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33話
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少しするとヴィスが薬を持ってきてくれた。
「ヴィス!よかった!みんな無事?」
せめて人が来る前に服だけでも着たかったのだが、立とうとしても足に力が入らずクローゼットにたどり着けそうになかったので諦めた。
「ああ。大丈夫だ。お前は薬必要って言うから怪我でもしたのかと思ったけど違ったならよかった」
うわ!これ匂いでバレてるやつ!匂いってどうにかならないんだろうか....。恥ずかしすぎる....。
ありがたく薬を受け取って蓋を開けるとものすごい異臭がして思わず遠ざけた。
「っ、なにこれ臭っ!飲んで大丈夫なやつ!?」
「大丈夫。味は最悪だけど効果は保証する」
「うぅ....できれば味も保証してほしい....」
色は透明なのに匂いが酷い。生臭いような、腐ってるような、とにかく酷い。量が少ないのがせめてもの救いだ。
鼻をつまんで一気に呷った。
「~~~~!まずっ!臭っ!」
暫く鼻をつまんだままにしたのにも関わらず、未だ鼻の奥に匂いが残っている。
「ははっ、でも身体の痛みは引いただろ?」
「えっ、ほんとだ!全然痛くない...!」
すごくない!?魔法みたい!
「でもなんでこんなまずいの?」
「トリス殿曰く、"不味い方がもう怪我したくないと思うでしょう?"ってさ」
「.....たしかに」
できればもうこれにはお世話になりたくない。
いつまでこのまずさが残るんだろう。
とりあえず痛みもなくなったのでご飯が来る前にお風呂に入った。
お風呂から出るとすでにご飯が用意されていて、食べながらヴィスが事の顛末を教説明してくれた。
まず、戦争にはネイベルが勝利したらしい。やったね!
そして簡単に説明するとこうだ。
まず獣騎士団を3つに分け、一番多い人数を国境付近でレムールの兵士とぶつけて注意を引く。そして次に多い人数が夜間に獣の姿でレムールの王城へ移動(ちゃんと服は持ってったらしい)。
一番少ない人数はレムールから送られてきたモノを送り返すと言う名目で、あらかじめ書いておいた転移陣でレムールの王城へ乗り込む。
王城の転移陣は第二王子を支持している人が書いたようだ。
そうして乗り込んだ獣騎士団がすぐさま第一王子たちを制圧。夜間に移動していた獣騎士団も城を包囲してほとんど被害もなく勝利を勝ち取った。
なんか話を聞いただけだと呆気ない感じがするけど、とにかくみんな無事でよかった。
レムールの国民にも被害はでていないようでそれもよかった。
それから俺もレムールの王城に呼ばれた。
ただ、第一王子からの謝罪はなく、第二王子にめちゃくちゃ謝られた。まぁ期待はしてなかったしいんだけど。
あと、この国に住むなら全てを保証すると言ってくれたがもちろん断った。断ったら今度はお金をくれると言うので、それはありがたいと受け取ろうとしたらあまりの大金でちょっと引いた。
いや、だって金貨どっさりだよ?
さすがにあんな大金は受け取れないので少しだけ貰おうとしたら今度は第二王子がそれは少なすぎると納得してくれず、大変だった。
それなら、と今後困ったことがあったら助けてほしいと頼んだらそれは当たり前だと言われ、ならお金が足りなくなったらまた融通してほしいと頼んだらようやく納得してくれた。頼むつもりはないけどね。
トリスさんはこのままこっちに残るのでここでお別れだ。もう会えなくなるわけじゃないけどちょっと寂しい。
「トリスさん、いろいろお世話になりました。薬もありがとうございます。めっちゃまずかったですけど」
「ふふっ、いえ。こちらこそありがとうございました。何か困ったことがありましたらなんでも言ってくださいね」
「はいっ!」
ネイベルに戻るとリベルがまた体調が悪くなったのか「遅い」と息も絶え絶えで怒られた。
「え、治ったんじゃ....」
「はぁ...、あれは一時的に、落ち着いただけだ...」
.....ってことはあと2、3日はあの状態が続くってこと!?そんであの状態が続くってことは.....
