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第34話 REMEMBER ME⑥
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ブラジル、サンパウロ――
その日も少年――ジョゼは路上でバイオリンの演奏をしていた。
周りには音色に惹かれて立ち止まった通行人がジョゼの演奏に聴き惚れている。
鷹取三郎の指導のもと、ジョゼはめきめきと腕を上げていき、それにともなっておひねりの額も増えていった。
やがて曲が終わりに近づき、余韻を残すように弓を引く。最後にぺこりと頭を下げると聴衆から拍手が起こった。
空き缶にどんどんとおひねりが入れられていく。
この日の稼ぎはまずまずといったところだ。だが、それでも盗みで得た金とは違って達成感がある。
空き缶からコインや紙幣をポケットにしまうと、バイオリンもケースにしまう。
†††
「サブロー! ただいま!」
今では我が家同然となった鷹取三郎のアパートの部屋のドアを勢い良く開ける。
「おかえり」
「うん。って、なにやってんの?」
見ると三郎はスーツケースに荷を積めているところだった。
「うん……会社から帰国命令が出てな……もうここでの仕事は終わったんだ」
「サブロー帰っちゃうのか?」
「うん。そうなるな……でも心配はいらない。こんなのを見つけたんだ」
そう言って取り出したのは音楽学校のチラシだ。
「今日、町を歩いていたらたまたま見つけたんだ。ここなら寮もある。だから心配は」
「いやだ! ここが俺の家だ! 日本なんかに帰らなくていいよ! もっとサブローにバイオリンを教えてほしいんだ。それに」
ポケットから稼ぎをテーブルに出す。
「こんなに稼いだんだ。だから……」
その先は続かなかった。三郎に両肩を掴まれたからだ。
「オゼ! よく聞け、お前は才能がある。俺なんかに教わるよりも、学校に行って勉強するほうがお前のためになるんだ」
「でも……!」
少年の前で三郎が首を振る。
「すまん。もう面倒は見てやれないんだ……だから」
頼む、と頭を下げると肩が震えはじめた。泣いているのだ。
「この金もバイオリンもお前のものだ。約束しろ。ちゃんと学校に通って、バイオリニストになるって」
「うん……わかった、約束する。でもサブローも約束して」
「なんだ?」
「俺がいつか有名なバイオリニストになったら、俺の演奏をきくって」
「ははは。そりゃ楽しみだ」
約束するよ、と小指を立てる。サブローから教わった日本での誓いだ。
ゆびきりげんまーん。うそついたら、はりせんぽんのーます。ゆびきったー……。
「なぁサブロー」
「ん? なんだ」
「サブローはなぜ、俺をオゼと呼ぶんだ?」
三郎が「なんだ、そのことか」と言い、頭をぽりぽりと掻く。
「それは――」
†††
「――! ジョゼ! セニョールジョゼ!」
自分を呼ぶ声ではっと目を覚ます。すぐそばには窓が、風景が右から左へと流れていく。
それでここは新幹線のなかだと思い出した。
「大丈夫ですか?」と隣に座るフランチェスカ。
「すみません。いつの間にか眠っていて……夢を見ました」
上着の内ポケットから写真を取り出す。別れ際にもらったこの写真からまさか恩人への手がかりがつかめようとは。
そしてこの新幹線はその恩人のいる福島県――郡山駅へと向かっている。すでに大宮駅を過ぎたばかりだ。
ふたたび写真に目を落とす。ふふと微笑む。
「どうしましたか?」
「いえ、ちょっと昔のことを……彼はいつも私のことをオゼと呼んでいたんです。発音が不明瞭でそう聞こえたのかと思ったのですが……」
途端、着信音が鳴った。スマホを取り出す。
「……マネージャーからです。ちょっと失礼します」
そう断って座席からデッキへと移動する。
扉の前で通話ボタンを押して耳に当てる。
「セニョールジョゼ! いったいどこにいるのです!? すぐに戻ってきてください!」
「すまない……だが、もうすぐ私の恩人に会えるんだ。だから……」
「待ってください。なにか音がしますが……電車に乗っているのですか?」
「そうだ。新幹線だ」
受話口からマネージャーの溜息。
「セニョールジョゼ、もう何度も言いましたが、もう一度言わせてもらいます。今回のコンサートはあなたにとって最後のチャンスなのです。世界的な名声を得るという……」
「それはわかっている。君はよく尽くしてくれた。だが、私にとっては大事なことなんだ」
一瞬の間があった。しばらくしてマネージャーから「信じられない!」と驚きの声。
「とにかく、途中の駅で降りて引き返してください。いますぐ戻ればまだ弁解の余地があります。わかっているのですか? あなたはいままさに人生の分かれ道に立っているんです!」
マネージャーの切羽詰まった声にジョゼはぎゅっと目をつむる。
「どうしましたか?」
振り向くとフランチェスカだ。あとでかけ直すとスマホをしまう。
「いえ、なんでもありません。ちょっと仕事の件で……でももう大丈夫です」
席に戻りましょうとデッキを出る。そして自分の席に戻って窓を眺める。田園風景と農家が延々と続く。
「もうすぐ宇都宮駅ですね。これを越えたら郡山駅ですよ」と安藤が言い、それを見習いシスターが通訳する。
「そ、そうですか……」
さっきのマネージャーとの電話が思い起こされる。
自分はいままさに人生の分かれ道に立っている。そして宇都宮駅で降りて引き返せば将来の名声は約束されている……。
際限のない葛藤にジョゼは思わずぎゅっと拳を握る。
そんな彼の面持ちがフランチェスカにも伝わったのだろう。
「ジョゼさん、どうしたのですか? なにか心配事でも?」と声をかけてきた。
「ああ……いえ、すこし緊張しているだけです」
「そうですか」
しばしの静寂。アナウンスが「まもなく宇都宮駅です」と告げる。
「あの、フランチェスカさん」
「はい?」
「その……たとえばある重大な出来事でふたつの選択肢しかなく、どちらかを選ばなければならない状況になったら、あなたはどうしますか?」
「? ええと、それはどういう意味で……?」
「すみません。なんでもないです」
新幹線が止まった。宇都宮駅に到着したのだ。
「質問の意図はわかりませんが、私が言えるのは“なすべきことはただひとつ。後ろのものを忘れ、前のものに全身を向けなさい”(フィリピの信徒への手紙第3章13節)ですね」
「それは聖書の引用ですか?」
「あれ? 言いませんでしたっけ? 私、シスターなんです。と言っても見習いですけど……」
目の前の少女が見習いシスターだったことに驚く。
「あれこれ考えるより、前に進みなさいということですか?」
「はい。聖書って解釈は人それぞれですけど、その解釈で間違ってないと思います」
その時、発車ベルが鳴った。程なくして新幹線が動き出し、ホームから離れていく。そしてそれはもう後戻りできない道のりだ。
†††
宇都宮駅を出発して30分後、新幹線は郡山駅のホームに到着した。改札を出てタクシー乗り場へと。
「たまゆら園ですか? ここから20分ほどですよ」
年配の運転手が老人ホームの名刺を返すとアクセルを踏んでハンドルを切る。
「ここいらはね、大震災でひどい目にあったんです。あそこのビルの1階なんて、そらひどいもんでしたわ」
話し好きの運転手がハンドルを切りながら市内案内を。
ジョゼは窓の外を眺めている。恩人の故郷をしかと目に焼き付けるかのように。
やがて風景がビル群から住宅地へ、そしてまばらな民家が通り過ぎていく。
「お客さんここですよ」
タクシーから降りた先は二階建ての老人ホームだ。確かに入口の横に『たまゆら園』のプレートがかかっている。
「ここにいるんですね……」
「受付に行ってきますね」と安藤が先に向かう。
フランチェスカも後を追うが、ジョゼは立ち止まったままだ。
「ジョゼさん?」
「その、会うのが恐いんです。認知症で覚えていないかもしれないし、おまけに長く会っていませんから……」
バイオリンケースを持った手がぎゅっと握られた。フランチェスカが握ったのだ。
「それでも行くべきです。やらない後悔よりやって後悔したほうがはるかに良いことだってありますわ」
「…………はい」
入口から安藤が出てきた。
「施設長さんが会ってくれるそうです」
†††
三人は応接室に通され、ソファに腰かける。
しばらくしてから施設長が入ってきた。
「お待たせしてすみません。書類作成で手間取りまして……施設長の穂積です」
髪が薄くなった頭をぺこりと下げる。役所仕事が似合いそうな初老の男性が汗を拭きながら腰かけた。
「それで、今日はどんなご用件でしょうか?」
安藤がこれまでの経緯をかいつまんで話す。話していくうちに穂積は眼鏡の奥の目を丸くさせた。
「はぁーそんなことが……確かに、鷹取さんはこちらにおります。ただ、認知症がかなり進行していまして……」
今は名前を呼んでも反応しないのだそうな。
「会っても反応しないと思いますが、それでもお会いになりますか?」
施設長の言葉をそのまま通訳する。一言一句正確に。
「……私は、彼に会うためにここまで来ました。ここで会わなければ、私はきっと今日のことをずっと後悔するでしょう……」
頭を上げ、しっかりと真正面を見据える。
「どうか会わせてください」
穂積が「うん」とうなずき、そして「わかりました」と席を立つ。
「受付票にお名前を書いていただければご案内します」
†††
受付票に名前を記入し、首に訪問者のナンバーが書かれたタグをかけると、施設長が「こちらへ」と案内を。
「鷹取さんはこちらには5年ほど前に入所しましてね……ああ、ここです」
取っ手のついた引き戸の前まで来た。横には『鷹取三郎』と書かれたプレートが。
ジョゼは胸が高鳴るのを自覚する。ついにこの扉の向こうに恩人がいるのだ。
穂積が戸をコンコンとノックする。が、反応はない。
「いつもノックしても反応がないんです」と戸を開ける。
がらりと開かれたその部屋は病室のような体をしており、ベッドには老人が腰かけ、野球中継のテレビを見るともなしに見ていた。
「鷹取さん、お客さんですよ」
これも反応はない。ベッドの上の鷹取老人は薄くなった白髪に黒縁の眼鏡をかけており、その目は閉じているのか開いているのかわからないほど細い。
ジョゼがふらりと部屋に入る。そして恩人の前で膝をつく。
細く、血管の浮き出た彼の手を握る。
「サブロー、覚えていますか? ジョゼです。あなたはオゼと呼んでいましたが……ブラジルではお世話になりました」
だが、恩人サブローはジョゼのほうを見もしない。口は半開きのままだ。
たまらずに涙がこぼれる。
「約束どおり、バイオリニストになりました……今度はあなたが約束を果たす番です」
三郎の手をぎゅっと握り、そして立ち上がる。
「お願いがあります。彼に、私の演奏を聞いてほしいのですが……」
フランチェスカが穂積にそう伝えると、施設長はうなずき、「ちょうどこれからレクリエーションの時間なので、ぜひみなさんの前でどうぞ」と提案してくれた。
†††
レクリエーションホールには入所しているほとんどの高齢者が集まっていた。むろん三郎もそのなかにいる。
「今日は皆さまにお知らせがあります。こちらの方がバイオリンを演奏してくれます」
穂積施設長の紹介でぱらぱらと周りから拍手。
「ブラジルから来ましたジョゼです。よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げ、バイオリンを構える。弦を弾き、ペグを回して調節。
チューニングが終わり、「では弾かせていただきます」と開演の挨拶。
ジョゼの目の前には三郎が。車椅子に乗せられた彼は相変わらず無反応だ。
弓を寝かせるようにすーっと弦の上を滑らせると、ホールにバイオリンの繊細で優しい音色が響き渡った。
演奏していくにつれ、周りから次第に手拍子が。それでも鷹取三郎は無言の体だ。
「素敵な曲ね」
「そうすね。でもこの曲、どこかで聴いたような……」
「『夏の思い出』という曲ですよ。尾瀬という場所を舞台にうたったものです」と穂積施設長が説明してくれた。
「おぜ? そういえばジョゼさんは子どもの頃にそう呼ばれてたって言ってたわね」
「たぶん、故郷が懐かしくてそう呼んだんじゃないんですか?」
フランチェスカと安藤のふたりが見守るなか、ジョゼは曲の終わりに向かって指を動かし、弓を滑らせるように弾く。
余韻を残すように、そしてぴんっと撥ねる。
しばしの静寂があった。そして周りから拍手が。施設長含めスタッフも入所している高齢者たちだけでなくフランチェスカと安藤も惜しみない拍手を送っていた。その賛辞にジョゼが頭を下げる。
頭を上げた時、恩人である三郎が目に入った。だが、依然として無反応だ。
「ありがとうございました……」
ふたたび頭を下げ、バイオリンをケースにしまおうとする。
レクリエーションの時間が終わると、みなそれぞれの部屋へと戻るべくスタッフが介助を。
「さ、鷹取さん。お部屋に戻りますよ」
穂積施設長が車椅子のハンドルを握ろうとするその時であった。
老人がなんとか絞り出すようにして言葉を発する。
よく聞き取れないので穂積施設長が耳を近づける。
「ジョゼさん!」
名前を呼ばれたバイオリニストが振り向く。
「あなたの名前を呼んでます!」
ジョゼが恩人を見る。微かにだが、口が動いている。そこからなんとか声を振り絞って出そうとしているようだ。すぐに彼のもとへ駆けつける。
「おぜ……おぜ……」
閉じられた目蓋から涙がとめどなくあふれる。
「そうです! オゼです。約束を果たしにきました……!」
隣に来たフランチェスカが通訳する。彼女もまた涙を流していた。
ぷるぷると震える手でジョゼの肩に手を置く。
「りっぱに……なったなぁ……」
「あなたの、おかげです……!」
恩人の細い体を抱きしめる。三郎が肩を震わせるジョゼの背を優しく叩く。
「うん、うん。おおきくなった……」
三郎はそれからも背中を優しく叩き続けた。我が子を慈しむかのように。
†††
「本当にありがとうございました。おかげで恩人に会えました」
穂積施設長がいえいえと手を振る。
「お礼を言うのはこちらのほうです。あなたのおかげで鷹取さんが元気を取り戻しました」
ありがとうございますと握手を交わす。そして待たせておいたタクシーへと乗り込んだ。
†††
上野駅。郡山駅から戻ってきた三人は改札口を出る。
その時着信音が鳴った。ジョゼがスマホを取り出す。
「もしもし?」
相手はマネージャーだろう。幾度か言葉を交わすと次第に申し訳なさそうな顔つきになる。
「……すまない。君には迷惑をかけた」を最後に通話を切る。
「公演は中止になりました……」
「そんな!」
「どうしたんですか? フランチェスカさん」
彼女の通訳で事情を知ると安藤は済まなそうにした。
「すみません……もっと早く探せていたら……」
安藤の手がぎゅっと握られた。はっとして顔をあげるとジョゼがにこりと微笑んでいた。
「気にしないで。私はぜんぜん後悔していません。あなたたちに会っていなかったら、サブローには会えなかったんですから」
「その、ジョゼさんはこれからどうするんですか?」
フランチェスカの通訳が終わるまでしばしの間。
「国に帰ってもう一度やり直します。ありがとう。あなたたちに救われました……」
お元気でと言い残し、そのままタクシー乗り場へと向かう。
「これで、よかったんですかね……」
「そんなの本人にしかわからないわよ。でも、はっきり言えるのは本当に聴いてほしいひとに音楽を聴かせることができた。それでいいんじゃない?」
見えなくなるまで彼の背中を見送る。それは新たな旅立ちに向けて歩きだすひとの背中だった。
その日も少年――ジョゼは路上でバイオリンの演奏をしていた。
周りには音色に惹かれて立ち止まった通行人がジョゼの演奏に聴き惚れている。
鷹取三郎の指導のもと、ジョゼはめきめきと腕を上げていき、それにともなっておひねりの額も増えていった。
やがて曲が終わりに近づき、余韻を残すように弓を引く。最後にぺこりと頭を下げると聴衆から拍手が起こった。
空き缶にどんどんとおひねりが入れられていく。
この日の稼ぎはまずまずといったところだ。だが、それでも盗みで得た金とは違って達成感がある。
空き缶からコインや紙幣をポケットにしまうと、バイオリンもケースにしまう。
†††
「サブロー! ただいま!」
今では我が家同然となった鷹取三郎のアパートの部屋のドアを勢い良く開ける。
「おかえり」
「うん。って、なにやってんの?」
見ると三郎はスーツケースに荷を積めているところだった。
「うん……会社から帰国命令が出てな……もうここでの仕事は終わったんだ」
「サブロー帰っちゃうのか?」
「うん。そうなるな……でも心配はいらない。こんなのを見つけたんだ」
そう言って取り出したのは音楽学校のチラシだ。
「今日、町を歩いていたらたまたま見つけたんだ。ここなら寮もある。だから心配は」
「いやだ! ここが俺の家だ! 日本なんかに帰らなくていいよ! もっとサブローにバイオリンを教えてほしいんだ。それに」
ポケットから稼ぎをテーブルに出す。
「こんなに稼いだんだ。だから……」
その先は続かなかった。三郎に両肩を掴まれたからだ。
「オゼ! よく聞け、お前は才能がある。俺なんかに教わるよりも、学校に行って勉強するほうがお前のためになるんだ」
「でも……!」
少年の前で三郎が首を振る。
「すまん。もう面倒は見てやれないんだ……だから」
頼む、と頭を下げると肩が震えはじめた。泣いているのだ。
「この金もバイオリンもお前のものだ。約束しろ。ちゃんと学校に通って、バイオリニストになるって」
「うん……わかった、約束する。でもサブローも約束して」
「なんだ?」
「俺がいつか有名なバイオリニストになったら、俺の演奏をきくって」
「ははは。そりゃ楽しみだ」
約束するよ、と小指を立てる。サブローから教わった日本での誓いだ。
ゆびきりげんまーん。うそついたら、はりせんぽんのーます。ゆびきったー……。
「なぁサブロー」
「ん? なんだ」
「サブローはなぜ、俺をオゼと呼ぶんだ?」
三郎が「なんだ、そのことか」と言い、頭をぽりぽりと掻く。
「それは――」
†††
「――! ジョゼ! セニョールジョゼ!」
自分を呼ぶ声ではっと目を覚ます。すぐそばには窓が、風景が右から左へと流れていく。
それでここは新幹線のなかだと思い出した。
「大丈夫ですか?」と隣に座るフランチェスカ。
「すみません。いつの間にか眠っていて……夢を見ました」
上着の内ポケットから写真を取り出す。別れ際にもらったこの写真からまさか恩人への手がかりがつかめようとは。
そしてこの新幹線はその恩人のいる福島県――郡山駅へと向かっている。すでに大宮駅を過ぎたばかりだ。
ふたたび写真に目を落とす。ふふと微笑む。
「どうしましたか?」
「いえ、ちょっと昔のことを……彼はいつも私のことをオゼと呼んでいたんです。発音が不明瞭でそう聞こえたのかと思ったのですが……」
途端、着信音が鳴った。スマホを取り出す。
「……マネージャーからです。ちょっと失礼します」
そう断って座席からデッキへと移動する。
扉の前で通話ボタンを押して耳に当てる。
「セニョールジョゼ! いったいどこにいるのです!? すぐに戻ってきてください!」
「すまない……だが、もうすぐ私の恩人に会えるんだ。だから……」
「待ってください。なにか音がしますが……電車に乗っているのですか?」
