4 / 9
2章 ユウトの開発日記
12歳の頃の忘れられないトラウマ
しおりを挟む
※※※ここからユウト視点※※※
熱に浮かされた顔で俺を見下ろす瞬を見た時、
俺は再び絶望した。
思えば俺が男を惑わすようなこんな体になってしまったのは
あの時からだ。
忘れもしない。
小学校6年生の夏。
あの時から俺の人生は狂いだしたのだ。
※※※
「じゃ、またな」
「明日は水着忘れんなよ、ドジ」
「わかってるよ!」
シュンは本当に嫌な奴だ。
とユウトはいつも思っている。
同じ年で頭がよくて、足も速くて、
そして何事に対しても冷めている。
そして認めたくないが顔がかっこいい。
それの何がいいのか
クラスの女子にはクールとかかっこいい
とか言われている。
それに引き換え、俺はあがり症で
勉強もできなくて、ドジですぐ転ぶし、
ちょっと失敗するとすぐ涙が出る。
カッコ悪いって言われる。
そして意地悪なシュンは、ことあるごとに
俺のことをバカにするから、泣きたくないのに
悔しくて勝手に涙が出る。
大嫌いで関わりたくないのに、同じクラスだし、
隣の席だし、同じ生物係だし、俺が何もしなくても
俺にちょっかいかけてくるから、本当に嫌い。
家に帰ったら、先日買ったゲームしようとわくわくしていい気分だったのに、
シュンに俺が今日水泳の時間で水着を忘れたことをからかわれて、すごく
嫌な気持ちになった。
恥ずかしかった思いがぶり返してきて、
かあっと顔が赤くなる。
また目に涙の膜が張って、それをシュンにみられるのが嫌で
俺は走って教室を出た。
※※※
「うーん、うーん」
いつもは通らない道を走っていって、いつの間にか知らない公園に立っていた。
ちょうど公園に差し掛かったところで、40代くらいのおじさんが
ベンチに座って唸っているのを見つけた。
…体調悪いのかな。
知らない人に話しかけちゃいけないと言われているけど、
困っている人を見つけたら、助けないといけないとも教えられてるので
どうしたらいいんだろうと困った。
「うーん、うーん」
でももし、病気とかだったら。
俺は自分が風邪をひいて本当に苦しかったことを思い出して、
おじさんに声をかけることにした。
「おじさん、どうしたの?苦しいの?」
俺が声をかけるとおじさんは俺の方を向いて、ちょっと笑った。
その笑顔がちょっと気味悪かったのを覚えている。
でもすぐにまた苦しそうな顔になって。
「おじさん、腹が痛くて立てないんだ。でもあっちに車止めてるから
そこまで行って休みたいんだけど・・・・。」
やっぱり体調が悪かったんだな。
無視したら、ひどい奴になるところだった。
「じゃあ、お父さん呼んでくるから、お父さんにおんぶしてもらって
車まで行こう?」
「いや、君が肩を貸してくれたら立てるから。本当に頼むよ。
車に薬が置いてあるんだ、今すぐ薬を飲まないといけないんだ」
「わかった。じゃあ行こう。立てる?」
「うん、ありがとう」
車に着くと、オジサンがカギを開けた。
「じゃ、俺、行くね」
「ごめん、ちょっと苦しくて動けないんだ、
後ろの席の鞄に薬が入っていると思うから探してくれないか?」
知らない人の車に乗るのが嫌だなって思ったけど、
苦しそうなおじさんを見て、助けないとと思って、
俺はワゴン車の後部座席に乗り込んで、鞄を探してあげることにした。
「鞄がいっぱいでわかんないよ。どこ?」
後部座席は荷物がたくさんあって、鞄も何個かあってどれが
おじさんが言っている鞄かわからなくて、後ろを振り向いて聞こうとした。
「むぐっ」
後ろを向いた瞬間、大きな体に後ろからぎゅっと強く抱きしめられて
口を大きな手で覆われた。
びっくりして動けないでいると、おじさんは俺を抱きしめたまま
体で車の扉を閉めた。
熱に浮かされた顔で俺を見下ろす瞬を見た時、
俺は再び絶望した。
思えば俺が男を惑わすようなこんな体になってしまったのは
あの時からだ。
忘れもしない。