「んっ!ん、ぁ...まっ、んっ...んんっ」
腕を掴まれぐいっと引き寄せられたかと思えば噛み付くように唇を塞がれた。
当然待ってくれることはなく、ベッドに連れて行かれあっという間に服を剥ぎ取られてしまう。
結局、また散々喘がされ次の日身体がガタガタでトリスさんの薬に頼るのをあと2回も繰り返した。
こんなん続けてたら俺の身体がもたんわっ。
薬まずいしっ。
戦争が終わったといってもすぐになにかが変わるわけでもなく、むしろ変わっていくのはこれからだ。
まだまだお互いの印象は悪いままだろうし、俺もできることをやっていきたい。
時間はかかるだろうけど、きっとみんなが仲良くなれる日が来るって信じてる。
「ヴィス!よかった!みんな無事?」
せめて人が来る前に服だけでも着たかったのだが、立とうとしても足に力が入らずクローゼットにたどり着けそうになかったので諦めた。
「ああ。大丈夫だ。お前は薬必要って言うから怪我でもしたのかと思ったけど違ったならよかった」
うわ!これ匂いでバレてるやつ!匂いってどうにかならないんだろうか....。恥ずかしすぎる....。
ありがたく薬を受け取って蓋を開けるとものすごい異臭がして思わず遠ざけた。
「っ、なにこれ臭っ!飲んで大丈夫なやつ!?」
「大丈夫。味は最悪だけど効果は保証する」
「うぅ....できれば味も保証してほしい....」
色は透明なのに匂いが酷い。生臭いような、腐ってるような、とにかく酷い。量が少ないのがせめてもの救いだ。
鼻をつまんで一気に呷った。
「~~~~!まずっ!臭っ!」
暫く鼻をつまんだままにしたのにも関わらず、未だ鼻の奥に匂いが残っている。
「ははっ、でも身体の痛みは引いただろ?」
「えっ、ほんとだ!全然痛くない...!」
すごくない!?魔法みたい!
「でもなんでこんなまずいの?」
「トリス殿曰く、"不味い方がもう怪我したくないと思うでしょう?"ってさ」
「.....たしかに」
できればもうこれにはお世話になりたくない。
いつまでこのまずさが残るんだろう。
とりあえず痛みもなくなったのでご飯が来る前にお風呂に入った。
お風呂から出るとすでにご飯が用意されていて、食べながらヴィスが事の顛末を教説明してくれた。
まず、戦争にはネイベルが勝利したらしい。やったね!
そして簡単に説明するとこうだ。
まず獣騎士団を3つに分け、一番多い人数を国境付近でレムールの兵士とぶつけて注意を引く。そして次に多い人数が夜間に獣の姿でレムールの王城へ移動(ちゃんと服は持ってったらしい)。
一番少ない人数はレムールから送られてきたモノを送り返すと言う名目で、あらかじめ書いておいた転移陣でレムールの王城へ乗り込む。
王城の転移陣は第二王子を支持している人が書いたようだ。
そうして乗り込んだ獣騎士団がすぐさま第一王子たちを制圧。夜間に移動していた獣騎士団も城を包囲してほとんど被害もなく勝利を勝ち取った。
なんか話を聞いただけだと呆気ない感じがするけど、とにかくみんな無事でよかった。
レムールの国民にも被害はでていないようでそれもよかった。
それから俺もレムールの王城に呼ばれた。
ただ、第一王子からの謝罪はなく、第二王子にめちゃくちゃ謝られた。まぁ期待はしてなかったしいんだけど。
あと、この国に住むなら全てを保証すると言ってくれたがもちろん断った。断ったら今度はお金をくれると言うので、それはありがたいと受け取ろうとしたらあまりの大金でちょっと引いた。
いや、だって金貨どっさりだよ?
さすがにあんな大金は受け取れないので少しだけ貰おうとしたら今度は第二王子がそれは少なすぎると納得してくれず、大変だった。
それなら、と今後困ったことがあったら助けてほしいと頼んだらそれは当たり前だと言われ、ならお金が足りなくなったらまた融通してほしいと頼んだらようやく納得してくれた。頼むつもりはないけどね。
トリスさんはこのままこっちに残るのでここでお別れだ。もう会えなくなるわけじゃないけどちょっと寂しい。
「トリスさん、いろいろお世話になりました。薬もありがとうございます。めっちゃまずかったですけど」
「ふふっ、いえ。こちらこそありがとうございました。何か困ったことがありましたらなんでも言ってくださいね」
「はいっ!」
ネイベルに戻るとリベルがまた体調が悪くなったのか「遅い」と息も絶え絶えで怒られた。
「え、治ったんじゃ....」
「はぁ...、あれは一時的に、落ち着いただけだ...」
.....ってことはあと2、3日はあの状態が続くってこと!?そんであの状態が続くってことは.....
「んっ!ん、ぁ...まっ、んっ...んんっ」
腕を掴まれぐいっと引き寄せられたかと思えば噛み付くように唇を塞がれた。
当然待ってくれることはなく、ベッドに連れて行かれあっという間に服を剥ぎ取られてしまう。
結局、また散々喘がされ次の日身体がガタガタでトリスさんの薬に頼るのをあと2回も繰り返した。
こんなん続けてたら俺の身体がもたんわっ。
薬まずいしっ。
戦争が終わったといってもすぐになにかが変わるわけでもなく、むしろ変わっていくのはこれからだ。
まだまだお互いの印象は悪いままだろうし、俺もできることをやっていきたい。
時間はかかるだろうけど、きっとみんなが仲良くなれる日が来るって信じてる。
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