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5 セシル兄様の内緒の伴侶のハンロックに申し訳ない
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夜は眠りが浅いから、時には眠らずに離宮の庭を歩き回る。時には夜の警備を担当するアルベルトと一緒にいることもある。太陽が月の光を隠す頃、やっと眠ることが出来る。その繰り返しをしていれば、寝不足にもなるけれど、昼近くに起きる貴族の生活に僕は助けられていた。
「おはよう、サリオン」
朝と昼の光を浴びて寝台に寝そべり、肘をついて書物を読んでいたセシル兄上が僕に笑いかけた。
「おはようございます、セシル兄上」
長い緩い巻き毛が肩から滑り落ち、寝巻きのドレスシャツにキラキラと輝いている。僕は裸のままだった。
「よく寝ていたね。目の下の黒さも少し減っている」
そんなセシル兄上の方が、顔色が悪い。僕が起きそうになるたびに、背中やお腹を触って気持ちいい指で撫でてくれたからだ。特に股の端は気持ち良くて、僕は鼻にかかった声を繰り返したのを思い出して真っ赤になった。
「気持ちよく眠れたんだね。毎日、添い寝をしてあげられればいいのだけれど」
と微笑んだセシル兄様はまるでガルド神殿に彫刻された天使様のようで、僕は眩しくて堪らない。
「だ、駄目です。セシル兄様のお仕事に差し支えます。それにハンロックと……」
ハンロックは成人前からセシル兄様の内緒の同性の伴侶で、僕と父様、離宮勤めの者くらいしか知らなく、王宮の誰にも知らせてない。王宮には『目』や『耳』があるからだとかで。
「サリオンが心配することじゃないよ。ねえ、ハロ」
セシル兄様の向けた視線、寝台の足元にハンロックがいて僕は驚いた。気配が全くなかったからだ。
ハンロックは銀髪に青い瞳を持つ美丈夫で、有事には近衛隊長も務めるセシル兄様の盾であり剣だ。
「そうだ。子供は子供らしくしていればいい。サリオンは気を回し過ぎる」
そう言いながら僕とセシル兄様に服を寄越した。セシル兄様はドレスシャツを脱いで服を着始めてる。え、下着はこれで……一人で着る?
「森の屋敷では、メーテルも忙しいぞ。サリオン一人で着替えて顔を洗わないといけなくなる。今日は着る順番に並べて行こう」
ハンロックが下着とキュロット、シャツにブラウスとベストを順番に揃えてくれ、ストッキングと太腿のベルトに苦しんでいるとセシル兄様が止めてくれた。
「セシル、甘やかして」
「ハロ、サリオンにストッキングベルトは難しいよ」
「しかしだな」
「ちょっと待って、ハロ」
セシル兄様はストッキングベルトが膝だから簡単だとハンロックに反論していて、ハンロックがさらに反論している。そんな僕を挟んでの言い争いに
「あははは」
と僕は思わず笑ってしまった。セシル兄様に言い詰められて苦虫を噛み潰したよう顔をし始めたハンロックが面白くて、でも同時にこんなに仲のいい二人が宿り木に祈りを捧げないのは、多分僕のせいだ。セシル兄様が異性の伴侶を持たないのもそのせいで、僕の秘密を多くに知られてしまわないようにしている。
「また、考え込んでいるね。可愛いサリオン、よく聞いて」
セシル兄様が僕の顔を両手で包み込み、少し顔を上げさせた。セシル兄様の青い瞳に僕が映り込む。
「僕が妃を娶らずにいるのは確かにサリオンの秘密を知る人が少ない方がいいからだ。そしてハロとはずっと前から伴侶の約束をしていたんだ。僕らが宿り実を得られないのは、うん、まあ、別の問題からだよ。ちゃんと祈りは捧げているのだからね」
セシル兄様の真摯な瞳が嘘ではないことを告げていて、僕はほっ……と息を吐いた。
「さあ、テレサが焼きもきしているぞ。自分で扉を開けて、着替えた姿を見せてやれ。食事をしたら森の村に行くからな」
ハンロックの言葉に僕は驚いてセシル兄様を見上げた。セシル兄様も頷いて、僕の背中をトン……と押してくれる。
「二泊だから大事なものだけ持って行くんだよ。書物は禁止だからね。基本はメーテルが準備してくれているから」
僕は扉の前に立つと初めて自分で扉を開いてみた。
「おはよう、テレサ」
椅子に座っていたテレサが驚いて立ち上がる。それなら頭を丁寧に下げていつものように、
「サリオン殿下、おはようございます」
と少し高い声で挨拶をしてくれた。
「ちゃんと服を着られているかな」
「もちろんでございます。さあ、メーテル様がお待ちですよ。王太子様と騎士様はどうされますか?」
それにはハンロックが答えて、
「俺はアルベルトと食べたからいい。セシルと少し話すから後で行かせる」
と扉を閉めたから、僕とテレサは二人で食堂に行った。
※※※※※※※※※※※※
セシルと二人きりになるとハンロックがセシルを壁に追い詰めて、逃げられないように壁に手をつきにやりと笑う。
「なんだい?ハロ」
「サリオンには言わなかっただろ?別の問題」
王家の宿り木には二人でちゃんと祈りを捧げた。互いに伴侶になろうと誓いを立て、ハンロックは護衛騎士として家督を二子である弟に譲り、密かに王位継承権を放棄した時にだ。
「そういや、伴侶になって長いよな」
さらにハンロックがセシルの逃げ道を塞ぐように、もう片手を壁についた。
セシルは逃げる様子もなく肩を竦めて、
「だって君の持ち物は、聖剣クレイモア並なんだもの。大きすぎて怖い」
と下からハンロックの鋭角な顎に唇をつける。そう、成人して伴侶となったものの、身の深くで感じ合えてない二人に宿り実が出来るはずもないのだ。
「だから、怖いなら俺が受け手になると。お前を甘やかして蕩かせてから跨ってやるって」
セシルは首を横に振って、細いながらもしっかりと筋肉のついたハンロックの胸板を押し戻す。
「無理だよ。君のお尻で千切られそうで、これもまた怖い」
ハンロックは小首を傾げ、くすりと笑った。
「その話はまた寝台の中で、だな。さて、ノートン大公が孫を出してくるあたり、現王家に揺さぶりを掛けてきたってことだろう。『あの方』に相談するか?」
セシルは白い光の部屋で頷いた。
「そうだね。ノートン大公には邪魔されたくないからね。では、僕は聖餐に向かうよ。サリオンが待っている」
ーーー
セシルとハンロックは挿入未満伴侶なんです笑
リクがありましたら、そのあたりもw
「おはよう、サリオン」
朝と昼の光を浴びて寝台に寝そべり、肘をついて書物を読んでいたセシル兄上が僕に笑いかけた。
「おはようございます、セシル兄上」
長い緩い巻き毛が肩から滑り落ち、寝巻きのドレスシャツにキラキラと輝いている。僕は裸のままだった。
「よく寝ていたね。目の下の黒さも少し減っている」
そんなセシル兄上の方が、顔色が悪い。僕が起きそうになるたびに、背中やお腹を触って気持ちいい指で撫でてくれたからだ。特に股の端は気持ち良くて、僕は鼻にかかった声を繰り返したのを思い出して真っ赤になった。
「気持ちよく眠れたんだね。毎日、添い寝をしてあげられればいいのだけれど」
と微笑んだセシル兄様はまるでガルド神殿に彫刻された天使様のようで、僕は眩しくて堪らない。
「だ、駄目です。セシル兄様のお仕事に差し支えます。それにハンロックと……」
ハンロックは成人前からセシル兄様の内緒の同性の伴侶で、僕と父様、離宮勤めの者くらいしか知らなく、王宮の誰にも知らせてない。王宮には『目』や『耳』があるからだとかで。
「サリオンが心配することじゃないよ。ねえ、ハロ」
セシル兄様の向けた視線、寝台の足元にハンロックがいて僕は驚いた。気配が全くなかったからだ。
ハンロックは銀髪に青い瞳を持つ美丈夫で、有事には近衛隊長も務めるセシル兄様の盾であり剣だ。
「そうだ。子供は子供らしくしていればいい。サリオンは気を回し過ぎる」
そう言いながら僕とセシル兄様に服を寄越した。セシル兄様はドレスシャツを脱いで服を着始めてる。え、下着はこれで……一人で着る?
「森の屋敷では、メーテルも忙しいぞ。サリオン一人で着替えて顔を洗わないといけなくなる。今日は着る順番に並べて行こう」
ハンロックが下着とキュロット、シャツにブラウスとベストを順番に揃えてくれ、ストッキングと太腿のベルトに苦しんでいるとセシル兄様が止めてくれた。
「セシル、甘やかして」
「ハロ、サリオンにストッキングベルトは難しいよ」
「しかしだな」
「ちょっと待って、ハロ」
セシル兄様はストッキングベルトが膝だから簡単だとハンロックに反論していて、ハンロックがさらに反論している。そんな僕を挟んでの言い争いに
「あははは」
と僕は思わず笑ってしまった。セシル兄様に言い詰められて苦虫を噛み潰したよう顔をし始めたハンロックが面白くて、でも同時にこんなに仲のいい二人が宿り木に祈りを捧げないのは、多分僕のせいだ。セシル兄様が異性の伴侶を持たないのもそのせいで、僕の秘密を多くに知られてしまわないようにしている。
「また、考え込んでいるね。可愛いサリオン、よく聞いて」
セシル兄様が僕の顔を両手で包み込み、少し顔を上げさせた。セシル兄様の青い瞳に僕が映り込む。
「僕が妃を娶らずにいるのは確かにサリオンの秘密を知る人が少ない方がいいからだ。そしてハロとはずっと前から伴侶の約束をしていたんだ。僕らが宿り実を得られないのは、うん、まあ、別の問題からだよ。ちゃんと祈りは捧げているのだからね」
セシル兄様の真摯な瞳が嘘ではないことを告げていて、僕はほっ……と息を吐いた。
「さあ、テレサが焼きもきしているぞ。自分で扉を開けて、着替えた姿を見せてやれ。食事をしたら森の村に行くからな」
ハンロックの言葉に僕は驚いてセシル兄様を見上げた。セシル兄様も頷いて、僕の背中をトン……と押してくれる。
「二泊だから大事なものだけ持って行くんだよ。書物は禁止だからね。基本はメーテルが準備してくれているから」
僕は扉の前に立つと初めて自分で扉を開いてみた。
「おはよう、テレサ」
椅子に座っていたテレサが驚いて立ち上がる。それなら頭を丁寧に下げていつものように、
「サリオン殿下、おはようございます」
と少し高い声で挨拶をしてくれた。
「ちゃんと服を着られているかな」
「もちろんでございます。さあ、メーテル様がお待ちですよ。王太子様と騎士様はどうされますか?」
それにはハンロックが答えて、
「俺はアルベルトと食べたからいい。セシルと少し話すから後で行かせる」
と扉を閉めたから、僕とテレサは二人で食堂に行った。
※※※※※※※※※※※※
セシルと二人きりになるとハンロックがセシルを壁に追い詰めて、逃げられないように壁に手をつきにやりと笑う。
「なんだい?ハロ」
「サリオンには言わなかっただろ?別の問題」
王家の宿り木には二人でちゃんと祈りを捧げた。互いに伴侶になろうと誓いを立て、ハンロックは護衛騎士として家督を二子である弟に譲り、密かに王位継承権を放棄した時にだ。
「そういや、伴侶になって長いよな」
さらにハンロックがセシルの逃げ道を塞ぐように、もう片手を壁についた。
セシルは逃げる様子もなく肩を竦めて、
「だって君の持ち物は、聖剣クレイモア並なんだもの。大きすぎて怖い」
と下からハンロックの鋭角な顎に唇をつける。そう、成人して伴侶となったものの、身の深くで感じ合えてない二人に宿り実が出来るはずもないのだ。
「だから、怖いなら俺が受け手になると。お前を甘やかして蕩かせてから跨ってやるって」
セシルは首を横に振って、細いながらもしっかりと筋肉のついたハンロックの胸板を押し戻す。
「無理だよ。君のお尻で千切られそうで、これもまた怖い」
ハンロックは小首を傾げ、くすりと笑った。
「その話はまた寝台の中で、だな。さて、ノートン大公が孫を出してくるあたり、現王家に揺さぶりを掛けてきたってことだろう。『あの方』に相談するか?」
セシルは白い光の部屋で頷いた。
「そうだね。ノートン大公には邪魔されたくないからね。では、僕は聖餐に向かうよ。サリオンが待っている」
ーーー
セシルとハンロックは挿入未満伴侶なんです笑
リクがありましたら、そのあたりもw
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