194 / 310
一触即発
しおりを挟む
「うむ、妾に勝負を挑む気じゃな?」
喉元に剣を突きつけられるも、ウルリカは余裕綽々と笑みを浮かべる。
「ちょうど退屈しておったのじゃ、楽しく勝負といこうなのじゃ!」
一見すると剣を突きつけられているウルリカ様の危機的状況。しかし本当の危機的状況にあるのは、剣を突きつけているハミルカルの方である。
なにしろ最強無敵の魔王様に向かって、無遠慮に剣を突きつけているのだ。
「ダメですわよウルリカ!」
「大人しくしてくださいっ」
「捕まえました、はぐっ!」
「むぎゅ!?」
オリヴィア、シャルロット、ナターシャの三人は、咄嗟の連携でウルリカ様にギュッ抱きつく。三方向から友達に抱きつかれては、最強無敵の魔王様といえども自由に動けない。
どうにか危機的状況は回避、と思いきや──。
「ちょっと! どうしてその子供を守るのよ!」
「違いますわ、ウルリカを守ったのではなく──」
「うるさいわよ!」
危機的状況にあったことを知らないエリッサは、自分勝手にギャンギャンと喚き散らすばかりだ。
「その子供に謝らせなさい!」
「代わりにワタクシからお詫びしますわ、本当にごめんなさい」
「嫌よ! その子供に謝らせて!」
「のうロティよ、妾は誰と勝負をすればよいのじゃ?」
「誰とも勝負してはダメですの!」
「なんじゃ、退屈なのじゃ……」
喚くエリッサを宥めながら、同時にウルリカ様の相手をしなくてはならない。ウルリカ様とエリッサの間でシャルロットは大忙しだ。
ちなみにノイマン学長は、ウルリカ様に平伏すばかりで一切役に立っていない。
「シャルロット! 早くその子供に謝らせなさいよ!」
「お願いエリッサ、ワタクシからのお詫びで許して──」
「嫌って言ってるのよ! 私は南ディナールの王女なのよ、私の言うことを聞きなさいよ!」
「きゃっ」
癇癪を起したエリッサは、宥めようとするシャルロットを突き飛ばしてしまう。感情を抑えきれず振るった暴力、それは決して許されない行為だった。
「お主……」
「なによ……ひっ!?」
「妾の友達に手をあげおったな……?」
底知れぬ暗闇、そう錯覚させるほどの濃密な殺気。身勝手なエリッサの行いは、ウルリカ様の逆鱗に触れてしまったのである。
「お下がりくださいエリッサ様!」
「邪魔なのじゃ」
ハミルカルの構えた剣を、ウルリカ様は素手でポッキリへし折ってしまう。怒れるウルリカ様を力で止められる者など、この世には存在しないのだ。
今度こそ一触即発というところで、シャルロットは慌ててウルリカ様を止めに入る。
「待ってウルリカ、ワタクシは大丈夫ですわ!」
「この者はロティに暴力を振るったのじゃ。友達を傷つける者を、妾は決して許さんのじゃ……」
「ワタクシのために怒ってくれることは嬉しいですわ。でもお願いウルリカ、今回だけは許してあげて?」
「むう……ロティがそう言うならば仕方ないのじゃ」
「ありがとうウルリカ、大好きよ」
まさに間一髪、シャルロットの説得によりウルリカ様は殺気を収める。
その隙を逃すまいと、脱兎のごとく逃げ出すエリッサとハミルカル。
「いくわよハミルカル! 早く!」
「は、かしこまりました」
「おっと、お待ちくだされエリッサ様」
「ああもうっ、それではワタクシ達は失礼しますわ」
逃げた二人を追いかける、シャルロットとノイマン学長。
走り去る四人の背中を眺めながら、ウルリカ様はクッキーをポリポリ。先ほどまでの殺気はどこへやら、相変わらず呑気なものである。
「むぅ、また退屈になってしまったのじゃ」
クッキーを頬張りながら、小さく不満を口にするウルリカ様なのであった。
喉元に剣を突きつけられるも、ウルリカは余裕綽々と笑みを浮かべる。
「ちょうど退屈しておったのじゃ、楽しく勝負といこうなのじゃ!」
一見すると剣を突きつけられているウルリカ様の危機的状況。しかし本当の危機的状況にあるのは、剣を突きつけているハミルカルの方である。
なにしろ最強無敵の魔王様に向かって、無遠慮に剣を突きつけているのだ。
「ダメですわよウルリカ!」
「大人しくしてくださいっ」
「捕まえました、はぐっ!」
「むぎゅ!?」
オリヴィア、シャルロット、ナターシャの三人は、咄嗟の連携でウルリカ様にギュッ抱きつく。三方向から友達に抱きつかれては、最強無敵の魔王様といえども自由に動けない。
どうにか危機的状況は回避、と思いきや──。
「ちょっと! どうしてその子供を守るのよ!」
「違いますわ、ウルリカを守ったのではなく──」
「うるさいわよ!」
危機的状況にあったことを知らないエリッサは、自分勝手にギャンギャンと喚き散らすばかりだ。
「その子供に謝らせなさい!」
「代わりにワタクシからお詫びしますわ、本当にごめんなさい」
「嫌よ! その子供に謝らせて!」
「のうロティよ、妾は誰と勝負をすればよいのじゃ?」
「誰とも勝負してはダメですの!」
「なんじゃ、退屈なのじゃ……」
喚くエリッサを宥めながら、同時にウルリカ様の相手をしなくてはならない。ウルリカ様とエリッサの間でシャルロットは大忙しだ。
ちなみにノイマン学長は、ウルリカ様に平伏すばかりで一切役に立っていない。
「シャルロット! 早くその子供に謝らせなさいよ!」
「お願いエリッサ、ワタクシからのお詫びで許して──」
「嫌って言ってるのよ! 私は南ディナールの王女なのよ、私の言うことを聞きなさいよ!」
「きゃっ」
癇癪を起したエリッサは、宥めようとするシャルロットを突き飛ばしてしまう。感情を抑えきれず振るった暴力、それは決して許されない行為だった。