「そうだ。新幹線だ」
受話口からマネージャーの溜息。
「セニョールジョゼ、もう何度も言いましたが、もう一度言わせてもらいます。今回のコンサートはあなたにとって最後のチャンスなのです。世界的な名声を得るという……」
「それはわかっている。君はよく尽くしてくれた。だが、私にとっては大事なことなんだ」
一瞬の間があった。しばらくしてマネージャーから「信じられない!」と驚きの声。
「とにかく、途中の駅で降りて引き返してください。いますぐ戻ればまだ弁解の余地があります。わかっているのですか? あなたはいままさに人生の分かれ道に立っているんです!」
マネージャーの切羽詰まった声にジョゼはぎゅっと目をつむる。
「どうしましたか?」
振り向くとフランチェスカだ。あとでかけ直すとスマホをしまう。
「いえ、なんでもありません。ちょっと仕事の件で……でももう大丈夫です」
席に戻りましょうとデッキを出る。そして自分の席に戻って窓を眺める。田園風景と農家が延々と続く。
「もうすぐ宇都宮駅ですね。これを越えたら郡山駅ですよ」と安藤が言い、それを見習いシスターが通訳する。
「そ、そうですか……」
さっきのマネージャーとの電話が思い起こされる。
自分はいままさに人生の分かれ道に立っている。そして宇都宮駅で降りて引き返せば将来の名声は約束されている……。
際限のない葛藤にジョゼは思わずぎゅっと拳を握る。
そんな彼の面持ちがフランチェスカにも伝わったのだろう。
「ジョゼさん、どうしたのですか? なにか心配事でも?」と声をかけてきた。
「ああ……いえ、すこし緊張しているだけです」
「そうですか」
しばしの静寂。アナウンスが「まもなく宇都宮駅です」と告げる。
「あの、フランチェスカさん」
「はい?」
「その……たとえばある重大な出来事でふたつの選択肢しかなく、どちらかを選ばなければならない状況になったら、あなたはどうしますか?」
「? ええと、それはどういう意味で……?」
「すみません。なんでもないです」
新幹線が止まった。宇都宮駅に到着したのだ。
「質問の意図はわかりませんが、私が言えるのは“なすべきことはただひとつ。後ろのものを忘れ、前のものに全身を向けなさい”(フィリピの信徒への手紙第3章13節)ですね」
「それは聖書の引用ですか?」
「あれ? 言いませんでしたっけ? 私、シスターなんです。と言っても見習いですけど……」
目の前の少女が見習いシスターだったことに驚く。
「あれこれ考えるより、前に進みなさいということですか?」
「はい。聖書って解釈は人それぞれですけど、その解釈で間違ってないと思います」
その時、発車ベルが鳴った。程なくして新幹線が動き出し、ホームから離れていく。そしてそれはもう後戻りできない道のりだ。
†††
宇都宮駅を出発して30分後、新幹線は郡山駅のホームに到着した。改札を出てタクシー乗り場へと。
「たまゆら園ですか? ここから20分ほどですよ」
年配の運転手が老人ホームの名刺を返すとアクセルを踏んでハンドルを切る。
「ここいらはね、大震災でひどい目にあったんです。あそこのビルの1階なんて、そらひどいもんでしたわ」
話し好きの運転手がハンドルを切りながら市内案内を。
ジョゼは窓の外を眺めている。恩人の故郷をしかと目に焼き付けるかのように。
やがて風景がビル群から住宅地へ、そしてまばらな民家が通り過ぎていく。
「お客さんここですよ」
タクシーから降りた先は二階建ての老人ホームだ。確かに入口の横に『たまゆら園』のプレートがかかっている。
「ここにいるんですね……」
「受付に行ってきますね」と安藤が先に向かう。
フランチェスカも後を追うが、ジョゼは立ち止まったままだ。
「ジョゼさん?」
「その、会うのが恐いんです。認知症で覚えていないかもしれないし、おまけに長く会っていませんから……」
バイオリンケースを持った手がぎゅっと握られた。フランチェスカが握ったのだ。
