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第二章

過去②

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 中三の夏、進路を決めるために地元の高校へ学校見学に行った。

 女子バスケ部である程度の実力と実績を残している学校に行ったのだが、部の雰囲気が悪く全く魅力を感じなかったり、部の雰囲気は悪くないが校風がいまいちだったりと、志望校を決めかねていた。

 そこで試しに女子バスケ部はないが男子バスケ部が強いと評判の学校にも見学に行くことにした。今まで見学に行った学校より学力のレベルは高いが、学力に比例するように生徒達の活気が今までとは違い、そして校風が素晴らしく感じた。

 そして、私に衝撃的な出会いが待っていた……。

 一通りの学校説明会のあと、部活動は自由に回ることができた。私と優香は迷わず体育館へ向かった。体育館の中からは、ボールの弾む音と活気あふれる声がする。

 期待に胸をふくらませて、開いている扉から中をのぞいた瞬間だった。

 私の目の前の頭上にあるリングへ向かって、もの凄い高さでジャンプする姿が視界に飛び込んできた。

 驚き呆気にとられている私の前で、ボールがゴールに吸い込まれていく。

 その華麗なジャンプにも、完璧なゴールにも、そして超絶なイケメン男子にも驚いた。一瞬そのイケメンと視線が交わった気がした。夢でも見ているような感覚に私が陥っている間にも、目の前では練習が続いていて、ボールを追いかけている。

 この出会いこそが、私の新しい未来への一歩となった。

 女子バスケ部がないことを承知で、この学校に進学を決めた。

 この高校のバスケ部はいつも一回戦負けをしていたが、蒼空先輩が入部した年に県大会で優勝したのだ。もちろん先輩ひとりの力ではないが、蒼空先輩の存在が大きい。

 蒼空先輩が入部してから、練習や試合に取り組む姿勢から変わった。蒼空先輩の存在自体が、他の部員達にいい影響を与えているのだと顧問の先生が事あるごとに褒めている。当時、サボり気味だった先輩までもが刺激を受けて練習をし出したらしい。

 蒼空先輩が入部した一年目は、県大会で優勝し関東大会へ出場を果たした。だが、全国大会の切符を手に入れることはできなかった。

 
 

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