「お主……」
「なによ……ひっ!?」
「妾の友達に手をあげおったな……?」
底知れぬ暗闇、そう錯覚させるほどの濃密な殺気。身勝手なエリッサの行いは、ウルリカ様の逆鱗に触れてしまったのである。
「お下がりくださいエリッサ様!」
「邪魔なのじゃ」
ハミルカルの構えた剣を、ウルリカ様は素手でポッキリへし折ってしまう。怒れるウルリカ様を力で止められる者など、この世には存在しないのだ。
今度こそ一触即発というところで、シャルロットは慌ててウルリカ様を止めに入る。
「待ってウルリカ、ワタクシは大丈夫ですわ!」
「この者はロティに暴力を振るったのじゃ。友達を傷つける者を、妾は決して許さんのじゃ……」
「ワタクシのために怒ってくれることは嬉しいですわ。でもお願いウルリカ、今回だけは許してあげて?」
「むう……ロティがそう言うならば仕方ないのじゃ」
「ありがとうウルリカ、大好きよ」
まさに間一髪、シャルロットの説得によりウルリカ様は殺気を収める。
その隙を逃すまいと、脱兎のごとく逃げ出すエリッサとハミルカル。
「いくわよハミルカル! 早く!」
「は、かしこまりました」
「おっと、お待ちくだされエリッサ様」
「ああもうっ、それではワタクシ達は失礼しますわ」
逃げた二人を追いかける、シャルロットとノイマン学長。
走り去る四人の背中を眺めながら、ウルリカ様はクッキーをポリポリ。先ほどまでの殺気はどこへやら、相変わらず呑気なものである。
「むぅ、また退屈になってしまったのじゃ」
クッキーを頬張りながら、小さく不満を口にするウルリカ様なのであった。
0
あなたにおすすめの小説
身寄りのない少女を引き取ったら有能すぎて困る(困らない)
長根 志遥
ファンタジー
命令を受けて自らを暗殺に来た、身寄りのない不思議な少女エミリスを引き取ることにした伯爵家四男のアティアス。
彼女は彼と旅に出るため魔法の練習を始めると、才能を一気に開花させる。
他人と違う容姿と、底なしの胃袋、そして絶大な魔力。メイドだった彼女は家事も万能。
超有能物件に見えて、実は時々へっぽこな彼女は、様々な事件に巻き込まれつつも彼の役に立とうと奮闘する。
そして、伯爵家領地を巡る争いの果てに、彼女は自分が何者なのかを知る――。
◆
「……って、そんなに堅苦しく書いても誰も読んでくれませんよ? アティアス様ー」
「あらすじってそういうもんだろ?」
「ダメです! ここはもっとシンプルに書かないと本編を読んでくれません!」
「じゃあ、エミーならどんな感じで書くんだ?」
「……そうですねぇ。これはアティアス様が私とイチャイチャしながら、事件を強引に力で解決していくってお話ですよ、みなさん」
「ストレートすぎだろ、それ……」
「分かりやすくていいじゃないですかー。不幸な生い立ちの私が幸せになるところを、是非是非読んでみてくださいね(はーと)」
◆HOTランキング最高2位、お気に入り1400↑ ありがとうございます!
チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
《カクヨム様で15000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う
なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。
スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、
ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。
弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、
満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。
そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは――
拾ってきた野良の黒猫“クロ”。
だが命の灯が消えかけた夜、
その黒猫は正体を現す。
クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在――
しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。
力を失われ、語ることすら封じられたクロは、
復讐を果たすための契約者を探していた。
クロは瀕死のソラと契約し、
彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。
唯一のスキル《アイテムボックス》。
そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、
弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。
だがその裏で、
クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、
復讐の道を静かに歩み始めていた。
これは――
“最弱”と“最凶”が手を取り合い、
未来をやり直す物語
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる