現代に帰還した"元"邪悪な魔女は平穏に暮らしたいけど、駄目そうなので周到に準備して立ち回りながら無双します

忘八

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アポ無し訪問

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 前書き
皆は相手先に訪問するんならキチンとアポイントメント取ってから訪問しようね
マジで大事なマナーだからね!!

正樹みたいなアポ無し訪問は絶対に駄目だからね!!!



 ビジネスマンは愛する幼き息子と可愛い飼い猫と共に良き父親として、近所の公園に居た。
 幼き息子がハーネスで繋がれた飼い猫と楽しく遊んでいる姿は、仕事で荒んだ心を癒してくれた。
 そんな元気いっぱいに飼い猫と共に遊ぶ息子を眺めて居ると、2人の男女が愛する息子と飼い猫の方へと歩み寄って来た。
 ビジネスマンは2人の姿を見た瞬間、固まってしまった。
 だが、男女の内。
 女の方は愛息子に視線を合わせる様にしゃがみ、優しく語り掛ける。

 「可愛い猫ちゃんね。お名前は何て言うのかしら?」

 「たこにゃーにゃ!」

 「そう。たこにゃーにゃって言うのね」

 女……もとい涼子は優しく言うと、幼き息子からたこにゃーにゃと呼ばれた飼い猫の頭を優しく撫でていく。
 その間、男の方はビジネスマンの方を見詰めて笑顔を浮かべていた。
 この瞬間。
 ビジネスマンは嫌でも理解せざる得なくなった。
 自分の対応1つで愛する幼き息子のだろう事を。
 戦慄するビジネスマンに男……正樹は歩み寄ると、穏やかな口調で語り掛けて来た。

 「可愛いお子さんと猫ちゃんですね」

 「……何が望みなんだ?」

 本題に入れ。
 そう急かされれば、正樹は穏やかな表情と共にビジネスマンに挨拶する。

 「初めましてビジネスマンさん……冴木 正樹です」

 「御丁寧にどうも。島津 涼介です」

 御互いに礼儀正しく挨拶と共に自己紹介を済ませれば、正樹は要件を切り出した。

 「島津さん。昨日の件は何の為に起こしたのか?お教え戴けますか?」

 尋ねた正樹はビジネスマン……島津 涼介の幼き息子と飼い猫を一瞥すると、再び島津 涼介をジッと見据える。
 嘘偽りで答えた瞬間。
 不幸極まりない災いが齎す。
 そう、言葉を用いる事無く正樹から告げられると、島津 涼介は自分の状況を理解したのだろう。
 正直に答えた。

 「アレは私のビジネスパートナーからの要望で仕方なくだ。私の意思ではない」

 島津 涼介の答えに正樹は一応は納得すると、ビジネスパートナーへの言伝を頼んだ。

 「そうですか……では、貴方のビジネスパートナーである警察官僚の方には貴女のメッセージは深く受け止めました。私達は制式な仕事ならびに正当防衛以外では違法な活動は喫煙と飲酒以外はしない事を誓う。そう御伝え下さい」

 ビジネスパートナーの正体を既に割り出している。
 そう捉えざる得ない言伝に島津 涼介は益々恐れを抱いてしまう。
 だが、同時に目の前に立つ"怪物"の有用性にも気付いた。

 「確実に伝えよう」

 それ故、言伝をシッカリと伝える事を明言した。
 そんな島津 涼介に正樹は正直な想い告げる。

 「私は仕事を始めとして、必要に迫られない限りは暴力を行使するのが非常に嫌でしてね。だから、暴力は抜きにこうして丸腰で窺わせて戴いた次第です」

 「つまり、私が裏切った時は私だけでなく、私の家族も殺すと言う事か?」

 その問いに正樹は悪怯れる事無く肯定した。

 「安直でしょうがね……しかし、家族を愛する者に対しては一番効果的ですから」

 必要なら女子供も容赦無く殺す。
 冷酷にそう告げた正樹に島津 涼介は正直に答える。

 「君達を裏切る気は一切無い。勿論、君達が帰った後に暗殺者を送るなんて真似も絶対にしない」

 島津 涼介は裏社会に於けるキングピンとしての経験から、正樹が飛び切り危険なプロと改めて理解せざる得なかった。
 危険極まりないプロが敵に回った時。
 最悪の被害を叩き付けて来る事を識るからだ。
 だからこそ、裏切らないと明言した。
 そんな島津 涼介の言葉を正樹は一応は納得してくれた。

