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第一〇話 夢幻のような
第一〇話 四
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司のもとから戻ると、結月と秋之介は二人の帰りを待ってくれていた。
「何の話だったんだ?」
秋之介の問いに正直に答えるべきか少し迷った。優しい幼なじみはきっと心配してくれるのだろう。それがわかるから話すのが躊躇われたが、隠し事をするのも嫌だった。結局あかりと昴は、司に言われたことを説明することにした。
案の定、話を聞き終えた結月と秋之介の表情は曇った。けれどそんな顔をさせるのは本意ではないあかりは、あえて明るく振る舞って見せた。
「さっきも昴と話したんだけど、裏を返せば今はまだ大丈夫ってことでしょ? だったら私はくよくよしないよ」
「あかり……」
「それに、みんなが守ってくれるって信じて、頼っていいんだよね?」
あかりがいたずらっぽい笑みを浮かべると、三人は目を見開いてからあかりに応えるように笑顔を見せた。
「うん。約束、した」
「んなの当たり前だろ」
「もちろんだよ」
その言葉と笑顔だけで、あかりは救われるような心地がした。
(みんながいれば、私はきっと大丈夫)
どんな凶事が襲いかかろうとも、皆が側に寄り添ってくれるならきっと乗り越えられるはずだとあかりは心から信じられた。
「何の話だったんだ?」
秋之介の問いに正直に答えるべきか少し迷った。優しい幼なじみはきっと心配してくれるのだろう。それがわかるから話すのが躊躇われたが、隠し事をするのも嫌だった。結局あかりと昴は、司に言われたことを説明することにした。
案の定、話を聞き終えた結月と秋之介の表情は曇った。けれどそんな顔をさせるのは本意ではないあかりは、あえて明るく振る舞って見せた。
「さっきも昴と話したんだけど、裏を返せば今はまだ大丈夫ってことでしょ? だったら私はくよくよしないよ」
「あかり……」
「それに、みんなが守ってくれるって信じて、頼っていいんだよね?」
あかりがいたずらっぽい笑みを浮かべると、三人は目を見開いてからあかりに応えるように笑顔を見せた。
「うん。約束、した」
「んなの当たり前だろ」
「もちろんだよ」
その言葉と笑顔だけで、あかりは救われるような心地がした。
(みんながいれば、私はきっと大丈夫)
どんな凶事が襲いかかろうとも、皆が側に寄り添ってくれるならきっと乗り越えられるはずだとあかりは心から信じられた。
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