【完結】「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と言っていた婚約者と婚約破棄したいだけだったのに、なぜか契約聖女になってしまいました

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68 話し合い……がしたかった(ジル視点)

「占星術師様の命により、国王陛下はこの部屋への立ち入りを禁止されております」



 女子会なるものが開催されているはずの部屋の扉の前にはふたりの騎士がきて、威嚇するようにオレに剣を向けていた。

「えっ?!いや、オレ国王だし……と、とにかく国王命令でロティーナ……聖女と話にがしたいんだ!」

 確かにこの国では元々国王よりも占星術師の方が立場は上だ。だが革命を起こして新王となったオレの支持率はかなり上がっていたはずだ。いつもなら、いくらレベッカ嬢の命令でも多少は融通をきかせてくれるのに……。

 すると騎士たちはまるで親の仇でも見るかのような目をオレを向けたのだ。


「えぇい!問答無用です!いくら国王だからってやっていい事と悪い事があるじゃないですか?!我等が救世主、いや!女神と言っても過言ではない聖女様を弄んだ挙げ句に王女様の方に乗り換えるなんて極悪非道にも程があります!」

「我々は聖女様親衛隊として今のこの王国の在り方には不満があるんです!だいたい陛下が聖女様を蔑ろにするせいで城内の使用人たちまでもが聖女様に対して酷い扱いを……!我々がそれを注意してもどいつもこいつも“これは国王陛下のご意思だ!”と阿呆のひとつ覚えのように偉そうしてるし、逆に我々の事を陛下に逆らう反逆者のように言ってくる始末!それでも仲間たちと一緒になんとか聖女様をお守りしようと頑張っていたら今度は聖女様を解任?!てめぇ、王女と結婚する為に聖女様を追い出すとか何考えてるんだゴラァ!!」

「そうだぁ!あんたが王女といちゃつく度に聖女様の立場が悪くなるんじゃろうがぁぁあ!!なんか顔見たらムカついてきた!どうせ不敬罪で捕まるなら全部言ってやる!!」

「おうよ!こうなったら国王がどうとかなんて関係ない!そこへ正座しろ!説教だぁ!」

「えっ、あっ、へ?!せ、正座?!」

 こうしてオレは扉の前で正座させられ、散々説教をされてしまった。そしてオレのせいで誤解が誤解を生んでいたことも。

 まさか、ロティーナへ贈るつもりで選んでいたドレスが王女へのドレスだと思われていたなんて
 ……!っていうか、王女との結婚話が極まってるってどういうことだ?!ロティーナを邪魔者扱いして追い出すとかあり得ないし……!

 オレはその説教を聞きながら、仕事の忙しさに追われさらにロティーナへの告白に二の足を踏んでいる間にとんでもない事態になっていたのだと改めて反省していた。それと……こんなに聖女を慕ってくれている者たちがちゃんと居てくれた事への感謝も。


 その説教だが、いつの間にか人数が増えていてオレは四方八方を囲まれて説教地獄となっていた。さすがに正座している足も痺れてきたし、反省はしているので出来れば早く誤解を解くためにロティーナに会わせてほしいと訴えようか真剣に悩んでいたその時。




「……部屋の前でうるさいですわね。女子会の邪魔でしてよ」



 固く閉ざされていた扉がゆっくりと開き、レベッカ嬢が姿を現したのだ。そしてオレを説教していた騎士たちに笑顔を向けた。

「あなたたち、陛下相手に頑張りましたね。ありがとう。でも、もう大丈夫です。聖女様が陛下とお話をなさるそうですわ」

 今まで占星術師は素顔を隠していたが、オレが新王となってからレベッカ嬢はその姿を隠すのをやめていた。その堂々とした振る舞いに元々この国で天下を取っていた占星術師の支持率はさらに上がっている。というか、占星術師と言うだけでなくレベッカ嬢自身のファンまでいるくらいだ。……うん、やっぱり国王の立場なんてちっさいもんだな。

「占星術師様!しかし、聖女様がまた傷付けられてしまったら……!」

「いいえ、聖女様は陛下とのの話し合いをお望みですわ。わたくしは聖女様のの願いを叶えて差し上げたいのです」

 レベッカ嬢はやたらと「」を強調すると騎士たちにバレないようにオレにチラリと視線を向ける。怒ってる……みたいだ。

「さぁ、陛下。部屋の中へどうぞ?」

「あ、あぁ……」

 痺れている足をなんとか振るい立たせ、オレが足を踏み入れようとした途端。

 レベッカ嬢は「それでは、あとはおふたりでごゆっくり~!」とオレの体を部屋の中へと押し入れ、バタンと扉を閉めたのだ。驚いて振り向くと閉められていく扉の隙間からものすごい怒りの形相のアニーちゃんがオレを睨んでいた。

「な、なん……っ」

 何事なのかと思わず慌ててしまい、扉を開けようとするが表から鍵を掛けられたようでビクともしない。その時、背中にトスンッと柔らかい衝撃を感じた。



「ジルしゃん……!!」



「ロ、ロティーナ……?!」


 そこには、顔を真っ赤にして頬を膨らませながらオレの背中をぽかぽかと叩いているロティーナがいたのだった。










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