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16話 【スライム編最終話】ユーキの日常③の4
「出来た!これぞ〈スライム対応型伸縮自在のなんか凄い服、ボクバージョン〉~!」
タララ タ タラー!
ボクは出来上がった服を掴み、なんかそれっぽいポーズをしてみた。もちろん他には誰もいないからシーンとした空気が流れるが特に気にしない。このポーズとこの効果音にこそ意味があるのだ。
あの青い猫型ロボットが四次元的なポケットから未来道具を出す時って、なんだか独特な効果音が流れるよね。ん?もちろん、ただそれだけの感想のためだけに流したんだよ。
さて、未来型ロボットごっこも終えたことだし、そろそろあのスライムの様子を見にi『うにゃあ~っ!助けてください~っ!』ムシャムシャ「あぁあっ!ヴィーさんは食べちゃダメですよぉっ?!」ムシャムシャ。……行ったら、カオスだった。
ボクにそっくりな小さなボクが口いっぱいにヴィーを頰張っていて、フリージアが必死にヴィーを飲み込ませまいと引っ張っている。
『なんひゃか、くひひゃみひくなっひゃっへぇ~』
口寂しくなったからって、元神様をムシャムシャするのはどうかと思うよ。お腹を壊すといけないからペッしなさい。
「……ヴィーなんか食べても美味しくないだろう?」
『特に美味しくはないんですけど、癖になる味でした!』
なぜかドヤ顔のスライムに、やっぱり美味しくはないんだ。と思ってしまった。癖になる味ってことは……珍味?まぁ、別にヴィーなら食べられても……『ダメに決まってんでしょうがぁっ!!』冗談だってば、冗談。だから、ボクの思考を読むんじゃないよ。
「とにかく、もうヴィーを食べちゃダメだよ」
『はぁーい、おかーさん!』
ピシッ!と敬礼してくるスライムの目は真剣だ。どうやら本当にボクを親だと思っているようだけど、これからどうしたものかな……。
それからボクはそのスライムに教育を施すことにした。一応は親となったからには、最低限の事はしてあげないとね。やはりこのスライムは転生者のようで、基本的な事はだいたいわかっているようだ。ただ、ボクみたいな転移者とは違い転生者は今の記憶と前の記憶が混合するらしく仕様が違うらしい。さらに言えば、このスライムの前世や前前世とやらがあまりに過酷だった事も、スライムとなってはっちゃけた理由な気もした。しかし、元日本人でさらにこの世界の貴族に生まれ変わったのにそんな目にあって……最後はスライムか。確かに悲惨だ。運命だと言えば簡単だが、やはり一度拾ったら情だって湧くというものだろう。
約1ヶ月程だったが、キャンプ生活をしながらスライムと一緒に暮らした。記憶の混合のせいか、いまいちズレているこの世界の常識だったり、スライムになったせいで忘れている基本的な生活の仕方など。元日本人なのに、スライムに生まれ変わったせいでここまでサバイバルな性格に変わるなんて異世界は本当に不思議だよ。まぁ、合間の貴族令嬢の人生が酷すぎたせいで壊れたのも原因かもね。
ボクはこれでも情には深いほうなんだ。昔、捨て猫を拾ったらちゃんと寿命を迎えるまで飼ったし……その猫を虐めていたやんちゃ坊主にだってちゃんと報復だってした。面倒くさい事は嫌いだけど、守るべきものはちゃんと守るんだよ。
え、どんな報復をしたのかって……子供時代のちょっとしたイタズラさ。ただ、もう二度と同じ目には遭いたくないって思うくらいのことかな?
つまり、ボクが一度でも懐に入れたからには、ちゃんと守ると決めたってことだよ。
そしてボクはスライムの名付け親となった。名前を与え、常識を教え……スライムがなんだか本当の家族のように感じてきた頃。
『────ユーキさん!オスカーが近づいてきてますぅっ!!』
ここ数年、ずっとボクを追いかけてくる変態の名にボクとフリージアの間に張り詰めた空気が流れた。
「あいつ、まだ諦めてないのかい?」
「オスカー殿下はしつこいですね!ユーキ様は渡しませんよ!」
ヴィーはオスカー発見機としてはかなり優秀だ。あの変態王子に捕まったらろくでもない事にしかならないので、ヴィーが警告するたびに移動を繰り返しているのだ。
「よし、早くキャンピングカーで移動を……あっ」
名前をつけて教育をした、もはやボクの分身。しかし、スライムはこの森から移動することはできないのだ。それはヴィーから教えてもらった世界の契約でもあった。そしてこの子は、この森の守護神的な存在であったクイーンスライムの跡継ぎなのだ。
『……おかーさん』
不安気にボクを見るスライムの頭をそっと撫でる。
「ごめん、ボクはもういかなきゃいけないんだ。君をこの森から連れて行くのはダメだそうだから置いていくけど────」
ボクはスライムの額にちゅっと唇を落とし、抱きしめた。
「ボクは君の母親だから、必ずまたここにくるよ。すぐ戻ってくるから、待っていて。
あ、たぶんオスカーっていう変態おっぱい星人がここに来るだろうけど無視するか撃退していいから。教育に悪いから出来るだけ関わらないように!」
こくこくと素直に頷くスライムの頭をもう一度撫でて、ボクたちはキャンピングカーを走らせた。出来ることならあのスライムも連れていきたいがヴィーがマジモードで反対するから多分無理だろうと諦めることにしたのだ。とりあえず、しばらく分の食料の補充にとボクの開発した便利グッズをさらに山積みにしておいたし、見た目も普通の子供だ。人間に出会ったからといって突然襲ったり襲われたりはしないだろう。
「またね、“ディレット”」
例えスライムだとしても、これからの人生を楽しんで欲しい。そう願ってつけた名前。ディレットは名前を呼ばれて嬉しそうに微笑んでいた。
『────またね、おかーさん』
こうして、ボクはある意味我が子と生き別れになってしまった。これもそれも全部あの変態王子のせいだと思うとムカムカしてならない。ボクにそっくりなスライムの子。ボクの力を取り込み、遺伝子的にはボクの娘(または息子)となる存在だ。
────もういっそ、世界征服でもしてスライムが自由に生活出来る世界に作り変えるか?
なんて、不穏な事をボクが考えているなんて誰もきづかな『ダメですぅ────つ!それだけはダメですからねぇ────っ!!』ヴィーがまたもや必死に止めるからダメみたいだ。やだなぁ、いくらボクだって世界規模で何か出来るなんて思ってないよ。ジョーダン、ジョーダン……何そのジト目。……はぁ、それならせめて、あの子が生活しやすい物でも開発するかなぁ。と考えるのだった。
***
「ユーキ!俺のおっぱいはどこに?!」
ユーキたちがキャンピングカーで急いで旅立った数時間後。オスカーが現れた。「ここに確かにユーキの匂いが……」と鼻をくんくんと動かしている姿には王子らしき威厳は欠片もない。
『……あなたがおかーさんを困らせているおっぱい星人ですか』
オスカーの姿を確認したスライム……ディレットが殺気を纏って姿を現すと、オスカーは目を見開いて────歓喜したのだ。
「……おぉ!ユーキにそっくりな子供なんて────もしかして俺とユーキの子か?!ユーキめ、ずっと俺から逃げていたのにいつの間に俺の子を?!
よし、俺を父と呼べ!我が子よ────っぶべしっ!?」
気持ち悪い。ただ純粋にそう思って、ディレットはオスカーの顔面を殴り飛ばした。ユーキはおかーさんだが、決してこの男はおとーさんではない。これは前世云々ではなく、本能の訴えだった。
こうして気絶したオスカーを森の外へと排出し、しばらくは平穏な生活を過ごしたディレットだったが……。その後、再びユーキがこの森へやってくるまでに一悶着あったのは、また別の話。
タララ タ タラー!
ボクは出来上がった服を掴み、なんかそれっぽいポーズをしてみた。もちろん他には誰もいないからシーンとした空気が流れるが特に気にしない。このポーズとこの効果音にこそ意味があるのだ。
あの青い猫型ロボットが四次元的なポケットから未来道具を出す時って、なんだか独特な効果音が流れるよね。ん?もちろん、ただそれだけの感想のためだけに流したんだよ。
さて、未来型ロボットごっこも終えたことだし、そろそろあのスライムの様子を見にi『うにゃあ~っ!助けてください~っ!』ムシャムシャ「あぁあっ!ヴィーさんは食べちゃダメですよぉっ?!」ムシャムシャ。……行ったら、カオスだった。
ボクにそっくりな小さなボクが口いっぱいにヴィーを頰張っていて、フリージアが必死にヴィーを飲み込ませまいと引っ張っている。
『なんひゃか、くひひゃみひくなっひゃっへぇ~』
口寂しくなったからって、元神様をムシャムシャするのはどうかと思うよ。お腹を壊すといけないからペッしなさい。
「……ヴィーなんか食べても美味しくないだろう?」
『特に美味しくはないんですけど、癖になる味でした!』
なぜかドヤ顔のスライムに、やっぱり美味しくはないんだ。と思ってしまった。癖になる味ってことは……珍味?まぁ、別にヴィーなら食べられても……『ダメに決まってんでしょうがぁっ!!』冗談だってば、冗談。だから、ボクの思考を読むんじゃないよ。
「とにかく、もうヴィーを食べちゃダメだよ」
『はぁーい、おかーさん!』
ピシッ!と敬礼してくるスライムの目は真剣だ。どうやら本当にボクを親だと思っているようだけど、これからどうしたものかな……。
それからボクはそのスライムに教育を施すことにした。一応は親となったからには、最低限の事はしてあげないとね。やはりこのスライムは転生者のようで、基本的な事はだいたいわかっているようだ。ただ、ボクみたいな転移者とは違い転生者は今の記憶と前の記憶が混合するらしく仕様が違うらしい。さらに言えば、このスライムの前世や前前世とやらがあまりに過酷だった事も、スライムとなってはっちゃけた理由な気もした。しかし、元日本人でさらにこの世界の貴族に生まれ変わったのにそんな目にあって……最後はスライムか。確かに悲惨だ。運命だと言えば簡単だが、やはり一度拾ったら情だって湧くというものだろう。
約1ヶ月程だったが、キャンプ生活をしながらスライムと一緒に暮らした。記憶の混合のせいか、いまいちズレているこの世界の常識だったり、スライムになったせいで忘れている基本的な生活の仕方など。元日本人なのに、スライムに生まれ変わったせいでここまでサバイバルな性格に変わるなんて異世界は本当に不思議だよ。まぁ、合間の貴族令嬢の人生が酷すぎたせいで壊れたのも原因かもね。
ボクはこれでも情には深いほうなんだ。昔、捨て猫を拾ったらちゃんと寿命を迎えるまで飼ったし……その猫を虐めていたやんちゃ坊主にだってちゃんと報復だってした。面倒くさい事は嫌いだけど、守るべきものはちゃんと守るんだよ。
え、どんな報復をしたのかって……子供時代のちょっとしたイタズラさ。ただ、もう二度と同じ目には遭いたくないって思うくらいのことかな?
つまり、ボクが一度でも懐に入れたからには、ちゃんと守ると決めたってことだよ。
そしてボクはスライムの名付け親となった。名前を与え、常識を教え……スライムがなんだか本当の家族のように感じてきた頃。
『────ユーキさん!オスカーが近づいてきてますぅっ!!』
ここ数年、ずっとボクを追いかけてくる変態の名にボクとフリージアの間に張り詰めた空気が流れた。
「あいつ、まだ諦めてないのかい?」
「オスカー殿下はしつこいですね!ユーキ様は渡しませんよ!」
ヴィーはオスカー発見機としてはかなり優秀だ。あの変態王子に捕まったらろくでもない事にしかならないので、ヴィーが警告するたびに移動を繰り返しているのだ。
「よし、早くキャンピングカーで移動を……あっ」
名前をつけて教育をした、もはやボクの分身。しかし、スライムはこの森から移動することはできないのだ。それはヴィーから教えてもらった世界の契約でもあった。そしてこの子は、この森の守護神的な存在であったクイーンスライムの跡継ぎなのだ。
『……おかーさん』
不安気にボクを見るスライムの頭をそっと撫でる。
「ごめん、ボクはもういかなきゃいけないんだ。君をこの森から連れて行くのはダメだそうだから置いていくけど────」
ボクはスライムの額にちゅっと唇を落とし、抱きしめた。
「ボクは君の母親だから、必ずまたここにくるよ。すぐ戻ってくるから、待っていて。
あ、たぶんオスカーっていう変態おっぱい星人がここに来るだろうけど無視するか撃退していいから。教育に悪いから出来るだけ関わらないように!」
こくこくと素直に頷くスライムの頭をもう一度撫でて、ボクたちはキャンピングカーを走らせた。出来ることならあのスライムも連れていきたいがヴィーがマジモードで反対するから多分無理だろうと諦めることにしたのだ。とりあえず、しばらく分の食料の補充にとボクの開発した便利グッズをさらに山積みにしておいたし、見た目も普通の子供だ。人間に出会ったからといって突然襲ったり襲われたりはしないだろう。
「またね、“ディレット”」
例えスライムだとしても、これからの人生を楽しんで欲しい。そう願ってつけた名前。ディレットは名前を呼ばれて嬉しそうに微笑んでいた。
『────またね、おかーさん』
こうして、ボクはある意味我が子と生き別れになってしまった。これもそれも全部あの変態王子のせいだと思うとムカムカしてならない。ボクにそっくりなスライムの子。ボクの力を取り込み、遺伝子的にはボクの娘(または息子)となる存在だ。
────もういっそ、世界征服でもしてスライムが自由に生活出来る世界に作り変えるか?
なんて、不穏な事をボクが考えているなんて誰もきづかな『ダメですぅ────つ!それだけはダメですからねぇ────っ!!』ヴィーがまたもや必死に止めるからダメみたいだ。やだなぁ、いくらボクだって世界規模で何か出来るなんて思ってないよ。ジョーダン、ジョーダン……何そのジト目。……はぁ、それならせめて、あの子が生活しやすい物でも開発するかなぁ。と考えるのだった。
***
「ユーキ!俺のおっぱいはどこに?!」
ユーキたちがキャンピングカーで急いで旅立った数時間後。オスカーが現れた。「ここに確かにユーキの匂いが……」と鼻をくんくんと動かしている姿には王子らしき威厳は欠片もない。
『……あなたがおかーさんを困らせているおっぱい星人ですか』
オスカーの姿を確認したスライム……ディレットが殺気を纏って姿を現すと、オスカーは目を見開いて────歓喜したのだ。
「……おぉ!ユーキにそっくりな子供なんて────もしかして俺とユーキの子か?!ユーキめ、ずっと俺から逃げていたのにいつの間に俺の子を?!
よし、俺を父と呼べ!我が子よ────っぶべしっ!?」
気持ち悪い。ただ純粋にそう思って、ディレットはオスカーの顔面を殴り飛ばした。ユーキはおかーさんだが、決してこの男はおとーさんではない。これは前世云々ではなく、本能の訴えだった。
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