううん、“頑張らなきゃ”。
そうは思ってもあまり気分のいいとは言い切れない考えや言葉が幾重も繰り返され、
いつの間にか僕は床の上で横になっていた。
今日もそうやって一日が終わるのかな、とぼんやりしていると、恋人からメールが来た。
「出かけたり誰かと話したりする?するなら気をつけてほしい。」
霊感の強い人格なのだろうか。
出かける時は警戒しようと思う。何をどう気をつければいいか分からないが、警戒はしていて損はないだろう。
人と話すのは……むしろ何があるのだろうか?
傷付くのは叔母や恋人でもう慣れた。
ああ、これ以上か。
そう思ううちに、また外出するのが怖くなった。
落ち着かないまま、僕は再びシャーペンを持つ。
もう、何をしているかも分からないまま。
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