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最低なネタバレ
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正樹と涼子「どいつもこいつも最低のクソ野郎しか居ねぇ!!!
この2人が本心からこう言いたくなる回←
1度目の偵察を終えた翌日の朝。
正樹と涼子の仕事用のスマートフォンに一通のメッセージが来た。
送り主はビジネスマンこと島津 涼介。
内容は今日の昼下がり、和平会談を行うと言ったモノであった。
2人は相談した上で会談に参加する旨で応じると、互いに電話で相談していく。
「罠の可能性、有ると思う?」
涼子から問われると、正樹は他人事の様に返した。
「罠かもなぁ……俺達が揃った所で殺れば、勝利する。そう思ってるだろうしな」
罠である可能性は高かった。
寧ろ、罠を疑わない方が愚か。
そう言わざる得ない状況である。
正樹が罠の可能性を認めると、涼子はハッキリと意思を告げる。
「その時は容赦無く、当日に仕掛けるわよ」
「そうしてくれ。その時は止めないし、俺も今までの報いを返しに行く」
2人は罠である事を期待していた。
罠であるならば、天下御免で大義名分の下。
好き放題に連中を皆殺しに出来る。
そんな事を話していると、ビジネスマンから再びメッセージが送られて来た。
「会談が上手く行かずに戦争になった場合、私とパートナーは君達側に着く。その際、君達への協力は惜しまない事を確約する」
メッセージの内容が真実であるならば、2人の大人は連中をトカゲの尻尾切り宜しく関係を断つ様だ
正樹は返信せず、涼子にメッセージ越しに尋ねる。
「君はどう思う?」
問われた涼子は思った事をそのまま送った。
「罠の可能性も視野に入れた上で使いましょう。その方が貴方にとっても都合が良いでしょ?」
涼子から送られた言葉に正樹は同意。
だが、同時に1つの可能性も示唆する。
「それはそうだ。だが、此方の要求を呑んでくれるフリして俺達を殺ろうって可能性も捨て切れない」
ビジネスマンと警察官僚にすれば、自分達は危険過ぎる存在。
自分達の悪行と関係を知る2人の口を永遠に閉じたい思惑を有していてもおかしくない。
それ故、正樹は口封じの為に自分達を殺そうとして来るのではないか?
そんな可能性を述べた。
だが、涼子は気にする事無く返す。
「その時は可哀想な結末を迎え、私達は少しばかり残念と思うだけでしょ?」
涼子の言葉に正樹は納得すると、指揮官として方針を通達した。
「それもそうだな。取り敢えず、連中が口封じに動いた時は容赦無く殺る方針で」
正樹の通達に涼子が異論を挟む事は無かった。
「意義無し」
涼子が承諾すると、正樹は命令を下達する。
「俺は武器を持ち込まない。君も持ち込むな」
その言葉に涼子は首を傾げながら尋ねる。
「正気?」
涼子の問いに正樹はハッキリと答えると、その理由も告げた。
「正気だ。此方が非武装である事を示した上で仕掛けて来るって言うなら、ソレこそ俺達にとって望む展開ってもんだし、根回しの為に説得する手間も省けるってもんだ」
正樹の理由説明に涼子は呆れ、思わずボヤいてしまう。
「頭イカれてるわね。でも、そう言う賭けは嫌いじゃないわよ」
そうボヤいた涼子は正樹に告げる。
「武器が必要になったら私が用意してあげる」
涼子の言葉に正樹は要求する。
「ゴツくて派手なのを頼む。後、弾もドッサリとな」
正樹の要求に涼子は快諾すると、会談の遣り取りを丸投げした。
「任せなさい。後、会談は全て貴方に一任するからヨロシク」
涼子から会談を丸投げされた正樹は承諾する。
「余計な事は言うなよ」
「解ってる」
そう返せば、2人の遣り取りは終わった。
