いろはにほへと ちりになれ!

藤丸セブン

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五十一限目 敬語ギャルってかなり少ないよね、気のせい?

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 ギャルとは。若い女性を意味する言葉で、特に流行のファッションやメイクを取り入れ、明るく社交的な特徴を持つ女性である。
「俺は泣いた。オタクに優しいギャルなんて存在しないんだよ」
「む、鬼を殺す話の鬼のコラ画像なんてニッチな人しか分からない」
 
 <五十一限目 敬語ギャルってかなり少ないよね?気のせい?>
 
「石森ぃぃぃい!」
 時は夕暮れ。波留と六花と別れ一人帰路に着くいろはに聞き慣れた声が接近してきた。戸部透である。
「チェストォォォォォ!」
「ぐはっ!!」
 全力で走ってくる透にいろはは見事なボディブローを食らわせてみせた。
「な、何するんだ」
「おお、こいつを受けて倒れねえとは。いいだろう話を聞いてやるよ、急いでんだろ?」
 いきなり殴ってきたのは解せないが話が早いのは実に助かる。訳あって透は今凄く急いでいるのだ。
「匿ってくれ!僕はそこの草木の影に隠れるから髪の毛をプリンにした奴が来たらあっちに行ったって言ってくれ!」
 そういうが早く透は即座に公園の草木の中へと身を潜めた。
「なんだそりゃ。髪の毛がプリンの奴なんぞいる訳」
「そこの人ー!すみません!この辺に急いでそうな男性を見ませんでしたかー!?」
「おん?」
 透が隠れたすぐ後にいろはに声をかけてくる女性が一人。顔は幼さが残る童顔。胸囲は中の下といったところか。冬だと言うのに生足を出しており、何より髪の毛が金髪だが上の方は地毛が生えてきており所謂プリンと呼ばれる状態になっていた。そして何より、いろはと同じ制服を着ていた。
「後輩か?」
「はい恐らく!初めまして!あーしは流川瑠美って言います!」
「よろしくな。私は石森いろはだ」
 人懐っこく握手を求めてくる瑠美にいろはも握手で応じる。いろははコミュ力は高い方なので初めて会った瑠美とも躊躇なく握手する事が出来る。
「それでいろっち先輩!急いでる男の人見ませんでした?」
「先輩はいらねえよ?私達の仲だろ」
「へへっ!そうですね!」
 いろはが小っ恥ずかしそうに鼻を掻くと瑠美も満面の笑みで答える。この数秒の間に二人はどの様な仲になったというのか。これが全く分からない。
「そんで探してんのは遊び人だろ?そこにいるぜ?」
「あ!本当だ!」
「ぎくっ!」
 透は賢い。いろはと瑠美の様子を見て裏切られる様な予感がしていた。その為二人が話をしている間に気づかれない様に逃げようとしていた所、いろはに告げ口された。
「もーう!逃げないで下さいよー!旦那様!!!」
「ちっ!違うんだ石森!!これはこの子が勝手に呼んでるだけでそういうあれでは!!」
「えーっと、へっちゃんの電話番号は」
「話を聞いてくれぇぇぇぇ!!!」
  ◇
「話をしよう」
「お好きにどうぞ?」
 数秒後、落ち着いてきた透の言葉にいろははサラリと返す。元々いろはは大分落ち着いていたのだが透が話が出来る状況では無かったのだが。
「んじゃ質問な。そいつとはどういう関係だ?」
「いや僕も分からない。何故か今日急に旦那様って言いながら抱きついてきて」
「酷ーーーーい!!昨夜あれ程愛し合ったのにぃぃ!!」
 瑠美の言葉を聞いた後いろはが冷たい視線を透に送ると透は視線を逸らした。心当たりのある人の動きだ。
「つまりあれか?遊び人が遊んだ女の一人か?」
「そうですね!それであまりに相性が良かったのでこの人があーしの運命の人だと確信しました!」
「なんだそりゃ!?昨日の事は明日には持ち越さないって約束だったろ!?」
「仕方ないじゃないですかー!好きになっちゃったんですもん!」
 どうやら最初は遊びのつもりが付き合っている中で本当に好意を持ってしまった様だ。
「あ、そこ間違ってますよ。付き合ってるじゃなくて突き合ってるです」
 やかましい。
「つまりあれか。遊び人の自業自得って事か」
「そうかもだけどそうじゃない!最近は女の子を騙して行為に及ぶ事はしてない!お互いに遊びである事を条件に遊んでるんだぞ!!その条件を破ってるのはそっちだ!!」
「いやぁ照れますねぇ」
「何照れてんだ!?褒めてもいなければ貶してもいないぞ僕は!!?」
 確かにその話だけ聞けば透は悪くないのかも知れない。悪いのは一夜だけの関係であると約束をしていたのにその関係を延長しようとしている瑠美。
「いや、遊び人が悪いだろ」
