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プロローグ
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「おお!召喚成功だ!」
「勇者様!この国を勝利にお導きください!」
....なんだこれは。
夢か?
召喚?勇者?流行りの異世界トリップかなにかか?
周りには魔道士っぽいコスプレをしたおっさんたちや騎士っぽい人、貴族が着るような豪華な格好をしたイケメンなどがいる。
その人たちの視線が全て俺に向けられていて異様な光景だ。
一応後ろを振り返って見てみたが誰もいない。
「.....随分と幼くないか....?」
「黒髪に黒目....不吉な色だ....」
遠巻きに俺を見ているおっさんたちがひそひそと話しているのが丸聞こえだ。
幼いってなんだ。これでも22だぞ。
自分の容姿がそれほど大人びていないのは知っているが幼いって言い方は酷くないか。
コツコツと足音をならしながらイケメンが近づいてきた。
「殿下っ、不用意に近づいてはなりませぬ!」
殿下?こいつ王子なのか?通りで高そうな服着てると思った。
「こんな間抜けな顔をしたやつが危険だと思うか?」
む、マヌケとはなんだ。
夢だというのに俺に対する扱いが酷くないか?
どうせ夢なら俺はもっとちやほやされたい。
「お前、名はなんという?」
「.....栗原千裕」
こいつ...めちゃくちゃ偉そうだな。
いや、王子なんだから偉いんだろうけど、同じ歳くらいだろうに。
「クリハラチヒロか。言いにくい名前だな。まあよい。早速で悪いが前線へ向かってくれ」
「.....はい?」
いきなりなんの話?
「お前ら、こいつに合う防具と武器を見繕ってやれ」
「はっ!」
「ちょ、ちょっと待って!なんの話!?」
防具と武器って!戦場にでも行かせる気かよ!
夢でもそんなとこやだわ!
殿下と言われていた人にしがみつきながら縋ると騎士っぽい人たちに慌てて引き剥がされた。
「なんと無礼な!」
「いくら勇者様とてお控えください!」
だから勇者ってなんなんだよ!
魔王と戦えとでも言うのか。
「よい。説明してやれ」
なんとか説明してくれることにはなったけど早く目覚めてくれないかな。
こんな理不尽な夢嫌なんですけど。
残念ながらまだ覚める気配もないので聞いた話をまとめると、どうやら戦う相手は魔族ではないらしい。
数ヶ月前にネイベルという隣国に住む獣人族がここ、人族が住むレムール王国に襲撃してきたそうだ。
獣人族ってあれだよな?耳と尻尾生えてる!
やばい。めちゃくちゃ会いたい。
会うまで夢覚めませんように!
獣人族は身体能力が高くて、一対一では分が悪いけど人族は数が多いから勝負は拮抗してるんだって。
それでもちゃっちゃと戦争に勝ちたい人族は異世界から勇者を召喚すればいいじゃない!という結論に至ったわけだ。
つまり、それが俺。
.....うん、でも申し訳ないけど俺、勇者じゃないのよ....。
就職も決まって残りの大学生活を謳歌してるただの大学生なのよ...。
「申し訳ないけど、俺勇者じゃないから力になれないと思う」
正直に言ったらすごい形相で振り向かれた。
「なに!?勇者ではないだと!?」
ひぃっ!イケメンの怒った顔迫力あって怖すぎっ!
「そ、そんなはずありません!黒髪に黒目、それに見たことのない服装、まさしく異国の者です!」
嘘でしょ?異国の人はみんな勇者ってこと?
その解釈はちょっと乱暴じゃないか?
「貴様、よもや戦場に行きたくなくて嘘を吐いているのではあるまいな?」
「えっ!いや、嘘じゃないよ!」
そりゃあ戦場には行きたくないけど。
あ、でも戦場に行かないと獣人族には会えないのか。
うーん、迷う。
だって敵ってことは会えても触れないよね?
むしろ一瞬で殺される自信あるぞ。
うん。やっぱ行かない方向で。
「.....まあよい。戦場に放り込めば嘘かどうか一目で分かる。早く準備をして送り込め」
えー!?それ嘘じゃなかった場合どうするつもりなの!?ちゃんと戻してくれるの!?
もー、いいよー。早く覚めてよー。獣人に会えなくていいからぁー。
死んで目覚めるとか絶対寝覚め悪い....。
でもどうすれば目が覚めるかも分からず準備だけが着々と進められていく。
スウェットの上に胸当てや小手、脛当てがつけられその重みが嫌に生々しい。
最後に剣を渡され、とうとう準備万端になってしまった。
どうやら騎士っぽい人と一緒に送られるようで丁寧に自己紹介してくれた。
「はじめまして、勇者様。私はメイヤット・オレリスと申します。勇者様の補佐をさせて頂くことになりました。なにか分からないことがございましたらなんでもお聞きください」
「あ、ありがとうございます」
正直、分からないことだらけです。
早速質問しようと思ったらおっさんたちがぶつぶつとなにかを唱え始めた。
え、なに。なんか怖いんですけど。
「あれ、なにしてるんですか?」
「私たちを転移させるための呪文です」
え?もう?早くない?
もう少し説明あってもよくない?
