意味が分かると、分からないと怖い話【体験談＋】

分かると怖い話

ほこり

　これは本当に起こった出来事です。

　そんな前振りで語るには取るに足らない出来事。

　ある無知な男の凄く愚かであわや大惨事を招く行動が問題なく終えたほんの些細な事象の過ぎない。

　野球の合宿。

　最寄りの病院まで数十分は掛かる、もう記憶にまるで無い山道であろう場をバスで駆け抜けていき、紆余曲折でザ、和の大食堂に並べられた座布団に――腰を下ろして食事の席に付き……色々と始まった。

　自分の好きな所への大移動、交換会やらが。

　思いの外、はしゃぐ一同の間に俺は乗じなかった。

　それが裏目に出た。

　アレルギー持ちで過剰に舞った空気の中に紛れる畏怖する存在を吸い過ぎたあまり、息ができない。

　次第に声が掠れ、出しにくくなってしまった。

　最終的に路線自体は異なるが、同じ道筋を辿った知り合いを持つ者と理解ある人のお陰でその日に、俺一人迎えも待たずに金を溶かして帰宅に走った。

　その日、口にしたアイスがどうにも不味かった。

　それが。

　あの時の思い出の中で一番、花開いてしまった。