 「信じましょう。それと、ビジネスパートナー側が仕事を発注したい時は此方の提示する金額以外では一切応じないとも御伝え下さい」

 「あぁ、伝えておこう」

 「それと貴方が用意してくれたセーフハウスは昨日の件で放棄せざる得なくなりました。なので新しいセーフハウスを用意して戴きたい」

 チャッカリ抜け目無く要求すれば、島津 涼介は要求を呑んだ。
 否、呑むしかなかった……と、言うのが正しいだろう。

 「それも数日中には手配しよう」

 「ありがとう御座います。それと当然の事でありますが、セーフハウス内に盗聴器など仕込むのは無しです。勿論、警察関係者が私達を尾行、監視するのも辞めて戴きたい」

 更なる要求を突き付けられた。
 だが、島津 涼介が其れ等の要求を蹴る事は無かった。

 「それ等もシッカリ伝えよう。しかし、君達が仕事とは関係の無い犯罪を犯した時は流石に擁護出来ない……其処は承知して貰いたい」

 ソレは自分の立場を護る為、正樹と涼子が仕事とは無関係の違法活動をした時、警察官僚をしているビジネスパートナーに売る事を意味していた。
 当然とも言える島津 涼介の要求を正樹は呑んだ。

 「当然ですね。貴方の立場を鑑みれば、致し方無いですから……認めましょう」

 「そう言って貰えると助かる」

 自分の正当な要求を呑んでくれた事にホッとする島津 涼介に正樹は更に言葉を続ける。

 「貴方と貴方のビジネスパートナーが昨日のお粗末極まりない尾行をした連中をキチンと抑える事も忘れずに……此方は敵対の意思はありません。当然、此方から仕掛ける事もしません。仕掛ける理由がありませんから」

 尾行者達が属する組織をキチンと抑えろ。
 此方が連中に対し、動く理由を作るな。
 そう告げられると、島津 涼介は約束した。

 「シッカリと抑える事を約束する。勿論、彼等が君達に近付かない様にもさせる」

 「ありがとう御座います」

 島津 涼介に感謝すると、正樹は最後の要件を述べる。

 「最後に……私達は此処では無い所で作戦を展開します」

 正樹の言葉に島津 涼介が警戒心を露わにすると、正樹は誠意と共に正直に答える。

 「日本国内ではありません。勿論、海外でもありません」

 「それが本当なら私は何も言わないし、邪魔もしない。私の管轄じゃないからね」

 「えぇ、その点は約束します。しかし、その作戦が完結した後……貴方に幾つか御願いする事があるかもしれません」

 正樹から御願いがある。
 そう告げられると、島津 涼介は嫌な予感をしながらも確認の為に尋ねる。

 「私に何をさせたいのだね?」

 「そうですね……2人の人物の戸籍を揃えて貰いたいのです。私達の本来の依頼人への口添えも含めて」

 正樹の要求は島津 涼介にすれば、簡単なモノであった。
 それ故、断るよりも貸しを与える方が建設的であり、利益を齎してくれる。
 そんな算盤を弾くと、快諾した。

 「良いだろう。2人の戸籍を用意しよう……勿論、2人分の住まいも提供しようじゃないか」

 「ありがとう御座います」

 正樹が御願いを聞いてくれる事に感謝すると、島津 涼介はキチンと告げる。

 「ただし、コレは仕事とは無関係の依頼。君達への貸しとして貰いたい」

 シッカリと抜け目無く対価を要求する島津 涼介に対し、正樹は快諾した。

 「当然の要求ですね。解りました、借りとしましょう……しかし、私達は万能な神ではありません。なので、出来る事と出来ない事があるのを御忘れなき様に……」

 「君達が出来ないなら、誰にも出来ないだろうね」

 「御褒めの言葉として受け取っておきます。それと大事な時を台無しにして申し訳ありません」

 正樹は素直にアポ無し訪問をし、家族との触れ合いという大事な時間を台無しにした事を素直に謝罪した。
 そんな謝罪を島津 涼介は受け入れた。

 「私も前もって話すべきだった。此方こそ申し訳無い」

 謝罪も交えて正樹の謝罪に応じれば、話し合いは穏便に終わりを迎えた。
 正樹が立ち去ろうとすると、島津 涼介は尋ねる。

 「君達はどうやって私と彼女を極短時間で調べ上げたんだね?後学の為に教えて貰えると助かる」

 その問いに正樹は穏やかな笑顔営業スマイルと共に答えた。

 「マジシャンが種と仕掛けを教える事ってあると思いますか?」

 返ってきた答えは島津 涼介にすれば、予想の範疇であった。

 「それもそうだ。偶に君に調査を依頼しても良いかね?勿論、その際の報酬もキチンと払う」

 抜け目無く自分の帝国の力にしようとする。
 島津 涼介も立派な悪党であった。
 そんな島津 涼介を気に入りながらも、正樹は明確に拒否で返す。

 「御断りします」

 「そうか……なら、お金に困ったら何時でも言ってくれ。喜んで儲かる仕事を用意しよう」

 「御厚意、感謝します」

 正樹は感謝の言葉を残すと、島津 涼介の幼い息子と共に遊んでいた涼子を連れて公園を後にするのであった。




 「アンタって平気な顔してエゲつない真似するわね」

 島津 涼介の居た公園から大きく離れた繁華街まで移動すると、涼子から呆れ混じりに言われてしまう。
 だが、正樹は涼しい顔であった。

 「そうか?滅茶苦茶優しいと思うぞ?」

 実際、暴力は一切振るっていない。
 ただ、相手の聖域内に土足で踏み込んで、大事な存在と共に居る所を狙ってアポ無し訪問しただけだ。
 しかし、ソレが意味する事を理解する涼子はゲンナリとしてしまう。

 「何処をどうしたらそう思えるのよ?」

 ゲンナリとする涼子に正樹はアッケラカンに返した。

 「昔なら、あの子の脚と猫ちゃんに1発ずつブチ込んでからスタートしてる身としては穏便に済ませたと思うんだよね」

 過去に今言った事を実際に何度も行って来た。
 時には問答無用で、相手の目の前で相手が最も大事にする者達を殺しもした。
 勿論、コレも何度も実行して来た。
 それ故、正樹は今回の"アポ無し訪問"は穏便かつ優しい遣り方と宣う。
 流石の涼子も正樹にドン引きしてしまう。

 「って明言するデモンストレーションの何処が穏便で優しいのよ?」

 涼子の言う通りであった。
 慎重に隠し続けている大事な者達の居る聖域を特定し、更にはその聖域へアポ無しで土足で踏み込む……
 それはお前とお前の大事なモノを何時でも殺せる。
 正樹が実行したアポ無しはそう言う事なのだ。
 しかし、正樹はさも当然の様に言う。

 「言葉だけでは意味が無い。なら、力とセットで言葉を伝えれば良い……そうすれば、相手は嫌でも言葉に耳を貸さざる得ない。違うかな?」

 正樹の言葉は認めるのが不愉快極まりないが、正論であった。
 それ故……

 「否定はしない」

 涼子はコレしか言えなかった。
 そんな涼子に正樹は尋ねる様に言う。

 「君だって似た事をして来たんじゃないのか?」

 正樹の問いに涼子はさも当然の様に答えた。

 「その前に全部終わらせてたから、無いわね」

 涼子から返ってきた答えに正樹は降参してしまう。

 「俺の負けだな」

 「何の勝負してたのよ?」

 呆れる涼子に正樹は尋ねる。

 「それより、どうする?此方のスタンスと要求は明確にしたし、向こう島津涼介も俺達を利用したい腹積もりの様だから上手く事が運ぶと見て良い……」

 正樹から尋ねれると、涼子は答えた。

 「そうね……早目の夕飯食べて、"一発シケ込まない"?」

 突拍子も無い答えが返って来ると、今度は正樹がゲンナリとしてしまう。

 「飯は良いけどよ、お誘いが来るとは思わねぇわ」

 呆れ混じりに言われると、涼子は言う。

 「昨日、"ちょっと"派手に暴れたのよね……だからそのせいかな?ムラムラしてんのよ」

 「なら、お誘いに甘える事にするか……ブッチャケ、俺も女抱きたい気分でな」

 そう言う事になった。



 後書き
一番効果的で一番エゲつない事を平然とやるのが正樹みたいなプロなのよ…
今回は正樹と涼子はマジで丸腰だし、穏便な話し合いで済んでるけどさ、
正樹の手にサプレッサー付きの拳銃とかが握られていたら?って恐怖は半端ないだろうね…

特に愛する我が子と共に居る所を狙って現れたら尚更でしょ?

だから、涼子は自分の事を棚上げしてドン引きしたんよ…

で、自分も似た様な事を沢山したり、させて来たビジネスマンこと島津 涼介は素直に負けを認めた
その上、正樹に貸しすら与えた…

なので、コレが勝負とするなら引き分けになるのかな?
でも、御互いにウィンウィンではある←

正樹は要求呑ませる事に成功した
ビジネスマンは貸しを作る事が出来た。その上、タケさん側とは無関係な面倒な仕事を依頼出来る状態を作れた…かもしれないから

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