御曹司の極上愛〜偶然と必然の出逢い〜

せいとも

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第二章

日常②

 オフィス内を一通り綺麗にし、真琴はオフィスの一番奥にある社長室を目指す。

 社長と重役には個室があるが、それ以外の社員は各々好きな場所で仕事をする。便宜上、秘書のメンバーは個室の近くで仕事をする者が多い。真琴のお気に入りは、社長室近くの窓際の席だ。疲れたり煮詰まったりした時、窓の外に目を向けて遠くを眺めるとリフレッシュ出来る。そして、空から両親が見守ってくれている気がして安心するのだ。

 いつもの席に座り一息つく頃には、社に着いてから三十分程経っている。あと、十分もすると出勤ラッシュが始まるのだ。

 真琴がパソコンの電源を入れたタイミングで社長の花田が姿を現した。いつも真琴の次に出社してくる。

「月野さんおはよう。今日も受付の横に綺麗な花をありがとう。いつも出社して見るのが楽しみなんだ。お客様にも評判だよ」
「社長、おはようございます。いつも嬉しいお言葉ありがとうございます」

 真琴が花を生ける前は、観葉植物だけの殺風景な受付だった。城之内不動産はお客様が頻繁に出入りし、社長のお客様も多い。お客様を見送る度に物足りなさを感じた真琴が、社長に提案したところから始まった。

 真琴の母親が花が好きだった事もあり、母と一緒に生け花の教室に通っていた。そして、せっかくならと資格も取得していた。大人になってからは趣味で続けていたが、まさか就職してから役に立つとは思わなかった。母に感謝だ。

 社長は、真琴の提案に業者を雇ってもいいと快諾してくれたのだが、真琴が一度自分にやらせてもらえないかとお願いした。

 真琴の作品を見た社長が感動し、それ以来真琴の仕事になっている。花を購入する経費だけでなく、真琴に仕事としての手当も出してくれている。一度辞退したが、業者を雇ったらもっと掛かるのだからと言われ、素直にいただく事になった。

 四十代後半の若き社長は発想も考えも柔軟で、社員の意見を取り入れ、会社をここ数年右肩上がりで成長させている。誰もが認める手腕だ。

 以前の社長は地位にあぐらをかいて、口だけだった。真琴も入社後に秘書課に配属され、新人で直接は担当しなかったがいい印象はない。今の社長に変わり社内全体の雰囲気が良くなった。城之内不動産に来る前は本社の部長だったと聞いている。

 真琴は、花を生ける事で母を思い出し心が温かくなる。そして癒やしの時間でもあり、更にはしっかり評価してもらえる今に感謝しかない。

 それも、ひとえに真琴の人柄なのだが、本人は全く気づいていない……。

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