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第一三話 守りたいもの
第一三話 三
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「今日も南朱湖に行くのか?」
朝食を摂りながら今日の予定を秋之介に訊かれたあかりは首を縦に振る。
結月たちが任務に赴いている間、今のあかりは南朱湖に向かうことが常になっていた。皆が危険と隣り合わせの状況に身を置く中、自分一人だけじっとしていられるはずもない。落ち着かない心を持て余したあかりは広大な南朱湖を眺めながら誰にともなく語りかけていた。任務はほぼ毎日のようにあるため、あかりのそれは日課になりつつあった。
「ちゃんと護符は持って行くんだよ?」
昴は不安そうにしながらもあかりの外出を許可してくれている。代わりに結月と昴が新しくこさえてくれた護符をしっかり持ったか確認してくる。あかりは失くさないよう懐にしまいこんでいた護符を取り出すと大丈夫だと昴に見せた。
「うん。なら、いいんだ」
昴は淡く微笑むと再び箸を動かした。
昴は何か言いたげな顔をしていたが下を向いてしまったので、彼の感情はいまいちわからないままだった。
(やっぱり、らしくないよね……)
淡くというよりはいっそ弱っているようにも見える笑みがあかりの眼裏に焼き付く。やはりただ疲れているというのではなく、何か別の憂い事があるように思えた。
「あかり?」
隣から結月に呼びかけられて、あかりはぱっと顔をあげると『なんでもない』と首を左右に振った。
(わからないことをひとりで考え続けててもどうしようもないよね)
昴本人に訊いても答えが返ってこなかったことを思い出せば、やはり結月と秋之介に尋ねてみるしかなさそうだ。
ひとまずは目の前の料理を味わうことにする。せっかく作ってくれた朝食をお粗末にするのは失礼だし、まずはなにより元気でいなければ始まらない。そう思い直せばあかりの箸はよく進んだ。
朝食を摂りながら今日の予定を秋之介に訊かれたあかりは首を縦に振る。
結月たちが任務に赴いている間、今のあかりは南朱湖に向かうことが常になっていた。皆が危険と隣り合わせの状況に身を置く中、自分一人だけじっとしていられるはずもない。落ち着かない心を持て余したあかりは広大な南朱湖を眺めながら誰にともなく語りかけていた。任務はほぼ毎日のようにあるため、あかりのそれは日課になりつつあった。
「ちゃんと護符は持って行くんだよ?」
昴は不安そうにしながらもあかりの外出を許可してくれている。代わりに結月と昴が新しくこさえてくれた護符をしっかり持ったか確認してくる。あかりは失くさないよう懐にしまいこんでいた護符を取り出すと大丈夫だと昴に見せた。
「うん。なら、いいんだ」
昴は淡く微笑むと再び箸を動かした。
昴は何か言いたげな顔をしていたが下を向いてしまったので、彼の感情はいまいちわからないままだった。
(やっぱり、らしくないよね……)
淡くというよりはいっそ弱っているようにも見える笑みがあかりの眼裏に焼き付く。やはりただ疲れているというのではなく、何か別の憂い事があるように思えた。
「あかり?」
隣から結月に呼びかけられて、あかりはぱっと顔をあげると『なんでもない』と首を左右に振った。
(わからないことをひとりで考え続けててもどうしようもないよね)
昴本人に訊いても答えが返ってこなかったことを思い出せば、やはり結月と秋之介に尋ねてみるしかなさそうだ。
ひとまずは目の前の料理を味わうことにする。せっかく作ってくれた朝食をお粗末にするのは失礼だし、まずはなにより元気でいなければ始まらない。そう思い直せばあかりの箸はよく進んだ。
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