神の俺が最高神に下界転生の刑にされたのでもう一度成り上がる!

もそもそ大王

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第10話 神、悪ガキに愛を持って接する

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 最近少し困ったことがある。



「おい! お前生意気だぞ!」
「ユントニウス君に挨拶してないだろ!」

「お前マルネスターだよな。いつも森に何しに行ってんだよ」



 これは因縁を付けられていると言っていいのだろうか?
 
 メイヤがいる家に遊びに行こうとしたところ、村の子供達に引き止められたのだ。



「……おはようユントニウスとやら」



 とりあえず挨拶をしてみた。



「てめぇ馬鹿にしてんのか!」



 何故か怒られた。
 この村では子供同士挨拶をしなければいけない決まり事があると思い、言われた通りにしただけなのだが、どうもそう言うわけではないらしい。



「ちょっといい家に産まれたからって調子乗ってんだろ!」
「ユントニウス君はもう魔法も使えるんだぞ!」

「それは結構なことだ。素晴らしいと思うぞ」

 
「馬鹿にすんじゃねぇ!」



 何故だ。素直に褒めてやったのに、どこが馬鹿にしてるというのだろうか。

 中心にユントニウスという俺より少し年上のやや肥満気味の子供、その左右に同年代くらいのぱっとしない子供がいる。

 魔術を学ぶ事に専念していたため最近まで庭の外にすら出なかった俺はこの村に住んでいながら、ここに居る人間、規模、特色を殆んど知らないのだ。

 勿論目の前の子供達も今が初対面で、ユントニウスとやらも、さっき名前を聞いたばかりで全く知らん。



「急いでいるのでな、仲良くやれよ」



 メイヤを待たせては悪い。森に向かって走り出すと後から追いかけてくる3人の声が聞こえるが直ぐに遠ざかっていった。



 翌日。



「逃げてんじゃねーぞ!」
「お前生意気だぞ!」
「ユントニウス君怒ってるぞ!」
「許してほしかったらお菓子持ってこいよ!」
「アップルパイがいいぞ!」



 手下らしき子供が5人に増え、またもや森に行く途中に呼び止められ、今度は逃さないぞと囲んできた。



「お前森に何しに行ってんだ! 教えろよ!」
 
「友に会いに行くのだ。お前も来るか?」



 輪の外から不機嫌そうに腕を組んだユントニウスが、えらく命令口調で聞いてくるので答えてやる。

 そうすると、森は子供は入っては行けないんだぞ、お前だけずるいぞ、お菓子欲しいぞ、なんて口々に言ってくるが相手にしてられんな。



「相手にしてられん。行かせてもらうぞ

「また逃げるのか! コイツを捕まえろ!」



 ユントニウスが命令すると輪になった子供達が一斉に飛びかかってくるが、森で鍛えられた俺と違い動きもとろければ動きも単調だ。
 
 適当に間をすりぬけ無視して行こうとした時、俺の足元に火が飛んできた。その火は小さく弱かったので難なく避けることができたが、こんな危険な真似をするとは思わなかったぞ。



「でた! ユントニウス君の魔法だ!」
「ユントニウス君は火の魔法が使えるんだぞ! 火傷したくなかったら謝れ!」

「運良く避けやがって、次は当ててやるぞ!」



 この程度で得意がっているか、幼子なら十分と言えるかもしれないが何もしてない相手に放つのは非常識だ。
 
 子供の火遊びで済ましてやろうかとも思ったが、どうやら自分達と俺との立場の差を分かっていないようである。それはいかんな、弁えさせてやる。



「何だその目はやる気!? 『火よ、我が眼前に立ちはだかる敵を打て! ファイヤボール!』」

「粗末な火だな、詠唱してその規模しか出せないなら1から学び直せ『火よ、起これ』」



 ユントニウスが放ってきた小さな火球を吹き上がる火柱が飲み込み、消滅させた。
 同じ魔法で返してやっても良かったが、それをしては全員焼き殺してしまうだろう。神として精々驚かしてやる位におさめといてやろうじゃないか。

 俺が使った魔法を見たユントニウス達は驚き腰を抜かす者もいれば、突然の火柱に泣きだしてしまう者もいた。
 これで力の差を思い知り下手な真似はしてこないであろう、そのままメイヤの元へゆっくりと歩いていった。



******



「駄目だよマルス、後で謝らないと」

「むう、俺は悪くないと思うのだが」



 先程の、絡まれたが俺の力で解決してやったという話をしたのだが、メイヤに叱られてしまった。
 向こうが一方的に因縁をつけてきた上に、火の魔術を先に使ってきたというのに何が悪いのか。



「そのユントニウスていう子が悪いのはそうだけどね、マルスの魔法は凄いんだからそんな事に使っちゃ駄目だよ」

「少しやりすぎたか? と言ってもだな、ああも上からこられると気分はよくないぞ」



 確かにそうだよね。どうしてだろ? メイヤは小首を傾げてそう言い、今日は魔法の勉強は中止して俺がユントニウス達と仲良くなるための会議がはじまった。

 勝手に突っかかって来たのは向こうだが、相手はまだまだ子供なのだ。ここは神らしく慈愛の精神を持って包み込んでやろう。
 
 誰か忘れたが他所の神は、愛こそ生きとし生ける物に必要不可欠で神が愛で世界を導かなければなければならないと熱く語っていた。
 胡散臭いが実際にソイツの世界は平和で評価も高かったのだから間違いないだろう。それでいこう。



 
 次の日。
 2人で話し合った結果。やはり愛を持って接するのがいいとなり、ユントニウスと会うなり愛を持って接してやったら、後に母にこっ酷く怒られてしまった。

 愛というものがよく分からなかったので、いつも父や母が俺にする事をそのまましてやったのだが、どうも違ったらしい。

 特に嫌がる人へ接吻をしてはいけないと言われたので、じゃあ俺にもしないでほしいと告げるとショックを受けていた。
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