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プロポーズ
仲直り(1)
さすがに人通りのあるところでは下ろしてくれたが、俺の右手はがっちりと掴まれたままホテルへと連れて行かれた。
部屋が表示されたパネルを見ながら「どこがいいとかあります?」と聞かれ、慌てて首を横に振る。
......やっぱり来たことあるんだろうな。
付き合う前のことをとやかく言うつもりはないが、少しモヤっとするのはどうしようもない。
「へ~、こういうところ初めて来ましたけど普通のホテルとそう変わんないんですね」
部屋に入るなり郁人が感心したように言った。
「え!?初めて!?そんな風には見えなかったけど....」
「本当ですよ。そもそも俺そんな性欲なかったですし」
「....じゃあなんであんな迷いなく....」
「勉強したって言ったでしょう?伊織先輩にかっこ悪いところは見られたくないんで」
「っ.....」
郁人にじっと見つめられ言葉に詰まる。
俺はいっぱい見られてるけどな、と思いながらじろりと睨むと、腰を引き寄せながらくすりと笑われた。
「先輩は何やっても可愛いからいいんですよ」
いや、意味わからんわ。
「んっ.....ん、ちょっとまっ....んぅ.....」
ちゅっちゅっと優しくついばむようなキスの合間に、するりと服の中へ手が入り込んでくる。
「待てないって言ってるでしょう?」
「ぁっ、でもっ....シャワーくらい...っ...」
「駄目です。伊織先輩の匂いなくなっちゃうじゃないですか」
俺の匂いってどんな!?そんなこと言われるとますます入りたくなるんだけど!
「ひっ!ぁ....だから嗅ぐなって....!」
首筋に当たる鼻息で背中がぞくぞくする。
「伊織先輩、好きです。大好き、愛してる」
矢継ぎ早の告白にかあっと頬が熱くなるのと同時に、俺はまだ言っていなかったと思い出す。
「.....俺も、好きだよ。郁人」
なんとか目を逸らさずに言えた。いい終わった後すぐに逸らしちゃったけどねっ。
郁人は何も言わずぎゅうっと抱きついてそのまま俺を持ち上げた。そしてベッドへ優しく下される。
またこいつは軽々と.....。
身長差もそれほどあるわけではないのに。
ギ、と音を立ててベッドに乗る郁人は見たことのない顔をしていた。いつもは人懐っこい犬のようなのに。
きっと俺の心臓が早鐘を打っているのはそのせいだ。
「怖いですか?」
「へ...?あ、いや..怖くはない、けど.....、心臓爆発しそう...」
「ははっ、俺もですよ」
「嘘だぁ...」
涼しい顔してるじゃんか。
「ほんとですって。.....ほら」
おれの右手を掴んで自分の左胸に当てた。
ドクン、ドクン、と俺ほどではないが確かに郁人の鼓動も速い。
「ね?俺も全然余裕ないんで、痛かったら言ってくださいね」
この流れってやっぱり....。
左胸に当てていた手を今度は口元へと移動させ、手のひらや指先へ唇を落とす。
っ、だからそういう恥ずかしいことをさらっとすんな!
「っ....郁、人....、あの....やっぱり俺が....、その....ぃれられる方....?」
郁人は大きな目を驚いたようにぱちくりさせた。
「そのつもりでしたけど....嫌、ですか?」
「あ、嫌とかじゃなくて....えと、俺....はじめて、だから....よくわかんなくて....」
言っててどんどん恥ずかしくなってきて、自由な手で顔を隠す。
「よかった。嫌って言われたら抵抗できないように縛って挿れてって言うまでぐちゃぐちゃになるくらい寸止めしてお尻だけでイけるように調教するところでしたよ」
「しばっ....えっ、はっ...?」
いい笑顔で何言ってんのかな!?
「冗談ですよ」
「い、痛いのは嫌だからな.....?」
声のトーンが少し低かったような気がして、冗談だと言われたのになんかちょっと怖い。
「大丈夫です。気持ちいことしかしませんから。伊織先輩は俺に身を任せていてください」
「っん....ぁ、や...郁人っ、それくすぐったい....っ」
「くすぐったいだけですか?」
首筋を舌や唇が這い、ぞわぞわして首を竦めて逃げれば今度は耳へと這っていく。
「わかんなっ....んっ...は....」
「ちゃんと教えてください」
「ん....ぁ、ほんとにわかんないっ.....んぁ!」
耳朶はみはみと甘噛みされ、耳裏をぺろりと舐められたとき、自分の口から出たとは思えないような甘い声が出た。
今の俺の声!?
今更口を押さえても、出てしまったものは撤回できない。
「ここですか?」
「んぅっ!や....めっ....!っ....んっ....」
耳裏をつうっと舌でなぞり、ふっと息を吹きかけられる。反対側は指先で弄られ、身体が勝手に動いてしまう。
「声聞かせてください」
「ぁ、やっ...はなし....んっ、っ....」
口を押さえていた手をあっさりと外され、ベッドへと縫い付けられる。それでも声がでないように必死で奥歯を噛み締めた。
「ふっ、いいですね。我慢してる姿を見るともっと鳴かせたくなります」
「なっ....んっ、ふ.....っそこばっか....!」
わざとぴちゃぴちゃ音を立てながら執拗に舐められ、反対側の耳には指が穴にまで入り込んできて余計水音が響く。
「ああ、こっちも触って欲しかったですか?」
「へ...?っ!そ、そんなとこ....!」
服の上から胸の頂きをカリっと引っ掻かれ、身体がびくんと跳ねた。
「でもここは触って欲しそうですけど。まだ触ってない方も服越しでわかるくらい勃ってますよ?」
「っ!」
確かに触られていない方もワイシャツを押し上げ、触られた方はその刺激を喜んでいる。
男なのにこんなところで感じてしまっている自分に、一層羞恥が襲う。
「んぅ!っ...んっ、ぁ....郁人っ.....」
「っ、その上擦った声で名前呼ばれると下半身にキますね....」
尖った先を服の上から口に含まれ、時折甘噛みするのを止めてもらいたくて呼んだのに、さらに悪化した。
反対側の突起も口に含まれ、強めに吸い付かれる。しかももう片方は指でぐにぐにと押しつぶされ、爪で弾かれた。
「ひっ!ぅ.....んんっ、も....やめ....んっ!」
「やば.....。伊織さんエロすぎ。乳首すけて赤く腫れてんのが丸見えですよ?」
「やだぁっ....見んなっ...んっ....は....」
「無理ですね。あー...仕事中思い出して勃ちそう」
バカなのこいつは!?さっきから恥ずかしくなるようなことばっか言って全身から火が出そうだ。
触り方もなんかいちいちぞわぞわする。ただ腰を撫でられただけなのになんでこんな気持ちいの?俺の身体変じゃない?
「はっ....ん、でんき...せめて電気消してっ....」
「嫌ですよ。ぐずぐずになった姿見えないじゃないですか」
見られたくないから言ったんだけどな!?せめてもの抵抗に枕を胸に抱き込んだ。
「あー、もうなに可愛いことしてんすか。...まあいいですけど顔は隠さないでくださいね?隠したら没収するんで」
えっ!あわよくば顔も隠そうと思ってたのに!
うぅ....でも体隠せるだけましか....。
そんなことを考えていたらいつの間にかベルトを取られ、ズボンを脱がされた。
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