魔王様は学校にいきたい!

ゆにこーん

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失踪

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 鮮やかな黄昏に染まり、山吹色に輝くロームルス学園。学期末の休暇中につき、辺りはシンと静まり返っている。
 どこか寂し気な敷地内を、シャルロットとナターシャは連れ立って歩いていた。どうやら下級クラスの教室塔から、学生寮へと向かっている模様。

「ウルリカが魔界へ旅立って二日、もの凄く静かになりましたわね」

「ウルリカさんのお世話から解放されて、リヴィはゆったり入学準備を進めています」

「自由を満喫していますわよね、でも少し寂しそうですわ」

「はい、やはり二人は一緒にいてこそです!」

 沈みゆく太陽が、二人をキラキラと照らし出す。残光に煌めくヨグソードの、美しいことこの上ない。

「ところでシャルロット様、いつまで寮におられるのですか?」

「今日までですわ、明日から合同軍事演習に合流しますの」

「いよいよですね、頑張ってください!」

「ええ、頑張りますわ!」

 シャルロットはグッと拳を握る、すると被っていた帽子がヒラヒラと宙へ。慌てて手を伸ばすも届かず、風のイタズラで校舎の中へ消えてしまう。

「あら、飛んでいっちゃいましたわ」

「私にお任せを、シャルロット様はこちらでお待ちください」

「友達を使い走りにはしませんわ、ナターシャは待っててくださいですの」

「友達……はい、分かりました!」

 ナターシャは両手を背中で組み、シャルロットを笑顔で見送る。何気ない「友達」という言葉を反芻し、嬉しそうに組んだ手をフリフリ。
 しばらくフリフリしていると、どこからか呻くような声が聞えてくる。

「う……うぅ……」

「ひえっ!?」

 驚いて辺りを見渡したところ、建物の隙間に人影を発見。じっくり目を凝らすと、なんと声の主は──。

「えっ、リィアンさん!?」

「ナタ……シャ……」

 なんと声の主はリィアンだったのである。どうやら酷いケガを負っているらしく、座り込んだまま動こうとしない。
 ナターシャは慌てて駆け寄り、倒れゆくリィアンの体を抱き起こす。

「リィアンさん! リィアンさん!」

「う……ナターシャ、助けて……」

「リィアンさん、一体どうしたのですか!?」

「ううぅ……ガレウス邪教団を抜けようとして、仲間割れになっちゃって……」

「そんな……っ」

 リィアンはグッタリとナターシャにもたれかかる、今にも意識を失ってしまいそうだ。しかし懸命に上体を起こし、ナターシャの肩に手を回す。

「私一人だと敵わなくて、なんとか逃げてきたの……。ねえナターシャ、助けて……」

「……えっ、リィアンさん?」

「ナターシャ……」

 そしてリィアンはナターシャを抱き締め──。


 ──────。

 ────。

 ──。


「お待たせしましたわ、どうしてあんな場所まで飛んで……ナターシャ?」

 すっかり日が沈んだころ、ようやくシャルロットは帽子を拾い戻ってくる。しかしそこにナターシャの姿はなく──。
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