.....まあ、夢なんてこんなもんか。
直後、光に包まれ視界が真っ白になった。
「勇者様!この国を勝利にお導きください!」
....なんだこれは。
夢か?
召喚?勇者?流行りの異世界トリップかなにかか?
周りには魔道士っぽいコスプレをしたおっさんたちや騎士っぽい人、貴族が着るような豪華な格好をしたイケメンなどがいる。
その人たちの視線が全て俺に向けられていて異様な光景だ。
一応後ろを振り返って見てみたが誰もいない。
「.....随分と幼くないか....?」
「黒髪に黒目....不吉な色だ....」
遠巻きに俺を見ているおっさんたちがひそひそと話しているのが丸聞こえだ。
幼いってなんだ。これでも22だぞ。
自分の容姿がそれほど大人びていないのは知っているが幼いって言い方は酷くないか。
コツコツと足音をならしながらイケメンが近づいてきた。
「殿下っ、不用意に近づいてはなりませぬ!」
殿下?こいつ王子なのか?通りで高そうな服着てると思った。
「こんな間抜けな顔をしたやつが危険だと思うか?」
む、マヌケとはなんだ。
夢だというのに俺に対する扱いが酷くないか?
どうせ夢なら俺はもっとちやほやされたい。
「お前、名はなんという?」
「.....栗原千裕」
こいつ...めちゃくちゃ偉そうだな。
いや、王子なんだから偉いんだろうけど、同じ歳くらいだろうに。
「クリハラチヒロか。言いにくい名前だな。まあよい。早速で悪いが前線へ向かってくれ」
「.....はい?」
いきなりなんの話?
「お前ら、こいつに合う防具と武器を見繕ってやれ」
「はっ!」
「ちょ、ちょっと待って!なんの話!?」
防具と武器って!戦場にでも行かせる気かよ!
夢でもそんなとこやだわ!
殿下と言われていた人にしがみつきながら縋ると騎士っぽい人たちに慌てて引き剥がされた。
「なんと無礼な!」
「いくら勇者様とてお控えください!」
だから勇者ってなんなんだよ!
魔王と戦えとでも言うのか。
「よい。説明してやれ」
なんとか説明してくれることにはなったけど早く目覚めてくれないかな。
こんな理不尽な夢嫌なんですけど。
残念ながらまだ覚める気配もないので聞いた話をまとめると、どうやら戦う相手は魔族ではないらしい。
数ヶ月前にネイベルという隣国に住む獣人族がここ、人族が住むレムール王国に襲撃してきたそうだ。
獣人族ってあれだよな?耳と尻尾生えてる!
やばい。めちゃくちゃ会いたい。
会うまで夢覚めませんように!
獣人族は身体能力が高くて、一対一では分が悪いけど人族は数が多いから勝負は拮抗してるんだって。
それでもちゃっちゃと戦争に勝ちたい人族は異世界から勇者を召喚すればいいじゃない!という結論に至ったわけだ。
つまり、それが俺。
.....うん、でも申し訳ないけど俺、勇者じゃないのよ....。
就職も決まって残りの大学生活を謳歌してるただの大学生なのよ...。
「申し訳ないけど、俺勇者じゃないから力になれないと思う」
正直に言ったらすごい形相で振り向かれた。
「なに!?勇者ではないだと!?」
ひぃっ!イケメンの怒った顔迫力あって怖すぎっ!
「そ、そんなはずありません!黒髪に黒目、それに見たことのない服装、まさしく異国の者です!」
嘘でしょ?異国の人はみんな勇者ってこと?
その解釈はちょっと乱暴じゃないか?
「貴様、よもや戦場に行きたくなくて嘘を吐いているのではあるまいな?」
「えっ!いや、嘘じゃないよ!」
そりゃあ戦場には行きたくないけど。
あ、でも戦場に行かないと獣人族には会えないのか。
うーん、迷う。
だって敵ってことは会えても触れないよね?
むしろ一瞬で殺される自信あるぞ。
うん。やっぱ行かない方向で。
「.....まあよい。戦場に放り込めば嘘かどうか一目で分かる。早く準備をして送り込め」
えー!?それ嘘じゃなかった場合どうするつもりなの!?ちゃんと戻してくれるの!?
もー、いいよー。早く覚めてよー。獣人に会えなくていいからぁー。
死んで目覚めるとか絶対寝覚め悪い....。
でもどうすれば目が覚めるかも分からず準備だけが着々と進められていく。
スウェットの上に胸当てや小手、脛当てがつけられその重みが嫌に生々しい。
最後に剣を渡され、とうとう準備万端になってしまった。
どうやら騎士っぽい人と一緒に送られるようで丁寧に自己紹介してくれた。
「はじめまして、勇者様。私はメイヤット・オレリスと申します。勇者様の補佐をさせて頂くことになりました。なにか分からないことがございましたらなんでもお聞きください」
「あ、ありがとうございます」
正直、分からないことだらけです。
早速質問しようと思ったらおっさんたちがぶつぶつとなにかを唱え始めた。
え、なに。なんか怖いんですけど。
「あれ、なにしてるんですか?」
「私たちを転移させるための呪文です」
え?もう?早くない?
もう少し説明あってもよくない?
.....まあ、夢なんてこんなもんか。
直後、光に包まれ視界が真っ白になった。
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