スマートフォンで時間を確認すると、指定の時間までタップリと時間があった。
涼子はそれまでの間、時間を有意義に潰す為に着替えを始める。
3分後。
ジーンズに半袖のボタンダウンと言ったケンタッキー州から来たマイラーのウマ娘の様な出で立ちになると、涼子は自室を後にした。
家を出る前にリビングで家事に勤しむ母親に出掛けて来る事を告げると、母親から問われる。
「学校で襲われた件……貴女の抱えてる問題と関係あるの?」
母親から問われると、涼子は正直に答えた。
「残念だけど有る」
涼子が認めると、母親は辟易としながら嫌味を少し交えて想いを告げる。
「貴女の母親してる私としては、愛する娘の貴女には真っ当な生活を送って欲しいんだけど?」
辟易とする母親に涼子は正直に自分の想いを吐露した。
「私だって真っ当な生活を送りたいわ。それに抱えていた問題を解決したと思ったら、別の問題がポップアップして嫌ンなる」
正直に想いを吐露する愛娘たる涼子に母親は尋ねる。
「その問題が解決すれば、真っ当な生活を送れる様になるの?」
母親から問われた涼子は正直に想いを答えた。
「そうなる事を祈りたいんだけどね……」
涼子の答えに母親は呆れと諦め混じりに言う。
「駄目そうなのね」
「私だって暴力に満ちた人生は嫌よ?でも、向こうが仕掛けて来るんだもん」
子供っぽく言う涼子に母親は真剣な眼差しと共に問うた。
「貴女がしている"仕事"とやらは、辞められないの?」
真剣に問われると、涼子は正直に答える。
「辞めたいわ。でも、私の代わりをしてくれる奴は居ないし、雇い主は辞めさせてくれなさそうなのよね」
嘆く様に答えた涼子に母親は仕方なさそうに告げる。
「なら、さっさと問題解決して帰って来なさい。貴女が何をしているのか?私は知らないけど、此処は貴女の家で私は母親……だったら、娘の帰りをヤキモキしながら待つわ」
優しい言葉と共に自分を送り出してくれる母親に涼子は心の底から感謝した。
「ありがとう。お母さん」
感謝した涼子はリビングを後にすると、家を後にするのであった。
約1時間後。
涼子は上野に来て居た。
待ち合わせの時間までは数時間後以上あった。
タップリある待ち時間を有意義なモノにする為、涼子は手始めに駅の直ぐ近くにある"アメ横"へと足を運んだ。
アメ横は多数の海外からの観光客で賑わっており、人々の喧騒に満ち溢れていた。
そんなアメ横を散策して行くと、下町の飲み屋と言う趣きに溢れた一軒の飲み屋が目に付いた。
飲み屋では明るい内と言うのに、アルコールと名物のもつ煮を大いに楽しむ客達で賑わっている。
そんな飲み屋の一席で、もつ煮を肴にビールをジョッキで煽る正樹の姿を見付けると、涼子は呆れてしまう。
「傍目から見たら完全にオッサンやん」
そうボヤいた涼子は自然に流れる様に正樹の向かいに座ると、呆れ混じりに尋ねる。
「良いの?和平交渉前に酒なんて飲んで?」
涼子に尋ねられた正樹はビールを一口飲むと、暢気に返した。
「どうせポーズでしかない。それにビール一杯程度なら酒飲んだ内に入らねぇよ……後、オッサンなのは認めるが、言われると地味に傷付く」
正樹に言われると、涼子はキッパリと言う。
「どー見ても飲んだくれのオッサンじゃない」
涼子に正樹は尋ねる。
「お前も飲むか?」
「飲まねぇわ」
そう返した涼子はもつ煮とソフトドリンクを注文した。
もつ煮とコカコーラが来ると、涼子はもつ煮を味わい始めた。
2人で黙々ともつ煮を食べ、飲み物を空けていく。
そうして、もつ煮が盛られた器が空になれば、涼子は正樹に問うた。
「貴方、気づいてる?」
思わせ振りな問いに正樹は質問で返す。
「何にだ?」
すっとぼけているのか?
気付いた上で試しているのか?
何れにしろ、涼子は正樹が気付いていない訳が無い。
そう睨んでいた。
だが、確認も兼ねて涼子は敢えて口にする。
「今回の件よ」
「あぁ、ソレね……俺の意見としてはハッキリ言うなら、最初から全ておかしい。そう言わざる得ない」
涼子の睨んだ通り、正樹は気付いて居た。
そんな正樹に涼子は意見を求める。
「貴方はどう見てるの?」
「そうだな……一言で言うなら、とんだ茶番。コレに尽きるな」
正樹は今回の一連の件を茶番と断じた。
そんな正樹に涼子は敢えて尋ねる。
「どう言う所が?」
「先ずは最初の尾行だ。本気で俺達に釘を刺すにしても態々、トーシローのカカシ共を使う理由は何だ?確かに俺達に向けたメッセージとして有効ではある。だが、其処で異世界帰りのトーシロー共を用いる理由が考えても一向に見当たらない」
正樹の言葉に涼子は「確かにそうね」と、納得。
そんな涼子に正樹は言葉を続ける。
「次に俺達が釘を刺した後だ。此処は確証も証拠も無い。だが、マジで応じるつもりなら連中が勝手な真似をしない様に抑え込んでいる所だ。余計な面倒を拵える理由なんざ無いんだからな」
正樹の言葉に耳を傾ける涼子は「確かに貴方の言う通りね」そう返し、理解して納得する。
そんな涼子に正樹は更に言葉を続けた。
「その余計な事をさせた事で俺達は望まず連中と揉める結果になり、あの2人は面倒を拵える羽目にもなった」
正樹がそう言うと、涼子は可能性の1つを問う。
「あの2人の職務怠慢。そうは考えないの?」
涼子が挙げた可能性に正樹は煙草に火を点すと、否定で返した。
「すぅぅ……ふぅぅ……俺も最初はそう考えた。だが、あの2人は曲がりなりにもプロの側だ……方や裏社会の大物。方や司法機関の御偉いさん。こんな大物がそんなミスをするか?俺の経験則から言わせて貰うなら、ハッキリ言ってあり得ない」
「聞いた私が言うのも何だけど、貴方の意見に賛成よ」
正樹の意見を涼子も同意見である。
そう返すと、涼子は正樹に疑問をぶつけた。
「だとしたら、此処まで面倒を放置する理由は何なの?」
涼子が疑問に感じる最大の謎を口にすると、正樹は「俺の私見だし、仮説でも良いか?」そう前置きしてから、仮説とも言える私見を紫煙混じりに述べていく。
「すぅぅ……ふぅぅ……恐らくだが、あの2人は最初から俺達に連中を始末させる腹積もりって可能性が高い」
正樹から突拍子も無い仮説とも言える私見を告げられると、流石の涼子も首を傾げてしまう。
「どう言う事?」
「先ずは俺達だ」
「私達が何?」
イマイチ要領が掴めぬ涼子に対し、正樹は煙草を燻らせながら説明する。
「俺と君の共通点、1つ目は異世界帰りである事。時代が違えど、同じ異世界である云々とかを差し引いても俺と君は異世界帰りである事は事実だろう?」
「えぇ、そうね」
涼子が自分の言葉を認めて肯定すると、正樹は次の共通点を述べていく。
「次の共通点は俺と君は本来の雇い主に出会う以前は一応、平和な世界で平穏に慎ましく生きていた事だ。君、帰った後に何かヤラかしてたりしないよな?」
共通点と共に質問を投げられると、涼子は前者を認めると共に後者に関して答えた。
「とあるクラスメイトの悩みを解決した以外は慎ましく平穏に過ごしていたわ。勿論、その悩み解決で派手な事は一切してないし、誰にも迷惑を掛けていないわよ」
涼子が答えると、正樹は先述した第2の共通点に関して説明を続ける。
「何れにしろ、俺と君は慎ましく平穏に暮らして居た事に変わりない訳だ」
益々要領が得られない事に涼子は少しの苛立ちと共に問うた。
「何が言いたいの?」
少しばかり苛立つ涼子に正樹は敢えて質問で返す。
「俺や君。それに連中の共通点は異世界帰りって言う点なのは解るな?」
「えぇ、そうね」
「だが、連中と違う点は俺達は分別があり、連中には無いって点だ」
正樹が自分達と連中の違いを告げれば、涼子は納得する。
「まぁ、そう言われるとそうね」
「其処があの2人の思惑に関係すると思われる1つ目の点だ。次は君が何時だったか、本来の雇い主から面倒を片付けろって言われた時だ」
何時だったかの面倒。
ソレは愛する実の娘が異世界に勇者として召喚された数十人の被害者達の件に他ならなかった。
哀しい結末を迎えた件に触れられると、涼子は悲痛な面持ちを浮かべてしまう。
「その件が何?どう関係してるって言うの?」
涼子が悲痛な面持ちと共に問えば、正樹は敢えて質問で返した。
「君はその時、俺達の本来の雇い主かビジネスマンから皆殺しにしろって命じられた……合ってるか?」
「えぇ、そうよ。助けたかったけど助けられなかった……圧倒的な力が持ってても駄目な時は駄目って改めて思い知らされたわ」
正樹の問いを涼子が認めると、正樹は「ソレがあの2人の脚本の根幹だ」と告げた。
涼子は正樹の言葉に項垂れてしまう。
「最悪……要するに私達は良いようにあの2人に踊らされた訳?」
ウンザリとした声でボヤく涼子に正樹は他人事の様に返した。
「ある意味、俺達みたいなロクデナシの有効活用だな。自分達は危険を犯さず、手を汚す事も無く面倒を片付けさせるって意味では……とは言っても、コレは俺の推論にも満たん仮説な私見だから本当の所は知らねぇよ?」
正樹の仮説は一言で言うならば、あの2人によって連中の始末を押し付けられた。
そう言う事であった。
そんな仮説に涼子は益々ウンザリとしてしまう。
「ホント最低」
涼子も薄々ながらも感じていた。
だからこそ、正樹に気付いているか?
