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【番外】Squall ※ [後編]

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「ちょっとのぼせたかな?水飲むか?」
「ん」
「……待ってろ」

 ベッドにティアナを横たえて、ジークが世話を焼いてくれる。水筒を持ってきてくれたので身体を起こそうとしたのだが、それをやんわりと止められた。

「そのまま、」

 そう言ってジークは自分で水筒に口をつける。そのまま覆い被さり、キスをしながら口の中の水を分け与えた。口の端から飲みきれなかった水が溢れるが、それもそっと舐めとる。

「……もっと飲む?」
「……うん」

 その唇から再度水をもらうと、今度は飲み込んだ後に舌が滑り込んできた。ゆっくり歯列をなぞりながら、奥へと割り込んでくる。ぐるりと口腔を這い、一度出て行く。

「ティアナ、舌出して」

 その言葉に、おずおずと小さな舌が差し出されるとすぐにそれは絡め取られ、じゅうっと吸い上げられた。ちろ、と舌先をくすぐるように舐められ、甘い刺激が下腹部を疼かせる。手が胸の膨らみをやわやわと揉み始めた。

「ジーク……」
「気持ちい?」
「うん……」

 息継ぎをするように息を漏らすと、ジークの唇が首筋に滑って行き、鎖骨に近いところで吸い付く。

「あっ、跡つけちゃだめ」
「見えねぇよ。ちょっとだけ」

 ほんと?と思いながらもじもじと動く。吸ったところからゆっくりと舐め、そのまま膨らみの頂へと辿り着くと、ばくりと含んでそこも吸い上げた。

「ん、あっ」
「んん。む」

 すぐに硬くなった蕾にカリっと軽く歯を立てられれば、腰が揺れる。その腹をもう片方の手が撫で、足の付け根へとゆっくり降りた。表の雨音とは別の水音が、部屋の中に響く。

「もうぐちゃぐちゃだな」
「やぁ、んん」

 長い指が襞を何度か行き来し、指にそのぬめりを纏うとそのままその中へ、つぷりと侵入してきた。

「……なぁ、ティアナ……いい?」
「ふ……うぅ……!」

 何をしていいか、聞かれていることはわかっている。もう昂まりつつある自分も抑えられる自信はない。結婚まではと思ってもいたが、実際のところ王族以外はそういうことを大切にしすぎなくてもいい、という当世の風潮も理解している。

 ええい、なんのかんの理由をつけてもしたいかしたくないかだわ!

「い、いい、よ……」

 その瞬間、パッとジークが歓喜の色を帯びる。

「ありがとう、ティアナ……優しくする」
「うん……あっ、やん」
「くく。嫌じゃないのも、わかってる」

 嬉しそうに指を増やしてそこをほぐし始める。くちくちと広げながら中へと進むが、異物感にきゅっとしてしまう。

「指でもきついな……でも、お前の中、あったけぇ」
「ジークの、ゆびも……熱い」
「ん、ティアナ、こっち見て」

 ちゅ、と唇を何度か啄んでからまた舌が入ってくる。それに応えるように舌を差し出すと、今度は絡めあいながらそっとなぞっていく。下唇を食むように緩く噛まれ、また奥へと入り込む。とろとろと溶け合うようなキス。いつの間にか、指を阻む締め付けは緩んでその侵入をも深くしている。3本に増えたそれは浅いところから少しずつ、時々戻りながらティアナを苛んだ。

「んん……」
「痛くないか?」
「大丈夫、なか……いっぱい、な、だけ……?」

 はぁ、と息を吐きながらそう応えると、そっか、とまた指を動かし始める。少しずつ、くちゅくちゅと水音が大きくなる。 

「なんか、すげぇ出てきた……ティアナ、気持ちいい?」
「ん、あ……っ」

 恥ずかしくてもう答えられない。でも気持ちいい。そう思っていると、ジークが身体を起こして膝を掴んでその内側に口付け始めた。

「もう俺も、ちょっと限界……」

 そう言いながら、彼の昂りをそこにあてがうと、ゆっくりと擦り合わせ始めた。先走りの雫と蜜が混ざり合う。

「やっ、あん!」
「は、やっぱこれ、気持ちいい……」

 ずちゅずちゅとその熱い棒で擦られ、先のくびれが花芽に当たって疼きを高めていく。

「やぁ、イっちゃ、うっ!」
「いいよ、ほら、ティアナ……!」

 濡れた指で花芽をぎゅうっと押し込まれるように嬲られた瞬間、快感が突き抜けた。

「あ、やぁ……ーっ!!」
「ん、上手……気持ちよさそう」
「はぁ、あん……」
「……ティアナ、そのまま」
「え?」

 弛緩した身体に、指でないものが挿し込まれる。そのつるりとした先がゆっくりと進み始めると、浅い刺激がまた始まる。

「や、まだ……っ」
「うわ、すげ……なんだ、これ……」
「ジーク、やぁ」
「ごめんもう、止まれ、ねぇ」

 はぁと熱い息を吐いたジークを見れば、懸命に我慢してゆっくり進めてくれているのがわかってしまう。その表情を見てしまうと、きゅうっと中が締まってしまった。

「ちょ、ティアナ……!」
「わざと、じゃ……やぁ、あん……」

 少し戻りながら、また進んでくる。引き抜かれる時のずるりとした刺激がティアナを煽る。

「こっち、も弄るぞ」
「え?あっ?!」

 花芽に添えられた指がそっとその皮を剥き始めると、強い刺激に身体が跳ねた。

「やあっ!だめぇ!」
「あと、ちょっと……ごめん、ティアナ……!」

 その瞬間、何かが引き攣れるような痛みと共にその全てがティアナの中へと押し込まれた。

「……あ、いっ……たぁ……」
「ぐ……!す、まない……はっ、すげ……」

 はぁはぁと荒い息の彼を見ながら、浅い息で痛みを逃す。じんじんとそこが熱を持っているのがわかる。

「ティアナ……痛いな?ごめん……」
「ん……うん……も少し、この、まま」
「うん……はぁ、お前の中、あったけぇ」

 ジークは少し落ち着いたようで、その感触を味わっているようだ。息を吐いていると、痛みの方も少しずつ馴染んできたように思う。そうすると、確かに自分を貫いているその熱はとても心地いい暖かさであることがわかってきた。

「ジー、ク……。少し、大丈夫、かも」
「ほんと?……いい?」

 目元を赤くして期待の表情、かわいい。

「でも、あんまり激しくは……」
「うん、ありがと。ちょっとずつな」

 そっと唇にキスすると、身体を起こしてゆっくりとそれを少し引き抜き、そしてまた押し付けた。ぱちゅ、と小さな音がする。痛みは少しあるが、我慢できない程ではなかった。

「どう?」
「ん、なんとか」

 ホッとしたように少しずつ抽送を増やされれば、痛みと一緒に違うものがそこにあるのを感じる。

「……んっ、あ……」
「ティアナ……もう、俺……」
「いい、よ」

 その言葉から一瞬、後。ぐっと膝を押さえ込まれ、ジークが獰猛な雰囲気を纏ったかと思うとぐいっと大きくその杭が引き抜かれ……そして穿たれた。

「やぁ……っ?!」
「……ごめ……あっ、ん……!」

 ぱちゅぱちゅと音を激しく立てながら打ち付けられ、快感が背中を這いあがった。思い出したように花芽を弄られ、さらにそれを昂める。

「あっ、あ、ジーク、やぁ、っ!」
「ティアナ、気持ち、いい、か?」
「……!」

 声を出せずに首肯すると、ずるりと大きく引かれた。その刺激に震えた瞬間、ゆっくりとそれが戻ってきた。

「あ、あ、あぁーっ?!」
「やば、ゆっくりもいい……最高、」

 ぴたりとそこに収まると、またそっと動き始める。

「ここ、一緒にするの好きそうだな」
「やっ、あぁ!!」

 花芽をまた指で捏ねられながら浅い抽送が始まる。

「ジーク、何か、きちゃう、いや……!」
「嫌じゃない、気持ち、いいんだ、ティアナ」
「は、あ、はぁ……っジーク、ぅ」
「俺も……、もう、一緒に!」

 ガツガツと振られる腰に、自然と揺れるそれが合ったその瞬間。

「あっ、あぁー……っ!」
「く、ぅっ!」

 どぷりと中へ精が放たれた。ぎゅうとその熱を締め上げる感覚に2人は酔った。

「し、ぼられる……ぐ、やべぇ」
「あん……」

 びくびくと最後まで震えるジークを受け止め、ティアナが弛緩した。はぁ、と浅く息を吐きながらずるりと熱を引き抜けば、最後の快感が残滓のように震えた。

「痛かった、よな。ごめん……」

 そっと愛おしそうに見つめ、彼女の胎を摩る。

「うん……でも、思ったより大丈夫、かも。ゆっくりしてくれて、ありがと」
「……うん。あー。……うん。」

 目を瞬かせる。

「お礼言われるとは思わなかった……」
「なんか……頑張ってたから」
「くそ……余裕かよ」

 くしゃ、と髪を撫でられる。ジークは笑っていた。その向こうに窓が見える。

「あ、雨、上がってるよ」
「ん?あー、ほんとだ。もうちょい休んだら帰るか」
「うん。門限間に合うね」

 まだ2人は王城の寮住まいだから、門限があるのである。それもあと少し、結婚したら住む家を今は探しているところだ。

「だな。ほんとに大丈夫か?」
「うん、多分……ちょっとなんか、重い感じするけど」
「そか。無理すんなよ、痛かったら運ぶから」

 こく、と頷いてその胸に頭を預ける。ふう、と息をつけば残ったのは安心感だけだった。

「早く赤ちゃん、来てくれるといいね」
「……おう。頑張るか。」
「……おっさん。」

 午後の日差しの中で、ぷぷ、と笑いあう。すっかり乾いた服が乾燥機の風に揺れていた。

 ***
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