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真の英雄がいない世界
外伝3 愛された子
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それから半年が経った頃、エルミがー妊娠したことが分かった。
「素晴らしい。これでようやく次に進める」
ソロモンは喜んだが2人は喜ぶことが出来なかった。これから何が行われるのかは分からない。だが理解しがたい悍ましいことであることは察しがついた。
それでもここではソロモンが絶対。逆らうことは許されない。
出産当日、ラクロットとは付き添いを許されず、部屋で待ち祈ることしか出来なかった。
だがラクロットは複雑だった。子供が無事に産まれれば、その子はとても辛い目に合うだろう。だが子供を産まなければエルミーも酷い目に合う。何を祈ればいいか分からない。だが祈らずにはいられなかった。
どれ程の時間が経っただろうか。ようやく扉が開く。そこにはしっかりっと自分の足で立っているエルミーの姿があった。
「エルミー!!」
「無事に産まれたわ」
「子供は?」
「此方で預かっている」
後ろにはソロモンがいた。
「子供をどうするつもりだ」
「時期教えてやる。1週間後からまた励め」
「何?」
ラクロットはソロモンを睨めつける。
「一から十まで言わなければ分からないのか?」
「そんなに産ませてどうするの?」
エルミーが問う。
「研究に失敗は付きものだ。使い物にならなければ変えなければだろう?」
その無神経で惨虐な言葉に殺意が湧くが何もすることは出来なかった。
翌日赤ん坊は、2人の元に預けられた。母乳が必要だったからだ。そして乳離れするとすぐに何処かへ連れてがれた。
それから約3年後、第2子が誕生日する。そして2番目の引き取りはやけに早かった。その半年後、第1子が死んだっと告げられる。
それでも彼らは産むことを強要され、その1年後、第3子を産む。
エルミーの精神は第1子が死んでからおかしくなった。その姿はまるで愛し子を失った母親のような。あってはならない。それは危険であり、自虐行為だと分かっていた。でもラクロットは止めることが出来なかった。自身にもまたその感情が芽生えていたから。
ラクロットはいなかった。久しぶりに体を動かしたく、部屋を空けていた。
部屋にはエルミーと第3子だけが残っていた。
「なんて哀れな子。こんな所に産まれたばかりにお前の人生は地獄と化した」
いいえ、これはこの子のせいではない。私達・・・私が臆病なばかりに。そう私のせい、私が産まなければ。
エルミーは何かに気付く。そして第3子に近付き、首に触れる。
「お前など産まなければ」
そう思はなければ、無駄に苦しんでしまう。なるべく一思いに。赤ん坊の首に触れた手が次第に強くなっていく。
「・・・ミ!エミ!」
誰かに強く引っ張られ、後ろ倒れる。やったのは丁度帰って来た、ラクロットだった。
「急いで!」
誰かが叫ぶ。恐らくラクロットの監視をしていた者達だろう。
辺りが騒がしくなってくる。赤ん坊が部屋から連れ出される。
「エミ、エミ大丈夫?」
ラクロットがエルミーが心配そうに声を掛けるが何も反応しない。
「(ねえ、ローあなたの行動正しかったの?私がとったあの行動は・・・)」
エルミーは自身が殺されるっと思ったが、そうはならなかった。だが同時に第3子に会うことなった。
それから数年後、ソロモンから新たな命令が下される。
「教育係に任命する」
「教育係?」
「昔言ったろ、2つのことをしてもらうと、その2つ目のだ」
「誰の?」
「知らなくていい。その為にある程の自由を与える」
ある程度の自由っというのは、特定の部屋ならば魔法と剣を使ってもいいことだ。
「いいか必ず完璧に育てろ。失敗をすれば今度は殺す。分かったか」
2人は頷く。
ソロモンから仮面と新たな名前が支給された。仮面は必ず身につけて訓練を行なえっと言うことだ。
名前は
「レメゲトンはお前(ラクロット)、ゲーティアはお前(エルミー)だ」
何故名前を変えなければならないのかは分からなかったが、従った。
だがそれはすぐに分かった。
『今日からこいつらが武術、魔法を教える。こっちがレメゲトン、そっちがゲーティアだ』
すぐに分かった。言われなくても。だってあまりにもエルミーに似ていたから。そして第2子が死んだっということも理解した。
「僕たちの・・・」
言葉をグッと飲み込んだ。言うことは出来ない。言えばきっと殺されてしまう。これで満足しなければならない。これで正しいと思わなければ。
何年続いただろうか。
「最終試練だ。サマエルっと戦え」
これが最後なのだと理解した。だが驚かなかった。ずっと2人で約束していたから。
『殺し合え』
この時、エミの行動が正しかったと気付く。あの時殺していればこんなことにはならなかった。親殺しにならずに、いや何もしていないのに、親ヅラするなんて烏滸がましいか。そんなこと許されない。
『ロー、気付いてる?』
『ああ、あの子は俺たちの子供だ』
『そう。だから・・・』
『分かっている。あの子を生かそう』
すごいね。強くなったね。よく辛い訓練に耐えたね。
『これは罪ではない。罪は俺だ。君の正しい判断止めてしまった』
『いいえ、これは私の罪でもある』
ごめんね。救えなくて、ごめん、弱くって。
『共に背負いましょう。そして最後までエゴを貫き通しましょう』
これが間違った選択だとは分かっている。でも願ってしまった。ごめんね。
ーどうか生きてー
「私、俺達、愛し子」
一度も言えなかった。そしてこれからも言うことは出来ない。でも思わずにはいられない。願わずにはいられない。
「どうか、我が子の未来に光あらんことを」
2人は倒れる。
「素晴らしい。これでようやく次に進める」
ソロモンは喜んだが2人は喜ぶことが出来なかった。これから何が行われるのかは分からない。だが理解しがたい悍ましいことであることは察しがついた。
それでもここではソロモンが絶対。逆らうことは許されない。
出産当日、ラクロットとは付き添いを許されず、部屋で待ち祈ることしか出来なかった。
だがラクロットは複雑だった。子供が無事に産まれれば、その子はとても辛い目に合うだろう。だが子供を産まなければエルミーも酷い目に合う。何を祈ればいいか分からない。だが祈らずにはいられなかった。
どれ程の時間が経っただろうか。ようやく扉が開く。そこにはしっかりっと自分の足で立っているエルミーの姿があった。
「エルミー!!」
「無事に産まれたわ」
「子供は?」
「此方で預かっている」
後ろにはソロモンがいた。
「子供をどうするつもりだ」
「時期教えてやる。1週間後からまた励め」
「何?」
ラクロットはソロモンを睨めつける。
「一から十まで言わなければ分からないのか?」
「そんなに産ませてどうするの?」
エルミーが問う。
「研究に失敗は付きものだ。使い物にならなければ変えなければだろう?」
その無神経で惨虐な言葉に殺意が湧くが何もすることは出来なかった。
翌日赤ん坊は、2人の元に預けられた。母乳が必要だったからだ。そして乳離れするとすぐに何処かへ連れてがれた。
それから約3年後、第2子が誕生日する。そして2番目の引き取りはやけに早かった。その半年後、第1子が死んだっと告げられる。
それでも彼らは産むことを強要され、その1年後、第3子を産む。
エルミーの精神は第1子が死んでからおかしくなった。その姿はまるで愛し子を失った母親のような。あってはならない。それは危険であり、自虐行為だと分かっていた。でもラクロットは止めることが出来なかった。自身にもまたその感情が芽生えていたから。
ラクロットはいなかった。久しぶりに体を動かしたく、部屋を空けていた。
部屋にはエルミーと第3子だけが残っていた。
「なんて哀れな子。こんな所に産まれたばかりにお前の人生は地獄と化した」
いいえ、これはこの子のせいではない。私達・・・私が臆病なばかりに。そう私のせい、私が産まなければ。
エルミーは何かに気付く。そして第3子に近付き、首に触れる。
「お前など産まなければ」
そう思はなければ、無駄に苦しんでしまう。なるべく一思いに。赤ん坊の首に触れた手が次第に強くなっていく。
「・・・ミ!エミ!」
誰かに強く引っ張られ、後ろ倒れる。やったのは丁度帰って来た、ラクロットだった。
「急いで!」
誰かが叫ぶ。恐らくラクロットの監視をしていた者達だろう。
辺りが騒がしくなってくる。赤ん坊が部屋から連れ出される。
「エミ、エミ大丈夫?」
ラクロットがエルミーが心配そうに声を掛けるが何も反応しない。
「(ねえ、ローあなたの行動正しかったの?私がとったあの行動は・・・)」
エルミーは自身が殺されるっと思ったが、そうはならなかった。だが同時に第3子に会うことなった。
それから数年後、ソロモンから新たな命令が下される。
「教育係に任命する」
「教育係?」
「昔言ったろ、2つのことをしてもらうと、その2つ目のだ」
「誰の?」
「知らなくていい。その為にある程の自由を与える」
ある程度の自由っというのは、特定の部屋ならば魔法と剣を使ってもいいことだ。
「いいか必ず完璧に育てろ。失敗をすれば今度は殺す。分かったか」
2人は頷く。
ソロモンから仮面と新たな名前が支給された。仮面は必ず身につけて訓練を行なえっと言うことだ。
名前は
「レメゲトンはお前(ラクロット)、ゲーティアはお前(エルミー)だ」
何故名前を変えなければならないのかは分からなかったが、従った。
だがそれはすぐに分かった。
『今日からこいつらが武術、魔法を教える。こっちがレメゲトン、そっちがゲーティアだ』
すぐに分かった。言われなくても。だってあまりにもエルミーに似ていたから。そして第2子が死んだっということも理解した。
「僕たちの・・・」
言葉をグッと飲み込んだ。言うことは出来ない。言えばきっと殺されてしまう。これで満足しなければならない。これで正しいと思わなければ。
何年続いただろうか。
「最終試練だ。サマエルっと戦え」
これが最後なのだと理解した。だが驚かなかった。ずっと2人で約束していたから。
『殺し合え』
この時、エミの行動が正しかったと気付く。あの時殺していればこんなことにはならなかった。親殺しにならずに、いや何もしていないのに、親ヅラするなんて烏滸がましいか。そんなこと許されない。
『ロー、気付いてる?』
『ああ、あの子は俺たちの子供だ』
『そう。だから・・・』
『分かっている。あの子を生かそう』
すごいね。強くなったね。よく辛い訓練に耐えたね。
『これは罪ではない。罪は俺だ。君の正しい判断止めてしまった』
『いいえ、これは私の罪でもある』
ごめんね。救えなくて、ごめん、弱くって。
『共に背負いましょう。そして最後までエゴを貫き通しましょう』
これが間違った選択だとは分かっている。でも願ってしまった。ごめんね。
ーどうか生きてー
「私、俺達、愛し子」
一度も言えなかった。そしてこれからも言うことは出来ない。でも思わずにはいられない。願わずにはいられない。
「どうか、我が子の未来に光あらんことを」
2人は倒れる。
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