小学校6年生の夏。
あの時から俺の人生は狂いだしたのだ。
※※※
「じゃ、またな」
「明日は水着忘れんなよ、ドジ」
「わかってるよ!」
シュンは本当に嫌な奴だ。
とユウトはいつも思っている。
同じ年で頭がよくて、足も速くて、
そして何事に対しても冷めている。
そして認めたくないが顔がかっこいい。
それの何がいいのか
クラスの女子にはクールとかかっこいい
とか言われている。
それに引き換え、俺はあがり症で
勉強もできなくて、ドジですぐ転ぶし、
ちょっと失敗するとすぐ涙が出る。
カッコ悪いって言われる。
そして意地悪なシュンは、ことあるごとに
俺のことをバカにするから、泣きたくないのに
悔しくて勝手に涙が出る。
大嫌いで関わりたくないのに、同じクラスだし、
隣の席だし、同じ生物係だし、俺が何もしなくても
俺にちょっかいかけてくるから、本当に嫌い。
家に帰ったら、先日買ったゲームしようとわくわくしていい気分だったのに、
シュンに俺が今日水泳の時間で水着を忘れたことをからかわれて、すごく
嫌な気持ちになった。
恥ずかしかった思いがぶり返してきて、
かあっと顔が赤くなる。
また目に涙の膜が張って、それをシュンにみられるのが嫌で
俺は走って教室を出た。
※※※
「うーん、うーん」
いつもは通らない道を走っていって、いつの間にか知らない公園に立っていた。
ちょうど公園に差し掛かったところで、40代くらいのおじさんが
ベンチに座って唸っているのを見つけた。
…体調悪いのかな。
知らない人に話しかけちゃいけないと言われているけど、
困っている人を見つけたら、助けないといけないとも教えられてるので
どうしたらいいんだろうと困った。
「うーん、うーん」
でももし、病気とかだったら。
俺は自分が風邪をひいて本当に苦しかったことを思い出して、
おじさんに声をかけることにした。
「おじさん、どうしたの?苦しいの?」
俺が声をかけるとおじさんは俺の方を向いて、ちょっと笑った。
その笑顔がちょっと気味悪かったのを覚えている。
でもすぐにまた苦しそうな顔になって。
「おじさん、腹が痛くて立てないんだ。でもあっちに車止めてるから
そこまで行って休みたいんだけど・・・・。」
やっぱり体調が悪かったんだな。
無視したら、ひどい奴になるところだった。
「じゃあ、お父さん呼んでくるから、お父さんにおんぶしてもらって
車まで行こう?」
「いや、君が肩を貸してくれたら立てるから。本当に頼むよ。
車に薬が置いてあるんだ、今すぐ薬を飲まないといけないんだ」
「わかった。じゃあ行こう。立てる?」
「うん、ありがとう」
車に着くと、オジサンがカギを開けた。
「じゃ、俺、行くね」
「ごめん、ちょっと苦しくて動けないんだ、
後ろの席の鞄に薬が入っていると思うから探してくれないか?」
知らない人の車に乗るのが嫌だなって思ったけど、
苦しそうなおじさんを見て、助けないとと思って、
俺はワゴン車の後部座席に乗り込んで、鞄を探してあげることにした。
「鞄がいっぱいでわかんないよ。どこ?」
後部座席は荷物がたくさんあって、鞄も何個かあってどれが
おじさんが言っている鞄かわからなくて、後ろを振り向いて聞こうとした。
「むぐっ」
後ろを向いた瞬間、大きな体に後ろからぎゅっと強く抱きしめられて
口を大きな手で覆われた。
びっくりして動けないでいると、おじさんは俺を抱きしめたまま
体で車の扉を閉めた。
3
あなたにおすすめの小説
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。顔立ちは悪くないが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?
2025/09/12 1000 Thank_You!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる