オーブ・シークレット

大地ノコ

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翔也編

追跡

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「おい!飯持って上のほう行くぞ!」「えあ、はい!」
 大きな津波が目の前近くに見えてきた。こんなところに津波がくることも驚きだが、最初は俺らが飯を食っていた下を通った津波だが、2つ目の津波が自分たちの高度にきたのだ。
 しかも、上のあたりからも轟音がしている。これはつまり、今は津波が大量に流れまくるということだろう。なんという時期に吸い込まれてしまったのか…

 ん?ただの津波にしては臭い?それにボコボコしている。
「もしかして…」木の棒を生成して津波向かって投げ込む。
 直後、木の棒がジュワァァァっと音を出して溶けていった。
「おい!あれ酸だ!」「え?あ、棒が…」「胃酸とでもいうべきか?」「そうでしょうね、腐ってる食料が少なかったのはそういうことでしたか…え、つまりこの食料たちは…とけ…る?」「だな」「そんなぁぁぁ」
 というか、一瞬で木の棒が溶けたということは、軽く触った程度で体が溶けると考えられる。
 胃酸の流れに身を任せる作戦も考えたがどろどろに溶けてまでやることじゃない。
 それに、胃酸についてったところでどこに何があるのかわからないもんはわからない。
 それにこいつから出る方法があるかもわからない。この中で過ごしていくことになるかもしれない。
 シークレットについてもわからないことだらけだし……

「んえ?おい、翔也さん。シークレットの体内に共通する何かとかある?」
「はい?えっと、一応内臓?というかが必ず存在はするはず……あれ?つまりこいつにも…」
「でだよ。どうすればその内臓というか、表面に通ずるところにありつけるか?」「それは…調べきれてないな」
「予想だけどよ。あの胃酸について行けば内臓にありつけるんじゃねぇか?」「え?」
 馬鹿げたこと言ってるのはわかってるけど…
「一旦やってみねぇとわかんねぇだろ?一週間追いかけても無理そうだったら諦めよう。これでどうだ?」
「え、え、あ、え、あ、あ、え?え、うえ?え?」
「食料用意しとけ!」「は、はは、はいぃぃ!」
 ここから、胃酸を追跡するといった、今後二度と経験しないと思われる変な思い出が出来上がったのだ………

 胃酸を追いかけて1日経過…
 俺はシークレットの状態だと血液から栄養を生成して生きてることはできるが、腹が減った。
 その分食料をたくさん食べられる翔也さんは、日頃運動してないからか眠いからか、足取りは重いし、時々後ろからくる胃酸にも避けるときにふらついたり辛そうな気配がひしひしと伝わる。
 そして胃酸だが、うねうねと曲がりながら進んでいるため、追跡が大変すぎる。
 それに、限りなく一日の進歩がなさすぎるからやる気が削られていく。この時点でもうやめようか迷う程度には疲れた。

 胃酸を追いかけて2日経過…
「腹減ったよーー」「もう休もうよー」「休んだら見逃すだろー」「でももう流石に寝たいよー」「がんばれー」「はーーー」「あのさー飯クレー」「流石に無理ー」「なんでー」「もう残り少ないんだよー」「ちくしょー」

 胃酸を追いかけて3日経過…
「1+1=1」
「うわ、お前天才やんあは、あは、あは」
「あ、もう無理かも…」「おい!たえろ!」「おやすみー」
「はぁ」鼻毛抜きを生成「えい」「いっだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

 胃酸を追いかけて4日経過…
「はぁ…腹…くれ」
「仕方ないですね…ほい。」
「え、え?いいの?え?ありがとう。え?いいの?」
「いいよ。だって、流石にいざって時に血が足りなくなってちゃ困るし」
「やったぁ!いただきまーす!………うっっっっっっっま!」

「あ、あ、あ!あ!あ!あそこ!胃酸がなにかに吸い込まれてる!」
「あれはもしかしたら…もしかしたらだけど…」
「やった!やった!やった!って…なにあれ?」
「何ってなんだよ?」「ゾ、ゾンビが、溶けて、溶けて、どろどろになって…」

「………合体して………」
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