敢えて、問うた。
否定したいが為に。
そんな涼子に正樹は仮説の続きを述べていく。
「俺の仮説通りなら、連中を焚き付けたのも恐らくはあの2人と見て良いだろうな……恐らくだが、コレに俺等の本来の雇い主も一枚噛んでると見るべきだろうな」
正樹の仮説の続きを聞いた涼子であったが、驚かなかった。
「でしょうね……じゃなかったら、戦争の許可下ろさないでしょ?」
「なら、正解か?確認してみ……」
「その必要は無いぞクソガキ共」
正樹がスマートフォンを取り出し、本来の雇い主に電話しようとした矢先。
久し振りに聴く男の声がした。
声の方を見ると、其処にはタケさんの姿があった。
「久し振りだなクソガキ共」
アロハシャツにジーンズ姿のタケさんは陽気に挨拶すると、涼子の隣にドカッ座ってハイライトを咥えて火を点した。
美味そうに煙草を燻らせ、紫煙を吐き出すタケさんに正樹は問う。
「オッサン、俺の仮説は合ってるのか?」
「おう。全問正解だ」
正樹の問いにタケさんは悪怯れる事無く陽気に肯定すると、涼子は毒づいた。
「ふざけんなクソジジイ。お陰で私の平穏な生活が台無しよ」
怒りを露わにする涼子にタケさんはシレッと返す。
「仕方無いだろ?お前さん等には連中が倒すべき悪役って役割を背負わせざる得ねぇし、お前さん等に連中を殺れって命じても納得出来ないなら殺らねぇだろ?」
そう宣ったタケさんに涼子は怒気混じりに言う。
「こんなクソみてぇな脚本に踊らされるよりはマシよ」
涼子が怒りを露わにすると、正樹も苛立ち混じりにタケさんに告げる。
「全く以てその通りだ。クソみてぇな脚本書きやがって」
「そう言うな。あの2人にすれば、お前さん等は連中の同類なのか?ソレも含めて実力を見極める必要があったんだ」
タケさんからあの2人……島津 涼介と鮫島 明の思惑を告げられると、涼子は毒を交えて吐き捨てた。
「なーにが見極めるだ。ふざけやがって」
そんな涼子に便乗する様に正樹も吐き捨てる。
「こんなクソみてぇな状況にしてくれたお陰で俺達の本来の予定を台無しにすんじゃねぇよ、クソジジイ」
2人は大神たるタケさんに向かって暴言を吐いていく。
だが、タケさんが2人を責める事は無かった。
「いやぁ、俺相手に其処まで暴言吐くたぁ……相変わらず良い度胸してんなぁ、まるでロケマサとチャカシンを目の当たりにしてる気分だぜ」
愉快そうに言うタケさんに涼子と正樹は益々苛立ってしまう。
だが、この場で殺しに掛からない辺り。
2人は未だ冷静であった。
「クソジジイ、あの2人に伝えとけ……次に嘗めた真似したらお前等相手に戦争するぞってな。後、連中を始末してやるから俺が要求するモノを全て揃えとけってのも忘れるな」
正樹はそう吐き捨てて立ち上がると、勘定を済ませて立ち去った。
涼子も正樹の後を追うように立ち上がると、タケさんに対して濃厚な殺意を込めて睨み付けながら告げる。
「次、嘗めた真似しやがったら縊り殺すぞクソジジイ」
涼子の殺意にタケさんは涼しそうな顔で返した。
「おう。その時は遠慮せずに何時でも来いや」
「じゃ、私の分は払っといて」
そう言い残すと、涼子は正樹の後を追って賑やかな人混みの中へと消えた。
独り残されたタケさんは用が済んだ。
そう言わんばかりに暢気に日本酒ともつ煮を頼むと、現世を謳歌するのであった。
後書き
正樹や涼子。それに連中という存在がある以上、他にも異世界帰還者は居る可能性は捨て切れない
それどころか、表面化してないだけで多数存在する可能性の方が濃厚
あ、涼子のクラスメイトにも2人ほど帰還者居るよ←
大概は平和な生活を過ごし、折り合いを付けて問題を起こす事無く平穏かつ慎ましく生きている
まぁ、何時だったかの退魔師やらエクソシストやら、天使に悪魔とかのオカルトやファンタジー絡みも居るんだから異世界帰還者が居てもおかしく無いよね?って事…
まぁ、何れにしろ涼子と正樹はメッチャキレてる事には変わり無い←
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