36 / 67
川沿いの道
しおりを挟む
川沿いの平坦な美しい道を、二頭立ての馬車はガラガラと走っていく。
マーリン王子はリーフを抱えてずっと眠っていた。
二時間ほど経っただろうか。
「あっ」
思い出した。すっかり忘れていたことがある。
「アーサーさんとジャックさんはどうなっているんですか?」
馬車の窓から顔を出し、寄り添うように白い馬に乗っているスカーレットに聞いた。
「心配ない。お二人は今しばらくは地下牢に入っていただくが、明日の夕暮れには然るべき場所に開放して差し上げることになっている。」
「然るべき場所・・・って?」
「ここホシフルの国と、アーサー様のツルギの国の国境だ。それまでも決してご不自由はおかけしないので、安心してくれ。」
どうやら二人は安全らしいので、リーフはホッとする。まあ、あの二人なら、何があっても自分たちでどうにか切り抜けそうだけど・・・。
馬車の旅は快適とは言いがたかった。舗装されていない道路は思った以上に揺れて、腰もおしりも痛くなる。
いっそのこと歩いたほうが楽なんじゃないかと思ったこともあった。
旅も1日目だというのに、夕方には馬車にうんざりしているリーフ。
これが3日も続くというのは地獄だ。
夜、一行は休むために少し開けた森でキャンプをする。
急な旅の支度だったので十分な設備がなく、マーリン王子とリーフは簡素なテントで、その他の兵はマントを羽織って野宿しなければいけないという状態だった。
皆が休む場所の真ん中で、大きなたき火が燃やされる。夜通し交代で火の番をするようだ。
火の周りで簡単な食事をする。
暖かい食事と明るい炎は、それだけで元気が出るようだった。
しかし、マーリン王子は何も食べようとしない。ただリーフにもたれかかり座っている。
青白い顔はますます蒼く、火に照らされると陶器の人形のようだった。
ちょっと心配になるリーフ。
スカーレットがリーフに何か紅い飲み物を手渡す。
何も考えずにゴクリと飲むと、それは葡萄酒だった。
ゴホッゴホッとせき込む。
マーリンはリーフの手からコップを取り、自分の口にもっていく。
何口か飲んだ後、口に含んだまま、リーフにキスをする。
葡萄酒がリーフの喉に流れ込んできた。
燃えさかる炎のせいか、恥ずかしいのか、酔っ払ったのかわからない、リーフの顔が真っ赤に染まった。
王子の顔にも少し赤みがさす。その美しい顔に笑顔がこぼれた。
「・・・そろそろお休みになりませんと」
スカーレットがマーリン王子とリーフをテントに促した。
マーリン王子はリーフを抱えてずっと眠っていた。
二時間ほど経っただろうか。
「あっ」
思い出した。すっかり忘れていたことがある。
「アーサーさんとジャックさんはどうなっているんですか?」
馬車の窓から顔を出し、寄り添うように白い馬に乗っているスカーレットに聞いた。
「心配ない。お二人は今しばらくは地下牢に入っていただくが、明日の夕暮れには然るべき場所に開放して差し上げることになっている。」
「然るべき場所・・・って?」
「ここホシフルの国と、アーサー様のツルギの国の国境だ。それまでも決してご不自由はおかけしないので、安心してくれ。」
どうやら二人は安全らしいので、リーフはホッとする。まあ、あの二人なら、何があっても自分たちでどうにか切り抜けそうだけど・・・。
馬車の旅は快適とは言いがたかった。舗装されていない道路は思った以上に揺れて、腰もおしりも痛くなる。
いっそのこと歩いたほうが楽なんじゃないかと思ったこともあった。
旅も1日目だというのに、夕方には馬車にうんざりしているリーフ。
これが3日も続くというのは地獄だ。
夜、一行は休むために少し開けた森でキャンプをする。
急な旅の支度だったので十分な設備がなく、マーリン王子とリーフは簡素なテントで、その他の兵はマントを羽織って野宿しなければいけないという状態だった。
皆が休む場所の真ん中で、大きなたき火が燃やされる。夜通し交代で火の番をするようだ。
火の周りで簡単な食事をする。
暖かい食事と明るい炎は、それだけで元気が出るようだった。
しかし、マーリン王子は何も食べようとしない。ただリーフにもたれかかり座っている。
青白い顔はますます蒼く、火に照らされると陶器の人形のようだった。
ちょっと心配になるリーフ。
スカーレットがリーフに何か紅い飲み物を手渡す。
何も考えずにゴクリと飲むと、それは葡萄酒だった。
ゴホッゴホッとせき込む。
マーリンはリーフの手からコップを取り、自分の口にもっていく。
何口か飲んだ後、口に含んだまま、リーフにキスをする。
葡萄酒がリーフの喉に流れ込んできた。
燃えさかる炎のせいか、恥ずかしいのか、酔っ払ったのかわからない、リーフの顔が真っ赤に染まった。
王子の顔にも少し赤みがさす。その美しい顔に笑顔がこぼれた。
「・・・そろそろお休みになりませんと」
スカーレットがマーリン王子とリーフをテントに促した。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる