9 / 10
本編
第八話
しおりを挟む
テラスでリスさん達にパンをあげて屋敷に戻ります。
そこでは、父、母、ペルセフォネが朝食を取っておりました、今まででしたら通る事もありませんでしたが、あえて今日は通ろうと思います。
それに気付いた、者達は口々に私に罵声を浴びせます。
「傷を隠せと何度言ったら分かるのか! それでは第一王子との婚約まで破棄されてしまうではないか!」
はい、その様にして貰います。
「こんな傷がある方が姉だなんて、もう耐えられませんわ!」
はい、私もこれ以上は耐えられません。
「レアー! いい加減になさい! 改めないと言うのならば即刻部屋に戻りなさい!」
はい、改めるのはあなた方なのですから。
私はその場で静かにに立ち止まり、小さくカーテシー。
先日折れた足は、まだ治っておらず、ズリズリと引きずり、私は階段下の物置······私の部屋に戻りました。
今日で学院は長期のお休みに入ります、計画の実行には最適な日となります。
私は、婚約者と、この家の悪事を、この五年間で集め全て記した物と、その証拠の品を学院へ行く前に届けるため、いつもより早く階段下の部屋から、クロノさんの部屋に向かいます。
コンコンコン
『はい、少々お待ち下さいませ』
カチャ
「レアーお嬢様、御用向きは?」
「中には入れて下さいませんの?」
「ふふっ、どうぞ」
未婚の女性が男性の部屋で二人きりに等々何度も聴かされましたが、クロノさんは部屋に入れてくれます、幼い頃には湯浴みもしていただきましたのに、おかしなお方です、あの頃より傷が増えたこんな私に、その様な気遣いをする必要など無いのです、それに、ナイフで刺された時には全てを見られてしまってますから。
質素なソファーに、足を気遣い手を引き案内をして、クロノさんはお茶の用意をしてくれます。
入れてくれた紅茶の香りを楽しみながら、喉を湿らせます。
「クロノさん、この後計画の実行をおねがいいたします」
「だと思いました、レアーお嬢様もよくここまで我慢なさいました、このクロノ、先代からの遺言を全ういたします」
「はい、お願いいたします」
「分かりました、こちらがこの家にある脱税を納付出来る金額を除いた全財産の引き落としが出来る商人ギルドのカードです、レアーお嬢様名義にしてありますのでご心配なく」
「うふふ、流石クロノさんですわね、ありがとうございます」
「お飲み終わりましたら学院ヘ御送りいたしましょう、その足では間に合いませんので」
本当に気が利いて、私も、心を奪われていたかもしれません、いえ、ほとんどが奪われた後なのでしょうね、この様な姿になる十数年前は『くりょののおよめしゃんになりゅ』と言っていましたから······この様な姿になりましたが、その思いはまだ諦められません。
「ありがとうございます、落ち着いて、落ち度が無い様にいたします」
お茶を飲み終わり、クロノさんのエスコートで馬車に向かい、馬車へ乗せていただきます。
まずは王城に向かいます。
計画の下地を作るためにかかった月日が思い出されます。
門番さんは、元伯爵様、宰相として、王子様にご注意をしたと、その罪で門番として五年もの間、務めなければならないそうです。
その方にクロノさんは、二冊の資料を渡しています、伯爵様は大きく頷き、門の中に入っていきました。
一冊は王様へ、もう一冊は近衛騎士団長様へ。
クロノさんは戻ってきて、学院へ馬車を向かわせます。
「これで今日中には王様も近衛騎士様も動くでしょう」
「そうですわね、王様と、近衛騎士様が動いてくださるなら、間違いなく最後ですねあの方々は······」
馬車を降りればそこは学院、学友達もいくらかは既に登校していることでしょう。
馬車が止まりました、私は髪の毛を結わえ傷痕を初めて学友の前に晒します。
義眼は着けず、眼孔を晒し。
髪を結わえて、額の傷と火傷を晒す。
半袖の制服は手袋をせず、刺し傷を晒します。
馬車の戸を開いたクロノさんが、こんなことを言うのですよ。
「レアーお嬢様、顔が笑顔になっております、整えて下さいませ」
「そうでしたか、分かりました······すぅぅ、はぁぁ」
大きく胸の奥まで息を吸い込み、ゆっくりと吐き出し、気を引き締めましす。
ゆっくりと足を引きずり、クロノさんの手を頼りに馬車を降りました。
暑さの増す夏の日差しが私を照らします。
そして日の元に晒された私を見つけた学友達が、ザワザワと辺りの空気をざわつかせ、そのざわつきが更に視線を集めてくれます。
私は沢山の視線を浴び、休み前の集会が行われる会場へとズリズリ足を引きずりながら入りました。
ここでも皆の視線が私に降り注ぎ、行く先が左右に分かれて行き、前方の椅子が並べられた舞台が見えました。
私は生徒会副長の席に座ります、もちろん壇上、隣にはまだ来ておりませんが会長、婚約者の王子が座る頑丈な、それでいて豪奢な椅子が座る者を待っております。
次々と入場してくる者達は壇上の私を目にする。
あるものは、驚き。
あるものは、じっと見つめ。
あるものは、目をそらし。
あるものは、表情を歪め。
あるものは、『・・・・』口が動く。
あるものは、侮蔑し。
あるものは、蔑み。
あるものは、笑みを浮かべる。
さあ、壇上から見える会場の出入口の外側に、豪奢な馬車が停まりました。
馬車の戸が開かれ、中からは煌びやかな衣装に身を包んだ婚約者、王子様があらわれ、会場入りをします、全ての者が跪く中、会場の中に入ったと言うのに、私の事は一瞥もせず、最近のお気に入りである伯爵令嬢、門番をしていた方がお父様でお可哀想な方です。
肩を抱かれ顔を歪め涙しています、その苦しみはもうすぐ終わらせます。
ケルド王子様と一緒に来たローグガオナー先生が最後の様子で、全ての方が揃い、会が始められる時まで伯爵令嬢を慰み、令嬢は涙でドレスに模様を作ってしまっており、肩口には血が滲んでおり、針の様な物が何本も刺さっております。
王子が壇上に上がるため、その身を解放されると振り向きもせず、肩に手を添え会場を出て行きました。
壇上に上がり、椅子の前までおいでになって初めて自身を見上げている私の姿を目にし、驚きの表情と共に言葉を発しました。
「何だその顔は」
「······」
「声を出す事を許す!」
「おはようございます王子様、ご機嫌麗しゅう御座います」
「その顔は何だと問ておる!」
まあ、大きな声をお出しに。
「元々この様な顔で御座います、いかがなさいましたか?」
「貴様! その様な顔を隠し我の婚約者となっておったのか!」
「いえ、本日は髪を結い上げ、義眼は外しておりますが、私はこの学院で王子様と会った時は既にこの顔でしたが?」
まだある瞳と、光の無い眼孔で見つめ、笑顔が出ないよう下から見上げます。
「ぐぬ、聴け! 今この時をもって婚約を解消する! 目障りだ! 出て行くがよい!!」
うふふ、第一段階は、思いの外順調に進みました。
「申し訳ありません、では失礼します」
ゆっくりと立ち上がり、足を引きずり、笑みが漏れないようにしながら壇上を後にする。
時間が掛かりましたが、会場を出て向かう先はクロノさんの待つ馬車置き場です。
クロノさんが、馬のブラッシングしている姿を見て、笑みが我慢出来ませんでしたが、人目もなく誰に見咎められる事無く無事にクロノさんの元にたどり着きました。
「レアーお嬢様、上手くいったようですね、参りますか」
「ええ、この様に晴れやかな気持ちになるのは初めてです。思いの外早いですので家まで・・・・と、お願いできますか」
「はい、第二段階ですね、衛兵の詰所に資料を届け帰りましょう」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
衛兵の詰所に届け物をしました、これで別邸の制圧のため兵士達との連携が取れることでしょう。
家に着いた私は、執務室に居る父に会いに行きます、婚約破棄を言い渡された事を伝えに。
髪を下ろし、義眼を嵌め、手袋を嵌めました。
見た目は傷痕一つ見えなくなります。
そのままでは警戒するとクロノさんが言うので、傷が見えないようにしました。
コンコンコン
『誰だ』
「私です、レアーです」
『入れ』
カチャ
「なぜ今頃この家に居る」
息を吸い込みゆっくりと吐き出し気を落ち着かせます。
「本日、婚約破棄を王子様より言い渡されました」
「な! 何だと! なぜだ!」
「私には何も分かりません」
「ぐぬぬぬ、貴様のお陰で計画が全て遅れる! あの息子の暴虐の捌け口を探さねばあやつは計画の邪魔になる! クソ! この夏が終われば王になる筈が、もうお前には何も望みは無い! 廃嫡だ! 今後家名も名乗る事は許さん! 即刻出て行け! 二度とこの屋敷の敷地に入ることを禁ずる!」
「はい、失礼します」
私は執務室を出て、クロノさんの待つ馬車に戻ります。
クロノさんは執事服からローブに着替え、待っていてくれました。
もう、笑顔でクロノさんに近付き抱き付きたい衝動が、ぐっと押さえ込み、ゆっくりとクロノさんが待つ馬車までたどしつきました。
馬車はボロボロですが、見た目とは裏腹に頑丈に出来た馬車です、それにクロノさんに手伝ってもらい乗り込み、窓のある所に座らせてもらいました。
だって、この晴れやかな気持ちで景色を見たかったからです。
屋敷の敷地を出てすぐに一台の馬車とすれ違いました、騎士様が乗る馬車の様です、屋根の無い馬車ですので、八名の騎士様が乗っているのが見えました。
その馬車は速度を落とし、今出てきた屋敷に入って行きます。
私の予想では捕縛に来た騎士様たちです、小窓からクロノさんに話しかけ聞いてみましょう。
「捕まえに来られたのかしら?」
「その様で御座いますね、今朝、学院に行く前に届けておきましたので、ほらレアーお嬢様、学院からも護送用の馬車が出て参りますよ、王子が乗っておりますよ」
「まあ、こちらは数日後と思っておりましたのに」
「後ろ手に縛られております」
小窓から見た王子の顔は青ざめ怯えた顔をしておりました。
そこでは、父、母、ペルセフォネが朝食を取っておりました、今まででしたら通る事もありませんでしたが、あえて今日は通ろうと思います。
それに気付いた、者達は口々に私に罵声を浴びせます。
「傷を隠せと何度言ったら分かるのか! それでは第一王子との婚約まで破棄されてしまうではないか!」
はい、その様にして貰います。
「こんな傷がある方が姉だなんて、もう耐えられませんわ!」
はい、私もこれ以上は耐えられません。
「レアー! いい加減になさい! 改めないと言うのならば即刻部屋に戻りなさい!」
はい、改めるのはあなた方なのですから。
私はその場で静かにに立ち止まり、小さくカーテシー。
先日折れた足は、まだ治っておらず、ズリズリと引きずり、私は階段下の物置······私の部屋に戻りました。
今日で学院は長期のお休みに入ります、計画の実行には最適な日となります。
私は、婚約者と、この家の悪事を、この五年間で集め全て記した物と、その証拠の品を学院へ行く前に届けるため、いつもより早く階段下の部屋から、クロノさんの部屋に向かいます。
コンコンコン
『はい、少々お待ち下さいませ』
カチャ
「レアーお嬢様、御用向きは?」
「中には入れて下さいませんの?」
「ふふっ、どうぞ」
未婚の女性が男性の部屋で二人きりに等々何度も聴かされましたが、クロノさんは部屋に入れてくれます、幼い頃には湯浴みもしていただきましたのに、おかしなお方です、あの頃より傷が増えたこんな私に、その様な気遣いをする必要など無いのです、それに、ナイフで刺された時には全てを見られてしまってますから。
質素なソファーに、足を気遣い手を引き案内をして、クロノさんはお茶の用意をしてくれます。
入れてくれた紅茶の香りを楽しみながら、喉を湿らせます。
「クロノさん、この後計画の実行をおねがいいたします」
「だと思いました、レアーお嬢様もよくここまで我慢なさいました、このクロノ、先代からの遺言を全ういたします」
「はい、お願いいたします」
「分かりました、こちらがこの家にある脱税を納付出来る金額を除いた全財産の引き落としが出来る商人ギルドのカードです、レアーお嬢様名義にしてありますのでご心配なく」
「うふふ、流石クロノさんですわね、ありがとうございます」
「お飲み終わりましたら学院ヘ御送りいたしましょう、その足では間に合いませんので」
本当に気が利いて、私も、心を奪われていたかもしれません、いえ、ほとんどが奪われた後なのでしょうね、この様な姿になる十数年前は『くりょののおよめしゃんになりゅ』と言っていましたから······この様な姿になりましたが、その思いはまだ諦められません。
「ありがとうございます、落ち着いて、落ち度が無い様にいたします」
お茶を飲み終わり、クロノさんのエスコートで馬車に向かい、馬車へ乗せていただきます。
まずは王城に向かいます。
計画の下地を作るためにかかった月日が思い出されます。
門番さんは、元伯爵様、宰相として、王子様にご注意をしたと、その罪で門番として五年もの間、務めなければならないそうです。
その方にクロノさんは、二冊の資料を渡しています、伯爵様は大きく頷き、門の中に入っていきました。
一冊は王様へ、もう一冊は近衛騎士団長様へ。
クロノさんは戻ってきて、学院へ馬車を向かわせます。
「これで今日中には王様も近衛騎士様も動くでしょう」
「そうですわね、王様と、近衛騎士様が動いてくださるなら、間違いなく最後ですねあの方々は······」
馬車を降りればそこは学院、学友達もいくらかは既に登校していることでしょう。
馬車が止まりました、私は髪の毛を結わえ傷痕を初めて学友の前に晒します。
義眼は着けず、眼孔を晒し。
髪を結わえて、額の傷と火傷を晒す。
半袖の制服は手袋をせず、刺し傷を晒します。
馬車の戸を開いたクロノさんが、こんなことを言うのですよ。
「レアーお嬢様、顔が笑顔になっております、整えて下さいませ」
「そうでしたか、分かりました······すぅぅ、はぁぁ」
大きく胸の奥まで息を吸い込み、ゆっくりと吐き出し、気を引き締めましす。
ゆっくりと足を引きずり、クロノさんの手を頼りに馬車を降りました。
暑さの増す夏の日差しが私を照らします。
そして日の元に晒された私を見つけた学友達が、ザワザワと辺りの空気をざわつかせ、そのざわつきが更に視線を集めてくれます。
私は沢山の視線を浴び、休み前の集会が行われる会場へとズリズリ足を引きずりながら入りました。
ここでも皆の視線が私に降り注ぎ、行く先が左右に分かれて行き、前方の椅子が並べられた舞台が見えました。
私は生徒会副長の席に座ります、もちろん壇上、隣にはまだ来ておりませんが会長、婚約者の王子が座る頑丈な、それでいて豪奢な椅子が座る者を待っております。
次々と入場してくる者達は壇上の私を目にする。
あるものは、驚き。
あるものは、じっと見つめ。
あるものは、目をそらし。
あるものは、表情を歪め。
あるものは、『・・・・』口が動く。
あるものは、侮蔑し。
あるものは、蔑み。
あるものは、笑みを浮かべる。
さあ、壇上から見える会場の出入口の外側に、豪奢な馬車が停まりました。
馬車の戸が開かれ、中からは煌びやかな衣装に身を包んだ婚約者、王子様があらわれ、会場入りをします、全ての者が跪く中、会場の中に入ったと言うのに、私の事は一瞥もせず、最近のお気に入りである伯爵令嬢、門番をしていた方がお父様でお可哀想な方です。
肩を抱かれ顔を歪め涙しています、その苦しみはもうすぐ終わらせます。
ケルド王子様と一緒に来たローグガオナー先生が最後の様子で、全ての方が揃い、会が始められる時まで伯爵令嬢を慰み、令嬢は涙でドレスに模様を作ってしまっており、肩口には血が滲んでおり、針の様な物が何本も刺さっております。
王子が壇上に上がるため、その身を解放されると振り向きもせず、肩に手を添え会場を出て行きました。
壇上に上がり、椅子の前までおいでになって初めて自身を見上げている私の姿を目にし、驚きの表情と共に言葉を発しました。
「何だその顔は」
「······」
「声を出す事を許す!」
「おはようございます王子様、ご機嫌麗しゅう御座います」
「その顔は何だと問ておる!」
まあ、大きな声をお出しに。
「元々この様な顔で御座います、いかがなさいましたか?」
「貴様! その様な顔を隠し我の婚約者となっておったのか!」
「いえ、本日は髪を結い上げ、義眼は外しておりますが、私はこの学院で王子様と会った時は既にこの顔でしたが?」
まだある瞳と、光の無い眼孔で見つめ、笑顔が出ないよう下から見上げます。
「ぐぬ、聴け! 今この時をもって婚約を解消する! 目障りだ! 出て行くがよい!!」
うふふ、第一段階は、思いの外順調に進みました。
「申し訳ありません、では失礼します」
ゆっくりと立ち上がり、足を引きずり、笑みが漏れないようにしながら壇上を後にする。
時間が掛かりましたが、会場を出て向かう先はクロノさんの待つ馬車置き場です。
クロノさんが、馬のブラッシングしている姿を見て、笑みが我慢出来ませんでしたが、人目もなく誰に見咎められる事無く無事にクロノさんの元にたどり着きました。
「レアーお嬢様、上手くいったようですね、参りますか」
「ええ、この様に晴れやかな気持ちになるのは初めてです。思いの外早いですので家まで・・・・と、お願いできますか」
「はい、第二段階ですね、衛兵の詰所に資料を届け帰りましょう」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
衛兵の詰所に届け物をしました、これで別邸の制圧のため兵士達との連携が取れることでしょう。
家に着いた私は、執務室に居る父に会いに行きます、婚約破棄を言い渡された事を伝えに。
髪を下ろし、義眼を嵌め、手袋を嵌めました。
見た目は傷痕一つ見えなくなります。
そのままでは警戒するとクロノさんが言うので、傷が見えないようにしました。
コンコンコン
『誰だ』
「私です、レアーです」
『入れ』
カチャ
「なぜ今頃この家に居る」
息を吸い込みゆっくりと吐き出し気を落ち着かせます。
「本日、婚約破棄を王子様より言い渡されました」
「な! 何だと! なぜだ!」
「私には何も分かりません」
「ぐぬぬぬ、貴様のお陰で計画が全て遅れる! あの息子の暴虐の捌け口を探さねばあやつは計画の邪魔になる! クソ! この夏が終われば王になる筈が、もうお前には何も望みは無い! 廃嫡だ! 今後家名も名乗る事は許さん! 即刻出て行け! 二度とこの屋敷の敷地に入ることを禁ずる!」
「はい、失礼します」
私は執務室を出て、クロノさんの待つ馬車に戻ります。
クロノさんは執事服からローブに着替え、待っていてくれました。
もう、笑顔でクロノさんに近付き抱き付きたい衝動が、ぐっと押さえ込み、ゆっくりとクロノさんが待つ馬車までたどしつきました。
馬車はボロボロですが、見た目とは裏腹に頑丈に出来た馬車です、それにクロノさんに手伝ってもらい乗り込み、窓のある所に座らせてもらいました。
だって、この晴れやかな気持ちで景色を見たかったからです。
屋敷の敷地を出てすぐに一台の馬車とすれ違いました、騎士様が乗る馬車の様です、屋根の無い馬車ですので、八名の騎士様が乗っているのが見えました。
その馬車は速度を落とし、今出てきた屋敷に入って行きます。
私の予想では捕縛に来た騎士様たちです、小窓からクロノさんに話しかけ聞いてみましょう。
「捕まえに来られたのかしら?」
「その様で御座いますね、今朝、学院に行く前に届けておきましたので、ほらレアーお嬢様、学院からも護送用の馬車が出て参りますよ、王子が乗っておりますよ」
「まあ、こちらは数日後と思っておりましたのに」
「後ろ手に縛られております」
小窓から見た王子の顔は青ざめ怯えた顔をしておりました。
1
あなたにおすすめの小説
婚約破棄すると言われたので、これ幸いとダッシュで逃げました。殿下、すみませんが追いかけてこないでください。
桜乃
恋愛
ハイネシック王国王太子、セルビオ・エドイン・ハイネシックが舞踏会で高らかに言い放つ。
「ミュリア・メリッジ、お前とは婚約を破棄する!」
「はい、喜んで!」
……えっ? 喜んじゃうの?
※約8000文字程度の短編です。6/17に完結いたします。
※1ページの文字数は少な目です。
☆番外編「出会って10秒でひっぱたかれた王太子のお話」
セルビオとミュリアの出会いの物語。
※10/1から連載し、10/7に完結します。
※1日おきの更新です。
※1ページの文字数は少な目です。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年12月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、番外編を追加投稿する際に、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
気付けば名も知らぬ悪役令嬢に憑依して、見知らぬヒロインに手をあげていました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
私が憑依した身体の持ちは不幸のどん底に置かれた悪役令嬢でした
ある日、妹の部屋で見つけた不思議な指輪。その指輪をはめた途端、私は見知らぬ少女の前に立っていた。目の前には赤く腫れた頬で涙ぐみ、こちらをじっと見つめる可憐な美少女。そして何故か右手の平が痛む私。もしかして・・今私、この少女を引っ叩いたの?!そして何故か頭の中で響き渡る謎の声の人物と心と体を共存することになってしまう。憑依した身体の持ち主はいじめられっ娘の上に悪役令嬢のポジションに置かれている。見るに見かねた私は彼女を幸せにする為、そして自分の快適な生活を手に入れる為に自ら身体を張って奮闘する事にした―。
※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話8話。
悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。
潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。
離縁された悪妻の肩書きに縛られて生きてきましたが、私に流れる高貴な血が正義と幸せな再婚を運んできてくれるようです
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・虐げられた嫁・ハピエン・ざまぁモノ・クズな元夫】 (※完結保証)
ハンナは離縁された悪妻のレッテルを貼られていた。理由は嫁ぎ先のマクリーン子爵家の財産に手を付け、政治犯を匿ったからだという。
一部は事実だったが、それにはハンナなりの理由がちゃんとあった。
ハンナにそれでも自分を大切にしてくれた人への感謝を忘れず健気に暮らしていたのだが、今度は元夫が、「新しい妻が欲しがるから」という理由で、ハンナが皇帝殿下から賜った由緒正しい指輪を奪っていってしまった。
しかし、これには皇帝殿下がブチ切れた!
皇帝殿下がこの指輪を私に授けたのには意味があったのだ。
私に流れるかつての偉大な女帝の血。
女帝に敬意を表さない者に、罰が下される――。
短め連載です(3万字程度)。設定ゆるいです。
お気軽に読みに来ていただけたらありがたいです!!
他サイト様にも投稿しております。
白い結婚のはずでしたが、冷血辺境伯の溺愛は想定外です
鍛高譚
恋愛
――私の結婚は、愛も干渉もない『白い結婚』のはずでした。
侯爵令嬢クレスタは王太子アレクシオンから一方的に婚約破棄を告げられ、冷徹と名高い辺境伯ジークフリートと政略結婚をすることに。 しかしその結婚には、『互いに干渉しない』『身体の関係を持たない』という特別な契約があった。
形だけの夫婦を続けながらも、ジークフリートの優しさや温もりに触れるうち、クレスタの傷ついた心は少しずつ癒されていく。 一方で、クレスタを捨てた王太子と平民の少女ミーナは『真実の愛』を声高に叫ぶが、次第にその実態が暴かれ、彼らの運命は思わぬ方向へと転落していく。
やがて訪れるざまぁな展開の先にあるのは、真実の愛によって結ばれる二人の未来――。
悪役令嬢を演じて婚約破棄して貰い、私は幸せになりました。
シグマ
恋愛
伯爵家の長女であるソフィ・フェルンストレームは成人年齢である十五歳になり、父親の尽力で第二王子であるジャイアヌス・グスタフと婚約を結ぶことになった。
それはこの世界の誰もが羨む話でありソフィも誇らしく思っていたのだが、ある日を境にそうは思えなくなってしまう。
これはそんなソフィが婚約破棄から幸せになるまでの物語。
※感想欄はネタバレを解放していますので注意して下さい。
※R-15は保険として付けています。
婚約破棄されて追放された私、今は隣国で充実な生活送っていますわよ? それがなにか?
鶯埜 餡
恋愛
バドス王国の侯爵令嬢アメリアは無実の罪で王太子との婚約破棄、そして国外追放された。
今ですか?
めちゃくちゃ充実してますけど、なにか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる