295 / 310
闇の訪れ
しおりを挟む
天に被さる深い暗雲、広大無辺に轟く雷鳴。大気は震え、けたたましく嘶き、一帯の景色は歪に溶ける。
「おや、気色悪い魔力をお漏らししてるっすよー」
「湧きあがる魔力の奔流、今しばらく抑え込んでおくつもりだったが……残念ながら勇者アルテミアよ、もはや抑える必要はなくなった」
「いやそう言わず、ぜひ永遠に抑えててほしいっす」
「復活直後の肉体と魔力を馴染ませるため、魔力を抑え込んでいたのだ……だがもはや十分に馴染んだ、ここからは全開で相手をしてやろう」
溢れ出す闇の魔力は、重油のような粘性を帯びている。抑え込まれていたことで凝縮され、ドロドロと変質しているのだ。あまりにも濃く重い、この上なく異質な魔力である。
「力が有り余るとは、まさしく今の余を差した言葉だな」
「最悪っす、気色悪さ倍層っす」
「貴様等にとっての最悪はここからだ……ぬおおおっ!」
ガレウスは四本の腕を放射状に掲げ、勢いよく魔力を放出する。瞬く間に広がる様は、魔力の大氾濫といった様相だ。
「余を信奉する者に告ぐ、余の力の一端を受け取れ!」
「……これは、ガレウス様!」
「……ゴオオオオッ!」
広がる魔力はザナロワに、ヴァンナドゥルガに、ガレウスを信奉する全ての者に強大な力を授ける。
すなわちガレウスは自信の力を分配し、ガレウス邪教団そのものを強化しているのだ。まさに有り余るほどの力、魔力を有していなければ不可能な芸当である。
「そこまでっす、これ以上は──」
「邪魔はさせんぞ、出でよ我が眷属!」
「「「「「「ギュオオオォ!」」」」」」
「──うげっ!?」
ガレウスの呼び出し応じ、闇の濁流から六羽の怪鳥が飛び出してくる。
二対四枚の細長い翼、全身に生えた蠢く触手、敵を射すくめる三つの眼、並のドラゴンを凌駕する巨体。ガレウスに引けを取らない、邪神の眷属に相応しい異様さだ。
「我が眷属たる“兇鳥ギュエール”よ、しばらく勇者アルテミアと遊んでやれ」
「「「「「「ギュオオッ!」」」」」」
「ゴミの眷属だけあって、ゴミみたいに邪魔っすね!」
「「「「「「ギュオオオッ!!」」」」」」
「さっさと片づけるっすよ、神聖魔法──」
兇鳥ギュエールは並の魔物と比較にならないほど手強く、六羽を同時に相手取るとなれば、流石のアンナマリアでも苦戦は免れない。
とはいえアンナマリアの強さは別格である、苦戦はしても負けるようなことはない。斬撃と魔法を織り交ぜた高度な立ち回りで、一羽ずつ確実に沈めていく。
「これで最後っす……それっ!」
「ギュエエェ……ッ!?」
「はぁ……はぁ……、ああもう、無駄な時間を使わされたっす」
「こうも容易く我が眷属を退けるとは、勇者の名は伊達ではない……だが少し遅かったな、すでに余の魔力は全域へと広がった」
「うげぇ、気色悪い魔力まみれっす……ふぅ」
大量の魔力を放出したにもかかわらず、未だガレウスは溢れんばかりの魔力を漲らせている。
対照的にアンナマリアは疲弊している様子、やはりヨグソードなしの戦闘では限界があるのだろう。
「まったく面倒なことをしやがるっすね……」
「どうした勇者アルテミア、減らず口を忘れているぞ」
「おっと、まさかのご指摘っす。ははぁ、さてはまた私に口汚く罵られたくて下手な煽りを……気持ち悪っす!」
「まだまだ元気そうだな、そんな貴様に一つ教えよう……」
ガレウスは遥か彼方、沈む夕日で真っ赤に染まる地平線を差して一言。
「これより世界は夜を迎える、この意味は分かるな?」
日は沈み、闇に連なる者達の時間が訪れる──。
「おや、気色悪い魔力をお漏らししてるっすよー」
「湧きあがる魔力の奔流、今しばらく抑え込んでおくつもりだったが……残念ながら勇者アルテミアよ、もはや抑える必要はなくなった」
「いやそう言わず、ぜひ永遠に抑えててほしいっす」
「復活直後の肉体と魔力を馴染ませるため、魔力を抑え込んでいたのだ……だがもはや十分に馴染んだ、ここからは全開で相手をしてやろう」
溢れ出す闇の魔力は、重油のような粘性を帯びている。抑え込まれていたことで凝縮され、ドロドロと変質しているのだ。あまりにも濃く重い、この上なく異質な魔力である。
「力が有り余るとは、まさしく今の余を差した言葉だな」
「最悪っす、気色悪さ倍層っす」
「貴様等にとっての最悪はここからだ……ぬおおおっ!」
ガレウスは四本の腕を放射状に掲げ、勢いよく魔力を放出する。瞬く間に広がる様は、魔力の大氾濫といった様相だ。
「余を信奉する者に告ぐ、余の力の一端を受け取れ!」
「……これは、ガレウス様!」
「……ゴオオオオッ!」
広がる魔力はザナロワに、ヴァンナドゥルガに、ガレウスを信奉する全ての者に強大な力を授ける。
すなわちガレウスは自信の力を分配し、ガレウス邪教団そのものを強化しているのだ。まさに有り余るほどの力、魔力を有していなければ不可能な芸当である。
「そこまでっす、これ以上は──」
「邪魔はさせんぞ、出でよ我が眷属!」
「「「「「「ギュオオオォ!」」」」」」
「──うげっ!?」
ガレウスの呼び出し応じ、闇の濁流から六羽の怪鳥が飛び出してくる。
二対四枚の細長い翼、全身に生えた蠢く触手、敵を射すくめる三つの眼、並のドラゴンを凌駕する巨体。ガレウスに引けを取らない、邪神の眷属に相応しい異様さだ。
「我が眷属たる“兇鳥ギュエール”よ、しばらく勇者アルテミアと遊んでやれ」
「「「「「「ギュオオッ!」」」」」」
「ゴミの眷属だけあって、ゴミみたいに邪魔っすね!」
「「「「「「ギュオオオッ!!」」」」」」
「さっさと片づけるっすよ、神聖魔法──」
兇鳥ギュエールは並の魔物と比較にならないほど手強く、六羽を同時に相手取るとなれば、流石のアンナマリアでも苦戦は免れない。
とはいえアンナマリアの強さは別格である、苦戦はしても負けるようなことはない。斬撃と魔法を織り交ぜた高度な立ち回りで、一羽ずつ確実に沈めていく。
「これで最後っす……それっ!」
「ギュエエェ……ッ!?」
「はぁ……はぁ……、ああもう、無駄な時間を使わされたっす」
「こうも容易く我が眷属を退けるとは、勇者の名は伊達ではない……だが少し遅かったな、すでに余の魔力は全域へと広がった」
「うげぇ、気色悪い魔力まみれっす……ふぅ」
大量の魔力を放出したにもかかわらず、未だガレウスは溢れんばかりの魔力を漲らせている。
対照的にアンナマリアは疲弊している様子、やはりヨグソードなしの戦闘では限界があるのだろう。
「まったく面倒なことをしやがるっすね……」
「どうした勇者アルテミア、減らず口を忘れているぞ」
「おっと、まさかのご指摘っす。ははぁ、さてはまた私に口汚く罵られたくて下手な煽りを……気持ち悪っす!」
「まだまだ元気そうだな、そんな貴様に一つ教えよう……」
ガレウスは遥か彼方、沈む夕日で真っ赤に染まる地平線を差して一言。
「これより世界は夜を迎える、この意味は分かるな?」
日は沈み、闇に連なる者達の時間が訪れる──。
0
あなたにおすすめの小説
身寄りのない少女を引き取ったら有能すぎて困る(困らない)
長根 志遥
ファンタジー
命令を受けて自らを暗殺に来た、身寄りのない不思議な少女エミリスを引き取ることにした伯爵家四男のアティアス。
彼女は彼と旅に出るため魔法の練習を始めると、才能を一気に開花させる。
他人と違う容姿と、底なしの胃袋、そして絶大な魔力。メイドだった彼女は家事も万能。
超有能物件に見えて、実は時々へっぽこな彼女は、様々な事件に巻き込まれつつも彼の役に立とうと奮闘する。
そして、伯爵家領地を巡る争いの果てに、彼女は自分が何者なのかを知る――。
◆
「……って、そんなに堅苦しく書いても誰も読んでくれませんよ? アティアス様ー」
「あらすじってそういうもんだろ?」
「ダメです! ここはもっとシンプルに書かないと本編を読んでくれません!」
「じゃあ、エミーならどんな感じで書くんだ?」
「……そうですねぇ。これはアティアス様が私とイチャイチャしながら、事件を強引に力で解決していくってお話ですよ、みなさん」
「ストレートすぎだろ、それ……」
「分かりやすくていいじゃないですかー。不幸な生い立ちの私が幸せになるところを、是非是非読んでみてくださいね(はーと)」
◆HOTランキング最高2位、お気に入り1400↑ ありがとうございます!
チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
《カクヨム様で15000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う
なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。
スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、
ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。
弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、
満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。
そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは――
拾ってきた野良の黒猫“クロ”。
だが命の灯が消えかけた夜、
その黒猫は正体を現す。
クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在――
しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。
力を失われ、語ることすら封じられたクロは、
復讐を果たすための契約者を探していた。
クロは瀕死のソラと契約し、
彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。
唯一のスキル《アイテムボックス》。
そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、
弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。
だがその裏で、
クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、
復讐の道を静かに歩み始めていた。
これは――
“最弱”と“最凶”が手を取り合い、
未来をやり直す物語
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
Radiantmagic-煌炎の勇者-
橘/たちばな
ファンタジー
全てを創世せし神によって造られた、様々な種族が生息する世界──その名はレディアダント。
世界は神の子孫代々によって守られ、幾多の脅威に挑みし者達は人々の間では英雄として語り継がれ、勇者とも呼ばれていた。
そして勇者の一人であり、大魔導師となる者によって建国されたレイニーラ王国。民は魔法を英雄の力として崇め、王国に住む少年グライン・エアフレイドは大魔導師に憧れていた。魔法学校を卒業したグラインは王国を守る魔法戦士兵団の入団を志願し、入団テストを受ける事になる。
一つの試練から始まる物語は、やがて大きな戦いへと発展するようになる──。
※RPG感のある王道路線型の光と闇のファンタジーです。ストーリー内容、戦闘描写において流血表現、残酷表現が含まれる場合もあり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる