最愛の敵

ルテラ

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チャムク帝国

93話 過去の真実(3)

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 ホルスは破片を片付け終わったパーチミを連れて部屋を後にする。
 後日、来ないと思っていた。子供達が来る。今度はホルス、レア、パーチミも後ろで見守る。
「昨日はごめんなさい」
「(さて、どう出る)」
「いえ、傷付けてすいません」
「(冷静か・・・)」
「よし!このことは全て水に流して仲良くしよう」

「細いレベルについては?」
「それは分からないけど、かなりのレベルだと思う」
「(当然だ、何年かけて造ったと思ってる)」
「レア、これを知っているのは?」
「私達と子供達だけよ」
「このことは他言無用で頼む。これ以上あの子を苦しませたくない」
「(他の奴らに知られたら面倒だ)」
「子供達にも口止めしておくわ」
「それと・・・」
 ホルスは深刻そうな顔する。
「ラズリをそろそろ戦場に出したいそうだ」
「そんな・・・」
 レアは狼狽する。
「どうしてあの子には過酷な選択しか用意されていないの」
「(あれを哀れむとはどこまでお花畑なのか)」
「大丈夫です」
「(ふむ、いいタイミングだ)」
「明日から始めます」
「ラズリ、お願い嫌なものは嫌だっと言って!」
「いいえ、仰せのままに」
「お願い生きて・・・」
「ふむ、レア必ず守る。どうか信用してくれ」
「(どうせ死にやしない)」
「ああ、死なせねから」
 パーチミも言う。

 翌日、訓練が始まる。
「まずは、実力を試す。全力でかかってきてくれ」
 ホルス、ラズリはお互い木刀を持ち、距離を取る。パーチミが合図を出す。
 勝負は一瞬で決まった。ホルスが木刀を振り下ろす前にラズリがホルスの喉仏に木刀が当たる。
「なっ・・・」
 パーチミは唖然とした。
「参った」
「やはり、私の目に狂いなかった」
「大佐・・・」
「(何でこうもタイミングがいいんだ)」
 そう思いながらパーチミは敬礼する。ホルスは慌てて立ち上がり敬礼する。
「お前、明日から戦場に出ろ」
「仰せのままに」
「ホルス、パーチミの班に入れる。では」
「(さあ、お前の強さを見せてくれ。くれぐれも私を失望させるな)」
 
 翌日、ラズリはホルス、パーチミと兵士達と共に戦場に移動する。車に乗っていた。兵士達は囁き合う。
「ラズ・・・」
 ラズリが見ていた方向を見るとラズリが走って行くのが見えた。
「(まずい。データが取れない)」
 ホルスは追いかけようする。が、パーチミが腕を掴む。
「危険だ」
「あの子1人には出来ない」
「(データを取らなければ)」
 掴んでいる手を振り払いラズリを追いかける。
「ラズリ!ラズリ!!どこだ・・・」
「(ああ・・・)」
 ホルスは自身の目を疑う。そこのは死体が山になり、上にラズリがいた。
「ラズ・・・リ」
「他にやるべきことはありますか?」
「(素晴らしい)」

「ラ、ラズリ!」
 ラズリは声をかけられる。振り向く。
 その後ろにはいつもの3人もいた。
「俺達に戦い方を教えてくれない?」
「お断りします」
「どうして?」
「戦う必要があるなら戦います。誰を倒したいんですか、教えて下さい」
「いや、そう言うわけじゃ・・・」
「いいんじゃない?」
 右通路の壁にホルスが寄りかかっていた。
「行けません」
「何故?」
「これは人を殺すためのものです。これを教えたら彼らは人殺しにしてしまう」
「それでいい」
「それを子供達教えてくれ、人殺し道具ではなく人を助けるための道具として。君も多くを学ぶチャンスだ。やってみなさい」
「(そう、少しでも早く心を育てなければ)
 ことがなかったため、研究場で行っていた実践形式となる。
「も、もう無理・・・」
「すごいな。いろんな意味で」
「あはは・・・」
「(当然だ。最高傑作何だからな)」
「レア、心なしか嬉しそうだね」
 ホルスがレアの横顔を覗き込む。
「弱点がない子だと思っていたから、なんか教えるのが下手なのを見ていると嬉しくて」
「(無能はどこまでいっても無能、所詮、あれには追いつけない)」
「ふむ、4人はまずは基礎からかな」
 ホルス、パーチミは近づく。ラズリには引き続き4人の先生になってもらうが、ラズリは教え方を4人は基礎を学ぶ。
 ラズリ、ホルス、パーチミは戦場に行く。その合間を縫って子供達と訓練する。
 ラズリは戦場に行くたびに戦果上げ、今ではホルスと共に一目置かれる存在となった。子供だ何だなと言う囁きは消えっていた。
 これが続けばラズリは感情を手に入れられたかもしれない。

 
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