醜い皮を被った姫君

ばんご

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王の過ち

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貧困の村へと移住し、1ヶ月が過ぎた
最初は何故このような場所へと不満はあったが、貧困の者たちと暮らして理解できたことがある

生きる為には食事が必要だ
その食事は、民の一人一人の苦労と汗で
できているのだと

城にいた頃は、三食食事がつく
けれどここでは、作物次第で決まってくる

1食だけで1日を満たすのが日常で
余裕があれば2食だそうだ
飢えることは日常茶飯事

私はこんな大事なことを忘れてしまっていたのだ

作物を育てる民がいるからこそ、国が成り立つ
民に安心して暮らしてもらう為に、王は彼らに貢献し、援助しなくてはならない

そんな大事なことを、ここにきて知った
王を剥奪されて知ることになるとは、思いもよらなかった

かつて、自分も民に寄り添おうと努力した
けれどそれは上手くいかず、私は逃げ出したのだ

『私は…間違っていた
 これは私が…目を背け続けていた罰だ』

今ならわかる、あの娘の言葉を
これを伝えようとしていたのだ

あの時の自分を恥じた 娘は私にこれを伝えようとしていたのだ 
それを私は身に沁みて、知った

謝罪をしたい
謝罪をして、感謝の言葉を
そして虫が良い話かもしれないが、私ができなかったことを、叶えて欲しい

民に寄り添える、王でありたい
王として、民としてではなく
一人の人間として寄り添え合える存在に









 
 



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