オーブ・シークレット

大地ノコ

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キング編

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 あの思い出すだけで胸糞悪い最後の言葉を聞いてから、短い眠りについていた。本当に短い間。その間の記憶は本当に一切ない。
 だから、この今の状況も全く理解ができない。ここはどこだ?何故俺の目の前にキングがいるんだ?そしてなぜ、俺の魂にジンがいるんだ?
 今までの俺の体より何倍か強くなっているのはわかる。ただ、その強さはジンが分けてくれたものなのだろう。
 今の俺の魂の感じ……こっから察するに、この魂は元々、ほとんどジンのもんなんだろう。なのに、俺を復活させるために、自分の体を犠牲にしてまで……
「キング…また会ったな」
「その声は……なるほど、ジンか……あいつはもっと警戒しておくべきだった」
「うっせえなぁ。ジン、いや多分、ジン以外にも殺したんだろう?全員分の罪を償ってもらわないとな?」
「あぁそうかしかし、それは難しいと思うぞ。いくら強くなったとしても……所詮、我に勝てるものなど存在しないのだから」
「そうかよ!」
 そういってキングに拳をつきだす。少しだけ効いたようだがとはいっても蚊に噛まれるよりもダメージはない。
「ふんやはり、そういうことなのだよ」
 そういってキングが同じく俺に拳を突き出す。しかし、当たらなかった。「な、なぜだ!?」
「簡単だよ。ジンの能力を応用して、体を透過させた。つまり、解除しなければお前の攻撃は効かない。こちらからも攻撃できないがな」
「このガキ!」
「おっと油断してるとこすまないが」
 そういってジンの能力を解除し、影剣でキングを引っ掻く。
 こちらからの攻撃はあまり効かないが向こうからの攻撃は完璧に効かない。こちらの方が有利だ。
「クソ!ならばもういっそ、現実に戻って……」「悪いが、それは無理だ。俺が禁止している。この体の元の持ち主は俺だ。俺は現実世界への戻り方を知らないがお前も現実世界へ戻れない」
 キングが絶望していくのは見ていて面白い。しかし、面白がっている暇は無かったのかもしれない。
「よっしゃ……じゃあ、続き…やろうぜ!」
 と、能力を解除した瞬間、キングがこの世のものとは思えない表情で俺に体当たりをしてきた。
 強いなんてものでは無い。今ので死んでいてもおかしくない程だった。
「我をバカにしおって……このガキが!許さん!殺さずなぶって一生後悔させてやる……!」
 そういうと、本当に死ぬか死なないかの縁を狙った攻撃をなんどもされた。
 まだ、死んだ方がまし。そのレベルの苦痛が5秒にして襲ってきた。
 10秒が経った頃には、意識がなくなりかけていた。
 ジンの能力を使う前に殴られ、意識が飛びそうになる。
 た、助けて、マスター
そ、そうだ、現実の視覚・聴覚を、なんとか確認して……助かる可能性を考えろ……考えるんだ……!
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