 納得しかけたが透のやっている事は普通に外道のそれである。まず中学生がそういう事を初めて会った人とやっている時点で犯罪ギリギリ、というか普通に大人とやっていたら犯罪である。これはギャグコメディと言う名のフィクションだから許されるのであって現実では許されない。え?ギャグコメディでも許されない?・・・まじ?
「まあその辺の事はいいだろ。どうせこの話見てる人なんて殆どいねえんだし。お気に入り数ゼロだろ?」
 自己満足でやってるからいいんですぅ。それに今は二人いる!いつも感謝しております!こんな話読んでくれてありがとう!!!本当に!!!
「こほん!とりあえず僕は悪くない!もしかしたら少しは僕が悪いかも知れないけれどその条件で受けた彼女も同じ罪があるしその約束を破ってる彼女にはもっと非がある!」
「そうだな。けど私は遊び人の敵だ」
「何故!?」
「るっちゃんとはダチだから」
「僕とは違うってのかよ!!?」
 そう言われていろはは考え込む。そういえば考えた事もなかった。透、引いては本能寺や莉里斗は友達なのか。
「ダチかもな」
「だろう!?なら長い付き合いの方を優先してもいいんじゃないか!?」
「そんな!いろっち!あーし達親友ですよねぇ!?」
 二人して無関係のいろはに縋る。罪のあり方、罰の仕方。などなどを縋っているのかも知れないが、それをいろはに求めるのは間違っている。
「それを決めるのは私じゃねえだろ、なあま?」
「そうだな。それを決めるのはいろはではない」
 聞き慣れた声だった。透の背後から聞こえた幼い頃から聞き慣れた声。
「へ、蛇塚?」
 そこには透の幼馴染にして婚約者、蛇塚舳螺が仁王立ちしていた。
「い、いつから聞いてた?」
「ん?」
 透の問いにいろはが無言で答える。正確に言うと答えてはいないが答え合わせはしている。そう、いろはは自身のスマホを透に見せたのだ。そこには<へっちゃん>という文字と通話画面が映っていた。つまり、一区切り付いた後から既に電話は始まっており、三人の会話はそのまま舳螺の耳に届いていたのだ。
「いや!それならそれで助かる!説明の手間が省けた!分かってくれるよな蛇塚!?僕が愛しているのはこの世で君だけだよ!!」
「つまりあの世では浮気していると?」
「どうしちゃったんだよ蛇塚さん!!?普段絶対言わなさそうな事口走ってますけど!!?」
 普段は生真面目で透には甘い舳螺だが、最近いろは達と連んでいるせいで少しずつ変化が生まれてきている。このユーモアもそうだが、一番の変化は以前まで寛容すぎる程に寛容だった透の女癖への怒りである。
「話を聞いた所、あなたが旦那様の本命ですね!?あーしは」
「旦、那、様?」
「ひぃぃぃい!!」
 舳螺は一つの単語を発した瑠美に鋭い視線を送った。見ただけで相手を殺せてしまいそうな溢れんばかりの殺気と敵対心。瑠美は一瞬で蛇に睨まれた蛙と化した。
「これがへびにらみ。確かにどんな凶暴なポ⚪︎モンでも麻痺るなこれ」
 こんな時でもゲーム脳ないろはだが、若干いつもより声が抑えめである。無関係ないろはにもへびにらみは効いている様だ。
「い!いえ!あーしは怯みませんよ!あーしは旦那様との関係を続けたいです!!」
「ほう」
「ぴぃぃぃぃい!泣きそうですぅぅ!!」
 大粒の涙を滝の様に流しながらも瑠美は引かない。そこまでする価値が透にあるのだろうか。いや無い。
「勿論結婚したいとは言いません!愛人!いいえ、第二婦人にして下さい!!」
「マジか君」
 勿論日本というこの国に置いて重婚は認められていない。しかし、形だけならそういった形式を取る事も不可能では無い。
「ここで死ぬか?」
「お願いしますぅぅ!!奥様ぁぁぁぁ!!!」
「っ、奥、様」
 舳螺の敵意の圧が、一瞬緩んだ。
「はい!奥様です!あなた様こそが戸部透様の妻!伴侶!永遠の愛を誓う女性です!!!」
「そ、そうか」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!!?そこで怯んじゃダメだろへっちゃん!!?」
 舳螺は中学生だ。当然誰かの妻と呼ばれる経験などない。が、そう呼ばれる事があまりに嬉しかった。
「当然奥様より先に旦那様の愛を受ける事などしません!全てにおいて奥様優先です!!あーしを奥様と旦那様の召使にして下さいぃぃぃぃい!あわよくば愛を」
「っっっっっ、一旦保留だ!ひとまずダーリンには手を出すなよ!!!」
「はぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃい!!!!」
 舳螺のこの甘い判断は吉と出るのか、それとも凶と出るのか。それは、作者ですら分からない。
「いざとなったら処理は任せて貰おう」
 竜斎さん!ただでさえ今回犯罪ギリギリのあれなんで余計な事は言わないで下さい!!!
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