年下上司の愛が重すぎる!

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42話 佐原視点

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以前と同じように、姫崎さんがお風呂に入っている間に自分の部屋で開封した。
今回は手紙だけのようだ。

『忠告はこれで最後』

とだけ綴られていた。
たった一言だったが、なんだか背筋が冷たくなる。
丁度その時、インターホンが鳴った。

確認すると、どうやら配達員のようだ。
だが、エントランスではなく玄関に直接来ている。
他の部屋に荷物を届けた後だろうか。
少し嫌な予感がして、チェーンしてから扉を開けた。

———だが、そこに配達員の姿はない。

念のため手鏡で確認をしてみてもやはり姿はなく、部屋の前に段ボールが置かれているだけだった。
チェーンを外し、周りを警戒しながら確かめてみると、やはり差出人は不明。

段ボールを恐る恐る開けると、最初に異臭が鼻をつく。
中から覗いたのは、ビニールに入れられた真っ赤な物体だった。
嘴が見えるのでかろうじて鳥だとわかるが、羽は全て毟られており、嘴の色と大きさでカラスかもしれない、という予想しか立てられない。

「佐原?どうかしたか?」

「!?」

突然洗面所から姫崎さんの声が響き、慌てて閉じた。

「っいえ!なんでもないです!荷物が届いたんですけど、よく見たら家宛じゃなかったので届けてきますね!誰か来ても鍵開けちゃダメですよ!」

「ガキか!俺は!わかったからさっさと行ってこい」

なんとか誤魔化し、段ボールを抱えて警備員の元へ急いだ。

だが、特に怪しい点は見られなかったようで、防犯カメラでも、不審な動きを見せずにマンションを出て行く姿を確認した。

やはり俺の部屋に来る前に、別の部屋へ荷物を届けていたようで、段ボールを警備員に預け、その人に話を聞きに行った。


『はい....?』

インターホンを鳴らすと、少し不審げな声色ではあるが応答してくれた。
エントランスを通らず、直接玄関に来たからだろう。
警戒するのは尤もで、すぐに警察手帳を見せた。

「夜分遅くにすみません。警察の者ですが」

『警察!?』

「お話を伺いたいだけです。このままでいいので少々お時間いただけないでしょうか」

『.....なんでしょうか』

「ありがとうございます。今日、私が伺う少し前に荷物を受け取りましたか?」

『え....?はい....、受け取りましたけど....』

「それはあなたが注文した物ですか?」

『えっ?....あー、実は覚えがなくて....。後で返品しようと思ってたんですけど....、それがどうかしましたか...?』

「....いえ。それでは最近眠れなかったことなどはないですか?」

『なっ、なんで知って...!』

「.....いつからですか?」

『.....二週間、くらい前からです....。もう限界で...酒飲んだら記憶飛ばして....。多分その時にポチッちゃったと思うんですけど...』

「......なるほど」

『あの....、俺、なんかやばい事件にでも巻き込まれてます....?』

俺が黙った事で一気に不安が募ったようで、慌てて否定した。
恐らく、この人は俺の部屋に荷物を届けるためだけに利用されたんだろう。
念のため、まだ幽霊に取り憑かれていないか確認したが、やはり逃げた後だったようだ。
ストーカーが幽霊なのか、それとも御堂先生の時のように幽霊を利用しているのか。どちらにしろ、用意周到だ。

荷物を運んで来た人がどこの宅配業者だったかを教えてもらい、防犯カメラに顔もバッチリ映っていたので明日話を聞きに行くことにした。
防犯カメラに姿が映っている時点で、犯人である可能性は低いと思っているので、この人も操られているかもしれない。
本当はすぐにでも行きたかったけど、これ以上は姫崎さんが不審に思うだろう。

部屋に戻ると案の定「遅かったな」と声がかかった。
話し込んじゃいました、と誤魔化せば少し引いたような顔で「...そういえばお前は誰とでもすぐに仲良くなるもんな」と返ってくる。
いや、なんで引いてんですか。納得いかないんですけど。

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