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0話「惨劇の祭り」
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崖沿いの細い道を通っている時、ふと私は柳世叔父さんに教会のステンドグラスについて訊ねてみた。
「あの、教会にあるステンドグラスがすごく昔に造られたという話を知ってる?」
「ステンドグラス?そういえば、教会の礼拝堂にあるステンドグラスは旧暦時代に造られたもの、という話だったよな」
学生時代は旧暦時代の美術品など研究していた叔父さんも、やっぱりあのステンドグラスの出処だけは詳しく知らないらしい。
「あのステンドグラスは旧暦時代に制作されたもので、製作者が誰であるのか…何時寄贈されたものなのか不明だと言われているが」
「うん、私も学校でそう習ったんだけど…今日会ったある神職者様が、あのステンドグラスは旧暦時代よりも前に制作されたものだと言ってたの」
あの神職者様が語っていた話をすると、叔父さんは驚いたように息を飲んだ。
「そうなのか…もし本当なら、これはすごい発見だ。旧暦時代の戦火を逃れて寄贈されたわけだからな」
とても楽しそうな叔父さんに、今度一緒に神職者様の話を聞きに行かないか誘ってみると嬉しそうに頷いた。
「ところで…その、神職者は何者なんだ?」
「それが輝琉実教会の神職者ではないみたいで、よくわからないんですけど…危険な方のようには感じなかったし。白銀の髪に黄緑色の瞳をした方だったの」
「それは……」
何か心当たりがあったのか、そう言ったきり叔父さんは黙り込んでしまった。
もしかしたら私の警戒心が薄すぎたせいかな?と思ったんだけど、叔父さんは別の事を考えていたらしい――というのも、後に六実さんに叔父さんが書いていたらしい日記を見せてもらってわかった事だけど。
しばらく走っていくと、千森の石柱が見えてきた。
このまま直進するとそうなんだけど、知らない人にはわからない道が鬱蒼と茂った草の中に実はある。
ただ普通の車だと瑕がつくので、通る人間は実湖の者しかいない…そのせいで道が草むらの中に隠れる事態になっているのだ。
実湖の住民が所有する車は、旧暦時代に開発された特殊な加工が塗装と一緒にされているので車体に瑕がつきにくい。
その分、お値段が割高なるんだけど…一応、国から補助金が少し出るので実湖の民は車所有率が千森より高いのだと聞いた事がある。
道を隠す草は生命力が強いのか、踏み倒してもすぐに復活してしまう。
おかげで道の舗装が悪くて、車はかなり揺れるのが難点なんだよね――いつかしっかり舗装し直してほしいところだけど、この生命力の強い草の力を考えると無理だろうな。
私が黙り込んだままだったので、悪路で車酔いしていないか心配した柳世叔父さんが声をかけてきた。
「久しぶりだから、酔ったか?」
「ううん、大丈夫。相変わらず道が悪いな~って考えていたの」
「確かに悪いよな。この草の力はかなりのものだよ、まったく…」
叔父さんの話によると今年の初めに舗装し直したそうだ、実湖の民総出で草刈りした上で。
えぇ、四~五ヶ月くらいで草が道路を荒らしてしまったの!?
思わずそう心の中で叫んでしまったけど、作業に携わった人達の方がきっと叫んでいるかもしれない。
しばらく進むと、実湖の石柱が見えてきた。
なんだか帰って来た~って感じで、嬉しいような憂鬱のような変な気持ち。
大きな門を通り、屋敷の玄関前に車を止めた叔父さんはエンジンを切った。
そして運転席から降りて、後部座席とトランクを開ける。
「荷物は玄関先でいいか?」
「うん、ありがとう」
車から降りた私が頷いて答えると、汚れないよう荷物を玄関の中に入れた叔父さんは再びエンジンをかけて車庫へ車を停めに向かった。
「あの、教会にあるステンドグラスがすごく昔に造られたという話を知ってる?」
「ステンドグラス?そういえば、教会の礼拝堂にあるステンドグラスは旧暦時代に造られたもの、という話だったよな」
学生時代は旧暦時代の美術品など研究していた叔父さんも、やっぱりあのステンドグラスの出処だけは詳しく知らないらしい。
「あのステンドグラスは旧暦時代に制作されたもので、製作者が誰であるのか…何時寄贈されたものなのか不明だと言われているが」
「うん、私も学校でそう習ったんだけど…今日会ったある神職者様が、あのステンドグラスは旧暦時代よりも前に制作されたものだと言ってたの」
あの神職者様が語っていた話をすると、叔父さんは驚いたように息を飲んだ。
「そうなのか…もし本当なら、これはすごい発見だ。旧暦時代の戦火を逃れて寄贈されたわけだからな」
とても楽しそうな叔父さんに、今度一緒に神職者様の話を聞きに行かないか誘ってみると嬉しそうに頷いた。
「ところで…その、神職者は何者なんだ?」
「それが輝琉実教会の神職者ではないみたいで、よくわからないんですけど…危険な方のようには感じなかったし。白銀の髪に黄緑色の瞳をした方だったの」
「それは……」
何か心当たりがあったのか、そう言ったきり叔父さんは黙り込んでしまった。
もしかしたら私の警戒心が薄すぎたせいかな?と思ったんだけど、叔父さんは別の事を考えていたらしい――というのも、後に六実さんに叔父さんが書いていたらしい日記を見せてもらってわかった事だけど。
しばらく走っていくと、千森の石柱が見えてきた。
このまま直進するとそうなんだけど、知らない人にはわからない道が鬱蒼と茂った草の中に実はある。
ただ普通の車だと瑕がつくので、通る人間は実湖の者しかいない…そのせいで道が草むらの中に隠れる事態になっているのだ。
実湖の住民が所有する車は、旧暦時代に開発された特殊な加工が塗装と一緒にされているので車体に瑕がつきにくい。
その分、お値段が割高なるんだけど…一応、国から補助金が少し出るので実湖の民は車所有率が千森より高いのだと聞いた事がある。
道を隠す草は生命力が強いのか、踏み倒してもすぐに復活してしまう。
おかげで道の舗装が悪くて、車はかなり揺れるのが難点なんだよね――いつかしっかり舗装し直してほしいところだけど、この生命力の強い草の力を考えると無理だろうな。
私が黙り込んだままだったので、悪路で車酔いしていないか心配した柳世叔父さんが声をかけてきた。
「久しぶりだから、酔ったか?」
「ううん、大丈夫。相変わらず道が悪いな~って考えていたの」
「確かに悪いよな。この草の力はかなりのものだよ、まったく…」
叔父さんの話によると今年の初めに舗装し直したそうだ、実湖の民総出で草刈りした上で。
えぇ、四~五ヶ月くらいで草が道路を荒らしてしまったの!?
思わずそう心の中で叫んでしまったけど、作業に携わった人達の方がきっと叫んでいるかもしれない。
しばらく進むと、実湖の石柱が見えてきた。
なんだか帰って来た~って感じで、嬉しいような憂鬱のような変な気持ち。
大きな門を通り、屋敷の玄関前に車を止めた叔父さんはエンジンを切った。
そして運転席から降りて、後部座席とトランクを開ける。
「荷物は玄関先でいいか?」
「うん、ありがとう」
車から降りた私が頷いて答えると、汚れないよう荷物を玄関の中に入れた叔父さんは再びエンジンをかけて車庫へ車を停めに向かった。
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