最愛の敵

ルテラ

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アデリア戦

19話 約束

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 自分達は皇城を後にする。
「鎖国状態ということはライもこれといって情報が無いかも知れませんね」
「とりあえず行ってみようぜ」

「聞いたよ。イニティームと戦争やるって」
「相変わらず早くて助かるよ」
「残念だけど、あんま知らないな」
「噂はどうだ?」
 フィールさんが聞く。
「噂ねぇ。100歳以上生きるのは当たり前だとか化学技術は一切使わず自分達の魔法と自然との共存で暮らしているとか。そんな噂ばかりだが・・・」
「どうした?」
 ライが深刻そうな顔する。
「アデリア帝国も狙ってるって情報が入った。恐らくパルデーニャ王国を取った仕返しだろうな」
「うわ、ダルッ」
 フィールさんが怪訝そうな顔をする。
「ラズリ、どうします?」
「いつかはぶつかる何も変わらない。ライその情報、皇帝に伝えといてくれ」
「了解」
「それと何とか潜入できないか探ってくれ。1ヶ月以内に頼む」
 ライは頷く。
「全員、準備しておけ」
『了解』
 全員が言う。

「ではトート始めましょう」
「お願いします」
 自分達は今皇帝がパイロンのために作った訓練場に来ていた。
 フィジカルは単純な魔法で魔力を乗せた分だけ力を出せるのだ。そのため自分は今魔力を使いながらひたすらに戦・・・いや倒せれていた。
「ふむ、相変わらずの弱さ」
「うぅ」
「でも、魔力循環だけはやたらうまいのよね」
「それはラズリさんが教えてくれました」
 3人は顔見合わせる。
「いつ?」
 アイシャさんが何処か不安そうに聞く。
「皆さんと初めて会った数日後くらいにです」
「そ・・・ですか」レオさんは歯切れ悪く言う。
「何か問題でしたか?」
「いえ、全然続きをしましょう」
 レオさんが慌てて首を振るう。
「そう言えばラズリさんは?」
 自分は辺りを見渡す。
「あー。ラズリはこういうの、好きじゃないまら、あんまこねぇよ」
「って言ってもラズリは訓練しなくても強いし問題ないでしょう」
「皆さんも充分すぎるくらいにお強いですよね」
「いえ、俺らはまだまだです。3人でラズリに挑んでも負けますから」
 3人は顔を見合わせて苦笑いする。
「強いのは分かっていましたが、そんなにお強いんですね」
「そっ、だから俺達に1対1で負けてるトートは論外」
 フィールさんに揶揄わられる。
「うぅ、頑張ります」
 自分は腰にある銃に触れる。

「よっ!ラズリどうしたの?」
 ラズリは今、ライの元を訪れていた。
「まだトートに黙っていてほしいことがある」
「それは?」
「過去についてだ」
 お茶を飲もうとするライの手が止まる。
「別にいいけど一生隠しておくつもり?」
「いや、お前があいつに必要だと思った時教えてやってほしい」
「わかった」
 納得していないがとりあえず頷く。
「それと」
「ん?」
「約束してほしいことがある」
 ライは首を傾げる。
「~~~~~」
 ライは考えこむようにしていたを見る。
「難しい相談だな。皆んなのこと裏切れってこと?」
「3人にも同じことを言った」
「分かった・・・」
「すまない。“パーミチ“にも頼む」
「了解」
 
 ライはラズリが帰った後も動こうとせず考えこむ。
「はぁー、何でだよ」
 パイロンがパイロンであるずっと前からともに歩んできた。彼らがこれからしようとしていることは、決死って誰にも理解出来ないことだろう。
 だが、踏み込むかとは出来なかった。自分はあくまでも彼らのサポーター、あちらに行くことはできない。
 写真立てを見る。
「なぁ父さんこれでいいのかな?」
 だが、何も答えは返ってはこない。静まり返って部屋で再びため息を吐き。自身の無力さを痛感する。

「そうだいいぞ」
「トートその調子!」
「(ん?まだやっているのか)」
 ラズリは訓練場へと足を運ぶ。
「真面目だな」
「ラズリお帰りなさい」
 ラズリはトートの方を見て話す。
「どうだ」
「筋は悪くありません。ただ・・・」
 ラズリはレオの方を見る。
「真面目過ぎます。説明書がなければ何もできないそんな感じです」
「そうか」
「おっ、お帰りラズリ」
 フィールが手を振るう。
「お帰りなさい。ラズリさん」
「あぁ。真面目過ぎるそうだな」
 トートは躊躇い気味に俯く。
「悪いことじゃないんだけど・・・戦場じゃね」
 アイシャが心配そうに言う。
「だからそれを直す為にひたすら戦ってる感じだ」
 フィールが続けて言う。
「それでいい。邪魔をした」
 ラズリは帰ろうとする。
「ラズリさん!!あの失礼とはわかっていますがご指導お願いできないでしょうか?」
「気が向いたらな」
「ありがとうございます!」
「頑張ろうなトート」
「はい!!」
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