46 / 94
3話「幼い邪悪[前編]~2人のトラブルメーカー~」
12
しおりを挟む
「まぁ、制作する魔術士によりますから…流行りかどうかまでは知りませんがね。それにしても厄介なものを持っていますね、彼女は。本物かどうかはわからないですけど……」
顎に手をあてながら、クリストフはセネトの疑問に答える形で言う。
――実は、《メニートの呪具》には偽物が多く…今回のも本物であるかどうか判断がつかなかった。
「ふーん、なら…あのなりそこないを討伐して魔道具のブローチを回収すれば、本物か偽物かわかるよな!」
クリストフの言葉に名案が浮かんだというように何度も頷いたセネトは、急に動きを止めると静かに怒りを込めて口を開く。
「――あぁ、思いだした…あの、赤毛の吸血鬼をー!!まさか、またいるのか?」
「…変な対抗意識なんか持たないでくださいよ。というか…あの男はいないだろうし、魔道具を作れるほど器用じゃないですから」
呆れた面持ちでクリストフが、怒りをあらわにしているセネトの頭を軽くたたいた。
頭をおさえたセネトは、頬を膨らませながら心の底から叫ぶ。
「持ってるかー!!失礼な…って、それにしてもよ。お前…何気に、酷い言い様だな。それは置いておいて、誰が討伐するんだ?」
この場にいないとわかった上で何気に毒を吐いたクリストフに、セネトは苦笑しながら訊ねた。
きょとんとしているクリストフがなりそこないの女性の方に視線を向けると、彼女は荒い呼吸をしながらセネトだけを見ていた。
「誰って…あなたを見ているようですから、ねぇ。早めに倒さないと…」
「はい、クリストフ様の言う通りかと…この近くに墓地があるので――」
クリストフとヴァリスの2人は、面倒そうな表情を浮かべているセネトに言う。
ちなみに――先ほど、ヴァリスが言いかけたのは『呪具かもしれないものがまた発動すると、大変な事になる』というものだ。
「だぁー、やってやるわ!その代わり…おれのノルマを軽くしろよ、クリストフ!」
髪の毛をかきむしったセネトがクリストフに向けて指差すと、頷いたクリストフはさっさと行くように手を振った。
(なーんか、おれ…パシリにされてるような気がするんだが。気のせいか…?)
何となくそう思ったらしいセネトは首をかしげつつ、なりそこないの女性と対峙する。
「――つーわけで、俺が相手だ…と、一度こんな感じでいってみたかったー」
両手をかざして術式を描きだしたセネトが不敵な笑みを浮かべると、何故かクリストフは白い眼を向けてきた。
「…全然かっこよくないですよ、セネト。何か、やられ役が言いそうな台詞ですし…」
「うるせー…こうなったら、一発でやってやる!"絶対たる炎によりて、自然の摂理に反した者達を大地に還せ!"」
腹を立てたセネトが術式に魔力を込めて口早に詠唱し終えると、術式からマグマのような炎がうねりながら術者であるセネトの周囲を包み込んだ。
セネトがゆっくりと両腕を上げると、うねっていた炎が手のひらに円を描くように集まった。
「これならば、苦しみや痛みを感じずに済むはずだよな…ついでに、今度こそかっこよく決められる上に手間もないし」
「…本音は最後の部分、と思ってよいのでしょうか?」
セネトの発言に首をかしげたヴァリスがクリストフに訊ねると、頷いた彼はため息交じりに答える。
「その本音部分さえ隠しておけば、退魔士としてもかっこいいと思うんですが。本当に、かっこよく言ってみたいのなら…ね」
「だー!!外野ども、うるさいぞ!とにかく、これで終わりだ」
視線だけをクリストフとヴァリスに向けたセネトは文句を言うと、手のひらに集めている魔法の炎をなりそこないの女性に向けて放とうとした。
…だが、一瞬の隙をついてなりそこないの女性が長く伸ばした爪をセネトへ向けて攻撃しようとする。
「すみません…これは回収させていただきます」
語りかけるように言ったヴァリスが素早くなりそこないの女性とセネトの間に割って入ると抜いた短刀で爪を受け止めて、隙をついてブローチを奪い取るとクリストフに投げ渡した。
そして、そのまま押し斬るようにするとなりそこないの女性は大きく後ろへ飛び退く。
「はぁ…びっくりした。ヴァリス、サンキュー!」
ヴァリスに礼を言ったセネトが、なりそこないの女性に向けて魔法の炎を放った。
それに気づいたらしいなりそこないの女性はこの場から逃れようとする、が彼女の身体は動かず逃げられない。
「逃げられてしまうと少々厄介になりそうなので、封じさせてもらいましたよ」
緊縛の魔法を使ったクリストフが小さくため息をついていると、セネトはむっとしながら文句を言う。
「魔法で縛れるんなら、最初からそうしてほしかったな…」
「生半可なものだと、すぐに解かれてしまうかもしれないので特殊な形にしたんですよ。文句あるならば、後でゆっくり身体に教えたあげますよ?」
ひきつったような笑みを浮かべたクリストフに、セネトはゆっくりと首を横にふった。
「グッ…ガッ!!」
魔法で拘束されているなりそこないの女性はなんとか魔法を解こうともがく、が拘束の効果は消えず。
そのまま、セネトの放った魔法の炎に飲み込まれていった……
***
顎に手をあてながら、クリストフはセネトの疑問に答える形で言う。
――実は、《メニートの呪具》には偽物が多く…今回のも本物であるかどうか判断がつかなかった。
「ふーん、なら…あのなりそこないを討伐して魔道具のブローチを回収すれば、本物か偽物かわかるよな!」
クリストフの言葉に名案が浮かんだというように何度も頷いたセネトは、急に動きを止めると静かに怒りを込めて口を開く。
「――あぁ、思いだした…あの、赤毛の吸血鬼をー!!まさか、またいるのか?」
「…変な対抗意識なんか持たないでくださいよ。というか…あの男はいないだろうし、魔道具を作れるほど器用じゃないですから」
呆れた面持ちでクリストフが、怒りをあらわにしているセネトの頭を軽くたたいた。
頭をおさえたセネトは、頬を膨らませながら心の底から叫ぶ。
「持ってるかー!!失礼な…って、それにしてもよ。お前…何気に、酷い言い様だな。それは置いておいて、誰が討伐するんだ?」
この場にいないとわかった上で何気に毒を吐いたクリストフに、セネトは苦笑しながら訊ねた。
きょとんとしているクリストフがなりそこないの女性の方に視線を向けると、彼女は荒い呼吸をしながらセネトだけを見ていた。
「誰って…あなたを見ているようですから、ねぇ。早めに倒さないと…」
「はい、クリストフ様の言う通りかと…この近くに墓地があるので――」
クリストフとヴァリスの2人は、面倒そうな表情を浮かべているセネトに言う。
ちなみに――先ほど、ヴァリスが言いかけたのは『呪具かもしれないものがまた発動すると、大変な事になる』というものだ。
「だぁー、やってやるわ!その代わり…おれのノルマを軽くしろよ、クリストフ!」
髪の毛をかきむしったセネトがクリストフに向けて指差すと、頷いたクリストフはさっさと行くように手を振った。
(なーんか、おれ…パシリにされてるような気がするんだが。気のせいか…?)
何となくそう思ったらしいセネトは首をかしげつつ、なりそこないの女性と対峙する。
「――つーわけで、俺が相手だ…と、一度こんな感じでいってみたかったー」
両手をかざして術式を描きだしたセネトが不敵な笑みを浮かべると、何故かクリストフは白い眼を向けてきた。
「…全然かっこよくないですよ、セネト。何か、やられ役が言いそうな台詞ですし…」
「うるせー…こうなったら、一発でやってやる!"絶対たる炎によりて、自然の摂理に反した者達を大地に還せ!"」
腹を立てたセネトが術式に魔力を込めて口早に詠唱し終えると、術式からマグマのような炎がうねりながら術者であるセネトの周囲を包み込んだ。
セネトがゆっくりと両腕を上げると、うねっていた炎が手のひらに円を描くように集まった。
「これならば、苦しみや痛みを感じずに済むはずだよな…ついでに、今度こそかっこよく決められる上に手間もないし」
「…本音は最後の部分、と思ってよいのでしょうか?」
セネトの発言に首をかしげたヴァリスがクリストフに訊ねると、頷いた彼はため息交じりに答える。
「その本音部分さえ隠しておけば、退魔士としてもかっこいいと思うんですが。本当に、かっこよく言ってみたいのなら…ね」
「だー!!外野ども、うるさいぞ!とにかく、これで終わりだ」
視線だけをクリストフとヴァリスに向けたセネトは文句を言うと、手のひらに集めている魔法の炎をなりそこないの女性に向けて放とうとした。
…だが、一瞬の隙をついてなりそこないの女性が長く伸ばした爪をセネトへ向けて攻撃しようとする。
「すみません…これは回収させていただきます」
語りかけるように言ったヴァリスが素早くなりそこないの女性とセネトの間に割って入ると抜いた短刀で爪を受け止めて、隙をついてブローチを奪い取るとクリストフに投げ渡した。
そして、そのまま押し斬るようにするとなりそこないの女性は大きく後ろへ飛び退く。
「はぁ…びっくりした。ヴァリス、サンキュー!」
ヴァリスに礼を言ったセネトが、なりそこないの女性に向けて魔法の炎を放った。
それに気づいたらしいなりそこないの女性はこの場から逃れようとする、が彼女の身体は動かず逃げられない。
「逃げられてしまうと少々厄介になりそうなので、封じさせてもらいましたよ」
緊縛の魔法を使ったクリストフが小さくため息をついていると、セネトはむっとしながら文句を言う。
「魔法で縛れるんなら、最初からそうしてほしかったな…」
「生半可なものだと、すぐに解かれてしまうかもしれないので特殊な形にしたんですよ。文句あるならば、後でゆっくり身体に教えたあげますよ?」
ひきつったような笑みを浮かべたクリストフに、セネトはゆっくりと首を横にふった。
「グッ…ガッ!!」
魔法で拘束されているなりそこないの女性はなんとか魔法を解こうともがく、が拘束の効果は消えず。
そのまま、セネトの放った魔法の炎に飲み込まれていった……
***
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる