68 / 77
68 話し合い……がしたかった(ジル視点)
「占星術師様の命により、国王陛下はこの部屋への立ち入りを禁止されております」
女子会なるものが開催されているはずの部屋の扉の前にはふたりの騎士がきて、威嚇するようにオレに剣を向けていた。
「えっ?!いや、オレ国王だし……と、とにかく国王命令でロティーナ……聖女と話にがしたいんだ!」
確かにこの国では元々国王よりも占星術師の方が立場は上だ。だが革命を起こして新王となったオレの支持率はかなり上がっていたはずだ。いつもなら、いくらレベッカ嬢の命令でも多少は融通をきかせてくれるのに……。
すると騎士たちはまるで親の仇でも見るかのような目をオレを向けたのだ。
「えぇい!問答無用です!いくら国王だからってやっていい事と悪い事があるじゃないですか?!我等が救世主、いや!女神と言っても過言ではない聖女様を弄んだ挙げ句に王女様の方に乗り換えるなんて極悪非道にも程があります!」
「我々は聖女様親衛隊として今のこの王国の在り方には不満があるんです!だいたい陛下が聖女様を蔑ろにするせいで城内の使用人たちまでもが聖女様に対して酷い扱いを……!我々がそれを注意してもどいつもこいつも“これは国王陛下のご意思だ!”と阿呆のひとつ覚えのように偉そうしてるし、逆に我々の事を陛下に逆らう反逆者のように言ってくる始末!それでも仲間たちと一緒になんとか聖女様をお守りしようと頑張っていたら今度は聖女様を解任?!てめぇ、王女と結婚する為に聖女様を追い出すとか何考えてるんだゴラァ!!」
「そうだぁ!あんたが王女といちゃつく度に聖女様の立場が悪くなるんじゃろうがぁぁあ!!なんか顔見たらムカついてきた!どうせ不敬罪で捕まるなら全部言ってやる!!」
「おうよ!こうなったら国王がどうとかなんて関係ない!そこへ正座しろ!説教だぁ!」
「えっ、あっ、へ?!せ、正座?!」
こうしてオレは扉の前で正座させられ、散々説教をされてしまった。そしてオレのせいで誤解が誤解を生んでいたことも。
まさか、ロティーナへ贈るつもりで選んでいたドレスが王女へのドレスだと思われていたなんて
……!っていうか、王女との結婚話が極まってるってどういうことだ?!ロティーナを邪魔者扱いして追い出すとかあり得ないし……!
オレはその説教を聞きながら、仕事の忙しさに追われさらにロティーナへの告白に二の足を踏んでいる間にとんでもない事態になっていたのだと改めて反省していた。それと……こんなに聖女を慕ってくれている者たちがちゃんと居てくれた事への感謝も。
その説教だが、いつの間にか人数が増えていてオレは四方八方を囲まれて説教地獄となっていた。さすがに正座している足も痺れてきたし、反省はしているので出来れば早く誤解を解くためにロティーナに会わせてほしいと訴えようか真剣に悩んでいたその時。
「……部屋の前でうるさいですわね。女子会の邪魔でしてよ」
固く閉ざされていた扉がゆっくりと開き、レベッカ嬢が姿を現したのだ。そしてオレを説教していた騎士たちに笑顔を向けた。
「あなたたち、陛下相手に頑張りましたね。ありがとう。でも、もう大丈夫です。聖女様が陛下とお話をなさるそうですわ」
今まで占星術師は素顔を隠していたが、オレが新王となってからレベッカ嬢はその姿を隠すのをやめていた。その堂々とした振る舞いに元々この国で天下を取っていた占星術師の支持率はさらに上がっている。というか、占星術師と言うだけでなくレベッカ嬢自身のファンまでいるくらいだ。……うん、やっぱり国王の立場なんてちっさいもんだな。
「占星術師様!しかし、聖女様がまた傷付けられてしまったら……!」
「いいえ、聖女様は陛下との最後の話し合いをお望みですわ。わたくしは聖女様の最後の願いを叶えて差し上げたいのです」
レベッカ嬢はやたらと「最後」を強調すると騎士たちにバレないようにオレにチラリと視線を向ける。怒ってる……みたいだ。
「さぁ、陛下。部屋の中へどうぞ?」
「あ、あぁ……」
痺れている足をなんとか振るい立たせ、オレが足を踏み入れようとした途端。
レベッカ嬢は「それでは、あとはおふたりでごゆっくり~!」とオレの体を部屋の中へと押し入れ、バタンと扉を閉めたのだ。驚いて振り向くと閉められていく扉の隙間からものすごい怒りの形相のアニーちゃんがオレを睨んでいた。
「な、なん……っ」
何事なのかと思わず慌ててしまい、扉を開けようとするが表から鍵を掛けられたようでビクともしない。その時、背中にトスンッと柔らかい衝撃を感じた。
「ジルしゃん……!!」
「ロ、ロティーナ……?!」
そこには、顔を真っ赤にして頬を膨らませながらオレの背中をぽかぽかと叩いているロティーナがいたのだった。
女子会なるものが開催されているはずの部屋の扉の前にはふたりの騎士がきて、威嚇するようにオレに剣を向けていた。
「えっ?!いや、オレ国王だし……と、とにかく国王命令でロティーナ……聖女と話にがしたいんだ!」
確かにこの国では元々国王よりも占星術師の方が立場は上だ。だが革命を起こして新王となったオレの支持率はかなり上がっていたはずだ。いつもなら、いくらレベッカ嬢の命令でも多少は融通をきかせてくれるのに……。
すると騎士たちはまるで親の仇でも見るかのような目をオレを向けたのだ。
「えぇい!問答無用です!いくら国王だからってやっていい事と悪い事があるじゃないですか?!我等が救世主、いや!女神と言っても過言ではない聖女様を弄んだ挙げ句に王女様の方に乗り換えるなんて極悪非道にも程があります!」
「我々は聖女様親衛隊として今のこの王国の在り方には不満があるんです!だいたい陛下が聖女様を蔑ろにするせいで城内の使用人たちまでもが聖女様に対して酷い扱いを……!我々がそれを注意してもどいつもこいつも“これは国王陛下のご意思だ!”と阿呆のひとつ覚えのように偉そうしてるし、逆に我々の事を陛下に逆らう反逆者のように言ってくる始末!それでも仲間たちと一緒になんとか聖女様をお守りしようと頑張っていたら今度は聖女様を解任?!てめぇ、王女と結婚する為に聖女様を追い出すとか何考えてるんだゴラァ!!」
「そうだぁ!あんたが王女といちゃつく度に聖女様の立場が悪くなるんじゃろうがぁぁあ!!なんか顔見たらムカついてきた!どうせ不敬罪で捕まるなら全部言ってやる!!」
「おうよ!こうなったら国王がどうとかなんて関係ない!そこへ正座しろ!説教だぁ!」
「えっ、あっ、へ?!せ、正座?!」
こうしてオレは扉の前で正座させられ、散々説教をされてしまった。そしてオレのせいで誤解が誤解を生んでいたことも。
まさか、ロティーナへ贈るつもりで選んでいたドレスが王女へのドレスだと思われていたなんて
……!っていうか、王女との結婚話が極まってるってどういうことだ?!ロティーナを邪魔者扱いして追い出すとかあり得ないし……!
オレはその説教を聞きながら、仕事の忙しさに追われさらにロティーナへの告白に二の足を踏んでいる間にとんでもない事態になっていたのだと改めて反省していた。それと……こんなに聖女を慕ってくれている者たちがちゃんと居てくれた事への感謝も。
その説教だが、いつの間にか人数が増えていてオレは四方八方を囲まれて説教地獄となっていた。さすがに正座している足も痺れてきたし、反省はしているので出来れば早く誤解を解くためにロティーナに会わせてほしいと訴えようか真剣に悩んでいたその時。
「……部屋の前でうるさいですわね。女子会の邪魔でしてよ」
固く閉ざされていた扉がゆっくりと開き、レベッカ嬢が姿を現したのだ。そしてオレを説教していた騎士たちに笑顔を向けた。
「あなたたち、陛下相手に頑張りましたね。ありがとう。でも、もう大丈夫です。聖女様が陛下とお話をなさるそうですわ」
今まで占星術師は素顔を隠していたが、オレが新王となってからレベッカ嬢はその姿を隠すのをやめていた。その堂々とした振る舞いに元々この国で天下を取っていた占星術師の支持率はさらに上がっている。というか、占星術師と言うだけでなくレベッカ嬢自身のファンまでいるくらいだ。……うん、やっぱり国王の立場なんてちっさいもんだな。
「占星術師様!しかし、聖女様がまた傷付けられてしまったら……!」
「いいえ、聖女様は陛下との最後の話し合いをお望みですわ。わたくしは聖女様の最後の願いを叶えて差し上げたいのです」
レベッカ嬢はやたらと「最後」を強調すると騎士たちにバレないようにオレにチラリと視線を向ける。怒ってる……みたいだ。
「さぁ、陛下。部屋の中へどうぞ?」
「あ、あぁ……」
痺れている足をなんとか振るい立たせ、オレが足を踏み入れようとした途端。
レベッカ嬢は「それでは、あとはおふたりでごゆっくり~!」とオレの体を部屋の中へと押し入れ、バタンと扉を閉めたのだ。驚いて振り向くと閉められていく扉の隙間からものすごい怒りの形相のアニーちゃんがオレを睨んでいた。
「な、なん……っ」
何事なのかと思わず慌ててしまい、扉を開けようとするが表から鍵を掛けられたようでビクともしない。その時、背中にトスンッと柔らかい衝撃を感じた。
「ジルしゃん……!!」
「ロ、ロティーナ……?!」
そこには、顔を真っ赤にして頬を膨らませながらオレの背中をぽかぽかと叩いているロティーナがいたのだった。
あなたにおすすめの小説
欲深い聖女のなれの果ては
あねもね
恋愛
ヴィオレーヌ・ランバルト公爵令嬢は婚約者の第二王子のアルバートと愛し合っていた。
その彼が王位第一継承者の座を得るために、探し出された聖女を伴って魔王討伐に出ると言う。
しかし王宮で準備期間中に聖女と惹かれ合い、恋仲になった様子を目撃してしまう。
これまで傍観していたヴィオレーヌは動くことを決意する。
※2022年3月31日、HOTランキング1位となりました。お読みいただいている皆様方、誠にありがとうございます。
堅実に働いてきた私を無能と切り捨てたのはあなた達ではありませんか。
木山楽斗
恋愛
聖女であるクレメリアは、謙虚な性格をしていた。
彼女は、自らの成果を誇示することもなく、淡々と仕事をこなしていたのだ。
そんな彼女を新たに国王となったアズガルトは軽んじていた。
彼女の能力は大したことはなく、何も成し遂げられない。そう判断して、彼はクレメリアをクビにした。
しかし、彼はすぐに実感することになる。クレメリアがどれ程重要だったのかを。彼女がいたからこそ、王国は成り立っていたのだ。
だが、気付いた時には既に遅かった。クレメリアは既に隣国に移っており、アズガルトからの要請など届かなかったのだ。
殿下、幼馴染の令嬢を大事にしたい貴方の恋愛ごっこにはもう愛想が尽きました。
和泉鷹央
恋愛
雪国の祖国を冬の猛威から守るために、聖女カトリーナは病床にふせっていた。
女神様の結界を張り、国を温暖な気候にするためには何か犠牲がいる。
聖女の健康が、その犠牲となっていた。
そんな生活をして十年近く。
カトリーナの許嫁にして幼馴染の王太子ルディは婚約破棄をしたいと言い出した。
その理由はカトリーナを救うためだという。
だが本当はもう一人の幼馴染、フレンヌを王妃に迎えるために、彼らが仕組んだ計略だった――。
他の投稿サイトでも投稿しています。
【完結】都合のいい女ではありませんので
風見ゆうみ
恋愛
アルミラ・レイドック侯爵令嬢には伯爵家の次男のオズック・エルモードという婚約者がいた。
わたしと彼は、現在、遠距離恋愛中だった。
サプライズでオズック様に会いに出かけたわたしは彼がわたしの親友と寄り添っているところを見てしまう。
「アルミラはオレにとっては都合のいい女でしかない」
レイドック侯爵家にはわたししか子供がいない。
オズック様は侯爵という爵位が目的で婿養子になり、彼がレイドック侯爵になれば、わたしを捨てるつもりなのだという。
親友と恋人の会話を聞いたわたしは彼らに制裁を加えることにした。
※独特の異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。
婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです
秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。
そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。
いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが──
他サイト様でも掲載しております。
彼女を選んだのはあなたです
風見ゆうみ
恋愛
聖女の証が現れた伯爵令嬢のリリアナは聖女の行動を管理する教会本部に足を運び、そこでリリアナ以外の聖女2人と聖騎士達と出会う。
公爵令息であり聖騎士でもあるフェナンと強制的に婚約させられたり、新しい学園生活に戸惑いながらも、新しい生活に慣れてきた頃、フェナンが既婚者である他の聖女と関係を持っている場面を見てしまう。
「火遊びだ」と謝ってきたフェナンだったが、最終的に開き直った彼に婚約破棄を言い渡されたその日から、リリアナの聖女の力が一気に高まっていく。
伝承のせいで不吉の聖女だと呼ばれる様になったリリアナは、今まで優しかった周りの人間から嫌がらせを受ける様になるのだが、それと共に他の聖女や聖騎士の力が弱まっていき…。
※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。
※中世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物などは現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっていますのでご了承下さい。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。
【完結済】次こそは愛されるかもしれないと、期待した私が愚かでした。
こゆき
恋愛
リーゼッヒ王国、王太子アレン。
彼の婚約者として、清く正しく生きてきたヴィオラ・ライラック。
皆に祝福されたその婚約は、とてもとても幸せなものだった。
だが、学園にとあるご令嬢が転入してきたことにより、彼女の生活は一変してしまう。
何もしていないのに、『ヴィオラがそのご令嬢をいじめている』とみんなが言うのだ。
どれだけ違うと訴えても、誰も信じてはくれなかった。
絶望と悲しみにくれるヴィオラは、そのまま隣国の王太子──ハイル帝国の王太子、レオへと『同盟の証』という名の厄介払いとして嫁がされてしまう。
聡明な王子としてリーゼッヒ王国でも有名だったレオならば、己の無罪を信じてくれるかと期待したヴィオラだったが──……
※在り来りなご都合主義設定です
※『悪役令嬢は自分磨きに忙しい!』の合間の息抜き小説です
※つまりは行き当たりばったり
※不定期掲載な上に雰囲気小説です。ご了承ください
4/1 HOT女性向け2位に入りました。ありがとうございます!
冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる
みおな
恋愛
聖女。
女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。
本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。
愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。
記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。