「それでも行くべきです。やらない後悔よりやって後悔したほうがはるかに良いことだってありますわ」
「…………はい」
入口から安藤が出てきた。
「施設長さんが会ってくれるそうです」
†††
三人は応接室に通され、ソファに腰かける。
しばらくしてから施設長が入ってきた。
「お待たせしてすみません。書類作成で手間取りまして……施設長の穂積です」
髪が薄くなった頭をぺこりと下げる。役所仕事が似合いそうな初老の男性が汗を拭きながら腰かけた。
「それで、今日はどんなご用件でしょうか?」
安藤がこれまでの経緯をかいつまんで話す。話していくうちに穂積は眼鏡の奥の目を丸くさせた。
「はぁーそんなことが……確かに、鷹取さんはこちらにおります。ただ、認知症がかなり進行していまして……」
今は名前を呼んでも反応しないのだそうな。
「会っても反応しないと思いますが、それでもお会いになりますか?」
施設長の言葉をそのまま通訳する。一言一句正確に。
「……私は、彼に会うためにここまで来ました。ここで会わなければ、私はきっと今日のことをずっと後悔するでしょう……」
頭を上げ、しっかりと真正面を見据える。
「どうか会わせてください」
穂積が「うん」とうなずき、そして「わかりました」と席を立つ。
「受付票にお名前を書いていただければご案内します」
†††
受付票に名前を記入し、首に訪問者のナンバーが書かれたタグをかけると、施設長が「こちらへ」と案内を。
「鷹取さんはこちらには5年ほど前に入所しましてね……ああ、ここです」
取っ手のついた引き戸の前まで来た。横には『鷹取三郎』と書かれたプレートが。
ジョゼは胸が高鳴るのを自覚する。ついにこの扉の向こうに恩人がいるのだ。
穂積が戸をコンコンとノックする。が、反応はない。
「いつもノックしても反応がないんです」と戸を開ける。
がらりと開かれたその部屋は病室のような体をしており、ベッドには老人が腰かけ、野球中継のテレビを見るともなしに見ていた。
「鷹取さん、お客さんですよ」
これも反応はない。ベッドの上の鷹取老人は薄くなった白髪に黒縁の眼鏡をかけており、その目は閉じているのか開いているのかわからないほど細い。
ジョゼがふらりと部屋に入る。そして恩人の前で膝をつく。
細く、血管の浮き出た彼の手を握る。
「サブロー、覚えていますか? ジョゼです。あなたはオゼと呼んでいましたが……ブラジルではお世話になりました」
だが、恩人サブローはジョゼのほうを見もしない。口は半開きのままだ。
たまらずに涙がこぼれる。
「約束どおり、バイオリニストになりました……今度はあなたが約束を果たす番です」
三郎の手をぎゅっと握り、そして立ち上がる。
「お願いがあります。彼に、私の演奏を聞いてほしいのですが……」
フランチェスカが穂積にそう伝えると、施設長はうなずき、「ちょうどこれからレクリエーションの時間なので、ぜひみなさんの前でどうぞ」と提案してくれた。
†††
レクリエーションホールには入所しているほとんどの高齢者が集まっていた。むろん三郎もそのなかにいる。
「今日は皆さまにお知らせがあります。こちらの方がバイオリンを演奏してくれます」
穂積施設長の紹介でぱらぱらと周りから拍手。
「ブラジルから来ましたジョゼです。よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げ、バイオリンを構える。弦を弾き、ペグを回して調節。
チューニングが終わり、「では弾かせていただきます」と開演の挨拶。
ジョゼの目の前には三郎が。車椅子に乗せられた彼は相変わらず無反応だ。
弓を寝かせるようにすーっと弦の上を滑らせると、ホールにバイオリンの繊細で優しい音色が響き渡った。
演奏していくにつれ、周りから次第に手拍子が。それでも鷹取三郎は無言の体だ。
「素敵な曲ね」
「そうすね。でもこの曲、どこかで聴いたような……」
「『夏の思い出』という曲ですよ。尾瀬という場所を舞台にうたったものです」と穂積施設長が説明してくれた。
「おぜ? そういえばジョゼさんは子どもの頃にそう呼ばれてたって言ってたわね」
「たぶん、故郷が懐かしくてそう呼んだんじゃないんですか?」
フランチェスカと安藤のふたりが見守るなか、ジョゼは曲の終わりに向かって指を動かし、弓を滑らせるように弾く。
余韻を残すように、そしてぴんっと撥ねる。
しばしの静寂があった。そして周りから拍手が。施設長含めスタッフも入所している高齢者たちだけでなくフランチェスカと安藤も惜しみない拍手を送っていた。その賛辞にジョゼが頭を下げる。
頭を上げた時、恩人である三郎が目に入った。だが、依然として無反応だ。
「ありがとうございました……」
ふたたび頭を下げ、バイオリンをケースにしまおうとする。
レクリエーションの時間が終わると、みなそれぞれの部屋へと戻るべくスタッフが介助を。
「さ、鷹取さん。お部屋に戻りますよ」
穂積施設長が車椅子のハンドルを握ろうとするその時であった。
老人がなんとか絞り出すようにして言葉を発する。
よく聞き取れないので穂積施設長が耳を近づける。
「ジョゼさん!」
名前を呼ばれたバイオリニストが振り向く。
「あなたの名前を呼んでます!」
ジョゼが恩人を見る。微かにだが、口が動いている。そこからなんとか声を振り絞って出そうとしているようだ。すぐに彼のもとへ駆けつける。
「おぜ……おぜ……」
閉じられた目蓋から涙がとめどなくあふれる。
「そうです! オゼです。約束を果たしにきました……!」
隣に来たフランチェスカが通訳する。彼女もまた涙を流していた。
ぷるぷると震える手でジョゼの肩に手を置く。
「りっぱに……なったなぁ……」
「あなたの、おかげです……!」
恩人の細い体を抱きしめる。三郎が肩を震わせるジョゼの背を優しく叩く。
「うん、うん。おおきくなった……」
三郎はそれからも背中を優しく叩き続けた。我が子を慈しむかのように。
†††
「本当にありがとうございました。おかげで恩人に会えました」
穂積施設長がいえいえと手を振る。
「お礼を言うのはこちらのほうです。あなたのおかげで鷹取さんが元気を取り戻しました」
ありがとうございますと握手を交わす。そして待たせておいたタクシーへと乗り込んだ。
†††
上野駅。郡山駅から戻ってきた三人は改札口を出る。
その時着信音が鳴った。ジョゼがスマホを取り出す。
「もしもし?」
相手はマネージャーだろう。幾度か言葉を交わすと次第に申し訳なさそうな顔つきになる。
「……すまない。君には迷惑をかけた」を最後に通話を切る。
「公演は中止になりました……」
「そんな!」
「どうしたんですか? フランチェスカさん」
彼女の通訳で事情を知ると安藤は済まなそうにした。
「すみません……もっと早く探せていたら……」
安藤の手がぎゅっと握られた。はっとして顔をあげるとジョゼがにこりと微笑んでいた。
「気にしないで。私はぜんぜん後悔していません。あなたたちに会っていなかったら、サブローには会えなかったんですから」
「その、ジョゼさんはこれからどうするんですか?」
フランチェスカの通訳が終わるまでしばしの間。
「国に帰ってもう一度やり直します。ありがとう。あなたたちに救われました……」
お元気でと言い残し、そのままタクシー乗り場へと向かう。
「これで、よかったんですかね……」
「そんなの本人にしかわからないわよ。でも、はっきり言えるのは本当に聴いてほしいひとに音楽を聴かせることができた。それでいいんじゃない?」
見えなくなるまで彼の背中を見送る。それは新たな旅立ちに向けて歩きだすひとの背中だった。
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