常世のシャッテンシュピール ~自己否定王子とうそつき魔法少女~【前編】

KaTholi(カトリ)

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2章 カエルバショ

2. 朝影(6)

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「古代の神にかんしては……どうなのでしょう。各地の異人の神話に残っている、磨弧マコのお母……ええと、常津トコツ清霊宮キヨヒノミヤ四柱よはしらの神々ではないかという説がありますね……」

 ナイアスがうっかり「磨弧のお母さん」と、口をすべらせそうになった瞬間、フードの下から磨弧の金色の瞳が、ジト……と光った。
 あわててナイアスは口をつぐむ。
 ありがたいことに、西の隊のリーダーは、ナイアスと磨弧のやりとりにはまったく気づいておらず、

「……そうですが……ぼくねえ、ちょっと気になっていることがあって……ほら、おたくのハンナ所長が、パルフェット博士ととも見つけたという、大型ハニワのコッペリウスくん……」
「……なるほど、副葬品……。でも、コペルくん以外の完全体が見つかっていないのと、なぜ、副葬品に自我があるのかが、難点ですね……」
「そこなんですよねー。ほかの破片はちいさすぎて……」
「あんのぉー? あんたたち、盛り上がってるとこ悪いけど、そろそろお開きにしましょーよ」
「わっ。そうだった、ごめん」

 虎太郎コタロウと西の調査隊のメンバーたちににらまれ、ナイアスと西の隊のリーダーは、あわててそれぞれの荷物を抱えなおす。
 リーダーが、最後にナイアスたちに大きくあたまを下げ、晴れやかな笑顔をむけた。

「本当に、ありがとうございました! あなたがたアジール支部は、ほかの隊の救助という大変な任務を、夜ごとこなしていらっしゃる……どうぞ、おからだに気をつけてください!」

 朝日を背に去っていく彼らを見送ってから、ナイアスは仲間たちをふり返った。

「帰ろうか……今回の出動は、ちかくてよかったね」
「ほーんとっ。ほぼ、研究所の真うらだもんね。あー、早くひとっ風呂あびた……」
「あ――――っ!!!!」

 出し抜けに大声をあげたスピカに、ナイアスも虎太郎も磨弧もフレアも、びっくりして歩みをとめる。
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